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12.無垢な子供を染め上げる(SIDEセティ)
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*****SIDE セティ
宿で余計な面倒を増やさないため、イシスを抱っこして移動した。実年齢は不明だが、見た目は12歳前後だから不自然ではない。顔を見せるとちょっかい出されるのは目に見えていた。宿の女将にも事前に話を通してある。
「この子は狙われるよ」
同じ意見だと肩を竦めれば、彼女は一番奥の部屋を用意してくれた。緊急用の脱出梯子が壁に設置してあるから、危険だと思えば逃げろという。気の利く宿の女将に感謝し、全額前金の上、多めに渡しておいた。イシスに関する口止め料も含んでいる。
食事は壁に向かってカウンター席を用意してもらい、膝の上に乗せた。横抱きにすれば、イシスの顔は俺の身体と壁で見えなくなる。好みがわからないので、おすすめ料理を数点頼んだ。
あの薄いスープとパンのみの生活だったとしたら、あまり味付けの濃い物は胃が受け付けないだろう。イシスが食べられなければオレが食べればいい。ぐぅと鳴る可愛い音に、イシスに食欲があるのだと安心する。
エビのトマトソース煮込みを差し出すと、くんくんと匂って口を開けなかった。子猫みたいで可愛いが、このままでは困る。
「口を開けて、あーんだ」
試しにそう提案すると、あーんは経験があったらしい。ぱくっと口を開けて待つ。子猫じゃなくて雛だったか。頬が緩む一方で、誰がこの子に「あーん」を教えたのかと胸がもやもやした。何も知らなそうな無垢なこの子に、いろいろ教えてく過程を楽しみたかったのに。
久しぶりに興味を惹かれる存在を見つけたのだ。他者の介入の痕は不愉快だった。長すぎる人生を彩ってくれそうなイシスは、無防備にスプーンを口に含んだ。
「っ、! は、ふ……っ、う」
ミスった。考え事をしていたから、イシスの反応を見落とした。熱い食べ物は初めてか? くそ、火傷させちまっただろ。
「女将、水を持ってきてくれ」
「あいよ! なんだい、火傷かい? あんた、ちゃんと面倒見ないなら取り上げるよ」
飲み屋を兼ねた食堂を纏めるだけあって、口達者で面倒見のいい女将だ。この話の内容は、イシスに理解できないだろう。彼が使う言語とこの国の言葉は違う。イシスが寝たのをいいことに転移まで使ったので、とんでもない距離を移動して隣国まで到達していた。
「先に水くれ」
促して受け取ったコップを渡そうとして、思い立った。治癒してしまえばいい。だが人前で魔法を使うとややこしい騒動になるので、口に含んだ水を流し込む過程で舌の上を舐めた。これで綺麗に治るはず。猫舌は治してやれないが、火傷がなくなれば食事は続けられる。
唇をちゅっと音をさせて離す。これはキスの終わりだと覚えさせるのに最適だ。もっとと強請る子供に笑いかけ、食事を優先させた。大人しく座った子供に続きを約束し、ついでに言葉も教えていく。
何も知らない子供を自分好みに染めていくのは、ひどく心躍る作業だった。
宿で余計な面倒を増やさないため、イシスを抱っこして移動した。実年齢は不明だが、見た目は12歳前後だから不自然ではない。顔を見せるとちょっかい出されるのは目に見えていた。宿の女将にも事前に話を通してある。
「この子は狙われるよ」
同じ意見だと肩を竦めれば、彼女は一番奥の部屋を用意してくれた。緊急用の脱出梯子が壁に設置してあるから、危険だと思えば逃げろという。気の利く宿の女将に感謝し、全額前金の上、多めに渡しておいた。イシスに関する口止め料も含んでいる。
食事は壁に向かってカウンター席を用意してもらい、膝の上に乗せた。横抱きにすれば、イシスの顔は俺の身体と壁で見えなくなる。好みがわからないので、おすすめ料理を数点頼んだ。
あの薄いスープとパンのみの生活だったとしたら、あまり味付けの濃い物は胃が受け付けないだろう。イシスが食べられなければオレが食べればいい。ぐぅと鳴る可愛い音に、イシスに食欲があるのだと安心する。
エビのトマトソース煮込みを差し出すと、くんくんと匂って口を開けなかった。子猫みたいで可愛いが、このままでは困る。
「口を開けて、あーんだ」
試しにそう提案すると、あーんは経験があったらしい。ぱくっと口を開けて待つ。子猫じゃなくて雛だったか。頬が緩む一方で、誰がこの子に「あーん」を教えたのかと胸がもやもやした。何も知らなそうな無垢なこの子に、いろいろ教えてく過程を楽しみたかったのに。
久しぶりに興味を惹かれる存在を見つけたのだ。他者の介入の痕は不愉快だった。長すぎる人生を彩ってくれそうなイシスは、無防備にスプーンを口に含んだ。
「っ、! は、ふ……っ、う」
ミスった。考え事をしていたから、イシスの反応を見落とした。熱い食べ物は初めてか? くそ、火傷させちまっただろ。
「女将、水を持ってきてくれ」
「あいよ! なんだい、火傷かい? あんた、ちゃんと面倒見ないなら取り上げるよ」
飲み屋を兼ねた食堂を纏めるだけあって、口達者で面倒見のいい女将だ。この話の内容は、イシスに理解できないだろう。彼が使う言語とこの国の言葉は違う。イシスが寝たのをいいことに転移まで使ったので、とんでもない距離を移動して隣国まで到達していた。
「先に水くれ」
促して受け取ったコップを渡そうとして、思い立った。治癒してしまえばいい。だが人前で魔法を使うとややこしい騒動になるので、口に含んだ水を流し込む過程で舌の上を舐めた。これで綺麗に治るはず。猫舌は治してやれないが、火傷がなくなれば食事は続けられる。
唇をちゅっと音をさせて離す。これはキスの終わりだと覚えさせるのに最適だ。もっとと強請る子供に笑いかけ、食事を優先させた。大人しく座った子供に続きを約束し、ついでに言葉も教えていく。
何も知らない子供を自分好みに染めていくのは、ひどく心躍る作業だった。
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