懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

文字の大きさ
516 / 701

第515話 娘を執拗に付け狙う悪魔!

しおりを挟む
「よぉ、六年ぶりだなぁ」
“……”
「お前は全く変わんねぇな。このオレが殴った痕もちゃんと残しやがって」
“……”
「里の色んな物が朽ちて行ってもお前だけはずっと残るんだろ? オレが死んだ後も皆を見守っててくれよな」
「…………お前、木に向かって何言ってんだ?」
「ひょわわっ!!?」

 オレは母屋の側面に生えている盟友デストロイヤーへ帰郷の挨拶をしている所をジジィに見られた。
 ジジィは、ついにイカれたか、と言う眼でオレを見る。むむむ。オレとデストロイヤーの友情を知らんのか!

「この木は……お前が正拳1000本してたヤツだな」
「名前がちゃんとあるんですー。デストロイヤーって名前が」
「お前……まぁ、いい」

 何だジジィ、その眼は。デストロイヤーの協力と女郎花教理との激戦を得て完成した『ジジィの嫌がらせ正拳』を食らわせてやろうか!

「怪我人が急に現れて。一体に何しに来たのさ」
「お前、外で『古式』を使っただろ」
「ギクッ!」

 あ、やべ……思わず声に出ちゃった。

「んな……使うワケ無いじゃん~。ケンゴ意味わからない~」
「……一応はセーフにしといてやる。ワシの耳には何も入って来て無いからな」

 これは……バレてるな。うん。『古式』のご利用は計画的に行わねば。さもなくば、路地裏の闇の中から『処刑人ブーギーマン』がやってくる。

「お前、外での繋がりはどうなってる?」

 今度は外での関係を聞いてきた。

「どういう風の吹きまわし? オレの外の事なんて興味無いでしょ?」
「お前が里で籍を入れればな。だが、今のお前は里の外へ関心を向けている。何か深い繋がりがあるんだろう?」
「…………ちょっとだけね」
「ちょっとか?」
「いや、何を聞きたいのさ! 回りくどいのはいいから、ビシッと言ってよ!」

 珍しく気を使いよってジジィ。そんなの似合わないっつの!

「年末に連れてくると言っていた娘が居たな?」
「え? う、うん」

 電話をした時に少しだけ鮫島家の事を話した。

「何故、里に連れてくる?」
「何故って……まぁ、約束だから……」
「フッ、そうか」

 何の、フッ、だよ何の。

「女に振り回されるのはワシらの厄介な血筋だ。刺されるなよ」

 と、ジジィは七海課長にも言われた事を再度オレに自覚させつつ母屋へ踵を返して行った。いやさ……ホントに何で話しかけて来たん?
 すると、風に枝が揺れる。

「デストロイヤー……お前だけだよ優しいのは」

 お前も大変だねぇ、って言われた気がした。





 ケイと天月を乗せたゲンの運転は彼女の実家の前で止まった。

「ほほぅ、ケイさんの実家ですか!」
「当たり前だ。お前を一人暮らしの部屋に呼ぶワケねぇだろ」
「いえいえ、俺は別に構いませんよ。ご家族と親身になることはプラスにしかなりませんからね!」
「ああ、そうかよ」

 ケイと天月は車から降りてトランクを開け、自分の荷物を取り出して閉めた。

「助かったぜ、ジジィ」
「送迎、ありがとうございました!」
「それじゃあ、明日な。俺も今日は、瑠璃に会いに行くとするぜ!」

 最愛の孫娘へハンドルを切るゲンを二人は見送った。

「やれやれ、あんまり理解出来ねぇ感覚だな」
「そうですか? ケイさんもユウヒちゃんやコエちゃんに頼られる所は実に嬉しそうでしたよ」
「ありゃ、また別だろ。まぁ、否定はしねぇけどよ」
「それが自分の血が繋がった身内であると愛は倍増です」
「……」

 まともに会話が出来ていると思ったら、やっぱり面倒くせぇ奴だ。と、ケイは嘆息を吐くと荷物を抱えて実家のインターホンを鳴らす。

『はい』

 すると今の時間は仕事であるハズの父だった。

「ん? 父さん? 今日はアイツ――社長と食事会のハズだろ?」
『おお、ケイ! いやね、急に社長の事情が変わってね。今日の食事会は延期になったのだ。なんでも迎え討つとか』
「あー、そうなんだ」

 あのクソ忍者のせいか。ヤロウ、マジで害悪でしかねぇな。確実に仕留める為に……俺も援護に向かった方が良いか?

『話は家に上がってからだよ』
「今日は泊まるわ」
『おお、そうかい!』

 ま、4課も半分以上が動いてるし……別にいっか。

「ケイさん。今日は泊まるんですか?」
「タクシー代はやるから飯食ったらオメーは帰れよ」

 すると、出迎えに家の扉を開いたのはインターホンに対応したケイの父――七海晋作ななみしんさくである。

「お帰り、ケイ。父さんはもっと実家に顔を出してくれると嬉し――――」

 シンサクは、ただいまー、と告げるケイの後ろに立つ天月を見て、

「き、貴様は!」

 娘の帰省を嬉しむ表情を一変させる。

「ついにここまで来たか! 娘を執拗に付け狙う悪魔! 天月新次郎!!」
「こんばんは、支部長! 何とも妙な縁でしてね! 僕もまさか出先で……ケイさんと共に過ごすとは思いませんでしたよ!」
「なん……だと……ケイ……それは本当なのかい? この……悪魔と……?」
「父さん。俺は最低限の義理を果たすだけだよ。母さんには事前に連絡してたけど?」
「と、父さんは聞いてないぞ!」

 母さんは意図的に伏せたな、こりゃ。この手の話題は大好物な人だし。

「と言うワケで夕飯をいただきに参った次第です」
「貴様は黙れ! ケイ……本当かい? まさか……この男に何か弱味でも握られて脅されてないかい?」
「あら、いらっしゃい」

 玄関前でドタドタしていると、奥からケイの母――七海紬ななみつむぎが事態の収拾にやってきた。

「ただいま、母さん」
「お帰りケイ。天月君も上がって行きなさい」
「母さん……本気か? 本気でこの男を上げる気かい?」
「ケイが連れて来たんだから尊重させましょうよ」
「と、言う事らしいですね。支部長」
「貴様……」
「母さん、ノリトは道場か?」

 うぬぬ! と睨むシンサクの視線を爽やかに受け止める天月を後ろ目に弟の事を問う。
 時間的には学校は終わっている。家に居ればこんなにドタバタしていると、顔を出すハズだった。

「あ、そう言えばね、ケイ。今日はノリトが彼女を連れて来るのよ」
「アイツ、シオリを狙ってたんじゃねぇのかよ」

 相変わらず移り気の激しい弟に、まだ見ぬ彼女には同情した。

「え? なにコレ……何で姉貴と新次郎さんがいんの?」

 その時、背後から噂の弟が帰宅。その傍らには同年代と見える美少女が共に居た。

「カオスね」
「いつもはこんなんじゃ無いんだけどな……」
「おう、ノリト。そっちのがお前の12番目の彼女か?」
「ちょっ! 姉貴! 語弊ある言い方止めろって!」

 慌てるノリトに対して、彼女は何かしらのリアクションを見せると思ったが、機械みたいに表情は動かない。

鬼灯未来ほおずきみらいと申します。七海君の12番目の彼女だと思います。初めましてお姉さん」
「鬼灯! 違うから! 少なくとも5人くらいだから!」
「5人目だそうです」
「あっはっは。面白いな、オマエ。ん? 鬼灯?」

 ミライのマシンフェイスのインパクトに隠れたが、改めて名前を聞き返す。

「姉がお世話になっているそうで」

 そう言って、彼女はペコリと頭を下げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...