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第5章 悪魔は女神を踊らせる

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※性的表現があります。
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 黒髪に降らせたキスを、額や頬、紅く色づいた唇へ落とす。何度もついばんだ唇が薄く開くのを待って、深く接吻けた。少し血の味がする。

「ん……っ、ぅ……」

 甘い嬌声と吐息を味わいながら、ライアンの唇は名残惜しそうに離れる。唾液に濡れた唇は赤く染まり、誘うように舌が覗いた。

「もっと独占していいんだ。オレのすべては、シリルの物なんだから」

 囁いた声に情欲を煽られ、シリルはぶるりと身を震わせた。この男のすべてを専占できるのなら、体も心も与えることに躊躇いはない。

 シャツを脱がせる指が触れると、肌が歓喜に震える。ライアンの首筋に顔を埋めて、広い背に手を回した。抱きつく姿勢は、縋るみたいで……だからこそ互いの愛情と信頼の証でもあった。

 戦い続けてきたライアンにとって、背を晒すのは致命的だ。吸血鬼であるシリルも己の体を無防備に晒すのは禁忌で――なのに心地よく感じられる相手がいることは、とても幸せだった。

「ライアン、好きだ」

 掠れた声で紡がれた告白に、ライアンの青紫の瞳が緩む。嬉しそうに笑う男に接吻け、シリルは顔を埋めた首筋に赤い所有印を刻んだ。吸血行為でない、欲を満たす為だけの痛みにシリルの気持ちの強さを感じ、ライアンの指が愛撫を深める。

「や……ぁ、……ふ……っ」

 零れる喘ぎを吐息に混ぜた色っぽい音色を聞きながら、目の前の白い肌の誘惑に逆らえず唇を寄せた。胸を弄る指をそのままに、下へと移動する。三つ編みを引っ張ったシリルの指に、解けた長い金髪が絡まった。

「愛してるぜ、シリル」

 何度も聞いた告白。何度でも聞きたい声。

 すでに勃ち上がり始めた欲望に触れる柔らかい舌、口の中に含まれれば背をぞくりと快感が走った。抱かれることは慣れてしまったのに、過ぎる快楽になれる方法はなくて……いつでもギリギリまで追い込まれて落とされる。

「はっ……ぁあ、ンッ……ィアン……」

 ライアンの独占欲に似た髪が指を拘束して、そんな些細なことすら嬉しく感じてしまう。引き寄せた髪に接吻けるシリルの仕草に、ライアンは口の中の欲望を吸い上げた。

「や……ぁああッ!」

 吐き出した蜜を飲み干した男が、ゆらりと身を起こす。光を纏う髪が長くシーツに届いて、シリルを束縛する檻のようだった。

 体という器を満たす快感の深さに、ぐったりとシーツに沈んだシリルの奥を解していく。まだ堅い蕾を指で探りながら、快楽の火種を呼び起こした。

「ぁ、ン……っん、ふ……ぅ」

 熱に乾いた唇を舐める舌の動きに誘われて、ライアンはその唇を思う存分味わった。どんなに貪っても足りない恋人の内壁は熱く、灼熱の杭を待ち焦がれて誘う。
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