【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第32章 気づいてはいけない?

255.ここは天国か(1)

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 目が覚めたら……この出だしはいい加減飽きた。というのも、あちこちで気を失ったり倒れてきたからな。天井が違うぐらいじゃ驚かない。

 そう、天井なら……ね。

「リア?」

「目が覚めたか、よかった」

 微笑む恋人の顔、黒髪が縁取る象牙色の肌はほんのり赤く紅が差して、すごく可愛い。いや、いつも可愛いがさらに可愛い。ふわふわする頭では語彙は行方不明で、可愛いが連呼しながら踊りまくっていた。

 都合のいい夢かと思いながら目を閉じ、もう一度開けてみた。やっぱり見下ろすリアの顔、ってことはこの柔らかな感触は膝枕か! 気づいた瞬間、クワッと目を見開いて堪能する。

 いい香りがする。石鹸、プレゼントしたやつ使ってくれたのかな。ひっくり返ってぐりぐりと顔を太腿に埋めたいが、絶対他の連中がいるはず。

 用心深く周囲を探っていると、リアムがオレの金髪をさらさらと指で弄った。何それ、刺激が強すぎて勃ちあがりそうなんだが? オレのオレ様が、我が侭を主張しそうだ。変態と罵られたくなくて、ぐっと我慢して欲望を抑え込んだ。

「みんな、どうしたの」

「聖獣殿は昼寝をするそうだ。隣の部屋を用意してもらった。侍女やクリスティーンは廊下に控えているし、レイル殿は黒い聖獣殿が咥えて運んでいった」

 つまり、この部屋はオレ達だけ? 少しだけ首を持ち上げて周囲に誰もいないのを確認して、気配もしっかり探ったあとでごろんと転がった。

「っ、セイ?」

「うん。リアムだ、本物だ」

 太腿に顔を埋めて彼女の細い腰に手を回す。誰もいない貸切だから、彼女は可愛い花柄の部屋着だった。それが嬉しい。キュロット風でスカートにも見えるパンツに包まれた太腿は柔らかくて、手を回した腰は引き締まっていた。石鹸の香りが心地よい。

「これ、オレのお土産?」

「石鹸か、そうだ」

「もっと柔らかく、リアで話してよ」

「う、うん。そう。キヨがくれた石鹸、すごくいい香りがするね」

 じわっと涙が出てしまった。隠す間もなく、リアムのズボンに吸われてしまう。カッコ悪いなぁ、オレ。でもリアムが女性として過ごしたのなんて、オレが知るのは寝室に泊めてもらった日くらいだ。こうして彼女が彼女でいられる時間を作るために、ちょっと遠回りし過ぎた。

 そんなリアムを狙う奴がいるんだよ。宮廷って本当に伏魔殿だと思う。だから掃除して、退治して、綺麗にして、リアムが安心してドレスを着られるようにする。それがオレに出来る精一杯のこと。こんなに可愛くて素敵な子をお嫁さんに貰うんだから、苦労なんて買ってでもするべきだ。

「セイ……」

「うん、ごめん。今だけ」
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