71 / 80
71.噴火への思わぬ反応
あれこれ調べるまでもなく、領内の火山だった。長らく領地管理していたユーグ叔父様の説明によれば、活火山だが数百年に一度噴火するらしい。
「それじゃ、通常の噴火活動だったのね」
ほっとする。昨日いじった魔法道具のせいかと思ったじゃない。安堵の息を吐いたら、ユーグ叔父様が情報を追加した。
「だが周期と合わない。本来なら百年ほどは噴火しないはずなんだが」
「……やっぱり魔法道具、かしら」
溜め息を吐いた。私が押したスイッチのせいだとしたら、申し訳ないわ。現時点で噴石は小粒で、溶岩もここまで到達しない。避難は最低限で済みそうなのが、不幸中の幸いだった。
「魔法道具が噴火を引き起こした可能性は、高いな」
レオは、問題の魔法道具を持ち込んだ。指差されて、私が押した突起が戻っていることに気づく。つまり、作動して元に戻った。
「もう一度押したら、また噴火するの?」
「危険だから押すな」
「わかってるわよ」
いくら私でも、そんな危険な賭けはしないわ。というか、ご先祖様は何を目的として作ったの? 噴火してもメリットないわよね。うーんと唸りながら、器を置こうとして、突起を避けて逆さに伏せた。
「……何かに似てるわね」
ユーグ叔父様と一緒に現れたセレーヌ叔母様が、じっくり眺めてぽんと手を叩く。
「あれよ! ほら、山の形!」
言われて、お椀型の深い器が山に見えてくる。なるほど、で……上部のスイッチが噴火の合図? ダジャレみたいな魔法道具ね。わかりやすく形で示したのかもしれないけれど、説明書も一緒に埋めてほしかったわ。石板か何かで。
「次に魔法道具を発見したら、絶対に突起は押さないよう注意しないと」
セレーヌ叔母様はまだ発掘されると考えている。私も……正直、まだ出てくる気がしていた。危険なので、現在は主が留守であるお父様達の寝室に、魔法道具を置かせてもらう。木箱を作り、絶対に押さないための工夫もした。
「発掘は一時中止するべきよ」
「だが、あの噴火を抑える魔法道具が入っているかも」
叔母様と真剣に考える横で、駄犬達は大人しく待っている。意見はないのか尋ねると、ユーグ叔父様は「君の意見ならなんでも」と返し、レオも「俺がこの突起を押したら、叱ってくれるかい」と危険な答えを寄越した。
叔母様と顔を見合わせ、互いの伴侶を躾け直すことを誓った。まずは私から! 一発全力で叩く。頬を赤く染め、嬉しそうに笑わないで頂戴。ユーグ叔父様は危険な発言ではなかったので、静かに言い聞かせただけ。なぜかレオを羨ましそうに見ている。
「叔母様……躾に失敗した気がするわ」
「奇遇ね、私もよ」
大きく肩を落としたところに、朝陽が昇った。暗かった空が明けていく光景に、噴火が重なる。大喜びしているのは、赤いドラゴンくらいね。皆に謝らなくちゃ。
だが、朝食後に噴石が降った農地へ向かった私は驚かされた。噴石が砂のように砕けるため、さほど被害はなかったこと。すでに収穫後なので、新しく土と漉き込んで利用すること。この辺は元から噴石が砕けた土と砂が堆積した地域なので、水捌けが良くて助かること。
真逆の反応があり、ちょっと遠い目をしてしまう。そう、ご先祖様はこのために作ったのね。
「それじゃ、通常の噴火活動だったのね」
ほっとする。昨日いじった魔法道具のせいかと思ったじゃない。安堵の息を吐いたら、ユーグ叔父様が情報を追加した。
「だが周期と合わない。本来なら百年ほどは噴火しないはずなんだが」
「……やっぱり魔法道具、かしら」
溜め息を吐いた。私が押したスイッチのせいだとしたら、申し訳ないわ。現時点で噴石は小粒で、溶岩もここまで到達しない。避難は最低限で済みそうなのが、不幸中の幸いだった。
「魔法道具が噴火を引き起こした可能性は、高いな」
レオは、問題の魔法道具を持ち込んだ。指差されて、私が押した突起が戻っていることに気づく。つまり、作動して元に戻った。
「もう一度押したら、また噴火するの?」
「危険だから押すな」
「わかってるわよ」
いくら私でも、そんな危険な賭けはしないわ。というか、ご先祖様は何を目的として作ったの? 噴火してもメリットないわよね。うーんと唸りながら、器を置こうとして、突起を避けて逆さに伏せた。
「……何かに似てるわね」
ユーグ叔父様と一緒に現れたセレーヌ叔母様が、じっくり眺めてぽんと手を叩く。
「あれよ! ほら、山の形!」
言われて、お椀型の深い器が山に見えてくる。なるほど、で……上部のスイッチが噴火の合図? ダジャレみたいな魔法道具ね。わかりやすく形で示したのかもしれないけれど、説明書も一緒に埋めてほしかったわ。石板か何かで。
「次に魔法道具を発見したら、絶対に突起は押さないよう注意しないと」
セレーヌ叔母様はまだ発掘されると考えている。私も……正直、まだ出てくる気がしていた。危険なので、現在は主が留守であるお父様達の寝室に、魔法道具を置かせてもらう。木箱を作り、絶対に押さないための工夫もした。
「発掘は一時中止するべきよ」
「だが、あの噴火を抑える魔法道具が入っているかも」
叔母様と真剣に考える横で、駄犬達は大人しく待っている。意見はないのか尋ねると、ユーグ叔父様は「君の意見ならなんでも」と返し、レオも「俺がこの突起を押したら、叱ってくれるかい」と危険な答えを寄越した。
叔母様と顔を見合わせ、互いの伴侶を躾け直すことを誓った。まずは私から! 一発全力で叩く。頬を赤く染め、嬉しそうに笑わないで頂戴。ユーグ叔父様は危険な発言ではなかったので、静かに言い聞かせただけ。なぜかレオを羨ましそうに見ている。
「叔母様……躾に失敗した気がするわ」
「奇遇ね、私もよ」
大きく肩を落としたところに、朝陽が昇った。暗かった空が明けていく光景に、噴火が重なる。大喜びしているのは、赤いドラゴンくらいね。皆に謝らなくちゃ。
だが、朝食後に噴石が降った農地へ向かった私は驚かされた。噴石が砂のように砕けるため、さほど被害はなかったこと。すでに収穫後なので、新しく土と漉き込んで利用すること。この辺は元から噴石が砕けた土と砂が堆積した地域なので、水捌けが良くて助かること。
真逆の反応があり、ちょっと遠い目をしてしまう。そう、ご先祖様はこのために作ったのね。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(9/10受賞作発売中!)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(9/10受賞作発売中!)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!