220 / 222
番外編
12.夫に失恋してまた恋をした ***コルネリア
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!!_( _*´ ꒳ `*)_
********************
リヒター帝国筆頭公爵家ライフアイゼン、その名は有名で敵を引き寄せた。皇族の身代わりのように狙われる日々、父母は事故で亡くなる。いえ、事故に見せかけた暗殺だったと思う。祖父母に引き取られ、公爵の孫ではなく養女となる。この辺に何らかの駆け引きがあったのでしょう。
常に人に囲まれ、単独行動など許されなかった。宮殿へ向かう祖父について行ったあの日、偶然出会ったのは第二皇子殿下よ。庭に迷い込んだ私を優しく撫でて、手を繋いで案内してくれた。優しい兄のような彼に惹かれ、恋をする。すぐに現実を知って泣きたくなった。
ライフアイゼン公爵の血筋は皇族に近すぎて、本来は婚約も結婚もできない。もし祖父の娘だったなら、絶対に届かなかった。けれど……祖父は私の恋心を知ると手を尽くした。第二皇子エッケハルト殿下が、次の皇帝にならないことが約束されて、私の恋は実る。
それぞれに才能豊かな皇子が三人、末の姫は「ヴィ」を授かったが皇位争いに加わらない。そう聞いて期待した。再会したのは、婚約者候補としての顔合わせだった。お見合いの場で、エッケハルト様は微笑んで私に告げたの。
「僕は兄上の皇位継承を支えるつもりです。妻になっていただけますか?」
婚約者という表現を飛び越えたのは、エッケハルト様の覚悟だったのでしょう。好きな人と結ばれる未来に浮かれた私は、このとき気づかなかった。血の近いライフアイゼン公爵家の孫娘を娶ることで、皇位争いから降りると表明したことに。だから「婚約者」ではなく「妻」だった。
知っていたとしても、私は頷いてエッケハルト様を支える未来を選んだでしょう。その選択は誤りではなかった。義理の兄弟姉妹とも仲良く過ごせているし、前皇帝夫妻に可愛がっていただいている。すべてエッケハルト様のお陰よ。
夫は何かにつけ「内助の功で支えられている」と私を立ててくれる。人前で褒めることを当たり前のように行い、私は嬉しさで身を震わす。エッケハルト様に選ばれてよかった。この身にライフアイゼン家の血が流れていて、本当に幸せだった。
双子を授かったときもそう。一部の王国では「双子は忌子」と称されてきた。けれど、幸運が二倍になったと彼は喜ぶ。日々大きくなるお腹を抱え、双子だったらと不安になる私を励ました。
「可愛い子が一度に二人も生まれたら、幸せも二倍に違いないですよ」
私が迷いそうなとき、いつもエッケハルト様が光をくれる。この人が守ると言ったのに、不安になるほうが失礼だわ。そう思った。義妹になったトリアは「一度の出産で二人? すごく得よ」と笑わせてくれたし、アデリナも「わかるぞ!」と同意して。あの日は笑いすぎて涙がでたほど。
マルグリットは赤子の服やおむつが二倍必要だから、と大量に用意したの。それも忙しい仕事の合間を見て、縫ったとか。侍女に聞いて驚いてしまったわ。刺繍はトリアが入れたみたい。男女不明だから、赤と青にしたという。
同じものが二つ、すべて赤と青の印がついて。準備できたとガブリエラ様に見せてもらった子供部屋も感激したわ。お義父様が選んだ家具が並び、いつでも子供達を寝かせられる状態で。嬉しくてお礼を言った直後の陣痛……外の雰囲気まで察する親孝行な子供達は、驚くほど安産だった。
小柄な息子が二人、フリッツとハインツ。名前は祖父と義父が用意していたの。最後の響きを揃えて、兄弟らしさを出した。エッケハルト様のご兄妹のように、仲良くなってほしいから。喧嘩をしたり互いに励まし合ったり、二人は徐々にエッケハルト様に似てきた。
私の要素は髪色くらい? もう一人欲しいと言われて、迷わず同意した。子育ての手が離れて、あなたと過ごす時間が欲しいから。次は可愛いお姫様がいいわ。
********************
リヒター帝国筆頭公爵家ライフアイゼン、その名は有名で敵を引き寄せた。皇族の身代わりのように狙われる日々、父母は事故で亡くなる。いえ、事故に見せかけた暗殺だったと思う。祖父母に引き取られ、公爵の孫ではなく養女となる。この辺に何らかの駆け引きがあったのでしょう。
常に人に囲まれ、単独行動など許されなかった。宮殿へ向かう祖父について行ったあの日、偶然出会ったのは第二皇子殿下よ。庭に迷い込んだ私を優しく撫でて、手を繋いで案内してくれた。優しい兄のような彼に惹かれ、恋をする。すぐに現実を知って泣きたくなった。
ライフアイゼン公爵の血筋は皇族に近すぎて、本来は婚約も結婚もできない。もし祖父の娘だったなら、絶対に届かなかった。けれど……祖父は私の恋心を知ると手を尽くした。第二皇子エッケハルト殿下が、次の皇帝にならないことが約束されて、私の恋は実る。
それぞれに才能豊かな皇子が三人、末の姫は「ヴィ」を授かったが皇位争いに加わらない。そう聞いて期待した。再会したのは、婚約者候補としての顔合わせだった。お見合いの場で、エッケハルト様は微笑んで私に告げたの。
「僕は兄上の皇位継承を支えるつもりです。妻になっていただけますか?」
婚約者という表現を飛び越えたのは、エッケハルト様の覚悟だったのでしょう。好きな人と結ばれる未来に浮かれた私は、このとき気づかなかった。血の近いライフアイゼン公爵家の孫娘を娶ることで、皇位争いから降りると表明したことに。だから「婚約者」ではなく「妻」だった。
知っていたとしても、私は頷いてエッケハルト様を支える未来を選んだでしょう。その選択は誤りではなかった。義理の兄弟姉妹とも仲良く過ごせているし、前皇帝夫妻に可愛がっていただいている。すべてエッケハルト様のお陰よ。
夫は何かにつけ「内助の功で支えられている」と私を立ててくれる。人前で褒めることを当たり前のように行い、私は嬉しさで身を震わす。エッケハルト様に選ばれてよかった。この身にライフアイゼン家の血が流れていて、本当に幸せだった。
双子を授かったときもそう。一部の王国では「双子は忌子」と称されてきた。けれど、幸運が二倍になったと彼は喜ぶ。日々大きくなるお腹を抱え、双子だったらと不安になる私を励ました。
「可愛い子が一度に二人も生まれたら、幸せも二倍に違いないですよ」
私が迷いそうなとき、いつもエッケハルト様が光をくれる。この人が守ると言ったのに、不安になるほうが失礼だわ。そう思った。義妹になったトリアは「一度の出産で二人? すごく得よ」と笑わせてくれたし、アデリナも「わかるぞ!」と同意して。あの日は笑いすぎて涙がでたほど。
マルグリットは赤子の服やおむつが二倍必要だから、と大量に用意したの。それも忙しい仕事の合間を見て、縫ったとか。侍女に聞いて驚いてしまったわ。刺繍はトリアが入れたみたい。男女不明だから、赤と青にしたという。
同じものが二つ、すべて赤と青の印がついて。準備できたとガブリエラ様に見せてもらった子供部屋も感激したわ。お義父様が選んだ家具が並び、いつでも子供達を寝かせられる状態で。嬉しくてお礼を言った直後の陣痛……外の雰囲気まで察する親孝行な子供達は、驚くほど安産だった。
小柄な息子が二人、フリッツとハインツ。名前は祖父と義父が用意していたの。最後の響きを揃えて、兄弟らしさを出した。エッケハルト様のご兄妹のように、仲良くなってほしいから。喧嘩をしたり互いに励まし合ったり、二人は徐々にエッケハルト様に似てきた。
私の要素は髪色くらい? もう一人欲しいと言われて、迷わず同意した。子育ての手が離れて、あなたと過ごす時間が欲しいから。次は可愛いお姫様がいいわ。
あなたにおすすめの小説
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。
【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜
恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」
不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。
結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、
「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。
元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。
独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場!
無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。
記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける!
※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる
物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
婚約破棄? ありがとうございます。やっと本当の人生が始まります
たくわん
恋愛
婚約破棄された令嬢がすべきことといえば、泣くか、喚くか、復讐を誓うか——らしい。
リーナ・フォスター公爵令嬢がしたことは、荷造りだった。
「冷たくて人を愛せない」と王太子に切り捨てられた夜、リーナは一度も振り返らずに王城を出た。向かった先は辺境の荒れ地。目的は薬草の栽培と薬品事業の立ち上げ。前世の記憶から温めてきた、誰にも言えなかった計画の実行だ。
リーナはそこで不器用だが誠実な騎士ヴァルターと出会う。一方、残された王太子とその新しい婚約者は、少しずつ、静かに、取り返しのつかない方向へと歩んでいたーー。
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
【完結済】婚約者から病弱な妹に腹を貸せと言われました
砂礫レキ
恋愛
2026/03/28誤字脱字修正しました。
エイデン伯爵家の長女イアナには病弱な妹アリーシャと末弟のルアンが居た。
両親は病弱なアリーシャと後継者のルアンにかかりきりでイアナをかえりみない。贈り物さえイアナの分だけ使用人に適当に考えさせていた。
結婚し家を出れば自分も一人の人間として尊重して貰える。
そんなイアナの希望は婚約者クロスによって打ち砕かれる。
彼はイアナの妹アリーシャと恋仲になっていただけでなく、病弱なアリーシャの代わりにイアナに子供を産むようにと言った。
絶望の中イアナは一人の少年を思い出す。
いつのまにか消えてしまった義兄ルーク、彼だけがイアナに優しくしてくれた人だった。
自分が近い内に死ぬ夢を見たイアナは毒家族の元から去る決意をする。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」