8 / 9
7、
しおりを挟む
「大変、ご迷惑をおかけしました」
出社と同時に、まず部長に頭を下げる。その後は、俺が休みの間、仕事を肩代わりしてくれた何人かの後輩にも、詫びと礼を言って回る。
特に杉田は、
「今度、回らない寿司屋でご相伴に与りたいです」
と、ちゃっかり見返りを要求してきた。
致し方なし。
「今度な」
と、返すにとどめ、自分のデスクにつく。
書類が中々に溜まっていた。
ざっと目を通し、期限別に仕分けていく。
なんら変わらない。
いつもの仕事風景だった—。
その日は、定時より少し過ぎに部署を後にした。
今日は、帰りにスーパーに寄る。でなければ、うちの冷蔵庫は、もぬけの殻だ。
エントランスを通って、歩道に出る。
スーパーへは右だ。
「——紺さん」
びりっと、舌が痺れる。
下腹部が、ぐっと重くなった。
…振り返らなくても分かる。
「……」
「…ライン、見てくれた?」
知ってはいる。
だけど、既読のまま…無視をした。大人げないとも思ったが、返信はできなかった。
「—おれを見て」
気配が近づいてくる。
つい三週間程前に、いつもの店で顔を合わせた時とは、まったく比べ物にならないくらい、魅惑的な香りをまとわせた、俺の…。
背中に手を添えられる。
それだけで産毛が立った。
「…行こう?」
どこに…?
と、聞き忘れた。
あとはもう、ただ手を引かれるまま…。
********
連れてこられたのは、閑静な住宅街にある、一軒家だった。二階建ての、小さいが庭もある、どうみても新築の。
「…ここって」
「おれの家」
テラスのついた一階の窓には、まだカーテンもかかっていなかった。
「まだ引っ越してきたばかりだから。なんも無いけど」
靴を脱いで、玄関を上がる。
フローリングの床が、殺風景なリビングまで続いていた。
「引っ越し?いつだ」
「この前。紺さんと連絡が取れなくなってから」
ウッと、良心が咎める。
「前のマンションには、もういられないし…それに」
「…それに?」
「紺さんと、一緒にいたい」
昔みたいに…と、見つめてくる。
やわらかい、あの、青磁の目だった。
「…青磁、俺」
言っていないことが、いっぱいある。
何も言うまいとしてきたことも、ある。
「おれを選んで…。父さんじゃなくて」
はっとする。
「青磁、お前…」
知っていたのか?
何を?何もかもを?
「詳しくは知らないよ?でも、なんとなく分かる。分かっちゃうんだ…」
なんとも言えないように、笑う。
「おれも、そういう意味では、父さんの子かな?」
胸が詰まった。
そうじゃないと迷わずに言えたら、どんなに良かったか。
「俺は…」
「貴方が、好きだ」
「…っ…」
「ずっと…。たぶん、出会った時から、ずっと」
手を取られる。
両手で包み込むように。壊れ物を扱うように。
見つめる目…。
俺の答えを待つ瞳。
俺は…。
震えている青磁の手に気がついた。
「…ごめん。嬉しくて」
「……嬉しい?」
「うん。好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…」
「…っ…」
——俺は、一生、誰かに好きだなんて言っちゃいけないんだ。
高校生の俺が、顔を出す。
「青磁、俺は…、お前のことが大事だ。あいつの子だから、じゃない」
本当に。
「だけど…」
俺は、臆病だ。
目の前の若者に、応えてやれないほど。
必死になって、大人になろうとして来ただけで。中身は、何一つ変わっちゃいない。
「お前の気持ちは、嬉しいよ。俺にとってお前は、息子みたいなもんだ。みたいなじゃなくて、もう半分は、俺が育てたようなもんだから、お前は俺の子だ」
ギュッと握る手が強まる。
俺は、それに優しく応えようとした。
でも出来なかった。
なぜなら、収まったと思った発情が、ぶり返したからだ。
「…っ」
発汗した身体が、うだる。
熱を帯びた身体を、急いで引く。
青磁が俺の手を掴む。強く。
引き寄せられて。
そうすると、嫌でも年月を感じる。
青磁の顔が、目の前にあった。
出会った頃は、胸に頭が届くのが、やっとだったのに。
中性的な細身の体格にもかかわらず、目覚めたばかりの雄の香りをまとわせたアルファが、俺の鼻筋に、自分の鼻をすり寄せる。
あともう少しで、唇が触れる。
********
舌と舌が、絡まる。
飲み込み切れなかった唾液が、顎を伝うと、青磁がそれを、舌先で追う。
喉仏を甘噛みされ、
「っあ」
と、思ったより高い声が出た。
自分の声じゃないみたいだ。
物も何もないはずの新居に、なぜかしっかりと据え付けられた寝室のベッド。
真新しいシーツの上で、フェロモンを溢れさせる。
雄を誘う香り。アルファを。
身に纏うものがシャツ一枚になって初めて、正気に返る。
「…あっ」
身体を隠したくて、シーツを掻き寄せた。
その手を取られ、指を絡めて繋がれ、首筋にキスを落とされる。
鎖骨をたどる唇の感触に、吐息が漏れた。
するりと足の間に伸ばされた手が、立ち上がったペニスをやわく握る。
「…っ、青磁。そこは、」
小ぶりな、オメガ特有の男性器。
繁殖機能はほとんど失われ、オメガ性の男には、精通も来ない。
形ばかり残ったそれを、青磁にまざまざと見られていると思うと、顔がカッと熱くなる。
昔は一緒に風呂にも入ったし、今初めて見られるわけでもないのに…。
「見るなっ」
「かわいいい」
「~~っ~」
パクパクと口を開閉させる俺に、青磁がうっそりと微笑む。
そうこうするうちに、さらに伸びた手が、粘液を滴らせるオメガの秘部を暴く。
最初は指、次に舌。
ほぐされ、蕩かされ、軽く達した。
完全に、青磁のペースだ。
悔しさに、腕を交差させて顔を隠す。
「——見せて」
「……ぃやだ」
かっこう悪い…。こんな姿、この若者に見せたくなかった。
指が、中にあるシコリを押す。
「っあ」
拳で口を塞ぐ。
何度も何度も、そこをいじられ、
「んっ…、せい」
快楽から逃げたくて、うつ伏せで、頬をシーツにつける。
上がった尻を持ち上げられて、腰をしっかりと押さえられる。
「——挿れるよ?」
「ぁ…」
早く欲しい。
早く。
入り口にあてがわれた青磁のものに反応して、腰が揺れる。
動かないように一層、力を込めて腰を掴まれ、青磁が、中に入ってきた。
「ぅん…」
雁首が通った後は、嘘のように一気に根元まで通る。
青磁の熱が、中いっぱい満たしていく。
「んん…ぁ」
ぞくぞくとしたものが、背を駆け上がって、口から唾液が伝う。
最奥手前で、一瞬だけ、中のモノが止まる。
「…せい?」
振り返るより早く、グッと、突きあげられた。
「ああっ、っうぁ」
律動に、早くも意識が霞む。
腰と腰が、ぶつかり合う。
揺れるベッド。
思うさま奥を突かれて、開きっぱなしの口からは、目も当てられないような甲高い声が出る。
「ひっ…、あ、ぁ、せぃ、じ…——うぁっ」
濡れた音が、寝室を支配する。
青磁以外聞いていない、でも、それが一番恥ずかしい。
「——ン」
青磁が、力む。
(……ぁーーーーー)
出社と同時に、まず部長に頭を下げる。その後は、俺が休みの間、仕事を肩代わりしてくれた何人かの後輩にも、詫びと礼を言って回る。
特に杉田は、
「今度、回らない寿司屋でご相伴に与りたいです」
と、ちゃっかり見返りを要求してきた。
致し方なし。
「今度な」
と、返すにとどめ、自分のデスクにつく。
書類が中々に溜まっていた。
ざっと目を通し、期限別に仕分けていく。
なんら変わらない。
いつもの仕事風景だった—。
その日は、定時より少し過ぎに部署を後にした。
今日は、帰りにスーパーに寄る。でなければ、うちの冷蔵庫は、もぬけの殻だ。
エントランスを通って、歩道に出る。
スーパーへは右だ。
「——紺さん」
びりっと、舌が痺れる。
下腹部が、ぐっと重くなった。
…振り返らなくても分かる。
「……」
「…ライン、見てくれた?」
知ってはいる。
だけど、既読のまま…無視をした。大人げないとも思ったが、返信はできなかった。
「—おれを見て」
気配が近づいてくる。
つい三週間程前に、いつもの店で顔を合わせた時とは、まったく比べ物にならないくらい、魅惑的な香りをまとわせた、俺の…。
背中に手を添えられる。
それだけで産毛が立った。
「…行こう?」
どこに…?
と、聞き忘れた。
あとはもう、ただ手を引かれるまま…。
********
連れてこられたのは、閑静な住宅街にある、一軒家だった。二階建ての、小さいが庭もある、どうみても新築の。
「…ここって」
「おれの家」
テラスのついた一階の窓には、まだカーテンもかかっていなかった。
「まだ引っ越してきたばかりだから。なんも無いけど」
靴を脱いで、玄関を上がる。
フローリングの床が、殺風景なリビングまで続いていた。
「引っ越し?いつだ」
「この前。紺さんと連絡が取れなくなってから」
ウッと、良心が咎める。
「前のマンションには、もういられないし…それに」
「…それに?」
「紺さんと、一緒にいたい」
昔みたいに…と、見つめてくる。
やわらかい、あの、青磁の目だった。
「…青磁、俺」
言っていないことが、いっぱいある。
何も言うまいとしてきたことも、ある。
「おれを選んで…。父さんじゃなくて」
はっとする。
「青磁、お前…」
知っていたのか?
何を?何もかもを?
「詳しくは知らないよ?でも、なんとなく分かる。分かっちゃうんだ…」
なんとも言えないように、笑う。
「おれも、そういう意味では、父さんの子かな?」
胸が詰まった。
そうじゃないと迷わずに言えたら、どんなに良かったか。
「俺は…」
「貴方が、好きだ」
「…っ…」
「ずっと…。たぶん、出会った時から、ずっと」
手を取られる。
両手で包み込むように。壊れ物を扱うように。
見つめる目…。
俺の答えを待つ瞳。
俺は…。
震えている青磁の手に気がついた。
「…ごめん。嬉しくて」
「……嬉しい?」
「うん。好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…」
「…っ…」
——俺は、一生、誰かに好きだなんて言っちゃいけないんだ。
高校生の俺が、顔を出す。
「青磁、俺は…、お前のことが大事だ。あいつの子だから、じゃない」
本当に。
「だけど…」
俺は、臆病だ。
目の前の若者に、応えてやれないほど。
必死になって、大人になろうとして来ただけで。中身は、何一つ変わっちゃいない。
「お前の気持ちは、嬉しいよ。俺にとってお前は、息子みたいなもんだ。みたいなじゃなくて、もう半分は、俺が育てたようなもんだから、お前は俺の子だ」
ギュッと握る手が強まる。
俺は、それに優しく応えようとした。
でも出来なかった。
なぜなら、収まったと思った発情が、ぶり返したからだ。
「…っ」
発汗した身体が、うだる。
熱を帯びた身体を、急いで引く。
青磁が俺の手を掴む。強く。
引き寄せられて。
そうすると、嫌でも年月を感じる。
青磁の顔が、目の前にあった。
出会った頃は、胸に頭が届くのが、やっとだったのに。
中性的な細身の体格にもかかわらず、目覚めたばかりの雄の香りをまとわせたアルファが、俺の鼻筋に、自分の鼻をすり寄せる。
あともう少しで、唇が触れる。
********
舌と舌が、絡まる。
飲み込み切れなかった唾液が、顎を伝うと、青磁がそれを、舌先で追う。
喉仏を甘噛みされ、
「っあ」
と、思ったより高い声が出た。
自分の声じゃないみたいだ。
物も何もないはずの新居に、なぜかしっかりと据え付けられた寝室のベッド。
真新しいシーツの上で、フェロモンを溢れさせる。
雄を誘う香り。アルファを。
身に纏うものがシャツ一枚になって初めて、正気に返る。
「…あっ」
身体を隠したくて、シーツを掻き寄せた。
その手を取られ、指を絡めて繋がれ、首筋にキスを落とされる。
鎖骨をたどる唇の感触に、吐息が漏れた。
するりと足の間に伸ばされた手が、立ち上がったペニスをやわく握る。
「…っ、青磁。そこは、」
小ぶりな、オメガ特有の男性器。
繁殖機能はほとんど失われ、オメガ性の男には、精通も来ない。
形ばかり残ったそれを、青磁にまざまざと見られていると思うと、顔がカッと熱くなる。
昔は一緒に風呂にも入ったし、今初めて見られるわけでもないのに…。
「見るなっ」
「かわいいい」
「~~っ~」
パクパクと口を開閉させる俺に、青磁がうっそりと微笑む。
そうこうするうちに、さらに伸びた手が、粘液を滴らせるオメガの秘部を暴く。
最初は指、次に舌。
ほぐされ、蕩かされ、軽く達した。
完全に、青磁のペースだ。
悔しさに、腕を交差させて顔を隠す。
「——見せて」
「……ぃやだ」
かっこう悪い…。こんな姿、この若者に見せたくなかった。
指が、中にあるシコリを押す。
「っあ」
拳で口を塞ぐ。
何度も何度も、そこをいじられ、
「んっ…、せい」
快楽から逃げたくて、うつ伏せで、頬をシーツにつける。
上がった尻を持ち上げられて、腰をしっかりと押さえられる。
「——挿れるよ?」
「ぁ…」
早く欲しい。
早く。
入り口にあてがわれた青磁のものに反応して、腰が揺れる。
動かないように一層、力を込めて腰を掴まれ、青磁が、中に入ってきた。
「ぅん…」
雁首が通った後は、嘘のように一気に根元まで通る。
青磁の熱が、中いっぱい満たしていく。
「んん…ぁ」
ぞくぞくとしたものが、背を駆け上がって、口から唾液が伝う。
最奥手前で、一瞬だけ、中のモノが止まる。
「…せい?」
振り返るより早く、グッと、突きあげられた。
「ああっ、っうぁ」
律動に、早くも意識が霞む。
腰と腰が、ぶつかり合う。
揺れるベッド。
思うさま奥を突かれて、開きっぱなしの口からは、目も当てられないような甲高い声が出る。
「ひっ…、あ、ぁ、せぃ、じ…——うぁっ」
濡れた音が、寝室を支配する。
青磁以外聞いていない、でも、それが一番恥ずかしい。
「——ン」
青磁が、力む。
(……ぁーーーーー)
66
あなたにおすすめの小説
ランドセルの王子様(仮)
万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。
ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。
親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。
息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。
ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日”
ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、
ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった
一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。
結局俺が選んだのは、
“いいね!あそぼーよ”
もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと
後から思うのだった。
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか
Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。
無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して――
最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。
死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。
生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。
※軽い性的表現あり
短編から長編に変更しています
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
曖昧な関係
木嶋うめ香
BL
笹川蛍(ささがわけい)はリモートワーク勤務の会社員。
高校からの友達である中村拓(なかむらたく)と一緒に暮らしている。
会社支給のパソコンの交換のため久し振りに会社に出ていた蛍は、コンビニで明日の朝食用の食材と一緒に買ったコーヒーとドーナツを車の中で食べながら、拓と暮らす部屋ではドーナツなんて食べたことなかったなと気がついた。
Xのルクイユ・アートフェスティバル(@RecueilArtFest)様の素敵企画『ルクイユのおいしいごはんBL』に参加中です。
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる