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本編
198.コルネリアの大胆なドレスに釘付け
結婚式も連続して三日目になれば、参列する人の緊張が解けてくる。ここで思わぬサプライズがあった。コルネリアの衣装よ。ライフアイゼン公爵の孫であり、養女となった娘でもあるコルネリアは、ふわふわしたドレスばかり着用してきた。
婚約式でも、プリンセスラインで広がるスカートだったから、今回もそれだと思い込んでいたの。周囲も同じように考えていたみたい。でもエック兄様と腕を組んだ彼女は、驚くほど大人っぽいスリットの入ったドレスだった。
どちらかと言えばアデリナか私が着ていそうな感じね。大胆なスリットの内側に、レースのスカートが覗く。ほんのりと肌の色が透けて、色っぽいわ。肩ひもでつるすビスチェには、びっしりと刺繍が入って派手だった。スカート部分は薄くて軽い布を使ったから、歩くとひらひら踊っている。
「驚いたわ」
「どうだ? 私のセンスも悪くないだろう」
得意げに顎を反らすのは、ガブリエラ様だ。どうやら相談を受けて、ドレスをアレンジしたみたい。私も当事者だから、内緒にしたかったのかしら? こんな話、聞いていないわね。
マルグリット様はルヴィ兄様に凭れて、すこし怠そう。無言になっちゃうの、わかるわ。アデリナは元気で、嬉しそうに胸の前で手を組んだ。祈るような形で見つめている。
「ふわふわでなくてもいいの?」
「ああ、すごく綺麗だ。大胆な感じで、あたしは好きだ」
コルネリアに似合っているのは事実ね。子供が遊ぶお人形というより、デビュタントを終えたくらいの令嬢に送る飾り人形みたい。大胆さと色っぽさがあるのに、色がピンクベースなので可愛らしさもあった。肩が見えているけれど、上からつけ袖をしていた。
肩の丸みが見えるのに、一分袖の一から手首までレースで覆って隠す。相反するようで、不思議な調和があった。刺繍も色糸や金銀糸を上手にまぜて、輝きを加えている。本当に素敵だわ。
参列した貴族女性から称賛の声が上がり、今年の流行はコルネリアに持っていかれそうね。明日のアデリナとフォルト兄様で締め括りとなる。明後日からお祝いの宴が始まるけれど、ジルヴィアに会う時間を作りたいわ。
「ええ、もちろんです。一緒に会いに行きましょう」
クラウスはすっかり表の顔を「私」で通すみたい。二人きりになれば「俺」が顔を覗かせる。その差がぞくぞくするわ。毒を隠し持った感じが、私の夫らしいと思うの。
「トリア、少しいいか?」
帰り際にフォルト兄様に呼び止められ、小首を傾げる。アデリナはガブリエラ様と話しているし……クラウスはどうしましょう。
「離れてお待ちしますか」
「いや、一緒に来てくれ」
フォルト兄様はいつになく歯切れが悪かった。もしかして明日の結婚式に、何かあるの? 先を歩き出すフォルト兄様は、事前に叔父様に相談していたよう。案内の神官は客間に通すと、すぐ姿を消した。緊張しながら応接用のソファーに腰掛ける。
向かいのフォルト兄様は深刻な顔で、組んだ指を動かした。膝の上の手が止まり、フォルト兄様は緊張した面持ちで顔を上げる。
「その……明日なのだが……」
「はい」
言い淀んだフォルト兄様は唇を何度も湿らせ、それから思い切った様子で言い切った。
「花嫁に何をすればいい? キス以上というのは……聞いたんだが、その……俺が服を脱がせるのか? 破きそうだから、脱いでいてほしいんだが……いや、それ以前にどうしたら満足してもらえる?」
きょとんとしてフォルト兄様を見つめ、ゆっくりと隣のクラウスへ視線を動かす。彼も同じように私と見つめ合い、私は静かに頷いた。こういうのは、男同士でお願い。任せるわ! クラウスの目が「狡い」と訴えてくるが、これを妹の口から兄に説明するのはどうかと思うのよ?
まさか、閨教育し忘れていたみたいだなんて。ガブリエラ様にも言いづらいわ。もっと早く相談してくれたらよかったのに!
婚約式でも、プリンセスラインで広がるスカートだったから、今回もそれだと思い込んでいたの。周囲も同じように考えていたみたい。でもエック兄様と腕を組んだ彼女は、驚くほど大人っぽいスリットの入ったドレスだった。
どちらかと言えばアデリナか私が着ていそうな感じね。大胆なスリットの内側に、レースのスカートが覗く。ほんのりと肌の色が透けて、色っぽいわ。肩ひもでつるすビスチェには、びっしりと刺繍が入って派手だった。スカート部分は薄くて軽い布を使ったから、歩くとひらひら踊っている。
「驚いたわ」
「どうだ? 私のセンスも悪くないだろう」
得意げに顎を反らすのは、ガブリエラ様だ。どうやら相談を受けて、ドレスをアレンジしたみたい。私も当事者だから、内緒にしたかったのかしら? こんな話、聞いていないわね。
マルグリット様はルヴィ兄様に凭れて、すこし怠そう。無言になっちゃうの、わかるわ。アデリナは元気で、嬉しそうに胸の前で手を組んだ。祈るような形で見つめている。
「ふわふわでなくてもいいの?」
「ああ、すごく綺麗だ。大胆な感じで、あたしは好きだ」
コルネリアに似合っているのは事実ね。子供が遊ぶお人形というより、デビュタントを終えたくらいの令嬢に送る飾り人形みたい。大胆さと色っぽさがあるのに、色がピンクベースなので可愛らしさもあった。肩が見えているけれど、上からつけ袖をしていた。
肩の丸みが見えるのに、一分袖の一から手首までレースで覆って隠す。相反するようで、不思議な調和があった。刺繍も色糸や金銀糸を上手にまぜて、輝きを加えている。本当に素敵だわ。
参列した貴族女性から称賛の声が上がり、今年の流行はコルネリアに持っていかれそうね。明日のアデリナとフォルト兄様で締め括りとなる。明後日からお祝いの宴が始まるけれど、ジルヴィアに会う時間を作りたいわ。
「ええ、もちろんです。一緒に会いに行きましょう」
クラウスはすっかり表の顔を「私」で通すみたい。二人きりになれば「俺」が顔を覗かせる。その差がぞくぞくするわ。毒を隠し持った感じが、私の夫らしいと思うの。
「トリア、少しいいか?」
帰り際にフォルト兄様に呼び止められ、小首を傾げる。アデリナはガブリエラ様と話しているし……クラウスはどうしましょう。
「離れてお待ちしますか」
「いや、一緒に来てくれ」
フォルト兄様はいつになく歯切れが悪かった。もしかして明日の結婚式に、何かあるの? 先を歩き出すフォルト兄様は、事前に叔父様に相談していたよう。案内の神官は客間に通すと、すぐ姿を消した。緊張しながら応接用のソファーに腰掛ける。
向かいのフォルト兄様は深刻な顔で、組んだ指を動かした。膝の上の手が止まり、フォルト兄様は緊張した面持ちで顔を上げる。
「その……明日なのだが……」
「はい」
言い淀んだフォルト兄様は唇を何度も湿らせ、それから思い切った様子で言い切った。
「花嫁に何をすればいい? キス以上というのは……聞いたんだが、その……俺が服を脱がせるのか? 破きそうだから、脱いでいてほしいんだが……いや、それ以前にどうしたら満足してもらえる?」
きょとんとしてフォルト兄様を見つめ、ゆっくりと隣のクラウスへ視線を動かす。彼も同じように私と見つめ合い、私は静かに頷いた。こういうのは、男同士でお願い。任せるわ! クラウスの目が「狡い」と訴えてくるが、これを妹の口から兄に説明するのはどうかと思うのよ?
まさか、閨教育し忘れていたみたいだなんて。ガブリエラ様にも言いづらいわ。もっと早く相談してくれたらよかったのに!
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