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第19話 バグ
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男は裕福な家庭に生まれた。
なんの不自由もなく暮らし親から与えられた富で自分の欲するものを手に入れる。
それが彼の当たり前であり常識だった。頭の回転も早く武芸も秀でていた彼は正しく選ばれた人間だと理解していた。
本人もそれを疑いもしない。実際に彼は何処に出ても1番だった。騎士候補が集まる修練所でも負けなしであったし勉学に置いても大人が舌を巻く程だ。
簡単に言えば彼は正に有頂天であった。
浮かれて天狗になっていた。
しかし不幸だったのはまだ子供だからと周りがそれを諭してやらなかった事。そしてなまじ優秀であった為に彼を負かす者が現れなかった事。
皆何処かで失敗を経験する。そうして大人になっていく。必ず壁というものは存在して子供特有の自惚れなど簡単にへし折られる。
だが彼は優秀過ぎた。
故に壁にぶち当たるのが遅すぎた。
彼の家は代々国の重鎮を任されており例外もなく彼は父の後を追うようにそうなった。
優秀なだけでなく結果もあり成人したばかりで重要な役職に就いた彼はそんな事は当たり前だと思った。何故なら自分が1番優秀なのだから。自分より優れた者がいないのだから。
優秀な者が上に付くのは当たり前だ。
しかし彼も理解している。これでも異例のスピードでの就任だと。それぞれのメンツもありここに収まっているが自分はこんな枠に収まる器ではないと。直ぐに結果を出し上にいく。そう思っていた。
そしてある日突然彼は壁に直面した。
その日彼は騎士達の修練所に来ていた。その様子を見ていた彼は見るに堪えないと言うふうに己自らが鍛錬を付けようと言い出した。
流石の騎士達もこれには困惑した。しかし相手も相手であるし断るにも断れない。
そんな時に現れたのは1人の男。見覚えがあった。確か何処かの武勇を馳せる名家の長男出会ったはずだ。
その男はこう言った。「その申し出は嬉しいが我々には我々のやり方と境地がある。それでも望むのならその手で掴んで欲しい」
無礼だと思った。しかし彼は寛大だった。
手渡された剣を構える。
そして彼は負けた。
正しく手も足も出ない文句の付けようがない敗北であった。
初めて敗北を知り壁にぶち当たった彼はそれから家に帰りベッドに入るまでの事を思い出せない程困惑した。そして彼は思ったのだ。
確かに自分は負けた。だが自分の価値自体はあの男なんぞに負ける事はないと。
自信の塊。自尊心の塊である彼は初めて敗北をしった。誰もが羨み何もかも手に入れる事が出来る自分が手も足も出ず地面に転がされた。そんな事は認められなかった。
故に彼は他の方法で自分の強さを証明しようとした。エルミナーゼはとても平和で治安が良い。やる事といえばクリムゾンドラゴンの対策ぐらいで簡単にいえば政府は殆ど形だけ。それを掌握し支配するのに時間なんて掛からなかった。
大概の人間なんて金があれば動く。民衆の思想なんてサクラを大量に動員すれば後はプロパガンダと同じで何度も同じ事をサクラに唱えさせれば民衆は簡単に動く。
実権を握り国を動かした。なんだ簡単ではないか。あっという間に国を手に入れてしまった。そしてそれにあやかろうと日陰にいる、所謂犯罪者共は金さえ積めば邪魔者の排除からなんだってやる。
自分の力を誇示するように。片っ端から美しい女を抱いた。ある時は有名な家の人妻を。ある時は隣国の王女を。金と権力と暴力。
全て思いのまま。
あぁそうだ。自分より上の存在なんて存在しないんだ。
次はあの女を.......そうだ。この大陸全てを支配してしまえば全てが自分のモノになる。
彼は止まらない。溢れ出した欲望、願望は止まらない。そして彼は見付けた。
金髪の穢れなき女を。
欲しい欲しい欲しい。
まだ何色にも染まっていない彼女を自分の色で染め上げてしまいたい。
彼はもう止まらない。
結局彼も運命を狂わされた人の1人にしか過ぎない。人は皆脆い。綻びが出来ればそこから無限にバグは生まれる。些細なことで広がる綻び。少しそこをつつけば人は狂い思いもしない行動を起こす。
そう彼も被害者に過ぎないのだ。
なんの不自由もなく暮らし親から与えられた富で自分の欲するものを手に入れる。
それが彼の当たり前であり常識だった。頭の回転も早く武芸も秀でていた彼は正しく選ばれた人間だと理解していた。
本人もそれを疑いもしない。実際に彼は何処に出ても1番だった。騎士候補が集まる修練所でも負けなしであったし勉学に置いても大人が舌を巻く程だ。
簡単に言えば彼は正に有頂天であった。
浮かれて天狗になっていた。
しかし不幸だったのはまだ子供だからと周りがそれを諭してやらなかった事。そしてなまじ優秀であった為に彼を負かす者が現れなかった事。
皆何処かで失敗を経験する。そうして大人になっていく。必ず壁というものは存在して子供特有の自惚れなど簡単にへし折られる。
だが彼は優秀過ぎた。
故に壁にぶち当たるのが遅すぎた。
彼の家は代々国の重鎮を任されており例外もなく彼は父の後を追うようにそうなった。
優秀なだけでなく結果もあり成人したばかりで重要な役職に就いた彼はそんな事は当たり前だと思った。何故なら自分が1番優秀なのだから。自分より優れた者がいないのだから。
優秀な者が上に付くのは当たり前だ。
しかし彼も理解している。これでも異例のスピードでの就任だと。それぞれのメンツもありここに収まっているが自分はこんな枠に収まる器ではないと。直ぐに結果を出し上にいく。そう思っていた。
そしてある日突然彼は壁に直面した。
その日彼は騎士達の修練所に来ていた。その様子を見ていた彼は見るに堪えないと言うふうに己自らが鍛錬を付けようと言い出した。
流石の騎士達もこれには困惑した。しかし相手も相手であるし断るにも断れない。
そんな時に現れたのは1人の男。見覚えがあった。確か何処かの武勇を馳せる名家の長男出会ったはずだ。
その男はこう言った。「その申し出は嬉しいが我々には我々のやり方と境地がある。それでも望むのならその手で掴んで欲しい」
無礼だと思った。しかし彼は寛大だった。
手渡された剣を構える。
そして彼は負けた。
正しく手も足も出ない文句の付けようがない敗北であった。
初めて敗北を知り壁にぶち当たった彼はそれから家に帰りベッドに入るまでの事を思い出せない程困惑した。そして彼は思ったのだ。
確かに自分は負けた。だが自分の価値自体はあの男なんぞに負ける事はないと。
自信の塊。自尊心の塊である彼は初めて敗北をしった。誰もが羨み何もかも手に入れる事が出来る自分が手も足も出ず地面に転がされた。そんな事は認められなかった。
故に彼は他の方法で自分の強さを証明しようとした。エルミナーゼはとても平和で治安が良い。やる事といえばクリムゾンドラゴンの対策ぐらいで簡単にいえば政府は殆ど形だけ。それを掌握し支配するのに時間なんて掛からなかった。
大概の人間なんて金があれば動く。民衆の思想なんてサクラを大量に動員すれば後はプロパガンダと同じで何度も同じ事をサクラに唱えさせれば民衆は簡単に動く。
実権を握り国を動かした。なんだ簡単ではないか。あっという間に国を手に入れてしまった。そしてそれにあやかろうと日陰にいる、所謂犯罪者共は金さえ積めば邪魔者の排除からなんだってやる。
自分の力を誇示するように。片っ端から美しい女を抱いた。ある時は有名な家の人妻を。ある時は隣国の王女を。金と権力と暴力。
全て思いのまま。
あぁそうだ。自分より上の存在なんて存在しないんだ。
次はあの女を.......そうだ。この大陸全てを支配してしまえば全てが自分のモノになる。
彼は止まらない。溢れ出した欲望、願望は止まらない。そして彼は見付けた。
金髪の穢れなき女を。
欲しい欲しい欲しい。
まだ何色にも染まっていない彼女を自分の色で染め上げてしまいたい。
彼はもう止まらない。
結局彼も運命を狂わされた人の1人にしか過ぎない。人は皆脆い。綻びが出来ればそこから無限にバグは生まれる。些細なことで広がる綻び。少しそこをつつけば人は狂い思いもしない行動を起こす。
そう彼も被害者に過ぎないのだ。
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