【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)今年は7冊!

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第6章 聖獣、一方的な契約

23.聖なる獣って偉いんだってよ(3)

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 素直に紅茶を引き寄せる。そっと温度を確かめてから口をつけた。実は猫舌である。ついでに言うなら、目の前でカップを優雅に傾ける皇帝陛下も猫舌だった。

「「あちっ」」

 ほぼ同時に叫んでカップを戻す姿に、足元で欠伸をしていたヒジリが驚いている。多くの侍女が一礼して出て行くと、リアムは目に見えて力を抜いた。薄い水色のシャツに濃いグレーのベスト、金縁の刺繍がされたハンカチを胸元に飾っているリアムは、ぐったり椅子に沈み込んだ。

「セイがいないと落ち着かない」

「いやいや、オレが来て1ヶ月も経ってないじゃん」

 笑いながら告げるが、そこで重大な事実に気付いた。すごく沢山の事件や騒動が起きたので感覚がズレてるが――オレがこの世界に来て、まだ3週間程度じゃないか?

 怖ろしいほど濃密な時間だが、考えてみたらこの世界の新人じゃん。唸って考え込んだオレの様子に興味を惹かれたらしく、ヒジリが身を起こして膝の上に顎を乗せた。

『主殿は異世界人いせかいびとであったか』

「あ、うん。そっかヒジリは知らないんだっけ」

 無意識に顎の下をなでてしまうのは、実家で猫を飼っていたためだろう。紅茶に口をつけたリアムも大きく数回瞬きしてから口を開いた。

「簡単な報告は受けたが、俺も詳しくは聞いていない」

「うーん、そんなに面白い話はないけど……簡単に説明すると」

 ぱくりとクッキーと頬張る。

「別世界から飛ばされて、落ちた先が最前線で銃撃戦の真っ最中。確かレイルの隣に落ちて、ジャックがいる壕へ転がり込んだ。武器がないから銃を借りて敵を倒して、一段落したらジャック達に拘束されて尋問、その後リラと会って」

「……セイ、それは1日の出来事か?」

 不思議なことにリアムの声がかすれている。風邪でも引いたのか?

「うん、初日分だけ。どこまで言ったっけ? ああそう、リラの魔力に当たったらしくて気絶して熱がでちゃってさ。寝てる間にレイルが銃だけ回収するって失礼じゃね? 挨拶すらなかったからな、あいつ。翌日は人攫いに騙されて、殴る蹴るの暴行があったけど……あれは児童虐待だぜ。小指が折れて、激痛と怒りで赤い瞳になった」

『主殿……赤瞳の竜か』

 いつの間にか乗せた顎を引いて、きちんとお座りしているヒジリに首を傾げた。金の瞳が少し潤んでるように見える。

「説明してなかったっけ? まあ、ヒジリはほとんど知らないことばっかりだよな」

 ここで紅茶を一口。さすがに皇帝陛下が用意する茶葉は香りがいい。

「えっと、どこまで話した?」

 リアムとヒジリが口を挟むから、どこまで説明したか分からなくなったじゃないか。焼き菓子を口に放り込んで噛み砕いた。
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