♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

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第6話 遭遇

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「ここが一流レストラン ブランジュール。名だたる貴族達も通い詰めている有名なレストランさ。かく言う僕も良く此処に来ていてね特に……」

「あー、うん」






拉致?されたシンは手を引かれるがままに馬車の中へと押し込まれた。何されるんだと身構えたシンだが特に何かされる訳でもなく今の今まで街の案内をされている。きっと悪いヤツではないのだろう、割と気が利くし此処が初めてと聞いて直ぐに案内役をしてくれているわけだし。

それでもローブから出ている足に目線が行っているのは男なら仕方がないのだろう。ここは1つ見逃してやろう、亜里朱なら間違いなくそうはさせないだろうが生憎と今身体を動かしているのは男なのだから。



「おい小娘、もっと興味がありそうにせんか」

「んなこと言われても……」



付き添いの男に小突かれてそちらを向くと此方にしか聞こえない声でそう言ってくる。確かに街案内は有難いのだがシンとしては地理の確認さえ出来ればそれで良かったのだからこれはありがた迷惑なのである。
感謝すべきなのだろうが実際はこうして迷惑を被っている、相手がほぼ善意だけの行動なだけに無下に出来ないのも非常にめんどくさい。


「悪い、俺この辺で……」

「!?ふせたまえ!」



流石にこれ以上は相手にも悪いしこの辺で帰るかなとシンが言い切る前にケルトがそう叫んだ。次の瞬間馬車が爆発した。




「大丈夫かね?」

「おう、助かったわ」

「なに君のような美しい女性を護るのが僕の役目さ」

「くっ、何奴!」


間一髪のところでシンはブランに抱えられて無事に脱出していた。やはりシンが思っていた通りただの道楽貴族ではないらしい、付き添いの男も無事であるところを見るにやはり2人は軍の関係者だろうか。自分で脱出は出来なくもないが正直だるかったので丸投げしたが予想通り助けてくれて内心は「あ、マジで助けやがった」と驚き半分感謝半分あと呆れほんのちょっとである。

地面に降ろされたシンは周りを見渡す。

(30人ってとこか、人気の無い道での犯行。こりゃ当たりかもな)

見えるのはせいぜい10人程度だが隠れているのは直ぐに分かった、だだ漏れの殺気を見逃すシンではない。調査のつもりで外に出たが思いのほか早くこの世界の闇に触れる事が出来たのは運が良かった。確実にこれは世界の危機に繋がっている筈なのだ。


「言いたい事は沢山あるが……君たちはあろう事かこの美しい女性に手を出した、覚悟は出来ているかね?」


ブランの雰囲気が変わる。
腰に指していたサーベルを抜き構える姿に隙はない、「達人」のそれである。

「小娘は下がっておれ、ブラン様と私がここは抑えよう」

「あー、いや俺も何人か担当するわ3人ぐらい貰っていいか?」

「なに?」


ブランは既に戦闘を始めており目の前で暴れている。10人だけだった黒ローブたちはいつの間にか数が増えて20人程になっていた、それでも見るからに圧倒しており何人か既に血塗ろになり地に這いつくばっているところを見るに余裕だろう。


「……まぁいい、危なくなったら直ぐに駆け付ける。精々気を付けろよ」


付き添いの男は飛んできたファイアをサーベルで逸らしそのまま敵の方向へ走っていく。あぁいうのをツンデレって言うんだよな誰得だよと思いながら小道を睨む。


「さてと……そろそろ出てこいよ」


幾つも別れた小道から3人の男が現れる。どうやらこの3人がこの中で1番強いらしい、こんな所まで当たりを引く必要は無かったのだが運が良いのか悪いのか。
下衆な笑みを浮かべる男3人は舐め回すようにシンの身体を見ている。


「おい嬢ちゃん、見上げた根性してるじゃねぇか……なら何されても文句ねぇよな?」

「へへ、上玉だな。俺は口貰うぜ」

「おいおいお前またかよ」


なるほど、確かに女性は大変だ。男であるシンでさえ吐き気がするその下衆な考えに溜め息を吐く。こんな気持ち悪い目線向けられたら怯えるのも無理もない、残念ながら自分は見た目こそかわいい女だが中身は男なのだ。吐き気こそしても恐怖はない。


「悪いな、これ借りもんだからさ。簡単に許してやるつもりはないんだわ、どうしてもヤリたいんなら無理やり組み伏せてみろよ」



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