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199.やだっ、来ないで!
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ぐったりするくらいキスをして、たくさん好きと言って、仲直りをした。まだ夜じゃないけど、夜も寝る前のお呪いをするのかな。あふっと欠伸が出て、温かいセティの腕の中で体から力を抜く。気持ちがいいし、疲れて体が怠くなるのも慣れた。こうやってセティがたくさん触ってくれるなら、疲れるのも好き。
黒髪を撫でてくれるセティの手の動きを追いながら、目を閉じた。すごく幸せ……僕、こんなに幸せだと罰が当たりそうだけど。どんな罰が来てもいいから、セティだけは残して欲しいな。そんなことを考えていたら、僕は眠っていたみたい。
目が覚めて、部屋には僕だけだった。セティが見つからなくて、きょろきょろした後で隣の部屋を覗く。ちらっと僕を見るゲリュオンは柔らかい絨毯に寝転んでいて、翼と角がある馬の姿のシェリアを抱っこしてた。起こさないように部屋の中を見たけど、やっぱりセティはいない。
ゲリュオンに首を横に振って、扉を閉めた。変だな、何をしてるんだろう? いつもは側にいてくれるのに……廊下へ繋がる扉の前で、開けるのを躊躇う。振り返った部屋の机の上には、鈴が置いてあった。コップをひっくり返して持ち手を付けた形のそれを揺らすと、ちりんと軽い音がする。鳴らすと誰か神官が来る仕組みだけど、怖いから触らなかった。
扉を少し開けて覗く。両側に立っていた人が、こっちを見た。神官みたいに睨んだりしないし、嫌な感じがなかった。お爺ちゃんを呼んでもらおうと思ったけど、お爺ちゃんの名前がわからない。お爺ちゃんじゃ通じないよね。
セティがどこか聞きたいのに、話しかけようとしたら怖くなった。開けた扉から見せていた顔をひっこめ、しっかりと扉を閉める。どうしよう、僕……お父さん達に頼む? でもドラゴンが来たら騒ぎになっちゃうし。困ったな。背中で扉を押さえて座った僕は、その場で膝を抱えた。
「贄神子様、何か用がございましたか?」
扉の向こうから声がする。くるりと向き直って、ひとつ深呼吸した。贄って僕のことだ。さっきの両側にいた人が呼んでくれたのかも。どきどきしながら扉を開く。白い服が見えて、僕は部屋の中に逃げ込んだ。怖い、ソファを間に挟む形で覗いた先に……初めて見る女の人がいた。
頭にも白い布を被って、黒に近い茶の髪をしていた。口元が笑ってるのに目が怖い。僕をじっと見る目に、恐ろしさが膨らんだ。
「贄神子様? どうやってタイフォン神様を誑かしたのです? 同じ色に見えても、染めた髪なのでしょう。お前のような下賤が、美しくお強い神様に侍るなど身の程知らずに過ぎる行いです。この部屋にいてはいけません。外に出なさい」
話しかけながら近づく女性に、僕は叫んでいた。黒い靄のようなものが女の人を包む。それが触れたら汚れてしまう。本能的にそう思った。汚れたらセティに触れなくなる。
「やだっ、来ないで!」
黒髪を撫でてくれるセティの手の動きを追いながら、目を閉じた。すごく幸せ……僕、こんなに幸せだと罰が当たりそうだけど。どんな罰が来てもいいから、セティだけは残して欲しいな。そんなことを考えていたら、僕は眠っていたみたい。
目が覚めて、部屋には僕だけだった。セティが見つからなくて、きょろきょろした後で隣の部屋を覗く。ちらっと僕を見るゲリュオンは柔らかい絨毯に寝転んでいて、翼と角がある馬の姿のシェリアを抱っこしてた。起こさないように部屋の中を見たけど、やっぱりセティはいない。
ゲリュオンに首を横に振って、扉を閉めた。変だな、何をしてるんだろう? いつもは側にいてくれるのに……廊下へ繋がる扉の前で、開けるのを躊躇う。振り返った部屋の机の上には、鈴が置いてあった。コップをひっくり返して持ち手を付けた形のそれを揺らすと、ちりんと軽い音がする。鳴らすと誰か神官が来る仕組みだけど、怖いから触らなかった。
扉を少し開けて覗く。両側に立っていた人が、こっちを見た。神官みたいに睨んだりしないし、嫌な感じがなかった。お爺ちゃんを呼んでもらおうと思ったけど、お爺ちゃんの名前がわからない。お爺ちゃんじゃ通じないよね。
セティがどこか聞きたいのに、話しかけようとしたら怖くなった。開けた扉から見せていた顔をひっこめ、しっかりと扉を閉める。どうしよう、僕……お父さん達に頼む? でもドラゴンが来たら騒ぎになっちゃうし。困ったな。背中で扉を押さえて座った僕は、その場で膝を抱えた。
「贄神子様、何か用がございましたか?」
扉の向こうから声がする。くるりと向き直って、ひとつ深呼吸した。贄って僕のことだ。さっきの両側にいた人が呼んでくれたのかも。どきどきしながら扉を開く。白い服が見えて、僕は部屋の中に逃げ込んだ。怖い、ソファを間に挟む形で覗いた先に……初めて見る女の人がいた。
頭にも白い布を被って、黒に近い茶の髪をしていた。口元が笑ってるのに目が怖い。僕をじっと見る目に、恐ろしさが膨らんだ。
「贄神子様? どうやってタイフォン神様を誑かしたのです? 同じ色に見えても、染めた髪なのでしょう。お前のような下賤が、美しくお強い神様に侍るなど身の程知らずに過ぎる行いです。この部屋にいてはいけません。外に出なさい」
話しかけながら近づく女性に、僕は叫んでいた。黒い靄のようなものが女の人を包む。それが触れたら汚れてしまう。本能的にそう思った。汚れたらセティに触れなくなる。
「やだっ、来ないで!」
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