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第9章 戦の準備

37.便利で危険な大量収納(3)

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 大きな金属の筒、フライパンや鍋の調理器具、食器、かまど用ブロックと鉄パイプ、石鹸、虫除けスプレー、大量の本………etc。

「……あれれ?」

「現場から消えた証拠品っ!」

 首をかしげたオレの後ろから、シフェルの鋭い声がかかった。びくりと肩を揺らすと、大股に近づいたシフェルが横たわる荷物の上に落ちた金属の筒を引っ張り出す。重いのだが、軽々と持ち上げて担いだ。

 見覚えのある土管のようなフォルム――シンカー本部を壊したバズーカ砲だった。

「これをずっと捜していたのに、どうしてあなたが……いえ、あの現場から持ち去ったのがキヨだったんですね」

「正確にはあの時点で収納魔法使えなかったから……うーんと、が証拠物として押収して、調査に来たさんに渡し忘れちゃったってカンジ。そのあとオレが返すつもりで預ったんだ」

「なるほど。さんが預って、に提出するのを忘れ、キヨに押し付けたと」

 伏字にした意味ないじゃん。一瞬で解読された。

「先ほどの投擲ナイフ付きベルトは、官舎の地下にあった備品ですね。この銃と剣は……サシャの持ち物でしょう。フライパンや鍋もありますが、この箱、爆薬じゃないですか。信管もあります。よく爆発しなかったですね」

 感心しながら自爆呪文により放出された物を確認するシフェルの指摘に、爆発物の授業を受けた際にヴィリから爆薬作成キット一式を貰っていた事実を思い出す。そうだ、もしかして……自爆呪文で出てきた荷物が吹き飛んだ可能性もあった!?

「やべぇ、まじ自爆じゃん」

「キヨ、言葉遣いを直しなさい。それから……この収納量については、他言しないこと」

 収納量? 荷物を振り返ると、確かに予備が多いかもしれない。だが黒い沼に飲まれた後、用心のためにあれこれ収納する癖がついてしまった。特に食べ物系と、解毒薬を含めた薬品系だ。

 いつ誘拐されても生き残れるよう、生活道具一式を持ち歩くのは当然だ。収納魔法が使えるんだから、なおさら荷物は増える一方だった。

 あれだ、旅行かばんを大きくすると荷物が増える理屈と同じ。海外旅行だからとシャンプーや石鹸まで持っていくだろ。都市に旅行するなら、シャンプーくらい現地調達でいいのにね、ってやつだ。

「なぜ?」

 くすくす笑うリアムは、転がる鍋を拾って中に石鹸を放り込む。

「収納量が大きすぎるのだ。魔力量の多い赤瞳がバレるぞ」

 その言葉に納得した。

 同時に大事なことを思い出す。

「そうだ、それ! 赤瞳の戻し方ってどうするの?」
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