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まだ幼稚性だった頃。
黒いふわふわとした髪に桜の花びらを1枚つけお母さんの後ろに隠れながらこっちをチラチラと見ていた君は僕の隣の家に引っ越してきた。
思えばきっと初めて会った時から君のことが好きだった。
恥ずかしそうにでもこっちに来たそうな。
どうにも落ち着かない君が可愛くて、
「初めまして。春斗って言います。君の名前は?」
そう声をかけるビクッとしたけど少しだけ緊張がほぐれたのか
「秋人…です。」
小さい声ででもちゃんと目を見ながら返してくれた。
そこからは幼稚園でも、休みの日でも、君と仲良くなれるように積極的に話しかけて。
どんどん心を開いてくれる君が、笑顔を見せてくれる君が可愛くて。
まだ僕にしか心を開いていない君が僕から離れないのも嬉しくて、ずっと僕だけならいいのにとかどす黒い感情も出てきたりした。
だけど君は優しくて可愛いからすぐにみんなと仲良くなっていて。
すごく楽しそうにしている君を見たらそんな感情すぐに無くなったけど。
小学校になって漢字を習った時。
お互いの名前に『春』と『秋』季節の名前が入っていることを知った。
「なんか僕たちは仲良くなる運命だったのかもね。」
とふわっと笑う君に
「そうだね。」
と笑い返して。
その運命が君と一生一緒にいれるものならいいな。と
自分の君に対する気持ちが恋というものなのだとその時初めて知った。
誰にも取られたくなくて、僕だけが君の隣にいたくて、
君の1番が僕出会って欲しい。
そう思った。
中学になり周りも少しませ始めた頃。
「彼女が出来た…。」
そう君が少し恥ずかしそうに報告してきた。
「おめでとう。」
精一杯の笑顔で言うと
「ありがとう。相談とか乗ってね。」
と笑った。
彼女の隣にいる君はいつも幸せそうに笑っていて。
そんな君の隣にいる彼女も幸せそうで。
彼女にかける優しい声も、優しく撫でる手も、愛おしそうに見つめる瞳も、全て僕に向けられたらいいのに。
そんな叶わない願いは僕の中だけの小さな秘密。
高校生。
同じ高校だった僕たちは変わらず仲が良くて、一緒に学校に行って、一緒に帰る。
彼女と学校が離れた君はたまに彼女に会いに帰りは別々になってしまうけど。
それでもまだ近くに入れることが嬉しかった。
彼女に浮気されて大喧嘩て帰ってきた日。
珍しく俺の部屋に来た君はものすごく辛そうな顔をしていて。
「今日だけ一緒にいて欲しい。」
そう小さく呟いや君に
「いつでもいくらでもいるよ。」
そう優しく返して
どうか君が幸せにあれますように。そう願いを込めて頭を撫でながらその日は一緒に眠った。
何日かして君から彼女と別れたと聞いた。
その時の君はどこか寂しそうででもスッキリしたような顔をしていて。
「今日は学校サボって遊びに行こう。」
そう行って驚く君を強引にいろんな所へ連れ回した。
映画にカラオケ、ゲームセンターにボウリング。
少しでも君の寂しさが紛れればいいと思って。
「あーぁ楽しかった。ありがとう。」
そう言って楽しそうに笑う君が可愛くて。
「可愛い。」
と思わず溢れてしまった言葉に、
「え??」
と少し照れながら驚いた君がこっちを真っ直ぐに見るから。
慌てて帰ろうと家路に着いた。家に着くまで君の顔は見れなかったけど家の前で別れる時に朝の寂しそうな顔が全くなかったことが嬉しかった。
それからしばらく経って君から話があると家に呼ばれて。
「俺春斗のことが好きっぽい。」
そう君が言った。夢見たいだった。
「男同士とか気持ち悪いかな…?」
驚きすぎて何も言えないでいると不安そうに君が聞くから
「そんなことない。僕もずっと秋人が好きだよ。」
と言うと少し驚いてでも嬉しそうに君が笑った。
「付き合ってくれる?」
君の言葉に
「喜んで。」
そう答えると優しく抱きしめられる。
「良かった。」
そう言ってギューっと抱きしめる腕に力を込める君が愛おしくて思わず笑ってしまった。
付き合ってしばらくして放課後いつもどうり君の家で2人寛いでいると、
不意に甘い雰囲気になった。
「春斗はどっちがいいとかある?」
そう恥ずかしそうに聞く君に
「僕は秋人に抱かれたいな。」
そう僕が返すと
「わかった。優しくする。」
そう嬉しそうに君が答える。
割れ物でも扱うかのように優しく触る君に、
愛おしそうに僕を見る君に、とてつもなく興奮した。
君との初めては少し痛くてでもとても幸せだった。
それからも僕たちは順調にお付き合いが続き大学生になった。
それと同時に同棲も始めた。親にはまだ僕たちの関係は言えてないけれど男同士の同居なんてそんなに気にもされない。
大学はそれぞれ違うけれど時々お互いの大学まで行って
一緒に帰る。
そんな毎日を送っている。
いつものように僕が君の大学ののカフェで君が終わるのを待っていると、君が可愛い女の子と腕を組んで楽しそうに歩いてくるのが見えた。
その子は君より小さくて、可愛らしくて、2人はとってもお似合いなカップルにしか見えなくて。
門のところで2人が別れて君が僕のいるカフェまで来た。
僕は動揺が君に伝わらないように
「お疲れ様。」
と声をかける。
「春斗もお疲れ様。帰ろうか。」
そう優しく君が笑う。
その帰り道。
僕がいつもより静かだったのに心配したのか
「大丈夫?なんかあった?」
そう君が聞いてきた。
あの女の子は誰? どうして腕を組んでいたの? なんであんなに楽しそうな顔で笑っていたの?
そう聞ければよかったけどそんなことをする勇気は僕にはない。
それでもし、浮気してたら?新しい好きな人だったら?僕の方が浮気相手だったら?きっと僕は立ち直れないから。
「なんでもないよ。今日は少し疲れちゃっただけ。」
「そっか。帰ってゆっくり休もう。」
そう優しく頭を撫でてくれる君が今の僕には酷く辛かった。
その日は帰ってから二人でゆっくり過ごして一緒に寝た。
この幸せがどうかなくなりませんように。そう願いながら。
何日かたった休日。
友達と予定があるらしい君が朝から出かけてしまったから僕も文房具でも買いにデパートに行った。
文房具を買い終わってせっかくだしとプラプラ中を歩いていると1人でいる君を見つけた。
出かける場所ここだったんだとどうせなら一緒に帰れるかもと声をかけようとすると少し遠くから君の名前を呼びながら走ってくるあの日の女の子を見つけた。
近くに来た女の子の少し乱れた髪を整えるように触り優しく笑いかける君を見た。
あぁそういうことか。もうそろそろ終わりの時間か。
君とのお付き合いが始まった時、僕は終わりを考えていた。
一生一緒にいる気が僕にはなかったのかもしれない。
君を好きだと自覚した時から、男同士など普通では無いとわかっていたから。
君が告白をしてくれなかったらきっと僕は君に好きだと伝えることすらしなかっただろう。
それでもあの日「好きかもしれない。」と言ってくれた君に。
何度も優しく抱いてくれる君に。
ずっとがとても難しくても。一生なんて言わなくても。
君の1番で唯一でいられるのならそれでいいとそう思ってしまった。
でもそれにももう終わりが来たのかもしれない。
やっぱり君の隣には小さくて可愛らしい女の子が似合うね。
君から別れようなんて言われたらきっと僕は泣き崩れてしまうから、前もって知れたのはとても良かった。
その日君は夕方頃に帰ってきた。
僕は夕飯を作って待っていた。いつもどうり2人でご飯を食べて、2人で食器を洗って。
よしお風呂に入ろうかと君が立ち上がったところで
「今日一緒に入りたい。」
そう僕が言う。
「え?珍しいね。」
少し照れて君が言うから
「たまにはさ…。ダメ?」
最大限の愛嬌を出して言うと
「ダメじゃないよ。嬉しい。一緒に入ろうか。」
そう君が言って手を引いてくれた。
1人ずつ体を洗って一緒に湯船に入る。
少しだけ2人で話して少し沈黙ができた。不思議なことに他の人との無言の時間は気まずいけれど君とのこの時間はとても心地がいい。
僕はゆっくりと君と向き合うように身体を動かして自分から君にキスをした。
少し驚い君が何かを言いたそうにしたけど、言わせない。と言わんばかりにキスしまくっていると諦めたのか不意に君から噛みつかれるようなキスが帰ってきた。
それに必死に答えるようについて行くと、
「可愛い…。」
君がそう言って優しく僕の体に触ってきた。
そこからはいつもと同じく甘い雰囲気になっていく。
でも今日はいつもみたいにじゃなくて酷く抱いて欲しいんだ。
出来れば一生忘れられないくらい記憶に残るように。
だから
「秋人。酷くして?」
できるだけ君を煽るように。
「秋人が欲しい。」
君の理性が聞かなくなるように。
僕のその言葉に煽られた秋人はその日僕を初めて少し荒々しく抱いた。
その日から何日かたったある日。
僕は家の荷物をボストンバッグに入れて玄関にいた。
バックに入らないものは予め新しい家に持っていっていたので荷物はこれだけ。
机の上に手紙と大学生になる時に貰ったペアリングを置いて。
2年間秋人と一緒に過ごした部屋にお別れを告げる。
僕と秋人約4年間付き合った。
正直ここまで続くとは思っていなくて、もしかしたらずっとこのままでいられるのではと思ったのはここだけの話。
今日君と僕は他人になる。
夢のような時間はそう簡単には続いてくれないらしい。
長かったような短かったような2人の時間が終わる。
男同士なんて普通じゃないから。
友達にも親にも怖くて言えなかった。
引かれるんじゃないか。僕たちから離れていってしまうんじゃないか。何より君から君の周りから人がいなくなってしまうんじゃないか。それが怖くて。
君を好きだと自覚した時から僕は誰になんと言われようが誰が僕から離れようが君がいてくれさえすればよかった。
人とは違うとわかっていたから。それならそれでいいやとそう思っていたけど。
君はそうじゃないから。
女の子と付き合って、結婚して子供ができて。
僕は君にそういう当たり前の幸せをら普通の未来を見て欲しかった。
だから付き合った時から僕は君との終わりを見ていた。
想像以上に長く一緒にいてしまったけど。
まだ引き返せるから。
君は知らないだろうけど、僕が君に抱かれたいと言った理由はちゃんと引き返せるようになんだよ。
抱かれるより抱く方がまだやり直しが聞くでしょう?
だからどうか幸せになってください。
君に抱かれるのは酷く幸せだったから今度はそれをあの子に。
僕は大丈夫。一生記憶に残る抱き方をしてもらったからね。大丈夫。
2人の家を後にして新しい自分の家に向かって歩く。
もう見ることがないであろう駅までの道を心に焼き付けながら。
黒いふわふわとした髪に桜の花びらを1枚つけお母さんの後ろに隠れながらこっちをチラチラと見ていた君は僕の隣の家に引っ越してきた。
思えばきっと初めて会った時から君のことが好きだった。
恥ずかしそうにでもこっちに来たそうな。
どうにも落ち着かない君が可愛くて、
「初めまして。春斗って言います。君の名前は?」
そう声をかけるビクッとしたけど少しだけ緊張がほぐれたのか
「秋人…です。」
小さい声ででもちゃんと目を見ながら返してくれた。
そこからは幼稚園でも、休みの日でも、君と仲良くなれるように積極的に話しかけて。
どんどん心を開いてくれる君が、笑顔を見せてくれる君が可愛くて。
まだ僕にしか心を開いていない君が僕から離れないのも嬉しくて、ずっと僕だけならいいのにとかどす黒い感情も出てきたりした。
だけど君は優しくて可愛いからすぐにみんなと仲良くなっていて。
すごく楽しそうにしている君を見たらそんな感情すぐに無くなったけど。
小学校になって漢字を習った時。
お互いの名前に『春』と『秋』季節の名前が入っていることを知った。
「なんか僕たちは仲良くなる運命だったのかもね。」
とふわっと笑う君に
「そうだね。」
と笑い返して。
その運命が君と一生一緒にいれるものならいいな。と
自分の君に対する気持ちが恋というものなのだとその時初めて知った。
誰にも取られたくなくて、僕だけが君の隣にいたくて、
君の1番が僕出会って欲しい。
そう思った。
中学になり周りも少しませ始めた頃。
「彼女が出来た…。」
そう君が少し恥ずかしそうに報告してきた。
「おめでとう。」
精一杯の笑顔で言うと
「ありがとう。相談とか乗ってね。」
と笑った。
彼女の隣にいる君はいつも幸せそうに笑っていて。
そんな君の隣にいる彼女も幸せそうで。
彼女にかける優しい声も、優しく撫でる手も、愛おしそうに見つめる瞳も、全て僕に向けられたらいいのに。
そんな叶わない願いは僕の中だけの小さな秘密。
高校生。
同じ高校だった僕たちは変わらず仲が良くて、一緒に学校に行って、一緒に帰る。
彼女と学校が離れた君はたまに彼女に会いに帰りは別々になってしまうけど。
それでもまだ近くに入れることが嬉しかった。
彼女に浮気されて大喧嘩て帰ってきた日。
珍しく俺の部屋に来た君はものすごく辛そうな顔をしていて。
「今日だけ一緒にいて欲しい。」
そう小さく呟いや君に
「いつでもいくらでもいるよ。」
そう優しく返して
どうか君が幸せにあれますように。そう願いを込めて頭を撫でながらその日は一緒に眠った。
何日かして君から彼女と別れたと聞いた。
その時の君はどこか寂しそうででもスッキリしたような顔をしていて。
「今日は学校サボって遊びに行こう。」
そう行って驚く君を強引にいろんな所へ連れ回した。
映画にカラオケ、ゲームセンターにボウリング。
少しでも君の寂しさが紛れればいいと思って。
「あーぁ楽しかった。ありがとう。」
そう言って楽しそうに笑う君が可愛くて。
「可愛い。」
と思わず溢れてしまった言葉に、
「え??」
と少し照れながら驚いた君がこっちを真っ直ぐに見るから。
慌てて帰ろうと家路に着いた。家に着くまで君の顔は見れなかったけど家の前で別れる時に朝の寂しそうな顔が全くなかったことが嬉しかった。
それからしばらく経って君から話があると家に呼ばれて。
「俺春斗のことが好きっぽい。」
そう君が言った。夢見たいだった。
「男同士とか気持ち悪いかな…?」
驚きすぎて何も言えないでいると不安そうに君が聞くから
「そんなことない。僕もずっと秋人が好きだよ。」
と言うと少し驚いてでも嬉しそうに君が笑った。
「付き合ってくれる?」
君の言葉に
「喜んで。」
そう答えると優しく抱きしめられる。
「良かった。」
そう言ってギューっと抱きしめる腕に力を込める君が愛おしくて思わず笑ってしまった。
付き合ってしばらくして放課後いつもどうり君の家で2人寛いでいると、
不意に甘い雰囲気になった。
「春斗はどっちがいいとかある?」
そう恥ずかしそうに聞く君に
「僕は秋人に抱かれたいな。」
そう僕が返すと
「わかった。優しくする。」
そう嬉しそうに君が答える。
割れ物でも扱うかのように優しく触る君に、
愛おしそうに僕を見る君に、とてつもなく興奮した。
君との初めては少し痛くてでもとても幸せだった。
それからも僕たちは順調にお付き合いが続き大学生になった。
それと同時に同棲も始めた。親にはまだ僕たちの関係は言えてないけれど男同士の同居なんてそんなに気にもされない。
大学はそれぞれ違うけれど時々お互いの大学まで行って
一緒に帰る。
そんな毎日を送っている。
いつものように僕が君の大学ののカフェで君が終わるのを待っていると、君が可愛い女の子と腕を組んで楽しそうに歩いてくるのが見えた。
その子は君より小さくて、可愛らしくて、2人はとってもお似合いなカップルにしか見えなくて。
門のところで2人が別れて君が僕のいるカフェまで来た。
僕は動揺が君に伝わらないように
「お疲れ様。」
と声をかける。
「春斗もお疲れ様。帰ろうか。」
そう優しく君が笑う。
その帰り道。
僕がいつもより静かだったのに心配したのか
「大丈夫?なんかあった?」
そう君が聞いてきた。
あの女の子は誰? どうして腕を組んでいたの? なんであんなに楽しそうな顔で笑っていたの?
そう聞ければよかったけどそんなことをする勇気は僕にはない。
それでもし、浮気してたら?新しい好きな人だったら?僕の方が浮気相手だったら?きっと僕は立ち直れないから。
「なんでもないよ。今日は少し疲れちゃっただけ。」
「そっか。帰ってゆっくり休もう。」
そう優しく頭を撫でてくれる君が今の僕には酷く辛かった。
その日は帰ってから二人でゆっくり過ごして一緒に寝た。
この幸せがどうかなくなりませんように。そう願いながら。
何日かたった休日。
友達と予定があるらしい君が朝から出かけてしまったから僕も文房具でも買いにデパートに行った。
文房具を買い終わってせっかくだしとプラプラ中を歩いていると1人でいる君を見つけた。
出かける場所ここだったんだとどうせなら一緒に帰れるかもと声をかけようとすると少し遠くから君の名前を呼びながら走ってくるあの日の女の子を見つけた。
近くに来た女の子の少し乱れた髪を整えるように触り優しく笑いかける君を見た。
あぁそういうことか。もうそろそろ終わりの時間か。
君とのお付き合いが始まった時、僕は終わりを考えていた。
一生一緒にいる気が僕にはなかったのかもしれない。
君を好きだと自覚した時から、男同士など普通では無いとわかっていたから。
君が告白をしてくれなかったらきっと僕は君に好きだと伝えることすらしなかっただろう。
それでもあの日「好きかもしれない。」と言ってくれた君に。
何度も優しく抱いてくれる君に。
ずっとがとても難しくても。一生なんて言わなくても。
君の1番で唯一でいられるのならそれでいいとそう思ってしまった。
でもそれにももう終わりが来たのかもしれない。
やっぱり君の隣には小さくて可愛らしい女の子が似合うね。
君から別れようなんて言われたらきっと僕は泣き崩れてしまうから、前もって知れたのはとても良かった。
その日君は夕方頃に帰ってきた。
僕は夕飯を作って待っていた。いつもどうり2人でご飯を食べて、2人で食器を洗って。
よしお風呂に入ろうかと君が立ち上がったところで
「今日一緒に入りたい。」
そう僕が言う。
「え?珍しいね。」
少し照れて君が言うから
「たまにはさ…。ダメ?」
最大限の愛嬌を出して言うと
「ダメじゃないよ。嬉しい。一緒に入ろうか。」
そう君が言って手を引いてくれた。
1人ずつ体を洗って一緒に湯船に入る。
少しだけ2人で話して少し沈黙ができた。不思議なことに他の人との無言の時間は気まずいけれど君とのこの時間はとても心地がいい。
僕はゆっくりと君と向き合うように身体を動かして自分から君にキスをした。
少し驚い君が何かを言いたそうにしたけど、言わせない。と言わんばかりにキスしまくっていると諦めたのか不意に君から噛みつかれるようなキスが帰ってきた。
それに必死に答えるようについて行くと、
「可愛い…。」
君がそう言って優しく僕の体に触ってきた。
そこからはいつもと同じく甘い雰囲気になっていく。
でも今日はいつもみたいにじゃなくて酷く抱いて欲しいんだ。
出来れば一生忘れられないくらい記憶に残るように。
だから
「秋人。酷くして?」
できるだけ君を煽るように。
「秋人が欲しい。」
君の理性が聞かなくなるように。
僕のその言葉に煽られた秋人はその日僕を初めて少し荒々しく抱いた。
その日から何日かたったある日。
僕は家の荷物をボストンバッグに入れて玄関にいた。
バックに入らないものは予め新しい家に持っていっていたので荷物はこれだけ。
机の上に手紙と大学生になる時に貰ったペアリングを置いて。
2年間秋人と一緒に過ごした部屋にお別れを告げる。
僕と秋人約4年間付き合った。
正直ここまで続くとは思っていなくて、もしかしたらずっとこのままでいられるのではと思ったのはここだけの話。
今日君と僕は他人になる。
夢のような時間はそう簡単には続いてくれないらしい。
長かったような短かったような2人の時間が終わる。
男同士なんて普通じゃないから。
友達にも親にも怖くて言えなかった。
引かれるんじゃないか。僕たちから離れていってしまうんじゃないか。何より君から君の周りから人がいなくなってしまうんじゃないか。それが怖くて。
君を好きだと自覚した時から僕は誰になんと言われようが誰が僕から離れようが君がいてくれさえすればよかった。
人とは違うとわかっていたから。それならそれでいいやとそう思っていたけど。
君はそうじゃないから。
女の子と付き合って、結婚して子供ができて。
僕は君にそういう当たり前の幸せをら普通の未来を見て欲しかった。
だから付き合った時から僕は君との終わりを見ていた。
想像以上に長く一緒にいてしまったけど。
まだ引き返せるから。
君は知らないだろうけど、僕が君に抱かれたいと言った理由はちゃんと引き返せるようになんだよ。
抱かれるより抱く方がまだやり直しが聞くでしょう?
だからどうか幸せになってください。
君に抱かれるのは酷く幸せだったから今度はそれをあの子に。
僕は大丈夫。一生記憶に残る抱き方をしてもらったからね。大丈夫。
2人の家を後にして新しい自分の家に向かって歩く。
もう見ることがないであろう駅までの道を心に焼き付けながら。
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