♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

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第22話 その気持ち

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入れ替わりゆうしゃさま16





やってしまった。
冷静になった頃にそう思うが遅過ぎた。みっともなく泣き散らして。怒鳴って走り去って。
最悪だ。
これじゃただの面倒臭い女の子じゃないか。いやまさにそうなっているんだろう。

最近なんだか自分の事が良く分からない。
シンを見ていると胸がきゅうっと締め付けられて。触れていると胸の奥が暖かくなってドキドキして。
分からない。これが何なのか。

「やっぱり私ヘンだ」

どうしてこんなにも心が不安定で揺れ動いてしまっているのか。正直日付が変わればシンと踊れるんじゃないかと期待をしていなかったと言えば嘘になる。
断られたらどうしよう。不安で不安でいっぱいになって。けど泣け無しの勇気を振り絞って誘ってみれば。

「そうだよ。女の子が勇気を出したのに.......あんまりだよ」

悪いのは自分だって分かっているのにそう呟かずにはいられなかった。そもそもここには遊びにきた訳では無い。
シンは言っていた。自分は勇者でこの世界を救いに来たのだと。だからこれはわがままで間違っているのは自分だ。

でも。
唇に手を添える。
柔らかくてけどとても熱くて。お世辞にもロマンチックだとは言えない少し乱暴なキスだったけど。胸の奥がじんわりと暖かくなってもっと彼を感じたいと思うそんなキスだった。
本当はこんな形でファーストキスを終えるだなんて嫌な筈なのに。不思議と嫌悪感はない。それどころか。

(もう一度.......)

そう過ぎるのをぶんぶんと頭を振り回し振り払う。
やっぱり私おかしいよ。
どうしてこんなにも貴方に会いたくて触れたくて。傍にいたい。もっと近くにいたい。溢れだしてくる想いはとめどなく溢れてくる。
考えるのはシンの事ばかり。まだ出会って短い時間しか経っていないけど亜里朱にとってその時間は余りにも濃い時間だった。
自分でも良く分からない。けど彼を1人にしたくないとそう思う。
ふとした時に見せる彼の表情は何処か壊れそうで無表情は何処か強がって見えた。そんな顔はして欲しくない。笑って欲しいだなんて思わないけど。1人じゃないんだよって伝えたい。

彼がどれだけの年月を勇者として過酷な道を通ってきたのか亜里朱は知らない。知っているのは今の何処か無理した彼。10年そこらの小娘が何を言っているのかと笑われるかもしれないけど。それでも伝えたい事がある。
だって言葉にしないと伝えたい事は伝わらないから。

やっぱりちゃんと謝ってもう一度頼んでみよう。

ぐるんと走ってきた道を引き返す。
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