69 / 149
069 久し振りの模擬戦
ん、後ろから襟を掴みに来た様なので、その腕を掴んで捻り上げてやる。
「痛てててて、離せ!」
「小僧、洒落た真似をするな」
「ちとお仕置きが必要なので甚振ってやるか」
「ん・・・お前も幻獣使いか?」
「止めといた方が良いわよ。解体場を見て私達を獲物と間違えた様だけど、あんた達では勝てないわ」
「ギルドの表を見てから喧嘩を売った方が身のためだぞ」
「馬鹿にしている小僧って、無茶苦茶強いからな」
セドやモーガン達がニヤニヤと笑いながら教えているが、完全に挑発している言い方だ。
「面白い奴だな。それじゃ模擬戦を受けるんだな」
「幻獣使い二人か、俺達にも運が向いてきたな」
「他の奴等はいいが、その二人は殺すなよ」
「おい、サブマスを呼んで来い!」
「あー残念なお知らせが有るんだけど」
「逃げる気なら無駄だぞ」
「さっきの大口のツケを払わせてやるよ」
「女と幻獣二匹か、楽しみだぜ」
この糞野郎、その楽しみは即座に潰してやるからな。
「模擬戦をするのは誰だ?」
「サブマス、此奴等です。幻獣を連れているからって偉そうに喧嘩を売りやがった」
「おいおい、勝手に騒いで、痛てっ」
アルカンが膝を撫でながら睨んで来るが、ウインクをして黙らせる。
「幻獣って、お前と模擬戦をするのか?」
「何か訳わかんないこと言って騒ぐからさ、お望みなら相手をしようかなって」
「なっ、サブマス、巫山戯たガキだろう」
「ガキも女も巫山戯ていやがる!」
「おんなぁ・・・ん、お前もテイマーだったのか?」
「ええ、お陰様で良い仔が手に入ったわ」
「幻獣使いが二人か、それでお前達もやるのか?」
「勿論だよ。自分達の数が多いからって、ギルドで絡んで来る屑に背を向けられないからね」
「ちょっとー、私達を巻きこ・・・」
「フェリス、任せとけ」
「よし、訓練場へ行け」
〈流れ者とアルカン達の模擬戦だぞ!〉
〈彼奴らはそこそこ強そうだけど、アルカン達で勝てるのか?〉
〈女とガキが混じっていて、数でも負けているので勝ち目がなさそうだけどなぁ〉
〈さっき見ただろう。後ろから掴みに来た腕を見もせずに掴んで捻ったぞ〉
〈ガキにあんな芸当は出来る筈がないさ、絶対にまぐれさ〉
〈それよりどっちに賭ける?〉
〈実力の判らない流れ者か、アルカン達か〉
〈ちと悩むな〉
「ランディス、どういう気だ?」
「お前が強いのは判るけど」
「大丈夫だよ。オーク相手に結構やれていたじゃない」
「ばっかやろう! あれはお前達が後ろにいたからやれたんだよ」
「怪我をしてもグレイが即座に治してくれるし、その前にフラッグが守ってくれていたからな」
「だから大丈夫だって、オーク以下の奴と差しで勝負だぞ。負ける訳がないさ」
「またランディスの無茶振りかよ」
「街に戻ってきたので安心していたのになぁ」
「今度は上物のポーションを買っておくかな」
「それよりお前は大丈夫か、冒険者カードを取り上げられているんだろう」
「黙っていれば判らないさ。バレたら市民を無理矢理模擬戦に巻き込んだと奴等が罰せられるだけだし」
「確かに理屈の上ではそうなるけどなぁ」
〈おらっ、さっさと来い!〉
〈今更ビビっても遅いんだよ〉
〈ポーションじゃ治らねえ様にしてやるからな〉
「楽しそうな夢を見ているねぇ」
先に行った奴等が嬉しそうに木剣や短槍に見立てた棒をしごいたり振り回している。
「お前は模擬戦の経験は?」
「有ります。首から上の攻撃禁止でしょう」
「私はパス、皆が負けたらごめんなさいをするわ」
「一番手はリーダーからだね。頑張ってねアルカン」
「やれやれ、酷え奴と絡んでしまったなぁ」
「兄さん負けないでよ。あんな奴等と一瞬でも仲間になりたくないからね」
渋々と短槍に見立てた棒を手にサブマスの前に立ったが、へらへらと笑う屑と向かい合った時には、アルカンの顔が引き締まっていた。
「頼むぜリーダー」
「数で負けているんだから、半分は任せたぞ」
「俺は逃げるのが専門だから俺まで回さないでくれよ」
なにかやる気の無い応援で力が抜けてしまう。
苦笑いのアルカンが、サブマスの〈始め!〉の合図と共に一気に踏み込むと、相手も素速く木剣を叩き込んでくる。
二度三度打ち合った後、下げた棒が相手の膝を内側から叩くと崩れ落ちて呻いている。
「よし! アルカンその調子で頼むぞ」
「俺の相手も任せたぞ」
「この後はランディスに任せるので、心置きなく闘え!」
やれやれ。おっさん連中は手抜きを公言する酷い奴等ばかりだよ。
アルカンが二人、バルクとセドにモーガンがそれぞれ一人を倒し、サンデイが腕を折られて敗退コリングは相打ちとなったが鎖骨を折られていた。
怪我をした二人は直ぐにグレイの所へ行かせると、念話でお願いしておいたのでグレイが直ぐに治してくれた。
二人とは顔見知りなのでグレイの前に座ると即座に治療をするが、アシュを含め複数の使役獣が揃っているので、物珍しさから多数の見物人がいる。
そこへ怪我をしたサンデイとコリングが順にやって来て、グレイに怪我を直してもらうとギルドに戻って行くので、驚きの声があがっていた。
「ランディス、後は頼まぁ」
「ちと数が多いけど、ランディスなら楽勝だろう」
「さっきは痛い思いをしたんだから、俺の代わりに遠慮無く骨を叩き折ってやれよ」
フェリスはごめんなさいをしたので、相手の残りは無傷で五人も居る。
とすると奴等は12人もいたことになる。
通常のパーティーは5~8人なので、それだけ数が多ければ意気がる筈だ。
最後に出てきたのが最年少の俺なので勝った気になり、フェリスをどうするのかと声高に話し合っていて胸糞が悪い。
因みに、俺は幻獣使いなので扱き使う事で合意している様だ。
「おい! さっさと出て来い」
「この後は楽しみが待っているんだから、早くしろ!」
「お前は舐めた口を叩いたお仕置きをしてやるからな」
「サブマス、一人一人相手をするのは面倒なので、残りと纏めてやりたいんだけど」
「おっ、お前も判ってんじねぇか」
「サブマス、俺達は受けて立つぜ」
「ひとり2、3発で勘弁してやるよ」
「模擬戦で5対1を望むなんて舐めくさっているな」
「少しは腕が立つ様だが、逆上せた頭にこぶをたっぷり作らせて貰おうか」
「お前は何を言っているのか判っているのか?」
「あの程度の奴等なら問題ないです」
「サブマス、ランディスはオークキングと差しで喧嘩をする奴だから大丈夫だ」
「そうそう、それもショートソード一本で倒すんだからな」
「だがなぁ、お前は公爵様の身分証を持っているんだろう。何かあるとギルドにとばっちりが来るからな」
「模擬戦を認めたんだから諦めてやらせてよ。ちゃっちゃと終わらせるからさ」
「仕方がない。危ないと思ったら即座に止めるからな」
勝った気になっている馬鹿が横一列に並んで笑っている。
〈おい! 5対1だぞ!〉
〈マジかよ〉
〈此じゃ賭けにならねぇぞ〉
〈彼奴ってデカいのを連れている奴だろう〉
〈幻獣を闘わせて自分が強くなった気になっているんじゃないだろうな〉
木剣を軽く素振りをしてから、サブマスの〈始め!〉の声と共に正面ど真ん中の奴に向かって殴り込む。
約10mの距離を二歩で踏み込み飛び膝蹴りを顎に叩き込み、犠牲者の頭の上を身体を捻りながら飛び越え、着地の瞬間左の男の膝裏を思いっきり蹴り飛ばす。
倒れたやつの場所が空いたので、反対側にいた男の脇腹に木剣を突き入れて蹴り上げる。
残るは両端の奴だけなので、遠い方の奴に向かって踏み込み肩に射ち込む。
さてと、残る一人はどうしてくれようと振り向いたところで〈待て!〉とサブマスから声が掛かった。
「サブマス! あと一人だぞ、心置きなくやらせろよ」
「ああ、俺もそうしたいのだが」
そう言って指差すので見れば、武器を手放し両膝をついてお祈りのポーズ。
糞ッ、だが此の儘じゃ済まさねぇからな。
〈見たかよ。彼奴一人でも強いじゃねぇか〉
〈あの踏み込みと身の軽さは並じゃねぇな〉
「お疲れさん。やっぱりあんたは並みじゃないわねぇ」
「もう少し痛めつけてやりたかったな」
「うん・・・確かコリングは相打ちだったよな」
「そんな事より飲み直そうぜ」
「そういうサンデイは、腕を折られたんだっけ」
「ばか! 俺の相手は強い奴だったので負けたのさ」
「確かに、それは間違いないな。サンデイより強かったし」
馬鹿笑いをしながら食堂に戻ると、カウンターの前はエールを求めて長蛇の列が出来ていた。
「おい、お前達の査定用紙だ」
「アルカン、幾らになったんだ?」
「え、えーぇぇ・・・ベア類だけで2,000,000ダーラ近いぞ。それにエルク14頭で1,000,000ダーラ、オーク三種17頭で2,550,000ダーラ。総額で・・・9,735,000ダーラ」
「おいおい、凄い金額だぞ」
「初めて見る額だな」
「待てよ、全て出していたら10,000,000ダーラを越えていたのか・・・」
「とんでもねぇなぁー」
「あー言っておくけど、調子に乗って稼ごうとすると死ぬよ」
「いやいや、俺達はランディス程の度胸は持ち合わせてないよ」
「ああ、アッシュやグレイとは格が違うし、無理をすれば死ぬってのはよく判っているからな」
「此れからは大物も増えるだろうから、容量の大きいマジックバッグを買った方が良いよ。それと商業ギルドに口座を作り預けておけば、手数料は高いけどギルドから商業ギルドへ送金できるので安全だよ」
「ランディスのマジックバッグの容量は幾らなの?」
「ランク6だよ。6-10の物で10,500,000ダーラ、金貨105枚だね。時間遅延を増やすのは10時間単位で金貨10枚に手数料が必要だね」
アルカン達が額を寄せ合ってコソコソ話し合っていたが、ギルドに預けている金を合わせればマジックバッグを買えるが、俺達だけじゃ店に入れないのでどうすれば良いと聞かれた。
取り敢えず全てをギルドに預けさせてから、商業ギルドに連れて行く事にした。
「痛てててて、離せ!」
「小僧、洒落た真似をするな」
「ちとお仕置きが必要なので甚振ってやるか」
「ん・・・お前も幻獣使いか?」
「止めといた方が良いわよ。解体場を見て私達を獲物と間違えた様だけど、あんた達では勝てないわ」
「ギルドの表を見てから喧嘩を売った方が身のためだぞ」
「馬鹿にしている小僧って、無茶苦茶強いからな」
セドやモーガン達がニヤニヤと笑いながら教えているが、完全に挑発している言い方だ。
「面白い奴だな。それじゃ模擬戦を受けるんだな」
「幻獣使い二人か、俺達にも運が向いてきたな」
「他の奴等はいいが、その二人は殺すなよ」
「おい、サブマスを呼んで来い!」
「あー残念なお知らせが有るんだけど」
「逃げる気なら無駄だぞ」
「さっきの大口のツケを払わせてやるよ」
「女と幻獣二匹か、楽しみだぜ」
この糞野郎、その楽しみは即座に潰してやるからな。
「模擬戦をするのは誰だ?」
「サブマス、此奴等です。幻獣を連れているからって偉そうに喧嘩を売りやがった」
「おいおい、勝手に騒いで、痛てっ」
アルカンが膝を撫でながら睨んで来るが、ウインクをして黙らせる。
「幻獣って、お前と模擬戦をするのか?」
「何か訳わかんないこと言って騒ぐからさ、お望みなら相手をしようかなって」
「なっ、サブマス、巫山戯たガキだろう」
「ガキも女も巫山戯ていやがる!」
「おんなぁ・・・ん、お前もテイマーだったのか?」
「ええ、お陰様で良い仔が手に入ったわ」
「幻獣使いが二人か、それでお前達もやるのか?」
「勿論だよ。自分達の数が多いからって、ギルドで絡んで来る屑に背を向けられないからね」
「ちょっとー、私達を巻きこ・・・」
「フェリス、任せとけ」
「よし、訓練場へ行け」
〈流れ者とアルカン達の模擬戦だぞ!〉
〈彼奴らはそこそこ強そうだけど、アルカン達で勝てるのか?〉
〈女とガキが混じっていて、数でも負けているので勝ち目がなさそうだけどなぁ〉
〈さっき見ただろう。後ろから掴みに来た腕を見もせずに掴んで捻ったぞ〉
〈ガキにあんな芸当は出来る筈がないさ、絶対にまぐれさ〉
〈それよりどっちに賭ける?〉
〈実力の判らない流れ者か、アルカン達か〉
〈ちと悩むな〉
「ランディス、どういう気だ?」
「お前が強いのは判るけど」
「大丈夫だよ。オーク相手に結構やれていたじゃない」
「ばっかやろう! あれはお前達が後ろにいたからやれたんだよ」
「怪我をしてもグレイが即座に治してくれるし、その前にフラッグが守ってくれていたからな」
「だから大丈夫だって、オーク以下の奴と差しで勝負だぞ。負ける訳がないさ」
「またランディスの無茶振りかよ」
「街に戻ってきたので安心していたのになぁ」
「今度は上物のポーションを買っておくかな」
「それよりお前は大丈夫か、冒険者カードを取り上げられているんだろう」
「黙っていれば判らないさ。バレたら市民を無理矢理模擬戦に巻き込んだと奴等が罰せられるだけだし」
「確かに理屈の上ではそうなるけどなぁ」
〈おらっ、さっさと来い!〉
〈今更ビビっても遅いんだよ〉
〈ポーションじゃ治らねえ様にしてやるからな〉
「楽しそうな夢を見ているねぇ」
先に行った奴等が嬉しそうに木剣や短槍に見立てた棒をしごいたり振り回している。
「お前は模擬戦の経験は?」
「有ります。首から上の攻撃禁止でしょう」
「私はパス、皆が負けたらごめんなさいをするわ」
「一番手はリーダーからだね。頑張ってねアルカン」
「やれやれ、酷え奴と絡んでしまったなぁ」
「兄さん負けないでよ。あんな奴等と一瞬でも仲間になりたくないからね」
渋々と短槍に見立てた棒を手にサブマスの前に立ったが、へらへらと笑う屑と向かい合った時には、アルカンの顔が引き締まっていた。
「頼むぜリーダー」
「数で負けているんだから、半分は任せたぞ」
「俺は逃げるのが専門だから俺まで回さないでくれよ」
なにかやる気の無い応援で力が抜けてしまう。
苦笑いのアルカンが、サブマスの〈始め!〉の合図と共に一気に踏み込むと、相手も素速く木剣を叩き込んでくる。
二度三度打ち合った後、下げた棒が相手の膝を内側から叩くと崩れ落ちて呻いている。
「よし! アルカンその調子で頼むぞ」
「俺の相手も任せたぞ」
「この後はランディスに任せるので、心置きなく闘え!」
やれやれ。おっさん連中は手抜きを公言する酷い奴等ばかりだよ。
アルカンが二人、バルクとセドにモーガンがそれぞれ一人を倒し、サンデイが腕を折られて敗退コリングは相打ちとなったが鎖骨を折られていた。
怪我をした二人は直ぐにグレイの所へ行かせると、念話でお願いしておいたのでグレイが直ぐに治してくれた。
二人とは顔見知りなのでグレイの前に座ると即座に治療をするが、アシュを含め複数の使役獣が揃っているので、物珍しさから多数の見物人がいる。
そこへ怪我をしたサンデイとコリングが順にやって来て、グレイに怪我を直してもらうとギルドに戻って行くので、驚きの声があがっていた。
「ランディス、後は頼まぁ」
「ちと数が多いけど、ランディスなら楽勝だろう」
「さっきは痛い思いをしたんだから、俺の代わりに遠慮無く骨を叩き折ってやれよ」
フェリスはごめんなさいをしたので、相手の残りは無傷で五人も居る。
とすると奴等は12人もいたことになる。
通常のパーティーは5~8人なので、それだけ数が多ければ意気がる筈だ。
最後に出てきたのが最年少の俺なので勝った気になり、フェリスをどうするのかと声高に話し合っていて胸糞が悪い。
因みに、俺は幻獣使いなので扱き使う事で合意している様だ。
「おい! さっさと出て来い」
「この後は楽しみが待っているんだから、早くしろ!」
「お前は舐めた口を叩いたお仕置きをしてやるからな」
「サブマス、一人一人相手をするのは面倒なので、残りと纏めてやりたいんだけど」
「おっ、お前も判ってんじねぇか」
「サブマス、俺達は受けて立つぜ」
「ひとり2、3発で勘弁してやるよ」
「模擬戦で5対1を望むなんて舐めくさっているな」
「少しは腕が立つ様だが、逆上せた頭にこぶをたっぷり作らせて貰おうか」
「お前は何を言っているのか判っているのか?」
「あの程度の奴等なら問題ないです」
「サブマス、ランディスはオークキングと差しで喧嘩をする奴だから大丈夫だ」
「そうそう、それもショートソード一本で倒すんだからな」
「だがなぁ、お前は公爵様の身分証を持っているんだろう。何かあるとギルドにとばっちりが来るからな」
「模擬戦を認めたんだから諦めてやらせてよ。ちゃっちゃと終わらせるからさ」
「仕方がない。危ないと思ったら即座に止めるからな」
勝った気になっている馬鹿が横一列に並んで笑っている。
〈おい! 5対1だぞ!〉
〈マジかよ〉
〈此じゃ賭けにならねぇぞ〉
〈彼奴ってデカいのを連れている奴だろう〉
〈幻獣を闘わせて自分が強くなった気になっているんじゃないだろうな〉
木剣を軽く素振りをしてから、サブマスの〈始め!〉の声と共に正面ど真ん中の奴に向かって殴り込む。
約10mの距離を二歩で踏み込み飛び膝蹴りを顎に叩き込み、犠牲者の頭の上を身体を捻りながら飛び越え、着地の瞬間左の男の膝裏を思いっきり蹴り飛ばす。
倒れたやつの場所が空いたので、反対側にいた男の脇腹に木剣を突き入れて蹴り上げる。
残るは両端の奴だけなので、遠い方の奴に向かって踏み込み肩に射ち込む。
さてと、残る一人はどうしてくれようと振り向いたところで〈待て!〉とサブマスから声が掛かった。
「サブマス! あと一人だぞ、心置きなくやらせろよ」
「ああ、俺もそうしたいのだが」
そう言って指差すので見れば、武器を手放し両膝をついてお祈りのポーズ。
糞ッ、だが此の儘じゃ済まさねぇからな。
〈見たかよ。彼奴一人でも強いじゃねぇか〉
〈あの踏み込みと身の軽さは並じゃねぇな〉
「お疲れさん。やっぱりあんたは並みじゃないわねぇ」
「もう少し痛めつけてやりたかったな」
「うん・・・確かコリングは相打ちだったよな」
「そんな事より飲み直そうぜ」
「そういうサンデイは、腕を折られたんだっけ」
「ばか! 俺の相手は強い奴だったので負けたのさ」
「確かに、それは間違いないな。サンデイより強かったし」
馬鹿笑いをしながら食堂に戻ると、カウンターの前はエールを求めて長蛇の列が出来ていた。
「おい、お前達の査定用紙だ」
「アルカン、幾らになったんだ?」
「え、えーぇぇ・・・ベア類だけで2,000,000ダーラ近いぞ。それにエルク14頭で1,000,000ダーラ、オーク三種17頭で2,550,000ダーラ。総額で・・・9,735,000ダーラ」
「おいおい、凄い金額だぞ」
「初めて見る額だな」
「待てよ、全て出していたら10,000,000ダーラを越えていたのか・・・」
「とんでもねぇなぁー」
「あー言っておくけど、調子に乗って稼ごうとすると死ぬよ」
「いやいや、俺達はランディス程の度胸は持ち合わせてないよ」
「ああ、アッシュやグレイとは格が違うし、無理をすれば死ぬってのはよく判っているからな」
「此れからは大物も増えるだろうから、容量の大きいマジックバッグを買った方が良いよ。それと商業ギルドに口座を作り預けておけば、手数料は高いけどギルドから商業ギルドへ送金できるので安全だよ」
「ランディスのマジックバッグの容量は幾らなの?」
「ランク6だよ。6-10の物で10,500,000ダーラ、金貨105枚だね。時間遅延を増やすのは10時間単位で金貨10枚に手数料が必要だね」
アルカン達が額を寄せ合ってコソコソ話し合っていたが、ギルドに預けている金を合わせればマジックバッグを買えるが、俺達だけじゃ店に入れないのでどうすれば良いと聞かれた。
取り敢えず全てをギルドに預けさせてから、商業ギルドに連れて行く事にした。
あなたにおすすめの小説
ゴミスキルと呼ばれた少女は無限を手にする
森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。
だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。
そして思い出す――
《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。
市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。
食料も、装備も、資金も――すべてが無限。
最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。
これは――
ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**