猫探偵と助手のぼく

星野月

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猫の恋愛教室

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 サマースクール四日目、午前の部が終わり、昼ごはんの時間になった。おばあちゃんが、昼ごはんをみんなで作る日を明日でどうですか?と提案してきた。おばあちゃんは、ぼくに目で合図をしてきた。どうやら、えっちゃんの都合も大丈夫そうだ。

「はい、僕は全然構いません。みんな、どうだ?」

と、山田さんがぼくたちに聞いてきた。

「賛成で~す」

「面白そう」

「何を作るの?」

など、概ね好評のようだ。

「メニューは、明日のお楽しみだよ」

と、おばあちゃんは焦らせてくる。

「明日は、エプロンと三角巾なければバンダナ、持ってる人は持って来てね。なければうちに何着かあるから、それをお貸しするよ」

 ぼくは持ってないので、おばあちゃんに借りよう。たぶん、おばあちゃんの割烹着だろう…。

 サマースクール四日目も終わり、ぼくは勉強道具を2階に置きに行って、また1階へと降りて来た。和室には、おばあちゃんと路代おばさん、そしてタンタンがいた。

「あ、優斗、明日の打ち合わせがあるから、ちょっとおいで」

 おばあちゃんに声を掛けられた。

「えっ、打ち合わせって?」

「ほら、えっちゃんと山田さんがスムーズに会話出来るように予め台本を用意しておくのよ」と、路代おばさん。

「そんな、うまくいくものなの?」

 自然の流れに任せたほうがいいんじゃないかな?とは思ったものの、何か会話するきっかけがあったほうがいいかもしれない。

「えー、まず、そうだね。二人の共通の話題は何かあるかな?優斗、山田さんについて何か知ってる?」と、おばあちゃん。

「う~ん、そうだなぁ。あっ、虫が好きらしいよ。北海道のセミのことを教えてもらった」

「虫好き…、えっちゃんは虫に興味あるかなぁ」と、路代おばさん。

「あ、あとそうだ。ドカベンと同じ名前なんだよ。山田太郎。だから野球好きみたい。ファイターズファンっぽい」

 そう、ぼくのパパがジャイアンツファンだと知ると、山田さんは「なんだ、ファイターズじゃないのか」と不服そうだった。

「野球かぁ!それはいいかも。えっちゃん昔、野球部のマネージャーやってたし。確かファイターズのファンだったんじゃないかな?」

 おっ、いい流れになって来たぞ。タンタンは、相変わらず路代おばさんの太ももの上で丸くなって目を閉じている。けれど、時々、耳が動くのでぼくたちの会話を聞いているようだった。

「じゃあ、何か話題に困ったら野球ネタを振るってことでOKね。ま、何とかなるか」と、路代おばさん。

「そうそう。二人の相性が良ければ何とかなるわよ」と、おばあちゃん。

 こんな所で好き勝手に自分たちがマッチングされているとは、山田さんもえっちゃんも予想だにしないだろうな…。おばあちゃんと路代おばさんが、どうか余計なことをしませんように、と心の中で祈った。

 サマースクール、五日目。ついに料理お見合いの日がやって来た。午前中はいつも通り、各自夏休みの宿題を片付け、お昼になった。みんな持ち寄ったエプロンや三角巾、バンダナを手に、調理場へと向かう。

「みんなエプロンちゃんと結べるか。出来なかったら、みんなで手伝いあってな」

 そう言ってるそばから、山田さんはエプロンを着るのに苦戦している。ヒモの位置がよくわからないらしい。ぼくは、そっとさりげなく山田さんのエプロンを正しく着付けてあげた。出来るだけ、目立たぬように。だって、目の前にはえっちゃんがいるのだから。山田さんに恥はかかせられない。

「えー、みなさん今日は『民宿はせがわ』のお料理教室へようこそ。わからないことがあったら、うちの母や私、そしてスペシャルゲストのえっちゃんに聞いてね」

 いつから『民宿はせがわ』のお料理教室になってしまったのかはよくわからないが、みんな張り切っているので楽しそうだ。

「今日の食材を提供している悦子です。路代ちゃんとは幼馴染です。今日はよろしくお願いします」

 えっちゃんは、みんなにお辞儀をした。タンタンは調理場は危ないので、今日は食堂で待機中だ。退屈かもしれない。
 さぁ、みんなで昼ごはんを作るぞ。ぼくはもう、お腹が空いてペコペコだ!



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