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第21話 面倒臭い男
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実際面倒な事になったと内心舌打ちをした。
何処かで仕掛けてくるのは分かっていた。だがまさかこの男がやって来るのは予想外だった。
「騎士団長様がこんな冴えない男に何用ですか?まさかダンスを踊って欲しいだなんて言わないですよね」
「僕も男と踊る趣味はないよ。けど残念だよ、可憐な彼女のパートナーである君が.......まさか彼女を利用していただなんてっ!」
「は?」
シンはちょっと何を言っているのか理解出来なかった。
「彼女は美しいからね。男ならお近付きになりたいのは分かるが弱味を握って近付くだなんて許される事ではない!」
顔が引き攣るのを隠し切れない。
この男。シャーク B ケルトはエルミナーゼ騎士団長である。実力は本物であり真面目で紳士的。部下からの信頼も厚い。
だが致命的な程女絡みになると頭が緩くなる。
完全に身に覚えのない罪状で捕えられようとしているのには流石に頭が痛くなってきた。十中八九、焚き付けてきたのは根源かその辺の人間だろう。というかそれでいいのか騎士団長。
「男がなんたるか.......僕が君に教えてあげよう!」
腰に刺したサーベルを引き抜き一気に踏み込む。速く鋭いその動きは洗練されていて無駄がない。伊達に騎士団長になった訳では無いのはその動きだけでも分かる。
間違いなくこの国で1番の騎士、そしてこの世界でもトップクラスで間違いないこの男の動きを見切れる者は少ない。
不意打ち気味で動き出したケルトの動きに反応出来なくとも仕方がないだろう。
だが相手が悪過ぎた。
この世界で最強だとしても存在する無数の世界で最強であるシンにとってその動きは止まって見えた。
初動を見切られて表情を崩したケルトであったが流石に切り替えが早かった。シンが見た目通りの実力出ない事を悟ったケルトは傲慢を捨てる。直ぐに切り替わった意識。それに応じて練り上げられる闘気が身体から溢れ出る。
肌に感じるピリッとした空気。幾度となく感じてきた戦場の空気だ。
剣閃が舞う。美しく力強いそれはしかし掠りもしない。
舞うように繰り出される無数の斬撃を紙一重で全て躱す。月明かりが照らす中踊る2人。
ガタン。
ベンチに足をぶつけ生まれた僅かな硬直。しかしそれを見逃さない。そこに付け込むようにさらに踏み込みサーベルを突き出す。一撃で決まるとは思えない。一突き二突き三突きと神速の如く繰り出される突き。
一突き目は重心を逸らし回避。二突き目をバク転の要領で大きく後ろに飛び躱す。
取ったと思った。回避は出来ない。力強く踏み込まれた必殺の突きはあろう事かシンにぶつかる前に弾き返された。
何故、と困惑する。この場にいる者は例外なくボディチェック等を受けて得物の所持は自分のような騎士でなければ許可されていないというのに。しかし直ぐに謎は解けた。光を反射して光る銀色の小さな刃物。何の変哲もないただの食事用のナイフだった。
「それで僕に勝てるとでも?」
「まさか」
そのまさかである。
倒すのも殺すのも簡単だ。それに何となく早く亜里朱の所に行かなければ不味い気がする。間違いなくケルトを差し向けてきた奴の目的は亜里朱なのだから。
あれだけ目立ち、ずっとこの世界で猛威を奮ってきたクリムゾンドラゴンを倒した功績を持つ。そんな存在を黙って見ているなんて有り得ない。自分を脅かす脅威でもあり手駒やそれこそ女として見れば最高の彼女。手出ししないするにしても接触は絶対にある筈だ。
しかしそんな亜里朱は一応クリムゾンドラゴンを倒した事になっている。丸腰であれば勝てると思っているのだろうか?それとも何か考えが?
間違いなく後者だろう。根源が小物であればそれに越したことはないのだが奴らはいつもどの世界でも用心深くそして賢い。
だからこそ慎重になる。しかし今回はそれがいけなかった。
「今だ!」
ケルトが叫ぶ。すると自分を取り囲むようにしていた騎士達の魔力が一斉に膨れ上がりケルトと自分を覆うように何かが展開された。
これは結界か?しかしそれにしては余りにも揺らぎ過ぎている。これでは少し突けば壊れてしまうだろう。
「これでもう逃げられまい」
「これは.......転移か?」
「ご明察だよ。行先はエルミナーゼから遠く離れた凶悪な犯罪者を収容する為の監獄。これで君は終わりだ!」
何処かで仕掛けてくるのは分かっていた。だがまさかこの男がやって来るのは予想外だった。
「騎士団長様がこんな冴えない男に何用ですか?まさかダンスを踊って欲しいだなんて言わないですよね」
「僕も男と踊る趣味はないよ。けど残念だよ、可憐な彼女のパートナーである君が.......まさか彼女を利用していただなんてっ!」
「は?」
シンはちょっと何を言っているのか理解出来なかった。
「彼女は美しいからね。男ならお近付きになりたいのは分かるが弱味を握って近付くだなんて許される事ではない!」
顔が引き攣るのを隠し切れない。
この男。シャーク B ケルトはエルミナーゼ騎士団長である。実力は本物であり真面目で紳士的。部下からの信頼も厚い。
だが致命的な程女絡みになると頭が緩くなる。
完全に身に覚えのない罪状で捕えられようとしているのには流石に頭が痛くなってきた。十中八九、焚き付けてきたのは根源かその辺の人間だろう。というかそれでいいのか騎士団長。
「男がなんたるか.......僕が君に教えてあげよう!」
腰に刺したサーベルを引き抜き一気に踏み込む。速く鋭いその動きは洗練されていて無駄がない。伊達に騎士団長になった訳では無いのはその動きだけでも分かる。
間違いなくこの国で1番の騎士、そしてこの世界でもトップクラスで間違いないこの男の動きを見切れる者は少ない。
不意打ち気味で動き出したケルトの動きに反応出来なくとも仕方がないだろう。
だが相手が悪過ぎた。
この世界で最強だとしても存在する無数の世界で最強であるシンにとってその動きは止まって見えた。
初動を見切られて表情を崩したケルトであったが流石に切り替えが早かった。シンが見た目通りの実力出ない事を悟ったケルトは傲慢を捨てる。直ぐに切り替わった意識。それに応じて練り上げられる闘気が身体から溢れ出る。
肌に感じるピリッとした空気。幾度となく感じてきた戦場の空気だ。
剣閃が舞う。美しく力強いそれはしかし掠りもしない。
舞うように繰り出される無数の斬撃を紙一重で全て躱す。月明かりが照らす中踊る2人。
ガタン。
ベンチに足をぶつけ生まれた僅かな硬直。しかしそれを見逃さない。そこに付け込むようにさらに踏み込みサーベルを突き出す。一撃で決まるとは思えない。一突き二突き三突きと神速の如く繰り出される突き。
一突き目は重心を逸らし回避。二突き目をバク転の要領で大きく後ろに飛び躱す。
取ったと思った。回避は出来ない。力強く踏み込まれた必殺の突きはあろう事かシンにぶつかる前に弾き返された。
何故、と困惑する。この場にいる者は例外なくボディチェック等を受けて得物の所持は自分のような騎士でなければ許可されていないというのに。しかし直ぐに謎は解けた。光を反射して光る銀色の小さな刃物。何の変哲もないただの食事用のナイフだった。
「それで僕に勝てるとでも?」
「まさか」
そのまさかである。
倒すのも殺すのも簡単だ。それに何となく早く亜里朱の所に行かなければ不味い気がする。間違いなくケルトを差し向けてきた奴の目的は亜里朱なのだから。
あれだけ目立ち、ずっとこの世界で猛威を奮ってきたクリムゾンドラゴンを倒した功績を持つ。そんな存在を黙って見ているなんて有り得ない。自分を脅かす脅威でもあり手駒やそれこそ女として見れば最高の彼女。手出ししないするにしても接触は絶対にある筈だ。
しかしそんな亜里朱は一応クリムゾンドラゴンを倒した事になっている。丸腰であれば勝てると思っているのだろうか?それとも何か考えが?
間違いなく後者だろう。根源が小物であればそれに越したことはないのだが奴らはいつもどの世界でも用心深くそして賢い。
だからこそ慎重になる。しかし今回はそれがいけなかった。
「今だ!」
ケルトが叫ぶ。すると自分を取り囲むようにしていた騎士達の魔力が一斉に膨れ上がりケルトと自分を覆うように何かが展開された。
これは結界か?しかしそれにしては余りにも揺らぎ過ぎている。これでは少し突けば壊れてしまうだろう。
「これでもう逃げられまい」
「これは.......転移か?」
「ご明察だよ。行先はエルミナーゼから遠く離れた凶悪な犯罪者を収容する為の監獄。これで君は終わりだ!」
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