7 / 26
第6話 遭遇
しおりを挟む
「ここが一流レストラン ブランジュール。名だたる貴族達も通い詰めている有名なレストランさ。かく言う僕も良く此処に来ていてね特に……」
「あー、うん」
拉致?されたシンは手を引かれるがままに馬車の中へと押し込まれた。何されるんだと身構えたシンだが特に何かされる訳でもなく今の今まで街の案内をされている。きっと悪いヤツではないのだろう、割と気が利くし此処が初めてと聞いて直ぐに案内役をしてくれているわけだし。
それでもローブから出ている足に目線が行っているのは男なら仕方がないのだろう。ここは1つ見逃してやろう、亜里朱なら間違いなくそうはさせないだろうが生憎と今身体を動かしているのは男なのだから。
「おい小娘、もっと興味がありそうにせんか」
「んなこと言われても……」
付き添いの男に小突かれてそちらを向くと此方にしか聞こえない声でそう言ってくる。確かに街案内は有難いのだがシンとしては地理の確認さえ出来ればそれで良かったのだからこれはありがた迷惑なのである。
感謝すべきなのだろうが実際はこうして迷惑を被っている、相手がほぼ善意だけの行動なだけに無下に出来ないのも非常にめんどくさい。
「悪い、俺この辺で……」
「!?ふせたまえ!」
流石にこれ以上は相手にも悪いしこの辺で帰るかなとシンが言い切る前にケルトがそう叫んだ。次の瞬間馬車が爆発した。
「大丈夫かね?」
「おう、助かったわ」
「なに君のような美しい女性を護るのが僕の役目さ」
「くっ、何奴!」
間一髪のところでシンはブランに抱えられて無事に脱出していた。やはりシンが思っていた通りただの道楽貴族ではないらしい、付き添いの男も無事であるところを見るにやはり2人は軍の関係者だろうか。自分で脱出は出来なくもないが正直だるかったので丸投げしたが予想通り助けてくれて内心は「あ、マジで助けやがった」と驚き半分感謝半分あと呆れほんのちょっとである。
地面に降ろされたシンは周りを見渡す。
(30人ってとこか、人気の無い道での犯行。こりゃ当たりかもな)
見えるのはせいぜい10人程度だが隠れているのは直ぐに分かった、だだ漏れの殺気を見逃すシンではない。調査のつもりで外に出たが思いのほか早くこの世界の闇に触れる事が出来たのは運が良かった。確実にこれは世界の危機に繋がっている筈なのだ。
「言いたい事は沢山あるが……君たちはあろう事かこの美しい女性に手を出した、覚悟は出来ているかね?」
ブランの雰囲気が変わる。
腰に指していたサーベルを抜き構える姿に隙はない、「達人」のそれである。
「小娘は下がっておれ、ブラン様と私がここは抑えよう」
「あー、いや俺も何人か担当するわ3人ぐらい貰っていいか?」
「なに?」
ブランは既に戦闘を始めており目の前で暴れている。10人だけだった黒ローブたちはいつの間にか数が増えて20人程になっていた、それでも見るからに圧倒しており何人か既に血塗ろになり地に這いつくばっているところを見るに余裕だろう。
「……まぁいい、危なくなったら直ぐに駆け付ける。精々気を付けろよ」
付き添いの男は飛んできたファイアをサーベルで逸らしそのまま敵の方向へ走っていく。あぁいうのをツンデレって言うんだよな誰得だよと思いながら小道を睨む。
「さてと……そろそろ出てこいよ」
幾つも別れた小道から3人の男が現れる。どうやらこの3人がこの中で1番強いらしい、こんな所まで当たりを引く必要は無かったのだが運が良いのか悪いのか。
下衆な笑みを浮かべる男3人は舐め回すようにシンの身体を見ている。
「おい嬢ちゃん、見上げた根性してるじゃねぇか……なら何されても文句ねぇよな?」
「へへ、上玉だな。俺は口貰うぜ」
「おいおいお前またかよ」
なるほど、確かに女性は大変だ。男であるシンでさえ吐き気がするその下衆な考えに溜め息を吐く。こんな気持ち悪い目線向けられたら怯えるのも無理もない、残念ながら自分は見た目こそかわいい女だが中身は男なのだ。吐き気こそしても恐怖はない。
「悪いな、これ借りもんだからさ。簡単に許してやるつもりはないんだわ、どうしてもヤリたいんなら無理やり組み伏せてみろよ」
「あー、うん」
拉致?されたシンは手を引かれるがままに馬車の中へと押し込まれた。何されるんだと身構えたシンだが特に何かされる訳でもなく今の今まで街の案内をされている。きっと悪いヤツではないのだろう、割と気が利くし此処が初めてと聞いて直ぐに案内役をしてくれているわけだし。
それでもローブから出ている足に目線が行っているのは男なら仕方がないのだろう。ここは1つ見逃してやろう、亜里朱なら間違いなくそうはさせないだろうが生憎と今身体を動かしているのは男なのだから。
「おい小娘、もっと興味がありそうにせんか」
「んなこと言われても……」
付き添いの男に小突かれてそちらを向くと此方にしか聞こえない声でそう言ってくる。確かに街案内は有難いのだがシンとしては地理の確認さえ出来ればそれで良かったのだからこれはありがた迷惑なのである。
感謝すべきなのだろうが実際はこうして迷惑を被っている、相手がほぼ善意だけの行動なだけに無下に出来ないのも非常にめんどくさい。
「悪い、俺この辺で……」
「!?ふせたまえ!」
流石にこれ以上は相手にも悪いしこの辺で帰るかなとシンが言い切る前にケルトがそう叫んだ。次の瞬間馬車が爆発した。
「大丈夫かね?」
「おう、助かったわ」
「なに君のような美しい女性を護るのが僕の役目さ」
「くっ、何奴!」
間一髪のところでシンはブランに抱えられて無事に脱出していた。やはりシンが思っていた通りただの道楽貴族ではないらしい、付き添いの男も無事であるところを見るにやはり2人は軍の関係者だろうか。自分で脱出は出来なくもないが正直だるかったので丸投げしたが予想通り助けてくれて内心は「あ、マジで助けやがった」と驚き半分感謝半分あと呆れほんのちょっとである。
地面に降ろされたシンは周りを見渡す。
(30人ってとこか、人気の無い道での犯行。こりゃ当たりかもな)
見えるのはせいぜい10人程度だが隠れているのは直ぐに分かった、だだ漏れの殺気を見逃すシンではない。調査のつもりで外に出たが思いのほか早くこの世界の闇に触れる事が出来たのは運が良かった。確実にこれは世界の危機に繋がっている筈なのだ。
「言いたい事は沢山あるが……君たちはあろう事かこの美しい女性に手を出した、覚悟は出来ているかね?」
ブランの雰囲気が変わる。
腰に指していたサーベルを抜き構える姿に隙はない、「達人」のそれである。
「小娘は下がっておれ、ブラン様と私がここは抑えよう」
「あー、いや俺も何人か担当するわ3人ぐらい貰っていいか?」
「なに?」
ブランは既に戦闘を始めており目の前で暴れている。10人だけだった黒ローブたちはいつの間にか数が増えて20人程になっていた、それでも見るからに圧倒しており何人か既に血塗ろになり地に這いつくばっているところを見るに余裕だろう。
「……まぁいい、危なくなったら直ぐに駆け付ける。精々気を付けろよ」
付き添いの男は飛んできたファイアをサーベルで逸らしそのまま敵の方向へ走っていく。あぁいうのをツンデレって言うんだよな誰得だよと思いながら小道を睨む。
「さてと……そろそろ出てこいよ」
幾つも別れた小道から3人の男が現れる。どうやらこの3人がこの中で1番強いらしい、こんな所まで当たりを引く必要は無かったのだが運が良いのか悪いのか。
下衆な笑みを浮かべる男3人は舐め回すようにシンの身体を見ている。
「おい嬢ちゃん、見上げた根性してるじゃねぇか……なら何されても文句ねぇよな?」
「へへ、上玉だな。俺は口貰うぜ」
「おいおいお前またかよ」
なるほど、確かに女性は大変だ。男であるシンでさえ吐き気がするその下衆な考えに溜め息を吐く。こんな気持ち悪い目線向けられたら怯えるのも無理もない、残念ながら自分は見た目こそかわいい女だが中身は男なのだ。吐き気こそしても恐怖はない。
「悪いな、これ借りもんだからさ。簡単に許してやるつもりはないんだわ、どうしてもヤリたいんなら無理やり組み伏せてみろよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる