普通の難しさを教えてくれた君へ

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~中学一年~
あの日は少し暑くて帰り道にコンビニによった。
アイスを買って公園のベンチで座って食べる。食べ終わってさぁ帰ろうかと席をたとうとした時
「俺秀のことが好き。付き合って欲しい。」
急だった。いや本当はずっと知ってたんだと思う。
だけど気付かないふりをした。だって男同士とかそんなの
『普通』じゃないから。
「ごめん。俺は優ちゃんのこと好きじゃない。」
「そっか。そうだよね。ごめん困らせて。俺…先帰るね。」
その日はそこで解散した。
次の日ドキドキして学校へ行くと優ちゃんは普通に話しかけてきた。俺もほっとしていつもどうりに話してそれからは特に気まずくなることもなく一緒に過ごした。

1ヶ月後優ちゃんは親の転勤で転校していった。
特にお別れの言葉もなく突然に。

寂しかったのを覚えてる。別れの言葉もなしかよって。
俺が振ったからってそんなことするのかよって。
でもそれと同時に酷くホッとした。

いっそこのまま一生会えなくなればいい。
そうすればきっと…。

~現在~

2人が合流し改めて合コンが再開した。

「遅れてごめん~!俺悟って言います。よろしくね。」
「俺は優です。よろしく。」
明るく気さくな感じで悟という男が挨拶すると次に優ちゃんが少しだるそうに挨拶をする。
多分無理やり連れてこられたんだろう。
こっちには特にきずいてい無さそうだった。

それならばいいかと俺は気にせずに過ごすことにした。

その後も楽しく合コンは進んでいった。
少し経った時、
「おい優~もう少し楽しめよ~。」
「嫌だって別に俺合コンとか興味無いし。」
「でもさぁ。」
やっぱり無理やり連れてこられたらしい優ちゃんと悟さんの会話が聞こえてきた。
「え?もしかして悟無理やり優のこと連れてきたの?」
「だってさぁ。人も足りてなかったしこいつにも新しい恋必要かと思って。」
「新しい恋?」
拓也の質問に悟さんが応えると廉が思わずと言った形で突っ込んだ。
「え~?なになに優くん失恋でもしたの??」
「聞きたい聞きたい!」
それにあわせるように女の子たちも身を乗り出すような形で聞く姿勢をとる。

優ちゃんは はぁ。と少し深めのため息をつくとそれに答えた。
「ずっと好きな子がいるんだ。」
「好きな子ぉ?」
「うん。好きな子。」
「告白したの?振られたの??」
女の子達はここぞとばかりにグイグイ突っ込んでいく。

「そう。告白して振られたの。」
「じゃあ新しい恋して忘れちゃえばいいじゃん。」
「いやまだ諦めてない。」
「えぇ~。そっかぁ。」
「いやでもお前が振られたのって中一のときだろ?何年引きずってんだよ。」

静かに耳を傾けて聞いていた時出てきた言葉に思わず優ちゃんの方を向く。

「でも好きだから。」
「とは言ってもさぁ。もうどこで何してるかも分からないんだろ?」
「…。」
「まぁまぁ悟。そんなに好きな子がいるならしゃーないな!」
「うんそうだね。また出会えるといいね。」
「秀もそう思うだろ?」
「…。え!?あ…あぁそうだね。」

ボーッと話を聞いていたら急に話しかけられビクッと肩が跳ねる。
急いで返事をすると、
「秀…ちゃん?」
拓也に名前を呼ばれたことで俺だと気づいてしまったらしい優ちゃんに名前を呼ばれた。

「あっえっと俺もうそろそろ帰るわ。」
まずい。早く帰らないと。
「待って…。秀ちゃんでしょ?」
あぁ。もう。
「お金ここ置いとくな。じゃあまた。」
「え?あ、おい待てよ秀!!」
「秀??」
俺はお金を机に置いてバッと荷物を取ると急ぎ足で店を出た。
「秀ちゃん!」
優ちゃんに呼ばれたその声から逃げるように。

そのままノンストップで家に帰りベットに横たわる。
冷静になってきた頭でさっきのことを考えた。
「明日拓也達に謝らなきゃ。」
きっとあの後気まずくなってしまったであろう雰囲気に罪悪感が押し寄せる。
明日は全力で謝るところから始めようそう思った。

「でも。変わってなかったなぁ。優ちゃん。」
さっき会った優ちゃんは俺が知っていた頃から何も変わっていなかった。
むしろかっこよさが増していた。
いっその事めっちゃヤンキーとか、クソやりチンとか
そういう風になってくれていたら良かったのに。
そしたらこんなに複雑な気持ちになっていないんだ。

「好きな子がいるんだ。」
「告白して振られたの。」
「いやまだ諦めてない。」
さっき優ちゃんが言った言葉が頭を巡る。きっとあの好きな子とは俺のことなんだろう。
あの日からずっと俺のことが好きだったのか。
俺に振られたあの日からずっと…。

「どうしたものかなぁ。」
会いたくなかった。できることなら一生。
だけど会えて嬉しかった。
今の優ちゃんを見れたことも声が聞けたことも嬉しかった。
「秀…ちゃん?」
また優ちゃんに呼んで貰えた。それが酷く嬉しかった。
そう。俺はずっと会いたかったんだ。
優ちゃんが転校した日から今日までずっと。


「俺も好きだよ。優ちゃん。」
優ちゃんに告白されたあの日先に帰ったゆうちゃんの背中に向かって言った俺だけが知ってる告白の返事。

だから会いたくなかったんだ。
だって次にあったらきっと俺はこの気持ちが抑えきれなくなるだろうから。


そしたらきっとまた俺は『普通』から酷く遠ざかるから。
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