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第4章 やらなきゃやられる!

15.訓練は、三途の川原でした(6)

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 魔力感知が優れてるって言われたな。これのことか。

 唯一の入り口である階段を降りてくる音のない気配に、先制をかねて投げナイフを指に挟んだ。子供の手には大きいが、扱えないほどじゃない。重さはあまりないナイフの刃を挟んだ手を頭上から振り抜いた。

 ヒュ…風を切る音の直後、何かに刺さった鈍い音がした。

「降参、おれは離脱だ」

 聞こえた声はノアだ。銃火器担当だが、どうやら距離を詰める間にオレに発見されたようだ。攻撃しないよと示すために手をひらひら振って合図した。

 すぐ別の棚の間に移動する。一番窓に近い棚の影で上を見上げる。階段はノアだけじゃなく、もう1人降りてきていた。だが出入り口は階段だけだ。ならば、出入り口ではない場所を使うしかなかった。

 そう、窓だ。地上から狙撃できる大きさの窓は高さ30cm前後はある。子供の身体ならすり抜けて出られるだろう。問題は、地上に残ったメンバーだった。

 窓からのこのこと頭を出せば狙われる。棚の上に乗れば、階段から降りてきた奴に撃たれそうだ。打つ手なしに思えて、窓から漏れる明かりを睨みつけた。

 うーん、何かいい手は――!?

 睨む先の窓が少し開く。黒い手が覗いたと思ったら、何かを放り込んだ。

 咄嗟に息を止めて、埃まみれの床にダイブする。ごろんと転がるオレの上に白い粉が降って来た。顔を上げた先で、視界は真っ白に染まっている。

 ヤバイ!!!

 背筋がぞくぞくするし、何よりこれ知ってる。大量の細かい粉が充満する空間は、僅かな火種で引火するって映画で見たぁ!!

 階段に誰がいるとか関係なく全力で走った。だが間に合わない。部屋の一番奥の窓際にいたため、棚を避けて走っても絶対に間に合わない距離だった。

 一番大きな棚の影に飛び込み、息を大きく吸い込んだ。呼吸を止めて頭を抱え、出来るだけ身体を小さく丸める。身体全体が赤い光に包まれた。

 ――ダァン!!
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