♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

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第5話 ナンパ

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「うぅ……私のファーストキスがぁ……」

「こりゃ駄目だな」


どよん、と亜里朱は部屋の隅でいじけていた。仮にも花の女子高生である亜里朱だって女の子として色々なファーストキスのシチュエーションを想像しなかったと言えば嘘となる。期待していなかったと言えば嘘になるが現実を見ていない訳でもないのでロマンチックに、とは行かずとも初めてがこんななんてあんまりだと。亜里朱は人生で1番拗ねていた。

「これから俺は街の様子見てくるけど、亜里朱は……」

「あぁ……最悪だぁ……私……」

「うん、取り敢えず行ってくるな」


完全にどんよりモードに入った亜里朱を置いてシンは部屋を出ていった。帰ってくる頃には元に戻ってますように、まぁ無理だろうけど。そんな事を思いながら。














――――――












国家 エルミナーぜ
城下町 ルミナ
美しい自然の中にそびえ立つ城、街の至る所には川が流れ非常に美しい。その昔小さな国が少しずつ集まっていって繁栄していき国家エルミナーゼが生まれた

周りには幾つか小さな街もあるが城下町であるルミナはその中でも群を抜いて大きい。戦争なんて太古の大昔に終戦しており盗賊なんてものはいるが滅多に争い事なんてものは起きずとても平和だ。

この世界には貧富の差が存在する。特に珍しくもない制度だが特筆してあげるならそれぐらいしかない。それほどにまでこの世界は平和なのだ。



「平和、だなぁ」



シンはぽつりとそう呟く。
ここまで平和な世界にやって来たのは本当に久しぶりで凄く珍しい。戦争が、争いが殆どない世界なんて滅多にない。そこら中で客寄せをする住民、活気に溢れ子供達が走り回っている。

平和だからと言って油断は出来ない。自分が此処に送られた、という事はこの世界に危機が迫っているということに他ならない。危機と言っても様々な形がある、何かが暴れているだとか兵器で世界そのものが壊れそうになっているだとか直接的な危機もあれば自然が枯れ果て生命が絶滅寸前、新たに王になる者が愚王で戦争が起きて人類が滅びるなんてものもある。

原因が分からなければ対処しようがない、と言われればその通りなのだがシンにはその危機になる起点となる者が誰で何なのか、感覚的に分かるのだ。ただし視界に収めないと把握出来ない為こうして色々な場所を回る必要がある。それでもシンは自分の直感がこの街のどこかに世界の危機がある、そう告げているのをしっかりと感じでいる。シックスセンスとも言える感覚が近くに原因があるとこの世界に来た時から感じているのだ。


「運がいいんだか悪いんだか……だがまぁ」


身体が入れ替わったのは完全に予想外である。この平和で脅威もほとんど無い世界だったのは運が良かった、そうでなければなんの力もないこの身体じゃ直ぐに殺されるのは目に見えている。対人でそこそこであれば対処出来るが流石に全戦全勝とはいかない、こっちはろくに魔法なんてものは使えないのだから。それにモンスターになれば勝手が違ってくる、下級と言われる雑魚程度なら何とかなるだろうがそれ以上はどうなるかなんて分からない。

しかしこれはチャンスかも知れない、そうシンは思う。


「このクソッタレな……」


人生を終わらせる事が出来るかも知れない。
ポツリと呟かれた言葉は周りの喧騒に飲まれて消えていった。





















「ねぇ君可愛いね。良ければ僕と一緒にお茶にでもしないかい?なぁに退屈はさせないさ、最高のおもてなしをする事を誓おう」



まず言わせて欲しい。
どうしてこうなった。


「この方は偉大なるブレイク家時期当主様、シャーク B ケルト様である。分かっているな?」


何が分かってるのかこっちが聞きたい。


「そう威圧するんじゃない。お嬢さんが怖がってるじゃないか」

「失礼しました、ケルト様」


何を隠そうシンは絶賛ナンパをされている。完全に失念していたが今自分は女でありそれなりに容姿もかわいいと言って差し支えない。だからと言って街を歩いていたらナンパされるなんて思いもしなかったシンは心底うんざりしていた。それもお相手はそれなりに権力がありそうな貴族、面倒な上迷惑極まりない。


「悪いな他を当たってくれ」

「ふむ、何か用事でもお有りでしたかな?」

「まぁうん」

「良ければ内容を聞いても?」


ウザイうえにしつこい。
出来る事なら無視して行きたいがそうは出来ない。この手の貴族の機嫌を損ねたらそれこそどうなるか分かったもんじゃない。それに感じる気が告げている、この男は見掛けによらずそれなりに出来ると。


「実はここに来たのは初めてでな、少し色々な場所を回りたいんだ」

「そうだったのですな!それなら良い事を思い付きました!」

「え、おいちょっと……」



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