【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)今年は7冊!

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第6章 聖獣、一方的な契約

22.増えた仲間たちの確執(1)

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 たらふく食べて、ぐっすり眠った。さすがに早朝の訓練は免除されたらしく、起きたときには日が昇っていた。どうやらお昼前後らしい。

 放っておいてくれたジャック達に感謝だが、もし攻めてきてたら、寝ぼけてキレたオレによる容赦ない反撃が彼らを襲っただろう。建物倒壊レベルの大騒ぎになった可能性は否定できなかった。そういう意味でも、彼らに「寝かせてやろう」との分別があって助かった。

 ぐぅ……腹が情けない音を立てる。朝ごはん抜いたけどさ、大量の夕飯食べたくせにお腹鳴るのは恥ずかしい。宮廷の料理人がお代わりをひたすら作ってくれたのを思い出し、ちょっと遠い目になってしまう。

 誘拐されて2日目には発見されて戻ってきたけど、異常に腹が減った。リアムの説明によると、赤瞳は魔力を大量消費するため、体力も消費するらしい。

『起きたのか、主殿』

 ベッドが軋んでるのは、おそらく気のせいじゃない。隣、いや半分ほどオレにのしかかってる黒豹の重さの影響だろう。この部屋は以前の訓練時から使ってる私室だが、窓を突き破ったり壁を破壊したせいで寒い。毛皮たっぷりの大きな黒猫が温めてくれたと考えるべきか。

「うん……つうか、いつ隣に潜りこんだ?」

 いくら疲れて熟睡していたとはいえ、隣に獣が入り込んだら気付くだろう。しかも人間の大人より大きな黒豹だ。帰宅(?)して安心したとしても、油断しすぎだろ……オレ。首とか噛まれたらどうするんだ。

『主殿が寝てからすぐだな』

「あっそ……」

 大きく伸びをしてふと気付く。さっきから、ヒジリはオレを「主殿」と呼ぶ。

「なあ、ショウって呼ぶんじゃなかったっけ?」

『普段から多くの名で呼ばれたら主殿が混乱するであろう。専用の名がある事実だけで、我は満足だ』

 意外と気遣われている。確かにたくさんの呼び名に混乱しそうだし、話しかけられても気付かない状況も生まれかねない。咄嗟のときに馴染みのない名で呼ばれても、きっと反応できないから。

 大人の余裕を感じさせる発言に、夕飯時の説明を思い出した。

 リアムが一緒なので、正確には晩餐だろうが……足元でヒジリが生肉咥えてたし、オレは異常なスピードで皿を嘗め回さんばかりに食べ続けていた。あれは晩餐じゃなく、夕飯と表現するほうが的確だろう。
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