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第28章 南の国制圧? 調味料が先だから

179.革命の大義は我にあり(1)

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『天誅~!!』

 速度を調整したヒジリとオレの影から飛び出した青猫が、ぶわっと毛を逆立てて大きくなる。器用に一回転して着地し、操る風で国境を封鎖する門を切り刻んだ。バラバラになった破片を、街の内側へ吹き飛ばす。

 入り口で蹲っていた兵士に当たらないよう気遣ったブラウに、親指を立ててにやりと笑った。そのまま開いた門の前にいる兵士に声をかけた。

「駆け込め! 家族に会いたかったんだろっ!!」

 騒ぎを聞きつけた国民が集まるが、外の兵士の動きを彼らは邪魔しない。それどころか道を開けて傷ついた兵を通し、自分達が盾となって衛兵から隠した。

 どうやら街の住人は兵士の味方らしい。気の毒だと同情しながらも、強行手段は取れずにヤキモキしていた様子だ。自分達が目をつけられて追い出される可能性を考えれば、民の日和見は責められない。権力に逆らうには、力が必要なのだから。

 駆け込んだ兵士と一緒に門の内側へ乗り込んだオレは、大きな声を張り上げた。その声をブラウの風が拡散する。

「中央の国の砦は奪還した。王子に用がある。手を出せば、聖獣が黙っていないぞ」

 卑怯な方法だが、これ以上オレの魔力を使って暴走させたら目も当てられなかった。融和政策の提案など吹き飛ぶだろう。

 赤瞳を持つのは、竜属性のみ。かつて狩られた最強種族の証を見せつけながら、黒豹の背で叫んだ。後ろの門の上から矢が飛んでくる。それを結界で簡単に弾き、指先をパチンと鳴らした。タイミングを合わせ、落ちた矢をブラウが投げ返した。

 悲鳴を上げて貫かれた腕を押さえる衛兵に、国民から「恥を知れ」「卑怯者」と野次が飛ぶ。どうやらこの国は国民がまともで、王侯貴族に問題があるパターンだ。

 ならば、やってやりましょう! ジャンヌ・ダルク方式の革命だ!!

 ちなみに、ジャンヌはフランスのなんたら革命で有名になった聖女様だが、夢中になったエロゲーのレアキャラだった。平たい胸をつんと逸らしたロリキャラで、その強気な青い目が好きで、課金しまくったのは懐かしい記憶。

「ヒジリ、方針転換だ。この国は国民を残して貴族を排除する」

 国を纏める王侯貴族を丸め込んで、彼らに共存の道を示す予定だった。南の国王に対して有利に立つための人質だが、もう王子は必要ない。このまま国民を先導し、守りながら国王を排斥すればいい。

『なるほど、主殿らしい作戦よ』

 唸った後、ヒジリがちらりと視線を上に向けた。空に浮いたコウコやブラウと視線を交わし、黒豹は急に大きくなった。

「こら、ヒジリ。危ない!!」
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