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158.明日がゆっくり来ますように
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明日の朝、早い時間に天使が攻めてくる。その話は、街の人やお城で働く人に連絡された。忙しそうなパパのお膝で、時々ほっぺにキスして癒すのが僕のお仕事。大事なお仕事って聞いてる。頑張るね。
「東の門は閉鎖します」
「西の森に魔獣を放て!」
アガレスやマルバスが指示を出す。プルソンやセーレは戦えないから、今夜のうちに逃げるの。僕はパパと一緒の約束があるから、ここでパパを癒すお仕事を頑張ると決めた。僕だってやる時はやるよ。天使が来たら、えいって叩くんだ。
「カリス様、ご無事で」
「これは明日のおやつだからね」
プルソンが泣きそうな顔で僕の手を握り、セーレはおやつをくれた。ベロはまだ弱い仔犬だけど、ママである僕が守るの。だから元気に挨拶をする。悲しくなんてないよ、すぐに会えるもの。パパが悪い天使をやっつけてくれるんだから。
「ありがと、気をつけて。天使に捕まらないように隠れてね」
何度も手を振って城のお庭へ行く二人を見送っていたら、池のところに人がたくさん集まってた。ここから纏めて洞窟へ逃げるんだって。ぴかっと光った後、皆が消える。すごい! 一瞬で洞窟へ隠れられるなんて、悪魔は凄いんだな。
「カリスとベロは俺と一緒だ。絶対に離れるな」
僕だけじゃなくて、ベロもちゃんと話を聞く。お座りして「わん」と返事をした。たくさん撫でてあげるね。
「怖くないよ、ベロ。ママがいるもん」
わん! また勢いよく鳴くベロは、僕の顔や首をいっぱい舐めた。抱っこしたベロは少し重くなった。これからもっと大きくなると言われたけど、ゆっくりでいいよ。僕のお膝に乗せられなくなっちゃう。
「ベロは大人になることも出来る。危なくなったら守ってくれるぞ」
そうなの? こっそり教えてくれたパパに尋ねると、笑顔で頷いた。パパより大きくなれるんだって。じゃあ普段は僕が抱っこできるけど、大きくなったら背中に乗せてもらおう。おやつの袋を握り締めて、怖い顔であれこれ指示してるアガレス達を見つめた。
いいかな……いいよね。ちらっとパパを見上げたら、仕方ないと笑うから。僕はもらったおやつの袋を開けた。飾りのピンクのリボンを解いて、中を覗いた。明日のだけど、僕、明日はおやつがなくても我慢できる。
「部屋から出るな」
「うん」
パパと約束して、ベロと一緒にアガレスの前に行く。書類を地下室に移動させるアガレスは、黒い毛皮がぼさぼさになるくらい頑張ってた。だから2枚ね。
「どうぞ」
「あっ……ありがとうございます」
一瞬だけパパの方を向いて、それから笑って受け取ってくれた。でも1枚を僕に返す。
「これは私からカリス様への分です」
「ありがと」
気持ちを込めた贈り物は受け取るのが、マナーだった。僕はそう習ったから、1枚を受け取る。袋に戻して、マルバスにも2枚だして1枚返ってきた。
書類を運んでる人にも渡して、ダンダリオンが来たからあげる。皆、1枚でいいみたい。焼き菓子は半分になった。戻ってパパにあーんして、ベロにもあーん。最後に僕が齧る。甘くて美味しい。
「カリスはもう休むか」
「ううん。パパのお膝にいる」
「そうか。なら膝の上で眠るといい」
皆がいつもと違う顔をしてて、離れるのが怖い。パパは取り出した毛布で僕を包んで、抱き上げた。移動して長椅子に座ったパパのお膝に僕が頭を乗せる。ベロが飛び乗って、僕の横に潜り込んだ。
暖かいね。明日がゆっくり来ますように。
「東の門は閉鎖します」
「西の森に魔獣を放て!」
アガレスやマルバスが指示を出す。プルソンやセーレは戦えないから、今夜のうちに逃げるの。僕はパパと一緒の約束があるから、ここでパパを癒すお仕事を頑張ると決めた。僕だってやる時はやるよ。天使が来たら、えいって叩くんだ。
「カリス様、ご無事で」
「これは明日のおやつだからね」
プルソンが泣きそうな顔で僕の手を握り、セーレはおやつをくれた。ベロはまだ弱い仔犬だけど、ママである僕が守るの。だから元気に挨拶をする。悲しくなんてないよ、すぐに会えるもの。パパが悪い天使をやっつけてくれるんだから。
「ありがと、気をつけて。天使に捕まらないように隠れてね」
何度も手を振って城のお庭へ行く二人を見送っていたら、池のところに人がたくさん集まってた。ここから纏めて洞窟へ逃げるんだって。ぴかっと光った後、皆が消える。すごい! 一瞬で洞窟へ隠れられるなんて、悪魔は凄いんだな。
「カリスとベロは俺と一緒だ。絶対に離れるな」
僕だけじゃなくて、ベロもちゃんと話を聞く。お座りして「わん」と返事をした。たくさん撫でてあげるね。
「怖くないよ、ベロ。ママがいるもん」
わん! また勢いよく鳴くベロは、僕の顔や首をいっぱい舐めた。抱っこしたベロは少し重くなった。これからもっと大きくなると言われたけど、ゆっくりでいいよ。僕のお膝に乗せられなくなっちゃう。
「ベロは大人になることも出来る。危なくなったら守ってくれるぞ」
そうなの? こっそり教えてくれたパパに尋ねると、笑顔で頷いた。パパより大きくなれるんだって。じゃあ普段は僕が抱っこできるけど、大きくなったら背中に乗せてもらおう。おやつの袋を握り締めて、怖い顔であれこれ指示してるアガレス達を見つめた。
いいかな……いいよね。ちらっとパパを見上げたら、仕方ないと笑うから。僕はもらったおやつの袋を開けた。飾りのピンクのリボンを解いて、中を覗いた。明日のだけど、僕、明日はおやつがなくても我慢できる。
「部屋から出るな」
「うん」
パパと約束して、ベロと一緒にアガレスの前に行く。書類を地下室に移動させるアガレスは、黒い毛皮がぼさぼさになるくらい頑張ってた。だから2枚ね。
「どうぞ」
「あっ……ありがとうございます」
一瞬だけパパの方を向いて、それから笑って受け取ってくれた。でも1枚を僕に返す。
「これは私からカリス様への分です」
「ありがと」
気持ちを込めた贈り物は受け取るのが、マナーだった。僕はそう習ったから、1枚を受け取る。袋に戻して、マルバスにも2枚だして1枚返ってきた。
書類を運んでる人にも渡して、ダンダリオンが来たからあげる。皆、1枚でいいみたい。焼き菓子は半分になった。戻ってパパにあーんして、ベロにもあーん。最後に僕が齧る。甘くて美味しい。
「カリスはもう休むか」
「ううん。パパのお膝にいる」
「そうか。なら膝の上で眠るといい」
皆がいつもと違う顔をしてて、離れるのが怖い。パパは取り出した毛布で僕を包んで、抱き上げた。移動して長椅子に座ったパパのお膝に僕が頭を乗せる。ベロが飛び乗って、僕の横に潜り込んだ。
暖かいね。明日がゆっくり来ますように。
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