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70.妹の名前が決まったよ
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ドラゴンの卵は普通一つ。それが二つも一緒に産まれた。お祭り騒ぎのドラゴンだけど、妹とピンクの卵は双子じゃないの。並べて卵を温めたら、同じ日に割れたのかも。
誕生日は卵が割れた日だから、妹がピンクの卵のお姉ちゃんになる。僕がお兄ちゃんなのは同じだった。ピンクの卵は大きいけれど、のんびり屋さんかな。まだ割れる様子はなかった。
「妹の名前が決まったの、レラジェだよ」
尋ねてきた吸血鬼のおじさんにお知らせする。僕より弱いドラゴンだから、妹の名前は呼べるんだ。にこにこしながら報告すると、頭を撫でられた。
「そうか、ウェパルも立派なお兄さんだ」
「うん!」
「もう一つの卵はまだか?」
「まだ割れないみたい」
卵にヒビが入ったら、お父さんが呼ぶ予定だ。それまで火山の熱いマグマのそばで温める。中身が茹るんじゃないか? そんな心配の声も上がっていた。でも、最初に聞いた半年まで時間がある。
片手とちょっとくらい。でも両手までいかないかな。両手を広げて数えてみる。僕の指は六本で、他のドラゴンより多いの。だから片手と指二つ。妹のレラジェは大急ぎで出てきたけど、ピンクの卵は普通なんだよ。
早く出てくるより、安全に出てきてほしい。指が多いのはいいけど、足りないと困るもの。立派な尻尾も付いててほしいし、体もちゃんと育ってからじゃないと大変だよ。そう話したら、ベル様も「そうだな」と笑った。
「ウェパルが心配してくれるんだ。無事に生まれてくるさ」
ベル様がそう言うと、本当になる感じがする。ちゃんと空に向かってお祈りした。レラジェが元気に成長するように、ピンクの卵が元気に生まれるように。
「お祝いはいつになった?」
吸血鬼のおじさんが尋ねるのは、新しい子が生まれると行うお祭りだと思う。ドラゴンは僕が最後で、その後は別の種族のお祝いにお呼ばれした。僕は吸血鬼のおじさんに呼ばれたのが一回、耳長のおねえさん達のところも一回だけ。
「ピンクの卵が割れてからだな」
ベル様が肩を竦めて、まだだと首を横に振った。吸血鬼のおじさんも「それもそうか」と納得した。二人揃ったら、一度にお祝いをする。楽しみだな。
あちこちの種族が集まって、たくさんのご飯や果物が用意される。お振舞いなんだ。嬉しい気持ちを持って帰ってもらうの。お祭りに直接参加しない人も、お振舞いを貰えば参加したのと同じだった。
魔族は子どもの数が少ないので、自然とこんなお祭りが始まったみたい。
甲高い呼び声がする。ぴくりと止まって、ぷるぷると耳を動かす。吸血鬼のおじさんも耳がいいから、聞こえたらしい。ぱっと二人で同じ方角を向いた。ベル様も怪訝そうな表情で、同じ方向を見つめる。
「お父さんの声だと思う」
「ならば生まれるのか。行くぞ、ウェパル」
吸血鬼のおじさんはひらひらと手を振って、留守番すると知らせてくる。僕を抱っこして立ち上がったベル様が、パチンと指を鳴らした。この合図で目を閉じる。ぽんと背中を叩くベル様の手に、ゆっくり目を開けた。
洞窟の中はマグマの炎で明るい。ぐらぐらと赤い水が沸いていた。その中に半分ほど浸かったお父さんが、卵を凝視している。真ん中に大きなヒビがあった。
「お父さん、生まれるの?」
「ウェパル! 魔王陛下……おそらく……」
言葉の途中で、ピシッと音がした。赤い鱗を持つドラゴンが集まっている。全員が黙って見つめる中、殻は左右に割れた。
誕生日は卵が割れた日だから、妹がピンクの卵のお姉ちゃんになる。僕がお兄ちゃんなのは同じだった。ピンクの卵は大きいけれど、のんびり屋さんかな。まだ割れる様子はなかった。
「妹の名前が決まったの、レラジェだよ」
尋ねてきた吸血鬼のおじさんにお知らせする。僕より弱いドラゴンだから、妹の名前は呼べるんだ。にこにこしながら報告すると、頭を撫でられた。
「そうか、ウェパルも立派なお兄さんだ」
「うん!」
「もう一つの卵はまだか?」
「まだ割れないみたい」
卵にヒビが入ったら、お父さんが呼ぶ予定だ。それまで火山の熱いマグマのそばで温める。中身が茹るんじゃないか? そんな心配の声も上がっていた。でも、最初に聞いた半年まで時間がある。
片手とちょっとくらい。でも両手までいかないかな。両手を広げて数えてみる。僕の指は六本で、他のドラゴンより多いの。だから片手と指二つ。妹のレラジェは大急ぎで出てきたけど、ピンクの卵は普通なんだよ。
早く出てくるより、安全に出てきてほしい。指が多いのはいいけど、足りないと困るもの。立派な尻尾も付いててほしいし、体もちゃんと育ってからじゃないと大変だよ。そう話したら、ベル様も「そうだな」と笑った。
「ウェパルが心配してくれるんだ。無事に生まれてくるさ」
ベル様がそう言うと、本当になる感じがする。ちゃんと空に向かってお祈りした。レラジェが元気に成長するように、ピンクの卵が元気に生まれるように。
「お祝いはいつになった?」
吸血鬼のおじさんが尋ねるのは、新しい子が生まれると行うお祭りだと思う。ドラゴンは僕が最後で、その後は別の種族のお祝いにお呼ばれした。僕は吸血鬼のおじさんに呼ばれたのが一回、耳長のおねえさん達のところも一回だけ。
「ピンクの卵が割れてからだな」
ベル様が肩を竦めて、まだだと首を横に振った。吸血鬼のおじさんも「それもそうか」と納得した。二人揃ったら、一度にお祝いをする。楽しみだな。
あちこちの種族が集まって、たくさんのご飯や果物が用意される。お振舞いなんだ。嬉しい気持ちを持って帰ってもらうの。お祭りに直接参加しない人も、お振舞いを貰えば参加したのと同じだった。
魔族は子どもの数が少ないので、自然とこんなお祭りが始まったみたい。
甲高い呼び声がする。ぴくりと止まって、ぷるぷると耳を動かす。吸血鬼のおじさんも耳がいいから、聞こえたらしい。ぱっと二人で同じ方角を向いた。ベル様も怪訝そうな表情で、同じ方向を見つめる。
「お父さんの声だと思う」
「ならば生まれるのか。行くぞ、ウェパル」
吸血鬼のおじさんはひらひらと手を振って、留守番すると知らせてくる。僕を抱っこして立ち上がったベル様が、パチンと指を鳴らした。この合図で目を閉じる。ぽんと背中を叩くベル様の手に、ゆっくり目を開けた。
洞窟の中はマグマの炎で明るい。ぐらぐらと赤い水が沸いていた。その中に半分ほど浸かったお父さんが、卵を凝視している。真ん中に大きなヒビがあった。
「お父さん、生まれるの?」
「ウェパル! 魔王陛下……おそらく……」
言葉の途中で、ピシッと音がした。赤い鱗を持つドラゴンが集まっている。全員が黙って見つめる中、殻は左右に割れた。
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