♂入れ替わりゆうしゃさま♀

シュテ

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第24話 四元素

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胸の奥が締め付けられるような息苦しい感覚。
何度か味わった事がある。これは間違いない。

「魔法が封じられた.......?」
「その通りっ!」

高い壁に何も遮るものがない広場のような場所。そこで取り囲むように武装した騎士が一斉に剣を構える。

何処まで飛ばされた?
ここは何処だ?
心に焦りが生まれる。何だこの得体もしれない胸騒ぎは。早く戻らなければ。
けれど魔力の流れと感覚が全て遮断され位置がさっぱり分からない。
ただ何となく分かるのは亜里朱の身に良くない事が起きている。感覚的なもので確かではない。けど確かに感じる亜里朱との繋がり。そこから伝わってくるのだ。
完全に自分のミスだった。傲慢なんてせず直ぐに蹴散らしていれば。自分にはそれが出来たと言うのにそれをしなかった。
ぎりっ、と音がするほど歯を食いしばる。

ジリジリと距離を詰めてくる騎士達。

「魔法を封じる?.......笑わせんじゃねぇよ」

武器はない。
けれどずっと共にある心がある。
ただの食用ナイフを投げ捨てる。
これを抜くのは久しぶりだ。

「来いよ、セイクリッドアームッ!」

一気に振り抜いた。
地面を抉り爆発するようにシンを中心に衝撃波が広がる。ただそれだけでシンを取り囲んでいた騎士達はちりじりになり殆どがまともに立ち上がることが出来ない。
淡く光輝く刀身は真っ白で獲物同士ぶつかり合えば折れてしまいそうな程細い。

何とか踏みとどまったケルトはそれを見て美しいと思った。
何処か儚げな雰囲気を醸し出し細く真っ白なのも合わさって脆く見える。だというのに長く真っ直ぐ伸びた刀身は何処までも力強く見えた。
まるで何もない砂漠の真ん中でも力強く咲く花のように。

シンは胸の奥を縛り付けている鎖を無理矢理引き剥がすように魔力を高めていく。確かにこの結界のようなものは魔力を封じる効果があるのだろう。
だがそれにも限界がある。

「プロミネンス」

そこには太陽があった。
丸く見上げる程に巨大な火の塊。

「タイダルウェイブ」

それは荒れ狂う海だった。
畝り全てを飲み込む水の塊。

「サイクロン」

吹き荒れる嵐。
何もかもを引き裂き吹き飛ばす風の塊。

「ロックストーン」

巨大な崖、いや岩だ。
大地を抉り全てを押し潰す土の塊。

暴れ狂う4つの属性の魔力。
もはや結界は割れ消滅した。


「バカなッ.......!?四元素全ての魔法だとッ」
「普段は使わねぇが分かりやすいだろ?」

力の差が。
魔法は基本四元素で構築される。
もちろん水から派系した氷といった別の属性も存在しそれが全てではないが火、水、土、風の四元素の属性が基本となる。
世界によってレベルが違うがこの世界の魔法のレベルは基礎中の基礎で人は適性である四元素の1つを扱う。
逆に言えば1つしか属性を持たないのだ。
だからこそこの世界で四元素全ての属性を操るシンの存在は異質であった。
何よりどんな凄腕の魔法使いであってもシンが生み出した「プロミネンス」程の大きさの火の玉なんてブランは見たことがない。
そして肌に突き刺さるほど感じる圧倒的なまでの魔力の波動。
これを化け物と言わずになんと言うのか。

「それ、でもっ!私は屈指ない。守るべき民、そして美しい乙女がいる国があるのだから!」

意地だった。
もう既に魔力に当てられて意識を保つのも難しいと言うのにブランは力強く吠えた。
目はまだ死んでいない。彼はまだ諦めていない。

「そうか。でも」

世界がブレる。
音も、光も、何もかも置き去りにして振り抜いた一閃。

「世界はいつも理不尽なんだ」

自嘲気味に。自分に言い聞かせるように呟く。
ブランは倒れた。殺してはない。
ただ暫くは目を覚まさないだろう。もう既に魔法は消えていた。

後は亜里朱の元に戻るだけ。

「.......くそっ、場所が掴めねぇ」

転移なりテレポートなりを使えば一瞬で亜里朱の元に移動する事は出来る。
しかしまるでモヤが掛かったかのように亜里朱の居場所だけが掴めない。
ただ微弱に感じる亜里朱との繋がりからエルミナーゼの何処かにいるのだという事は確かだ。

エルミナーゼまで飛んで自力で探すか?
ダメだ時間が掛かりすぎる。

時間を止める?
この世界のレベルを遥かに超えた魔法の行使は許されない。
どうすればいい?
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