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71.夢でメリクやルミエルに会ったよ
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オルゴールの音を聞きながらベッドに入り、寝る前に蓋を閉じた。いつもメリクに絵本を読んでもらうの。今日はお姫様が描いてある絵本にした。
「お姫様は王子様に愛され、幸せに暮らしましたとさ」
途中で寝ちゃうことが多いけど、今日は最後まで聞けた。絵本はいつも「幸せ」になって終わる。それが不思議だった。
「しあわせ、ばっかり」
「うーん、確かにそうだな。考えてみようか、イル。お話の最後にお姫様が泣いているのと、笑っているの、どっちが好きだ?」
「わらうの」
「じゃあ、幸せに終わった方がイルの好きなお話になるぞ」
そっか。僕はお姫様が泣くのは嫌い。だからお姫様が幸せになると笑ってるから、メリクはそのお話を読んでくれたんだね。頷いた僕の黒髪を撫でて、メリクも横になった。本を横の机に片付ける。
「イルもお姫様だから、幸せになろうな」
「僕、おしめさま……?」
「ああ、俺のお姫様だ」
メリクのお姫様、じゃあメリクが王子様だ。危なくなったら僕を助けに来るのが、王子様だよ。前も助けに来てくれたし、ずっと一緒にいる。王子様だったんだ。
「もう寝よう」
ぽんぽんと僕の肩を揺らすみたいに触れる。その手が優しくて、伝わってくる気持ちが温かい。うとうとしながら目を閉じたら、すぐに寝ちゃった。
夢なのかな。僕を抱っこしたメリクが、大きい姿になっていた。長い黒い髪が足まで届いて、いつもより太い腕が僕をしっかり抱える。こないだの赤い目と髪の人が、メリクから逃げていた。
メリクは怖い人じゃないのに、変なの。他にも人がいて、ルミエルがいた。普段より怖い顔をしている。こんな顔知らないから、やっぱり夢なんだと思う。夢って僕が知らないルミエルが出てくるんだね。
こないだお買い物に来たゼルクもいて、こっちは楽しそうだった。それから銀髪の人と……可愛い女の子。メリクが何かを言うと、それに従うみたいに人が動いた。でも言葉は分からなくて、僕は動かず話さず見ているだけ。
赤い髪の人は皆に怒られて、困ってるみたい。もうやめて、そう言う前に消えてしまう。小さな砂粒になって、バラバラに飛んでいった。あれは、遊びに行った静かな砂の山の一部になるのかな。
メリクは僕の目の上に手を置いて、何かを呟いた。大人しく目を閉じて、僕は願う。夢でメリクやルミエル達と会ったこと、忘れてないといいな。起きたら、メリクにお話しするの。
「イルには敵わない」
そう聞こえて、僕は笑った。にゃーにも話してあげよう。最近はルミエルと遊んでばかりだから、きっと寂しかったよね。明日はルミエルとお花を摘むから、メリクやにゃーも一緒に行ってくれるといいな。
ふわふわした気分のまま、僕は目を覚ました。お外はいいお天気で、眩しいお日様の光がお家に入ってくる。
「おはよう、イル。よく眠れたか?」
「うん、おはよ……メリクが、ゆめにいたの」
両手を振り回して、こんなだったよと話す僕に、ご飯を食べさせながらメリクは頷く。こうやって、夢の大冒険をお話しするのは楽しい。ご飯を食べたにゃーが、僕の足に毛皮を擦った。
「今日は外で遊ぶのか?」
「おはな、つむの」
置いてある花瓶を指さした僕に、メリクは「一緒に行こう」と言った。嬉しくて何度も首を縦に振った。にゃーも行こうね。
「お姫様は王子様に愛され、幸せに暮らしましたとさ」
途中で寝ちゃうことが多いけど、今日は最後まで聞けた。絵本はいつも「幸せ」になって終わる。それが不思議だった。
「しあわせ、ばっかり」
「うーん、確かにそうだな。考えてみようか、イル。お話の最後にお姫様が泣いているのと、笑っているの、どっちが好きだ?」
「わらうの」
「じゃあ、幸せに終わった方がイルの好きなお話になるぞ」
そっか。僕はお姫様が泣くのは嫌い。だからお姫様が幸せになると笑ってるから、メリクはそのお話を読んでくれたんだね。頷いた僕の黒髪を撫でて、メリクも横になった。本を横の机に片付ける。
「イルもお姫様だから、幸せになろうな」
「僕、おしめさま……?」
「ああ、俺のお姫様だ」
メリクのお姫様、じゃあメリクが王子様だ。危なくなったら僕を助けに来るのが、王子様だよ。前も助けに来てくれたし、ずっと一緒にいる。王子様だったんだ。
「もう寝よう」
ぽんぽんと僕の肩を揺らすみたいに触れる。その手が優しくて、伝わってくる気持ちが温かい。うとうとしながら目を閉じたら、すぐに寝ちゃった。
夢なのかな。僕を抱っこしたメリクが、大きい姿になっていた。長い黒い髪が足まで届いて、いつもより太い腕が僕をしっかり抱える。こないだの赤い目と髪の人が、メリクから逃げていた。
メリクは怖い人じゃないのに、変なの。他にも人がいて、ルミエルがいた。普段より怖い顔をしている。こんな顔知らないから、やっぱり夢なんだと思う。夢って僕が知らないルミエルが出てくるんだね。
こないだお買い物に来たゼルクもいて、こっちは楽しそうだった。それから銀髪の人と……可愛い女の子。メリクが何かを言うと、それに従うみたいに人が動いた。でも言葉は分からなくて、僕は動かず話さず見ているだけ。
赤い髪の人は皆に怒られて、困ってるみたい。もうやめて、そう言う前に消えてしまう。小さな砂粒になって、バラバラに飛んでいった。あれは、遊びに行った静かな砂の山の一部になるのかな。
メリクは僕の目の上に手を置いて、何かを呟いた。大人しく目を閉じて、僕は願う。夢でメリクやルミエル達と会ったこと、忘れてないといいな。起きたら、メリクにお話しするの。
「イルには敵わない」
そう聞こえて、僕は笑った。にゃーにも話してあげよう。最近はルミエルと遊んでばかりだから、きっと寂しかったよね。明日はルミエルとお花を摘むから、メリクやにゃーも一緒に行ってくれるといいな。
ふわふわした気分のまま、僕は目を覚ました。お外はいいお天気で、眩しいお日様の光がお家に入ってくる。
「おはよう、イル。よく眠れたか?」
「うん、おはよ……メリクが、ゆめにいたの」
両手を振り回して、こんなだったよと話す僕に、ご飯を食べさせながらメリクは頷く。こうやって、夢の大冒険をお話しするのは楽しい。ご飯を食べたにゃーが、僕の足に毛皮を擦った。
「今日は外で遊ぶのか?」
「おはな、つむの」
置いてある花瓶を指さした僕に、メリクは「一緒に行こう」と言った。嬉しくて何度も首を縦に振った。にゃーも行こうね。
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