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「――え?」
思いもよらない言葉に、思わず思考が停止する。
その間に体の密着度が増えていき、ゆっくりと顔が近づいてくる。気がつけば鼻先がちょんと触れ合った。
「僕はできるよ。月くんは?」
「いきなり言われてもな」
「経験はあるでしょ?」
「そりゃいい大人だし。学生時代も彼女いたことがあるの知ってるだろ」
自分で聞いてきたくせに、ムッとした表情をした晃成の唇がふわりと月人の唇に触れる。
反応を確かめるような軽めのキスは、徐々に深さを増していく。
舌先で口を開けるように促され、少し迷ったが小さく開くと、遠慮なくぬめりを伴った舌が入り込んできた。
絡め合う舌が熱い。ぴちゃぴちゃと水音が静かな室内に響いて、今起こっている行為が現実だと突きつけてくる。
どうなるかと思ったが、思ったよりも不快感はなかった。
「んっ……ふっ」
段々と激しくなるキスに、鼻から息が漏れ、時折開く口の隙間から悩ましい声が漏れる。
お互いの混ざり合った唾液を嚥下するのも嫌じゃない。気持ち良さが沸き上がり、頭がくらくらしてしまう。
どれほどそうしていたか、ようやく離れたお互いの唇はしっとりと湿っていた。
「気持ち良かったね月くん」
熱い息を吐きながら、ぺろりと自身の唇を舐める晃成の姿がどうしようもなく色気を放っていて目に毒だ。
当然といえば当然なのだが、そんな表情など長年の付き合いの中で見たことがない。
ここに来て見られる新たな表情に心臓が早鐘を打つ。
今までの彼女たちだけが見ていたであろう、月人が見られなかった表情が見られたことに嬉しさが沸き上がる。
全部を知っていなかったことが気に障るのは、独占欲が剥き出しになってしまったからに違いなかった。
そんな月人とは対照的に、晃成は満足そうに頬にも軽くキスをしてきてとても上機嫌なのが窺える。
お返しとばかりに頬に唇を寄せるとくすくすと笑い、もっととせがむように唇を奪われた。
「はぁ、満足したか?」
「んー? まだかな」
軽いキスを何度か繰り返した直後、問いかけてみれば返ってきたのは下半身に押し付けられた硬いものだった。
驚きつつもどこか沸き上がる熱を感じ、月人の下半身がわずかに疼く。
「結婚するとしたら、当然そういうことも……するよね?」
「するのか?」
「だってじゃあどこで発散するの? 外で? それは嫌だし許さないけど。一人でするのも限界があるわけだし、好き同士が一緒に居るなら一緒にすればいいと思わない?」
再度下半身を押し付けられ、ぐっと息が詰まる。
そこまでのことは考えていなかった。ただ一緒に居られる形を閃いただけだ。
法的には結婚は出来なくとも、そういったていの制度を利用して二人でいられればと提案しただけだったのだが――。
どうやら晃成はしっかりとその先も見据えているらしい。
指摘されてみれば、確かにそういった部分での支障は出るだろう。月人自身も、せっかく晃成が他に目を向けないと言っているのに、外で誰かと触れ合われるのは嫌過ぎた。
「完全に僕のものにしたいなぁって思うんだけど。ね、月くん。ダメかな?」
「晃成も完全に俺のものになるのか?」
「当然でしょ」
「いいよ。――あ、待てっ! なぁこれってもしかしてお前、俺のこと抱こうとしてる?」
「そうだけど?」
当然とばかりにキョトンとした顔を返され、月人は顔をしかめた。
そういった行為は、先ほどのキスでも嫌悪感がなかったのを見ると問題なくできるだろう。
だがこちらが受け入れる側になれと言われてしまうと躊躇いが生まれてしまう。
「ダメなの?」
今までの人生、恋愛対象は常に異性だった。
同性にそういった興味を示したことは一切ないので、当然受け入れる側など想像したこともない。
話し合うしかないだろうと晃成を見ると、眉を下げて月人をじっと見ていた。
いつもの甘える時のそのしぐさに、出た言葉は馴染み切ったものだ。
「あーくそっ! しょうがねぇなぁ!!」
「やった!! うんと優しくするからね、任せて月くん!」
思いもよらない言葉に、思わず思考が停止する。
その間に体の密着度が増えていき、ゆっくりと顔が近づいてくる。気がつけば鼻先がちょんと触れ合った。
「僕はできるよ。月くんは?」
「いきなり言われてもな」
「経験はあるでしょ?」
「そりゃいい大人だし。学生時代も彼女いたことがあるの知ってるだろ」
自分で聞いてきたくせに、ムッとした表情をした晃成の唇がふわりと月人の唇に触れる。
反応を確かめるような軽めのキスは、徐々に深さを増していく。
舌先で口を開けるように促され、少し迷ったが小さく開くと、遠慮なくぬめりを伴った舌が入り込んできた。
絡め合う舌が熱い。ぴちゃぴちゃと水音が静かな室内に響いて、今起こっている行為が現実だと突きつけてくる。
どうなるかと思ったが、思ったよりも不快感はなかった。
「んっ……ふっ」
段々と激しくなるキスに、鼻から息が漏れ、時折開く口の隙間から悩ましい声が漏れる。
お互いの混ざり合った唾液を嚥下するのも嫌じゃない。気持ち良さが沸き上がり、頭がくらくらしてしまう。
どれほどそうしていたか、ようやく離れたお互いの唇はしっとりと湿っていた。
「気持ち良かったね月くん」
熱い息を吐きながら、ぺろりと自身の唇を舐める晃成の姿がどうしようもなく色気を放っていて目に毒だ。
当然といえば当然なのだが、そんな表情など長年の付き合いの中で見たことがない。
ここに来て見られる新たな表情に心臓が早鐘を打つ。
今までの彼女たちだけが見ていたであろう、月人が見られなかった表情が見られたことに嬉しさが沸き上がる。
全部を知っていなかったことが気に障るのは、独占欲が剥き出しになってしまったからに違いなかった。
そんな月人とは対照的に、晃成は満足そうに頬にも軽くキスをしてきてとても上機嫌なのが窺える。
お返しとばかりに頬に唇を寄せるとくすくすと笑い、もっととせがむように唇を奪われた。
「はぁ、満足したか?」
「んー? まだかな」
軽いキスを何度か繰り返した直後、問いかけてみれば返ってきたのは下半身に押し付けられた硬いものだった。
驚きつつもどこか沸き上がる熱を感じ、月人の下半身がわずかに疼く。
「結婚するとしたら、当然そういうことも……するよね?」
「するのか?」
「だってじゃあどこで発散するの? 外で? それは嫌だし許さないけど。一人でするのも限界があるわけだし、好き同士が一緒に居るなら一緒にすればいいと思わない?」
再度下半身を押し付けられ、ぐっと息が詰まる。
そこまでのことは考えていなかった。ただ一緒に居られる形を閃いただけだ。
法的には結婚は出来なくとも、そういったていの制度を利用して二人でいられればと提案しただけだったのだが――。
どうやら晃成はしっかりとその先も見据えているらしい。
指摘されてみれば、確かにそういった部分での支障は出るだろう。月人自身も、せっかく晃成が他に目を向けないと言っているのに、外で誰かと触れ合われるのは嫌過ぎた。
「完全に僕のものにしたいなぁって思うんだけど。ね、月くん。ダメかな?」
「晃成も完全に俺のものになるのか?」
「当然でしょ」
「いいよ。――あ、待てっ! なぁこれってもしかしてお前、俺のこと抱こうとしてる?」
「そうだけど?」
当然とばかりにキョトンとした顔を返され、月人は顔をしかめた。
そういった行為は、先ほどのキスでも嫌悪感がなかったのを見ると問題なくできるだろう。
だがこちらが受け入れる側になれと言われてしまうと躊躇いが生まれてしまう。
「ダメなの?」
今までの人生、恋愛対象は常に異性だった。
同性にそういった興味を示したことは一切ないので、当然受け入れる側など想像したこともない。
話し合うしかないだろうと晃成を見ると、眉を下げて月人をじっと見ていた。
いつもの甘える時のそのしぐさに、出た言葉は馴染み切ったものだ。
「あーくそっ! しょうがねぇなぁ!!」
「やった!! うんと優しくするからね、任せて月くん!」
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