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144.どこまでも知りたいんだ
街はお祝いムードだという。トリシャが窘めるため、悪虐皇帝が大人しくなった。そんな噂をばら撒いた。彼女が言い聞かせれば、悪虐皇帝である僕が大人しく話を聞く、と。
貴族階級は血筋がどうのと口にするが、僕には関係ない。悪虐皇帝と呼ばれる僕も、平民の間で人気があった。公平な政を行い、悪辣な貴族を成敗し、能力があれば平民でも昇進させてくれる。間違ってはいないよね。すごく好意的に見たらの話だけど。
「今日はソフィと一緒に化粧品を選びましたの。肌に合わなければ、調整してくださるそうです」
「それはよかった。気に入ってくれたなら何よりだよ。明日はヴェールの最終チェックだけ?」
「いえ、ソフィのドレスも」
「ああ。それならニルスに休みを与えるから、一緒に選ぶといいね。僕達は庭でお茶会でもしよう」
「素敵ですわ、ありがとうございます。エリク」
微笑む彼女の肌は、ほんのりと赤い。出会った頃の青白い肌が嘘のようだ。試した化粧品も痒みなどもなさそうで、安心したよ。
肌にいいと評判の薬草を使った化粧品を作る商会を呼び寄せた。平民が起こした商会だと貴族は蔑んだが、品質も接客もまったく問題ない。ニルスの調査結果をもって、彼らに皇室御用達の看板を上げさせた。皇妃ベアトリスが使用する化粧品、その評判は品質以上に広まるだろう。
トリシャが好むから取り寄せていた果物や魚だけど、最近は定期便ができた。長距離を一度に移動するのではなく、各町まで運びリレーする形になったらしい。お陰で山間部の民も魚を口にするようになり、海辺に山の幸が届き始めた。商魂たくましいと褒めるべきかな。
帝国内外の横柄で傲慢な貴族を片っぱしから吊るしたお陰で、各国に真っ当な貴族が増えた。普通はゴロツキを処分したら街の治安が良くなった、となるはずだけど。貴族を大量処分したら、政が真っ当になるなんて。どれだけ酷い状況だったか、よく分かる事例だよ。
「僕の方は、各国の収益が上がって治安も良くなったから……徐々に仕事が減ってきた。君との時間をゆっくり取れそうで安心してる」
詳しい内容はなくてもいいから、出来事を互いに話し合う時間を作った。僕はまだまだトリシャのことを知りたいし、彼女に僕を知って欲しい。報告書に載るような話じゃなくて、庭の花を見て何を感じたか。今日の天気に何を思ったか。そんな些細なことも独占したかった。
「嬉しいです」
微笑む彼女の耳に唇を寄せて、こっそり内緒話をひとつ。
「僕は君を閉じ込めたいのと同じくらい、知りたい。僕だけのトリシャを見たいんだ」
真っ赤になった彼女は、お返しのように呟いた。
「全部、髪の先まであなたの物ですわ」
思わず言葉に詰まる。愛しさが溢れて、貪ってしまいたい激情を深呼吸で抑え込んだ。なんて悪い子だろうね。悪魔のような僕を誘惑するなんて、困った天使だ。
貴族階級は血筋がどうのと口にするが、僕には関係ない。悪虐皇帝と呼ばれる僕も、平民の間で人気があった。公平な政を行い、悪辣な貴族を成敗し、能力があれば平民でも昇進させてくれる。間違ってはいないよね。すごく好意的に見たらの話だけど。
「今日はソフィと一緒に化粧品を選びましたの。肌に合わなければ、調整してくださるそうです」
「それはよかった。気に入ってくれたなら何よりだよ。明日はヴェールの最終チェックだけ?」
「いえ、ソフィのドレスも」
「ああ。それならニルスに休みを与えるから、一緒に選ぶといいね。僕達は庭でお茶会でもしよう」
「素敵ですわ、ありがとうございます。エリク」
微笑む彼女の肌は、ほんのりと赤い。出会った頃の青白い肌が嘘のようだ。試した化粧品も痒みなどもなさそうで、安心したよ。
肌にいいと評判の薬草を使った化粧品を作る商会を呼び寄せた。平民が起こした商会だと貴族は蔑んだが、品質も接客もまったく問題ない。ニルスの調査結果をもって、彼らに皇室御用達の看板を上げさせた。皇妃ベアトリスが使用する化粧品、その評判は品質以上に広まるだろう。
トリシャが好むから取り寄せていた果物や魚だけど、最近は定期便ができた。長距離を一度に移動するのではなく、各町まで運びリレーする形になったらしい。お陰で山間部の民も魚を口にするようになり、海辺に山の幸が届き始めた。商魂たくましいと褒めるべきかな。
帝国内外の横柄で傲慢な貴族を片っぱしから吊るしたお陰で、各国に真っ当な貴族が増えた。普通はゴロツキを処分したら街の治安が良くなった、となるはずだけど。貴族を大量処分したら、政が真っ当になるなんて。どれだけ酷い状況だったか、よく分かる事例だよ。
「僕の方は、各国の収益が上がって治安も良くなったから……徐々に仕事が減ってきた。君との時間をゆっくり取れそうで安心してる」
詳しい内容はなくてもいいから、出来事を互いに話し合う時間を作った。僕はまだまだトリシャのことを知りたいし、彼女に僕を知って欲しい。報告書に載るような話じゃなくて、庭の花を見て何を感じたか。今日の天気に何を思ったか。そんな些細なことも独占したかった。
「嬉しいです」
微笑む彼女の耳に唇を寄せて、こっそり内緒話をひとつ。
「僕は君を閉じ込めたいのと同じくらい、知りたい。僕だけのトリシャを見たいんだ」
真っ赤になった彼女は、お返しのように呟いた。
「全部、髪の先まであなたの物ですわ」
思わず言葉に詰まる。愛しさが溢れて、貪ってしまいたい激情を深呼吸で抑え込んだ。なんて悪い子だろうね。悪魔のような僕を誘惑するなんて、困った天使だ。
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