【完結】絶対神の愛し子 ~色違いで生まれた幼子は愛を知る~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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70.オルゴールをもらったの!

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 メリクが連れて行ってくれた世界は、すべてが美しかった。その話をお土産にする僕に、ルミエルは嬉しそうに頷く。滝や虹の冒険も、果物がたくさんの森で眠った夜も。たくさんあって、全部話すのは難しいくらい。

「楽しかったのね、良かった」

 笑うルミエルに、果物を渡した。

「これあげる」

「ありがとう。イルちゃんに私からプレゼントだよ」

 プレゼントは贈り物で、受け取ってお礼を言ったら合ってるよね。言葉を頭の中で置き換えて、渡された箱を見つめる。

「あけていい?」

「もちろん」

 ルミエルが頷いてから、上のリボンを引っ張った。ぱらっと解ける。箱をどこから開けようか考えていたら、ルミエルが手を貸してくれた。蓋になってる部分があるの。そこを開けると、また箱が入っていた。

 中の箱は木で作ったみたい。二人で取り出した箱は、キラキラした石が埋め込まれていた。それに表面がぼこぼこして、お花や虹の形になっている。すごく綺麗。

「きれい! ありがとう」

「どういたしまして。宝物を入れてね」

 宝物……思いついたのは、虹の根元から出てきた赤い石だった。貰った箱に入るよね。蓋を持ち上げる僕の耳に、お歌が聞こえた。誰かが歌ってるんじゃなくて、お歌みたいな音が出てくる。箱に耳を近づけたら、音が大きくなった。

「これ、おと……する!」

 音が出るよ。興奮した僕に、ルミエルが説明してくれる。オルゴールという箱で、宝物を入れたり音を楽しむんだって。開けるたびに音がするんだ。でも蓋をすると音が止まる。

「この音は音楽というのよ」

 お歌も音楽だし、街で聞こえた笛の音も音楽。興味を持った僕に、ルミエルがお歌を歌ってみせる。すごく綺麗な声だし、音も綺麗だった。

「覚えて一緒に歌いましょう、ほら、イルちゃんも歌って」

 少しずつ区切って教えてもらい、夕方になるまでにお歌を覚えた。オルゴールの音楽と同じ音なの。この音楽のお歌なんだ。オルゴールは途中から始まるから、待っていると初めから歌える。

 ルミエルを真似して声を出したら、ちゃんと歌えた。僕は家の前のお花畑でいっぱい歌って、貰った箱を抱えて帰る。赤い玄関を開けた先で、メリクに「ただいま」を言った。

「おかえり、楽しかったか?」

「うん、おるごぉる、もらった」

 箱を見せて蓋を開ける。音楽が鳴り始めた。すごく綺麗な透き通った音がするの。少ししたら音楽が一度止まったので、また鳴り始めた音に重ねて歌う。

 キラキラ光るお空の星のお歌だよ。精霊が集まって、お部屋の中で光った。昼間のお外では見えないけど、お部屋の中だと明るいね。にゃーも目を丸くして、僕のお歌を聞いている。音に合わせて光る精霊に、にっこり笑ってお歌は終わった。

「すごいな、綺麗な声だ。歌も上手で驚いたぞ、イル」

 褒めてもらって、嬉しい。そう伝えて抱きついた。箱を机の上に置いて、メリクに赤い石を出してもらう。オルゴールの箱に入れた。そっと蓋を閉じる。

「うん、大丈夫そうだ。良かったな」

「ありがとう」

 お礼を言って、箱を揺らした。中でからんと音がする。これは赤い石の音だ。開けると音楽が鳴る。嬉しくて嬉しくて、ご飯を食べる時もずっと膝に置いていた。だけど、お風呂に入る時は、ダメだって。

「風呂の間は、にゃーに見ていてもらおう」

 にゃーは箱の前でくるっと丸くなった。ちゃんと見ていてね。
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