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70.ヘンスラー帝国からの宣戦布告?
私達の結婚準備も着々と進む中、私はうっとりしておりました。刺繍を細かく入れた白いドレスは、想像よりずっと素敵な出来栄えです。婚礼衣装用にこつこつ集めた宝石も、縫い留められていました。
「豪華でお似合いになりますよ」
エレンが微笑んで、婚礼衣装の角度を少し動かしてくれました。斜めから見ても素敵です。幸せに浸る私ですが、これから国王陛下や王妃殿下とお食事の約束がありました。
「名残惜しいですが、着替えましょう」
用意したのは、柔らかな空色のドレスです。お気に入りで何度か着用しました。今回は紺色のショールを羽織ろうと思います。ブローチでショールを留めて、お飾りの宝飾品を付けるだけ。靴はシンプルに銀色にしました。
「アレクシス様の準備はどうかしら」
「下でお待ちになってはいかがでしょう」
エレンの提案を受け、私は廊下に出ました。まだアントンの姿がないので、アレクシス様の準備中ですね。階下で待ち合わせ、一緒に馬車に乗り込みます。アレクシス様も王宮での晩餐は五回目になりました。もう慣れたようです。
「やはり、ヴィーだけで」
「婚約者であるあなた様がご一緒でなければ、私は参加しません」
ダメでした。全然慣れてくれませんね。馬車で向かい合わせに座るアレクシス様は、もぞもぞと居心地が悪そう。指先が短い前髪を弄っています。
もしかして髪を短くしたからでしょうか? いつもより顔が見えるから。人にどう思われるか、気にしておいでなのね。
「アレクシス様、触れたら髪型が崩れてしまいます。とてもよくお似合いですのに」
「だが」
「お似合いです」
お母様の真似をして、同じ言葉を繰り返しました。これは効果抜群で、いつもお父様は黙ってしまうのです。不思議とアレクシス様にも効きました。ミランダお義姉様もご存知かしら。
晩餐が行われるのは、公式行事用の食堂ではありません。私的な個人スペースの食堂でした。装飾品はやや地味ですが、色調や家具の配置を工夫しています。落ち着くので、こちらの部屋を希望しました。
何より、こちらのお部屋の方が狭いので距離が近いのも利点です。国王陛下や王妃殿下ともっと仲良くなっていただけたら、きっと緊張しなくなると思いますの。
「ああ、よく来た」
「レードルンド辺境伯、お座りになって」
王妃殿下に促されて座り、挨拶を交わしてグラスを掲げました。乾杯して前菜からゆっくりいただきます。コース料理の良いところは、お話する時間をたくさん取れることですね。
「ヴィーちゃん、悪いお知らせがあるの」
王妃殿下はスープが終わったタイミングで切り出しました。魚料理が並び、合図で侍女達が下がります。
「ヘンスラー帝国の王子殿下からお手紙が届きました」
ちらりと王妃殿下が視線を向けた先で、国王陛下が苦虫を噛み潰した顔で口を開きました。
「妖精姫を正妃に望む。断るなら攻め込む、と」
あらあら。それは大変です。でもご安心ください。すでに対策しておりますのよ。
「私、すでに人妻ですわ」
結婚式こそまだ挙げておりませんが、入籍は終わっております。この国は宗教色が強くないので、他国の王族の立ち会いの下、すでに手続きは完了させました。
「最悪の場合を想定しておいてくれ」
どうやらお伝えしても無視されたようです。仕方ありません、私も奥の手を出す時が来たようですわ。
「豪華でお似合いになりますよ」
エレンが微笑んで、婚礼衣装の角度を少し動かしてくれました。斜めから見ても素敵です。幸せに浸る私ですが、これから国王陛下や王妃殿下とお食事の約束がありました。
「名残惜しいですが、着替えましょう」
用意したのは、柔らかな空色のドレスです。お気に入りで何度か着用しました。今回は紺色のショールを羽織ろうと思います。ブローチでショールを留めて、お飾りの宝飾品を付けるだけ。靴はシンプルに銀色にしました。
「アレクシス様の準備はどうかしら」
「下でお待ちになってはいかがでしょう」
エレンの提案を受け、私は廊下に出ました。まだアントンの姿がないので、アレクシス様の準備中ですね。階下で待ち合わせ、一緒に馬車に乗り込みます。アレクシス様も王宮での晩餐は五回目になりました。もう慣れたようです。
「やはり、ヴィーだけで」
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ダメでした。全然慣れてくれませんね。馬車で向かい合わせに座るアレクシス様は、もぞもぞと居心地が悪そう。指先が短い前髪を弄っています。
もしかして髪を短くしたからでしょうか? いつもより顔が見えるから。人にどう思われるか、気にしておいでなのね。
「アレクシス様、触れたら髪型が崩れてしまいます。とてもよくお似合いですのに」
「だが」
「お似合いです」
お母様の真似をして、同じ言葉を繰り返しました。これは効果抜群で、いつもお父様は黙ってしまうのです。不思議とアレクシス様にも効きました。ミランダお義姉様もご存知かしら。
晩餐が行われるのは、公式行事用の食堂ではありません。私的な個人スペースの食堂でした。装飾品はやや地味ですが、色調や家具の配置を工夫しています。落ち着くので、こちらの部屋を希望しました。
何より、こちらのお部屋の方が狭いので距離が近いのも利点です。国王陛下や王妃殿下ともっと仲良くなっていただけたら、きっと緊張しなくなると思いますの。
「ああ、よく来た」
「レードルンド辺境伯、お座りになって」
王妃殿下に促されて座り、挨拶を交わしてグラスを掲げました。乾杯して前菜からゆっくりいただきます。コース料理の良いところは、お話する時間をたくさん取れることですね。
「ヴィーちゃん、悪いお知らせがあるの」
王妃殿下はスープが終わったタイミングで切り出しました。魚料理が並び、合図で侍女達が下がります。
「ヘンスラー帝国の王子殿下からお手紙が届きました」
ちらりと王妃殿下が視線を向けた先で、国王陛下が苦虫を噛み潰した顔で口を開きました。
「妖精姫を正妃に望む。断るなら攻め込む、と」
あらあら。それは大変です。でもご安心ください。すでに対策しておりますのよ。
「私、すでに人妻ですわ」
結婚式こそまだ挙げておりませんが、入籍は終わっております。この国は宗教色が強くないので、他国の王族の立ち会いの下、すでに手続きは完了させました。
「最悪の場合を想定しておいてくれ」
どうやらお伝えしても無視されたようです。仕方ありません、私も奥の手を出す時が来たようですわ。
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