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第19章 出産ラッシュ再び?
351.危険は承知の上で自由に
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リリスがイブを妊娠した時、初期段階では流産の確率が高いとあれほど説明したのに。本人も納得して、リリスをとても大切に守った。なのに、前回のあれこれをまるっと忘れ、ルシファーはリリスを抱いていくと言う。
却下したミュルミュールは、何とか修正した案を前に大きく息を吐いた。もし抱っこして、何かの拍子に腹を圧迫したらどうするのか。安定期に入るまで、苦労した過去を覚えていて欲しかった。ほぼ毎日相談に来て大騒ぎしたのにねぇ。
キャンプの準備に必要なリストを書き上げ、ミュルミュールは久しぶりの大型企画に口元を緩めた。イヴちゃんが無事に産まれたから、今回もさほど心配してないのかしら。でも流産の可能性がある妊娠初期の魔王妃が、キャンプに参加するのは許可できなかった。
あまりにしょんぼり肩を落とすので、妥協案として初日と最終日の昼間だけ参加を許可する。代わりに、イポスが付き添うことが決まった。娘マーリーンと一緒に、保護者としてイポスも参加する。女性で母で騎士となれば、キャンプ当日のリリスを守り切ってくれるだろう。
キャンプ地は、ルキフェルが所有する森の一角を借りることになった。周囲は魔の森に囲まれ、凶暴な魔物はいない。なんでも、領主であるルキフェルが定期的に狩るそうだ。地上の魔物はフェンリルであるヤンが排除する。空の攻撃はアムドゥスキアスが防ぐ予定だった。
息子ゴルティーが参加するので、翡翠竜としては気合が入っているらしい。どの家庭も出産ラッシュに掛かったようで、父親同伴が多かった。中には年の離れた兄姉が、保護者として参加する家庭もある。
参加者リストを確認し、漏れがないようチェックした。最後に、承認のサインを終えるとペンを置く。
「これでいいわ」
以前アスタロト大公の森にある湖へ遠足をしたら、ゾンビ騒ぎで中断となった。あの時の半分ほどの大きさの湧水池があるらしい。湧き水を一時的に池に溜め、端から川へ流している。危ないので遊泳禁止にすべきか。迷いながら、詳細を詰めた。
「ある程度の危険は承知の上。好きにさせましょう」
水に親しんだ精霊達や泳げる種族も参加する。無理に制限をかけるより、目一杯楽しんだらいい。危険を排除するのは、親や保育園側の役割だった。
子どもがしたいように遊ばせて溺れたとして、救い出す方法を持つ実力者ばかりだ。魔王ルシファー、翡翠竜、フェンリル、上位貴族の親達……ドラゴンはもちろん小人族に至るまで。
大きさも能力も千差万別の魔族にとって、事前にあれこれ悩んでも徒労に終わることも多い。最低限の安全を確保したら、後は現場で対処だ。
キャンプ用品のリストをじっくり確認し、予算を頭の中で計算する。足りないかも知れない。どこから捻出するか。迷うミュルミュールは、窓の外がすでに深夜と呼ばれる時間帯であると気づいた。
「明日にしましょう」
いい案が浮かぶとしたら、夜より昼間よね。割り切った様子で部屋を出た彼女の判断は正しかった。
翌朝、魔王軍から協力要請と共に、キャンプ用品の貸し出しの申し出が入る。見回りを行うサタナキア将軍は、孫の初キャンプに協力することで、こっそり自分も参加したいとか。
キャンプ用品については、魔王ルシファーの指示だった。軍で使用するテントや道具は、便利で使いやすい。有事に使う予定でストックされるが、利用しない時期はただ収納されてきた。勿体無いので使ってしまおう。トップダウンで命令が受理され、悩ましい問題も解決した。
「テント張りや撤収まで手伝ってもらえるなんて、楽でいいわ」
満足そうなミュルミュールだが、受け取った命令書には「テント張りの手伝いと運搬」と書かれていた。撤収は彼女が思い込みなのだが……最終的に片付けも軍の担当になることは間違いない。鼻歌を歌う園長先生は、キャンプで花火を取り入れようと、さらなる寄付のお願いを作り始めた。
魔王城から大量の補助金が届き、花火どころか。普段使う用具の入れ替えまで足りるなんて、この時は想像もしなかった。
却下したミュルミュールは、何とか修正した案を前に大きく息を吐いた。もし抱っこして、何かの拍子に腹を圧迫したらどうするのか。安定期に入るまで、苦労した過去を覚えていて欲しかった。ほぼ毎日相談に来て大騒ぎしたのにねぇ。
キャンプの準備に必要なリストを書き上げ、ミュルミュールは久しぶりの大型企画に口元を緩めた。イヴちゃんが無事に産まれたから、今回もさほど心配してないのかしら。でも流産の可能性がある妊娠初期の魔王妃が、キャンプに参加するのは許可できなかった。
あまりにしょんぼり肩を落とすので、妥協案として初日と最終日の昼間だけ参加を許可する。代わりに、イポスが付き添うことが決まった。娘マーリーンと一緒に、保護者としてイポスも参加する。女性で母で騎士となれば、キャンプ当日のリリスを守り切ってくれるだろう。
キャンプ地は、ルキフェルが所有する森の一角を借りることになった。周囲は魔の森に囲まれ、凶暴な魔物はいない。なんでも、領主であるルキフェルが定期的に狩るそうだ。地上の魔物はフェンリルであるヤンが排除する。空の攻撃はアムドゥスキアスが防ぐ予定だった。
息子ゴルティーが参加するので、翡翠竜としては気合が入っているらしい。どの家庭も出産ラッシュに掛かったようで、父親同伴が多かった。中には年の離れた兄姉が、保護者として参加する家庭もある。
参加者リストを確認し、漏れがないようチェックした。最後に、承認のサインを終えるとペンを置く。
「これでいいわ」
以前アスタロト大公の森にある湖へ遠足をしたら、ゾンビ騒ぎで中断となった。あの時の半分ほどの大きさの湧水池があるらしい。湧き水を一時的に池に溜め、端から川へ流している。危ないので遊泳禁止にすべきか。迷いながら、詳細を詰めた。
「ある程度の危険は承知の上。好きにさせましょう」
水に親しんだ精霊達や泳げる種族も参加する。無理に制限をかけるより、目一杯楽しんだらいい。危険を排除するのは、親や保育園側の役割だった。
子どもがしたいように遊ばせて溺れたとして、救い出す方法を持つ実力者ばかりだ。魔王ルシファー、翡翠竜、フェンリル、上位貴族の親達……ドラゴンはもちろん小人族に至るまで。
大きさも能力も千差万別の魔族にとって、事前にあれこれ悩んでも徒労に終わることも多い。最低限の安全を確保したら、後は現場で対処だ。
キャンプ用品のリストをじっくり確認し、予算を頭の中で計算する。足りないかも知れない。どこから捻出するか。迷うミュルミュールは、窓の外がすでに深夜と呼ばれる時間帯であると気づいた。
「明日にしましょう」
いい案が浮かぶとしたら、夜より昼間よね。割り切った様子で部屋を出た彼女の判断は正しかった。
翌朝、魔王軍から協力要請と共に、キャンプ用品の貸し出しの申し出が入る。見回りを行うサタナキア将軍は、孫の初キャンプに協力することで、こっそり自分も参加したいとか。
キャンプ用品については、魔王ルシファーの指示だった。軍で使用するテントや道具は、便利で使いやすい。有事に使う予定でストックされるが、利用しない時期はただ収納されてきた。勿体無いので使ってしまおう。トップダウンで命令が受理され、悩ましい問題も解決した。
「テント張りや撤収まで手伝ってもらえるなんて、楽でいいわ」
満足そうなミュルミュールだが、受け取った命令書には「テント張りの手伝いと運搬」と書かれていた。撤収は彼女が思い込みなのだが……最終的に片付けも軍の担当になることは間違いない。鼻歌を歌う園長先生は、キャンプで花火を取り入れようと、さらなる寄付のお願いを作り始めた。
魔王城から大量の補助金が届き、花火どころか。普段使う用具の入れ替えまで足りるなんて、この時は想像もしなかった。
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