♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

文字の大きさ
10 / 26

第9話 俺は悪くねぇ!

しおりを挟む
「ぜっっっっっったい、目を開けちゃダメだからね。分かってます?開けたら……切り落とすから」

「ちょっとあの、声のトーンがガチ過ぎて洒落になってないぞ」

「分かってますか?」

「分かってるから、な?落ち着こうぜ」

「分かって、ますか?」

「は、はい」



彼らはお風呂場に来ていた。幸い1番高い部屋を取った為にお風呂はかなり大きく余裕があった。シンが服を脱ごうと服に手を掛けた瞬間、洒落にならないぐらいの強さで肩を捕まれ「目をつぶれ、さもなくば……分かってるな?」的な事を言われて自分で服すら脱がして貰えず結局、全部亜里朱が脱がせた。「いや分からんでもないけど俺の身体も見るんだからお互い様じゃないか」と言いそうになったが下手に刺激するのは良くないとシンは諦めた。

腕を引っ張られながら風呂の中を移動する。歩くたびに下着から解放された胸が揺れる、男の時には無かった感覚にこれが持つ者の感覚なのか、なんて良くわからない事を考えていると急に亜里朱の腕を掴む強さが増した。

「変なことは考えないように。あと身体は触らないで、私が洗うから」

「お、おう」


何故わかった。
ギシギシとやな音を立てる腕、いやこれ本当は貴方の身体ですよ。とは言えない。きっとこれ以上刺激すると良くない事が起きる。未来予知にも近い直感がそう告げている。


「では、いきます」

「宜しく頼みま、す?」


何やら決意に満ち溢れた亜里朱はゴシゴシとシンの頭を洗い始める。元はと言えば亜里朱にとって自分の身体をこうして洗う事になるなんて思いもしなかった。元の世界でも特別美容に気を使っていた訳ではないが誰の目に入れても不快に思われないようにはして来たとは思っている。

そう言えば私今シン身体で……

あまり意識していなかったがそう言えば自分は今異性の身体なのだ。色々と必死すぎて完全に失念していた。ごくり、と息を呑む。身体が入れ替わったと分かってから下半身にずっと違和感があった。もちろん知識では知っているが実際に見た事もなければこうして……

顔が真っ赤になる。


「どうした?手が止まってるぞ、終わりなら流してくれると嬉しいんだが……」

「ふぇ?……はい!何でもないですよ何でも!」

「???」


ブンブンと頭を左右に振る。シンに目をつぶれと強制しているのに自分がこんな事しては駄目だと気を持ち直す。だがしかし亜里朱とて年頃の女の子、そういう事に興味が無いと言ってしまえば嘘になる。女の子同士でも彼氏のアソコがどうたらだとか、初体験はどうだったとか、そういう話は良く聞いていた。

自分の見栄を張ったりこの男は自分のものだと他の女子に牽制する人を見る度にくだらないと何処か呆れながら話を聞いていたのを覚えている。

けれども自分だって人間で当然のように性欲だってある。そんな話を聞かされて想像してしまえばムラムラだってしてくるし1度ムラムラし始めると中々抑える事が出来ないのが性欲であって1人で解消する事もある。知識では知っていても亜里朱だって人並みに異性の身体に興味はあるものだ。

自分の身体を見る。
ガッチリとした硬い筋肉、割れた腹筋、筋肉質で立派に鍛えられたシンの身体をまじまじと見てしまう。自分の身体、女の子の身体とは触り心地も硬さを違っていてとても頼りがいがあると思った。

けれども


(この傷に……これって火傷の跡?幾ら何でも……)


シンの身体には幾つも傷があった。平和な日本で暮らしていた亜里朱でも異常だと分かるおびただしい傷跡に顔を顰める。一体どうやって生きてこればこれ程の傷跡がつくのだろうか。


『お前には世界を救ってもらう』


亜里朱がシンの身体に移ってから初めて目覚めた時に聞かされた言葉。

世界を救う
アニメや漫画なんかでも良くある王道のストーリー。幾多の困難を乗り越えて時には悪と言われる敵を倒し、時には倒れ傷付き、それでも諦めず何度でも立ち上がり人々の為、世界の為に戦う。そう思えばこれだけの傷跡があるのも納得が出来る。

そう言えば亜里朱はシンにまだ何も詳しい事は聞かされていない。と言うより自分にはそんな余裕は無かった。果たして世界を救うとはどういう事なのか。
もし仮に亜里朱が思うアニメや漫画の世界で言う勇者として彼が世界を救って回ってるのだとしたら?

果たして彼はどれ程の苦難を乗り越えてここまで辿り着いたのか、亜里朱には想像すらつかない。


「なぁ?いつまで俺の身体まじまじと見てるつもりだ?」

「えっ?……ちがっ!?これは違うんだよ!」

「っておい、暴れんなって!うおっ!」

「きゃっ!」


考えにふけていた亜里朱はシンの言葉で現実に戻ってきた。しかしタイミングが悪かった、自分は目を瞑っとけと言ったのに自分は身体をまじまじと見ていたのだから咄嗟に言い訳しようと勢いよく立ち上がった。

その時に足を滑らせた亜里朱がシンを巻き込む様に前に倒れていく。その時だった。
突然視界いっぱいに光が広がる、これには見覚えがある。これは身体が入れ替わった時の……




「…………きゃぁぁぁぁあぁぁあ!」

「あべろ!あばわむばばな!(やめろ!俺は無実だ!)」

「この、変態っ!」



光が晴れると二人は身体が入れ替わった、と言うより元に戻っていた。しかしタイミングが最悪だった。亜里朱がシンを押し倒す様に倒れ胸に顔を埋めるように倒れたのだ、そしてそのままシンはビンタを叩き込まれた。

俺なんも悪くないじゃん。
シンの言葉は虚しく消えていった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜

タナん
ファンタジー
 オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。  その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。  モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。  温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。 それでも戦わなければならない。  それがこの世界における男だからだ。  湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。  そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。 挿絵:夢路ぽに様 https://www.pixiv.net/users/14840570 ※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...