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第641話 鮫島とは付き合うんですか?
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ヤッベ。完全にタイミングを逃した。
そう感じつつ、オレは食べ終わった際に出たゴミを近くに設置されたゴミ袋に捨てると、どうすっかなー、と今後の事を考える。
人生においての一世一代の告白。
ここまで来て、躊躇いとか恥ずかしさとかは一切無い。それだけ、リンカの事は好きだしこれからの関係をもっと近いものしたいと思っている。
しかしなぁ……あれは……アレは無理なのよ。
休日に会社の上司に出会ったら、何をしてても対応するのが社会人の心得みたいなモノなんだ。特に慕ってる人なら尚更である。
「お人好しも度が過ぎると損する……か」
色んな人から散々言われて来た事だ。しかし、今さら修正する事も出来ないし、今後も変えられないだろう。
けど……リンカも同じ様に対応してくれた事はなんだか嬉しかった。
「けど……折角リンカちゃんが用意してくれた舞台だし……」
リンカに対する想いはこの文化祭でキチンと伝えたい。
『猫耳メイド喫茶』に行くか? いや……行ってどうする? その場で、好きだからぁ! って告白するのか? 100%事案だ。オレの人生が、ファンファンファン、と回転するパトランプと共に終わる。
これは……世間には知られては行けない秘密の告白なのだ。絶対に身内以外には悟られてはならない。
なんか……そう考えると一気に難易度が上がったなぁ。あれ? 文化祭で告白するのはかなりリスクが高いのでは?
シチュエーションを取るか、リスクを取るかで、うーん、と悩んでいると。
「ケンゴさん」
「ん? リョウ君」
制服にエプロンを着けた、この街ターミネー○ーこと、大宮司亮君と遭遇した。
そっか、彼はリンカの先輩だから居るのは当然か。リョウ君は休憩時間で他の出店を回っているらしい。
「文化祭は楽しんでますか?」
「オレって文化祭は初めてでね。滅茶苦茶エンジョイしてるよ」
「初めてなんですか?」
「まぁ……高校時代の育った環境が、ド田舎で土色の青春だったモノでね……」
共に青春を歩めそうな同級生は居なかった。常に側にあったのは、木製の校舎と畑。虫を追いかけて元気に走り回る年下の子供達(オレが世話する親戚)。
「意外です。ケンゴさんの社交性の高さは学生時代の下積みから来てるモノかと……」
「あはは。まぁ、年下の世話をしてる事が多かったからかな。今でも沢山の弟や妹の兄貴をやってるよ」
「……そうだったんですね。ようやく、ケンゴさんの強さの秘訣を知れた気がします」
「またまたぁ~。オレなんかよりもリョウ君の方がずっと強いって」
「前にオレは負けましたけど……」
「アレはリンカちゃんが割り込んじゃったからね。あのまま続けてたら間違いなく君が勝ってたよ」
オレの言葉にリョウ君は少し沈黙。そして、
「いえ……きっとあのまま続けてても俺は敗けを認めたと思います」
あらら。なんだか前よりも一皮むけた様な悟った眼をしてらっしゃる。こうやって青年は大人へ成って行くのだな……なんだか感深いモノを感じるよ。
「それに……鮫島の前で貴方とは戦えませんし」
そうだった。リョウ君はリンカへ矢印が向いてるんだった。オレがリンカに告白する事は黙っておいた方が良いか。
「鮫島とは付き合うんですか?」
うぉ!? シレっと言ってきたけど結構深い話題だよ、ソレ!
「まぁ……こっちには色々と世間体ってヤツがあってね……」
「そ、そうですか」
学生と大人じゃ、のし掛かる法律の重さが違うのだよ。リョウ君も高校を卒業して程無くすれば、その枠の中へ入る事になるだろう。
「あ、そうだリョウ君。ちょっと確認したいんだけど良い?」
「なんですか?」
オレは前にダイヤに頼まれた事を伝える。
「修学旅行で、ニューヨーク行った?」
「え? 何で知ってるんですか?」
少し驚くリョウ君。それもそうか。
「いや、君が関わった婦警が居たと思うけど彼女は身内なんだ。サン・フォスター。覚えてない?」
「覚えてます。同行してた同級生が強盗に誘拐されて親友と一緒にパトカーに乗せて貰って追いかけましたので」
「ノリト君と?」
「はい」
うわ。流石自由の国。渡米した学徒にも容赦の無い自由を浴びせてるぜ!
「そのサンが連絡して欲しいって言ってた。番号を伝えるから差し支えなければ君の番号も伝えていい?」
「良いですけど……俺、あんまり英語には明るくなくて」
「スカイプで話せば良いよ。最近は無料の翻訳アプリとかもあるし、英語くらいなら会話できる。あっちにはそう言う形でって伝えとくから」
「そうなんですか。それなら連絡を取ってみます」
リョウ君の許可も取れたので、この事は後にダイヤに伝えよう。
「本当に、ケンゴさんって顔が広んですね」
「世間は狭いって言うけど、今回は本当に偶然だからね。でも……一つだけ気をつけて欲しい事がある」
「? なんでしょう?」
オレはスマホの極秘ファイルに保存してあるリンカの猫耳写真の事を告げる。
「今回の件はあの写真でオレらの繋がりが発覚したんだ」
「……!」
「気づいた様だね」
オレが友情の証としてリョウ君にあげたリンカの猫耳写真はダイヤが来た時に撮ったモノだ。アレはこの世に存在してはならない一枚。リンカにバレたらオレが処される。
オレはリョウ君の肩を両手で掴んで、
「スマホの深淵に沈めて置くんだ。本来なら削除する事が望ましいけど、その判断は君に任せるよ」
「わ、わかりました」
事の重要性を伝える。本当に命に関わる。
何せリンカに、消せ、と言われてその場では消してクラウドからサルベージしたのだから。
「おや? 大宮司君。彼は君の知り合いかな?」
「本郷」
ん? 今度は吟遊詩人が声をかけてきたな。多重世界がリンクしている何でもアリな文化祭は本当に退屈しないぜ。
そう感じつつ、オレは食べ終わった際に出たゴミを近くに設置されたゴミ袋に捨てると、どうすっかなー、と今後の事を考える。
人生においての一世一代の告白。
ここまで来て、躊躇いとか恥ずかしさとかは一切無い。それだけ、リンカの事は好きだしこれからの関係をもっと近いものしたいと思っている。
しかしなぁ……あれは……アレは無理なのよ。
休日に会社の上司に出会ったら、何をしてても対応するのが社会人の心得みたいなモノなんだ。特に慕ってる人なら尚更である。
「お人好しも度が過ぎると損する……か」
色んな人から散々言われて来た事だ。しかし、今さら修正する事も出来ないし、今後も変えられないだろう。
けど……リンカも同じ様に対応してくれた事はなんだか嬉しかった。
「けど……折角リンカちゃんが用意してくれた舞台だし……」
リンカに対する想いはこの文化祭でキチンと伝えたい。
『猫耳メイド喫茶』に行くか? いや……行ってどうする? その場で、好きだからぁ! って告白するのか? 100%事案だ。オレの人生が、ファンファンファン、と回転するパトランプと共に終わる。
これは……世間には知られては行けない秘密の告白なのだ。絶対に身内以外には悟られてはならない。
なんか……そう考えると一気に難易度が上がったなぁ。あれ? 文化祭で告白するのはかなりリスクが高いのでは?
シチュエーションを取るか、リスクを取るかで、うーん、と悩んでいると。
「ケンゴさん」
「ん? リョウ君」
制服にエプロンを着けた、この街ターミネー○ーこと、大宮司亮君と遭遇した。
そっか、彼はリンカの先輩だから居るのは当然か。リョウ君は休憩時間で他の出店を回っているらしい。
「文化祭は楽しんでますか?」
「オレって文化祭は初めてでね。滅茶苦茶エンジョイしてるよ」
「初めてなんですか?」
「まぁ……高校時代の育った環境が、ド田舎で土色の青春だったモノでね……」
共に青春を歩めそうな同級生は居なかった。常に側にあったのは、木製の校舎と畑。虫を追いかけて元気に走り回る年下の子供達(オレが世話する親戚)。
「意外です。ケンゴさんの社交性の高さは学生時代の下積みから来てるモノかと……」
「あはは。まぁ、年下の世話をしてる事が多かったからかな。今でも沢山の弟や妹の兄貴をやってるよ」
「……そうだったんですね。ようやく、ケンゴさんの強さの秘訣を知れた気がします」
「またまたぁ~。オレなんかよりもリョウ君の方がずっと強いって」
「前にオレは負けましたけど……」
「アレはリンカちゃんが割り込んじゃったからね。あのまま続けてたら間違いなく君が勝ってたよ」
オレの言葉にリョウ君は少し沈黙。そして、
「いえ……きっとあのまま続けてても俺は敗けを認めたと思います」
あらら。なんだか前よりも一皮むけた様な悟った眼をしてらっしゃる。こうやって青年は大人へ成って行くのだな……なんだか感深いモノを感じるよ。
「それに……鮫島の前で貴方とは戦えませんし」
そうだった。リョウ君はリンカへ矢印が向いてるんだった。オレがリンカに告白する事は黙っておいた方が良いか。
「鮫島とは付き合うんですか?」
うぉ!? シレっと言ってきたけど結構深い話題だよ、ソレ!
「まぁ……こっちには色々と世間体ってヤツがあってね……」
「そ、そうですか」
学生と大人じゃ、のし掛かる法律の重さが違うのだよ。リョウ君も高校を卒業して程無くすれば、その枠の中へ入る事になるだろう。
「あ、そうだリョウ君。ちょっと確認したいんだけど良い?」
「なんですか?」
オレは前にダイヤに頼まれた事を伝える。
「修学旅行で、ニューヨーク行った?」
「え? 何で知ってるんですか?」
少し驚くリョウ君。それもそうか。
「いや、君が関わった婦警が居たと思うけど彼女は身内なんだ。サン・フォスター。覚えてない?」
「覚えてます。同行してた同級生が強盗に誘拐されて親友と一緒にパトカーに乗せて貰って追いかけましたので」
「ノリト君と?」
「はい」
うわ。流石自由の国。渡米した学徒にも容赦の無い自由を浴びせてるぜ!
「そのサンが連絡して欲しいって言ってた。番号を伝えるから差し支えなければ君の番号も伝えていい?」
「良いですけど……俺、あんまり英語には明るくなくて」
「スカイプで話せば良いよ。最近は無料の翻訳アプリとかもあるし、英語くらいなら会話できる。あっちにはそう言う形でって伝えとくから」
「そうなんですか。それなら連絡を取ってみます」
リョウ君の許可も取れたので、この事は後にダイヤに伝えよう。
「本当に、ケンゴさんって顔が広んですね」
「世間は狭いって言うけど、今回は本当に偶然だからね。でも……一つだけ気をつけて欲しい事がある」
「? なんでしょう?」
オレはスマホの極秘ファイルに保存してあるリンカの猫耳写真の事を告げる。
「今回の件はあの写真でオレらの繋がりが発覚したんだ」
「……!」
「気づいた様だね」
オレが友情の証としてリョウ君にあげたリンカの猫耳写真はダイヤが来た時に撮ったモノだ。アレはこの世に存在してはならない一枚。リンカにバレたらオレが処される。
オレはリョウ君の肩を両手で掴んで、
「スマホの深淵に沈めて置くんだ。本来なら削除する事が望ましいけど、その判断は君に任せるよ」
「わ、わかりました」
事の重要性を伝える。本当に命に関わる。
何せリンカに、消せ、と言われてその場では消してクラウドからサルベージしたのだから。
「おや? 大宮司君。彼は君の知り合いかな?」
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