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第8章 初恋の予感

31.同衾って同性でも使うの?(3)

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 子供の身体だけど、何か起きてはいけないオレのオレが目を覚ましそうです…はい。

「お待たせしまし……、何をしているのですか? キヨ」

「え? なに、オレが悪いの?」

 食事を運ぶ侍女を連れて戻ったシフェルの低空飛行の声に、オレは反射的に身を起こした。なんだろう、殺気が物凄いんですけど。子供同士が寝転がってるだけなのに、まるで婦女子を襲おうとした獣扱いされてる気がします。

「食事にしよう、セイ」

 お腹が減ったのだろう? 無邪気なリアムは殺気に気付かないのか、あっさりスルーした。過去のオレならたぶん出来たけど、訓練して気配に敏感になったオレにとって針のむしろだ。

 シフェルが差し出した手を平然と受けたリアムが先に起き上がる。続いて立ち上がったオレは、用意された食事に目を輝かせた。

「まともなご飯だ!」

 顔を見合わせたリアムとシフェルが苦笑いする。訓練中の携帯食は朝食だけだが、夕食はマナー教室だった。そのため食材は豪華だが、自由に食べさせてもらえなかったのだ。訓練期間の状況を思い浮かべた2人は、さっさと席に着いたオレを生ぬるい目で見守る。

「どうしたの? 早く食べよう」

「そうだな」

 同意したリアムが席につき、侍女が飲み物を用意していく。その後は人払いをしてもらったので、遠慮なくパンに手を伸ばした。白くて柔らかいパンを頬張り、幸せに頬が緩む。

「多めに焼いてもらって、収納していこうかな」

「ならば今夜のうちに用意させる」

「ありがとう、リアム」

『主殿、我も』

 口をあけるヒジリへパンを放る。ぱくりと空中で受け止めたヒジリがパンを食べ終えるのを待って、今度は肉を切り分けてやった。気付けば半分近くヒジリに食べられている。

「キヨ、聖獣殿の肉は用意させますから」

 普段なら侍女が立つ場所で警護するシフェルの言葉に、収納魔法から生肉を引っ張り出して与えればよかったと思い出した。ヒジリ用に沢山貰ったのを保管していたのだ。

 すっかり忘れて、自分の食事を与えてしまった。

「お腹が減っているのなら、分けて食べよう」

「いえ、追加を用意させますので」

 シフェルにしっかり止められる。友達同士なら普通の行為も、必要以上に厳しく咎められている気がした。これはリアムも窮屈だろうと思う。

「いいじゃん、分け合って食べるのも友人同士なら当たり前でしょ? ついでに毒見もできるし」

 リアムが切り分けてフォークで差し出した肉をぱくりと口で受けた。同じ肉だが少し味が違う。首をかしげて飲み込んだ。

「あれ? オレのと味が違う」

「「え!」」

 途端にシフェルは何やら薬を取り出し、受け取ったリアムは魔法で作った水で流し込む。それから同じ薬の包みをオレに渡した。急な展開によく分からなくて、手の中の紙包みをじっと見つめる。

「なにこれ」
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