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番外編
01.憧れの綺麗なお姉様 ***妹ゲアリンデ
私には可愛くて綺麗なお姉様がいる。賢くてダンスも上手で、兄より強くて優しいの。二人もお母様を持つのも、きっとお姉様が特別な人だからだわ。ジルヴィアお姉様の名前には「ヴィ」の響きが入っている。未来の女帝が確定していて、将来お手伝いが出来たらと願うけれど。勉強は少し苦手なの。
人と話すのは好きだから、嫁いでお手伝いする手もあると教えてもらった。お兄様は絵に夢中で、凄く上手に肖像画を描くわ。先日は飼っているウサギの絵を描いてもらった。大切に部屋に飾っている。
周囲は一時期「男児が継承すべき」と女帝を否定する風潮があったの。いつの間にか声が小さくなり、お姉様が次期女帝で確定した。お兄様が絵を描いてばかりなのも、お姉様のためかもしれない。私も邪魔する気はないから、有力貴族に嫁いでお姉様を支える権力を得たいわ。
お姉様にとってもう一人のお母様であるヴィクトーリア叔母様が、外交や社交も立派な武器になると教えてくれた。お姉様にそっくりな銀髪で、そっくりな青い瞳で……将来のお姉様を見ているみたい。厳しいけれど優しい不思議な方よ。
廊下の向こうから歩いて来るお姉様に気づいて、自然と笑顔になった。
「リンデ、おいでなさい」
小麦畑で揺れる穂みたいに綺麗な肌をしたお姉様の呼びかけに、返事をして走る。全力で飛びついても、抱き留めてくれるの。ぎゅっと腕を回して、大好きと全身で訴えた。いつも言葉にしなくても、お姉様は私を理解して微笑む。その笑顔が本当に大好き!
「はい、お姉様」
「マルグリットお母様のところへ行きましょう。刺繍したハンカチを差し上げたいの」
「…………はい」
お母様へハンカチを差し上げる。私にはないのかしら? 欲しいと言っても構わない? 迷いながら曖昧に返事をしたら、目の前にピンクの絹が差し出された。縁に白い糸でレース編みが施され、イニシャルが入っている。
「あなたの分よ、ゲアリンデ」
特別な時は愛称でなくて、名前を呼ぶ。嬉しくて「ありがとうございます」と受け取ったハンカチを胸に抱きしめた。お姉様の手には、もう一枚のハンカチが握られている。あれがお母様の分ね。お兄様の分はなさそうだから、お姉様は私を特別扱いしてくれた?
差し出された手を繋いで歩きながら、美しい仕上がりのハンカチににやけてしまう。こういう顔はだらしない、とおばあ様に叱られたことを思い出す。きゅっと引き締めるも、やっぱり緩んだ。
「レオは水色にしたの。リンデはピンク、お母様は白よ」
ちょっとがっかりしてしまう。レオンハルトお兄様はもう貰ったのね。特別だけど、少し特別感が減った気がするわ。
「お父様は青にして、ほら……私は黄色にしたわ」
オレンジに近い黄色のハンカチを見せてもらった。手に取って確認すると、レース飾りが薄い緑になっている。すごく繊細で綺麗だわ。
「仕上がりが綺麗で、私には無理そうです」
「そう? ありがとう。トリアお母様に教わったのよ。私がリンデくらいの頃、もっと下手だったから安心していいわ」
お姉様が下手? 想像できない。私が知る限り、いつも完璧で。勉強も剣術もダンスもすべて出来ていた。先日のピアノ演奏も凄かった。何一つ敵わないと思う私が俯くと、お姉様はこっそりと教えてくれた。
「リンデの凄いところはね、私を褒めてくれる言葉の豊富さかしら? 社交向きだと思うわ」
「本当ですか? 嬉しいです」
やっぱり社交でお姉様の役に立とう。それが私の選ぶ道なんだわ。皇帝になるお姉様の助けになれたら、最高に幸せだから。役に立つ夫を見つけなくちゃ! 目標が決まったわ。
人と話すのは好きだから、嫁いでお手伝いする手もあると教えてもらった。お兄様は絵に夢中で、凄く上手に肖像画を描くわ。先日は飼っているウサギの絵を描いてもらった。大切に部屋に飾っている。
周囲は一時期「男児が継承すべき」と女帝を否定する風潮があったの。いつの間にか声が小さくなり、お姉様が次期女帝で確定した。お兄様が絵を描いてばかりなのも、お姉様のためかもしれない。私も邪魔する気はないから、有力貴族に嫁いでお姉様を支える権力を得たいわ。
お姉様にとってもう一人のお母様であるヴィクトーリア叔母様が、外交や社交も立派な武器になると教えてくれた。お姉様にそっくりな銀髪で、そっくりな青い瞳で……将来のお姉様を見ているみたい。厳しいけれど優しい不思議な方よ。
廊下の向こうから歩いて来るお姉様に気づいて、自然と笑顔になった。
「リンデ、おいでなさい」
小麦畑で揺れる穂みたいに綺麗な肌をしたお姉様の呼びかけに、返事をして走る。全力で飛びついても、抱き留めてくれるの。ぎゅっと腕を回して、大好きと全身で訴えた。いつも言葉にしなくても、お姉様は私を理解して微笑む。その笑顔が本当に大好き!
「はい、お姉様」
「マルグリットお母様のところへ行きましょう。刺繍したハンカチを差し上げたいの」
「…………はい」
お母様へハンカチを差し上げる。私にはないのかしら? 欲しいと言っても構わない? 迷いながら曖昧に返事をしたら、目の前にピンクの絹が差し出された。縁に白い糸でレース編みが施され、イニシャルが入っている。
「あなたの分よ、ゲアリンデ」
特別な時は愛称でなくて、名前を呼ぶ。嬉しくて「ありがとうございます」と受け取ったハンカチを胸に抱きしめた。お姉様の手には、もう一枚のハンカチが握られている。あれがお母様の分ね。お兄様の分はなさそうだから、お姉様は私を特別扱いしてくれた?
差し出された手を繋いで歩きながら、美しい仕上がりのハンカチににやけてしまう。こういう顔はだらしない、とおばあ様に叱られたことを思い出す。きゅっと引き締めるも、やっぱり緩んだ。
「レオは水色にしたの。リンデはピンク、お母様は白よ」
ちょっとがっかりしてしまう。レオンハルトお兄様はもう貰ったのね。特別だけど、少し特別感が減った気がするわ。
「お父様は青にして、ほら……私は黄色にしたわ」
オレンジに近い黄色のハンカチを見せてもらった。手に取って確認すると、レース飾りが薄い緑になっている。すごく繊細で綺麗だわ。
「仕上がりが綺麗で、私には無理そうです」
「そう? ありがとう。トリアお母様に教わったのよ。私がリンデくらいの頃、もっと下手だったから安心していいわ」
お姉様が下手? 想像できない。私が知る限り、いつも完璧で。勉強も剣術もダンスもすべて出来ていた。先日のピアノ演奏も凄かった。何一つ敵わないと思う私が俯くと、お姉様はこっそりと教えてくれた。
「リンデの凄いところはね、私を褒めてくれる言葉の豊富さかしら? 社交向きだと思うわ」
「本当ですか? 嬉しいです」
やっぱり社交でお姉様の役に立とう。それが私の選ぶ道なんだわ。皇帝になるお姉様の助けになれたら、最高に幸せだから。役に立つ夫を見つけなくちゃ! 目標が決まったわ。
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