♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

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第23話 気味の悪い男

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おかしい。
さっきからずっと急いでいるのに何だか周りの風景が変わっていないような気がする。

「はぁ.......はぁ.......やっぱり変わってない」

どれだけ前に進んでも気が付けば先程いた場所に戻ってきている。これはどう考えても何かがおかしい。それは分かっていても原因も分からなければ解決方法も分からない。
ただ自分は抜け出すことが出来ない迷宮をさ迷っていることだけは理解出来た。
早くシンの所に戻らないと。

それでも亜里朱は足をとめない。
とめどなく溢れて来る感情が気持ちが。初めてで上手く制御も出来ないこの気持ちが早く早くと言っているように心臓の音が激しく脈打つ。

(シン.......シン。早く貴方に会いたいっ!)

もう彼の事しか考えられない。
何故だかは分からない。自分の気持ちと向き合って自覚したこの気持ちはもう自分ではどうやっても制御出来ない。

「そんなに急いで何処に行くつもりですか?ミスアリス」

不意に声を掛けられ足を止める。
さっきまで周りは誰もいなかったのに。そう思いながらも振り返る。
にこやかに笑顔を浮かべ杖を持った若い男。片眼鏡、モノクルから覗く目は真っ直ぐと此方を見詰めており不気味に光る。
浮かべている笑顔はにこやかだというのに余りにも存在そのものが胡散臭かった。何よりこのタイミングで話し掛けられて何かを勘繰るなと言われる方が無理な話だ。

「.......すみません。私、先を急いでるので」
「そうでしたか。けどここから先に進めなくてお困りに様子。私がご案内しましょうか?」

その申し出はとても有難い。
普段なら馬鹿正直に首を縦に振って呑気に付いて行ったかも知れない。だけどどうしても亜里朱はこの男性から感じる雰囲気と浮かべる表情が何処か貼り付けて作り上げたもののうに感じてしまう。
こんな事今まで1度も感じた事なんてないのに。

「ありがとうございます。けど大丈夫です」
「おや?フラれてしまいましたな。これは困りました」

ヘラヘラと笑う男。
そんな表情をしていて何が困っているのかと思うが声には出さない。

「っ!?」
「おっと私とした事が失礼しました」

さっさと言ってしまおうとすると突然後ろから肩を掴まれ咄嗟に振り払う。
いつの間に。と驚いたよりもこんなにもこの男性に対して嫌悪感を抱いてしまうのか。
さっさとここから離れてしまおう。
この不気味な男を無視して走り出そうとすると突然視界が揺らぐ。世界がゆらゆらと揺れて気持ちが悪い。

(早く.......行かないと)

ぐらり、大きく揺れる。
意識が遠のいていく。最後に見えたのは気味が悪いほどヘラヘラとした笑顔浮かべた男の顔だった。
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