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089 料理人
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ヨハンが疲れた様な顔で食堂にやって来て、エールを持って俺の隣に座る。
「あらあら、お疲れの様ね」
「しかし、あの獲物の量からすると」
「ヨハンも公爵様からお呼びが掛かるだろうな」
「何でだ?」
「それは後で話すよ」
ヨハンにサブマスの目がいった隙に逃げ出してエールを飲んでいるのに、態々食堂にまで来て獲物を出せと騒ぐサブマス。
「獲物はたっぷり有るじゃないの。俺のは気が向いた時にね」
「判った」
おっ、聞き分けが良いねぇ。
「ゴールデンベアとシャムを二つずつで手を打とう。出来ればゴールデンゴートなんてのも付けてくれたら、もっと嬉しいのだが」
「喋ったな!」
「フォックスの獲物を見て、俺達が何処へ行っていたのかを察した様だぞ」
「おおそうだ、ヨハンはDランクな」
ギルドカードを振って見せてから、テーブルの上を滑らせて渡す。
「俺の獲物は、アッシュやグレイ達のお食事分を分けてもらっているんだ。だから欲しいと言われても、そうおいそれとは渡せないよ」
「次ぎに来た時には少しは出してくれよ。それで、ブラックキャットも使役獣に加えたのか?」
「まぁね」
「お前は幻獣使いなのか?」
「幻獣使い? なんだそれ。幻獣使いって沢山居るだろう」
「ギルドの古い話らしいんだが、昔幻獣を複数従えていた奴がいたらしいんだ」
「へぇー、その話を聞きたいな」
「話も何も、そういう話が残っているだけさ。幻獣を多数従えた冒険者が居たってな。で、其奴は幻獣使いって呼ばれていたらしいのさ。それ以上の話は知らねぇよ」
* * * * * * *
フェリス達がフォックスの能力を知りたがり、それ以外の者は美味いエールを狙って離れないので、ヨハンの今後の事もあるので町の外で話すことにした。
土魔法のドームに籠もり、エールの樽を出してからフェリスやアルカンの質問に答える。
「ヨハンがフォックスをテイム出来たのって、やっぱり譲ってもらったの?」
「フォックスを見付けた時に幻獣だと言ったら、テイム出来るか試させてくれとヨハンが言ったのでやらせたのさ。まさか本当にテイム出来るとはね。聞けばテイマーの能力は低いらしいけど、スキルとして持っていたってよ」
「随分弱っていたので、もしかしたらテイム出来るかなと思ってな」
取り決めていた作り話をしれっと話すと素直に信じてくれたが、半数はエールに心奪われていて聞いていない様だった。
「で、魔法は何が使えるの?」
「火魔法、土魔法、氷結魔法、雷撃魔法の四つだ」
「嘘だろう」
「こりゃー、公爵様が放っておかないな」
「ランディスに手ほどきをしてもらったのなら、四つとも使えるって事ね」
「今のところ、公爵様に仕える気は無いのだが・・・」
「私達も公爵様から身分証を預かっているけれど、何時でも返す事が出来ると言われたわよ」
「それに公爵家の紋章を付けることも許されているけどな」
「これよ」
フェリスがマジックポーチから、警備兵が着ているエプロンに似た服を取り出して見せる。
何処かで見た事のある様な服だと思っていたが、不思議の国のアリスに出て来るトランプ兵か!
「最初に数回着たけれど、ちょっとなぁ」
「今のところ絡んでくる奴がいないので着ていないけどな」
「俺達があれを着ていると恥ずかしいじゃねえか」
「此を着てギルドに入る勇気はねえよ」
「絶対に揶揄われるのは間違いないからな」
「俺も持っているぞ。時々依頼が来るけど、受けるも断るも自由だし便利だろう」
「公爵様の身分証を便利なんて言う度胸は、私にはないわ。貴族用通路だって通ったことはないし」
「それは何度か使って、いざという時の練習はしておいた方が良いよ。それに何度か使うと、フェリスが一つ上の身分証持ちと警備兵達にも判るから」
「フェリス殿は使用人用じゃないのか?」
「殿は要らないわよ。私のは星一つよ」
「フェリスの幻獣使いとしての戦力が、タイラント辺りに流れるのを防ぐ手立てさ。それに、タイラント以外にも煩そうなのがいる様だし」
「抜け目のない公爵殿か、俺にも声が掛かるのは間違いなさそうだな」
「くれるのなら厄除けにもなるので貰っておきなよ。嫌になれば返せば良いだけだし」
「と、何時も気楽なランディスが言っているわ」
攻撃力だけならフェリスより強力なので、絶対に声を掛けるだろうな。
* * * * * * *
ヨハンに熱心に誘われて、アルカン達と共に家に招かれる事になった。
約束の日迄は南門の外で野営をして、昼間はグレイ達を好きに遊ばせる。
万が一にも獲物と間違われない様に首に赤いバンダナを巻いていて、雑多な野獣が駆け回るのを見るのは不思議な感じだ。
フェリスが俺達に習い、ファルに赤いバンダナを巻いているので笑ってしまう。
約束の朝迎えに来たヨハンに付いていったが、結構広い家で歓迎されて不思議な気分。
此の世界に生まれてから一度も、歓迎されたことがなかったことに気付いた。
と言うか、普通の家に生まれなかったので落ち着かない。
奥さんのご両親と、奥さんに娘夫婦と子供が三人の大家族。
子供達はヨハンが家に戻ったときに、連れていたフォックスを見て大喜びしたそうだが、タイガーキャットのグレイやブラックキャットにフォレストウルフ二頭など総勢六頭にフォックスも居て、モフり放題にご満悦。
フラッグは子供の歓声に驚き、俺の懐に潜り込んで出て来ようとしない。
グレイ達には子供相手だから驚かさない様にと言い聞かせたが、アッシュを連れてきていたら大変な事になるところだった。
食事時に美味い料理に感心していたら、ヨハンの婿さんは料理人だそうで娘さん共々ホテルに勤めていたそうだ。
ハイムントではレストランを開きたいと話していて、ハイムント育ちのアルカン達に色々と街の事を尋ねている。
「ヨルムさん、料理人なら鳥の羽根先で煮凝りを作れますよね」
「勿論です。煮凝りは料理や煮付けの余り物ですから」
おっ、フェリスの目が光っている。
「シャムの羽根先二羽分を提供しますので、煮凝りを作って貰えませんか」
「シャムの羽根先ですって!」
「ええ、以前ホールデンス公爵様の所で作ってもらったんですが、無くなっちゃって」
「ねっ、ランディス」
「作って貰えたら分けてあげるよ」
「本当に持っているのですか?」
「ええ、グレイ達・・・此奴のおこぼれですけどね」
「羽根先の煮凝りなんて何時でも食えるだろう」
「親爺さんは判ってないね。シャムの煮凝りは絶品で、お大尽や貴族の食卓にあがる物ですよ。勿論、肉もオークション物の逸品ですし」
* * * * * * *
台所で手羽先四本を取り出すと「おい、此って」とヨハンが驚くので、目で黙れと言っておく。
「此がシャムの羽根先ですか。初めて見ましたが、是非煮凝りを作らせて下さい!」
ヨハンが首を振っているので「一人で行くと死ぬよ」と釘を刺しておく。
「行く前に迷子になって死んじまうわ。未だに何処をどう歩いたのか判らないのに」
「そうよねぇ。私達も彼処へ行けと言われても」
「無理!」
「あんな大森林の奥へなんて行けるかよ」
「そうそう、道なんて覚えてないや」
「そりゃー俺だって一緒だよ。アッシュやグレイは、一度行った場所を覚えているからな」
* * * * * * *
三日後にヨハンの家に行くと、フェリスがにこにこ顔で待っていて、男どもは呆れ顔。
「ランディス、遅いわよ」
「フェリスが早すぎるんだよ。冒険者が稼ぎに出るには早い時間だぞ」
「そう言うあんたも来てるじゃない」
「食後のデザートに、煮凝りは外せないからね」
「でしょうぉ-。無くなってからは煮凝りの夢を見たわ」
「此奴が煩いので早いとこもらっていこうぜ」
「受け取るまで稼ぎにでないってごねて困ってるんだ」
「冒険者にあるまじき事を堂々と言うからなぁ」
「朝っぱらから何をごちゃごちゃやってんだ」
「ヨハン、出来ている?」
「ああ、ヨルムが出来たと言っていたぞ」
「じゃあ、早速味見をさせてよ」
呆れ顔のヨハンに招き入れられて台所に行くと、寸胴が六つも並んでいる
早速味見をしたが、フェリス曰く、侯爵様の所とは違った美味しさがあるとご満悦だ。
確かに料理人が違えば味も変わるだろうが、此は此で中々いける美味さだ。
俺は寸胴一つ、アルカン達には二つ渡して残りをヨルムに提供する。
「宜しいんですか」と驚いていたが、ハイムントでレストランをするのなら開店の呼び水になる物が必要だろうと、煮凝りを作ってもらった礼に譲った。
レストランを開業したら、時々煮凝りやそれ以外の料理も作ってもらう腹づもりなので、材料提供は惜しまないつもりだ。
ヨハンのマジックバッグが6-60と聞いたので、暫く保存が利くだろう。
* * * * * * *
テイマースキルの事もある程度判ったし、街を移動しても大して代わり映えがないので、暫くはハイムント周辺でのんびりすることにした。
ハイムントから小一時間程離れた場所に、土魔法のドームを設置してのんびりしているのに、時々使役獣を連れた冒険者達がやって来る様になった。
横柄な奴から礼儀正しい・・・つもりの奴までやって来て、俺に幻獣を譲ってくれとしつこい。
俺を攻撃しなければ反撃されないと思ってか、ネチネチねだる奴から泣き落としや兄貴と奉って来る奴まで様々。
アッシュが不機嫌な呻り声を上げると引き下がるが、必ず捨て台詞を吐いていく。
ムカつく奴には尻パッチンをグレイにお願いしている。
使役獣を連れていないがテイマーだと名乗った奴は内緒で鑑定をしているが、テイマースキル初級下とか中でテイムした経験が無い奴ばかりだ。
フェリスの様に、ホーンラビットやエルク相手にテイムの練習をしようなんて、思いつかない様だ。
好い加減うんざりしていた所にやってきた姐さんは、目付きの悪い奴等を引き連れていたが片目がブルーだった。
「あらあら、お疲れの様ね」
「しかし、あの獲物の量からすると」
「ヨハンも公爵様からお呼びが掛かるだろうな」
「何でだ?」
「それは後で話すよ」
ヨハンにサブマスの目がいった隙に逃げ出してエールを飲んでいるのに、態々食堂にまで来て獲物を出せと騒ぐサブマス。
「獲物はたっぷり有るじゃないの。俺のは気が向いた時にね」
「判った」
おっ、聞き分けが良いねぇ。
「ゴールデンベアとシャムを二つずつで手を打とう。出来ればゴールデンゴートなんてのも付けてくれたら、もっと嬉しいのだが」
「喋ったな!」
「フォックスの獲物を見て、俺達が何処へ行っていたのかを察した様だぞ」
「おおそうだ、ヨハンはDランクな」
ギルドカードを振って見せてから、テーブルの上を滑らせて渡す。
「俺の獲物は、アッシュやグレイ達のお食事分を分けてもらっているんだ。だから欲しいと言われても、そうおいそれとは渡せないよ」
「次ぎに来た時には少しは出してくれよ。それで、ブラックキャットも使役獣に加えたのか?」
「まぁね」
「お前は幻獣使いなのか?」
「幻獣使い? なんだそれ。幻獣使いって沢山居るだろう」
「ギルドの古い話らしいんだが、昔幻獣を複数従えていた奴がいたらしいんだ」
「へぇー、その話を聞きたいな」
「話も何も、そういう話が残っているだけさ。幻獣を多数従えた冒険者が居たってな。で、其奴は幻獣使いって呼ばれていたらしいのさ。それ以上の話は知らねぇよ」
* * * * * * *
フェリス達がフォックスの能力を知りたがり、それ以外の者は美味いエールを狙って離れないので、ヨハンの今後の事もあるので町の外で話すことにした。
土魔法のドームに籠もり、エールの樽を出してからフェリスやアルカンの質問に答える。
「ヨハンがフォックスをテイム出来たのって、やっぱり譲ってもらったの?」
「フォックスを見付けた時に幻獣だと言ったら、テイム出来るか試させてくれとヨハンが言ったのでやらせたのさ。まさか本当にテイム出来るとはね。聞けばテイマーの能力は低いらしいけど、スキルとして持っていたってよ」
「随分弱っていたので、もしかしたらテイム出来るかなと思ってな」
取り決めていた作り話をしれっと話すと素直に信じてくれたが、半数はエールに心奪われていて聞いていない様だった。
「で、魔法は何が使えるの?」
「火魔法、土魔法、氷結魔法、雷撃魔法の四つだ」
「嘘だろう」
「こりゃー、公爵様が放っておかないな」
「ランディスに手ほどきをしてもらったのなら、四つとも使えるって事ね」
「今のところ、公爵様に仕える気は無いのだが・・・」
「私達も公爵様から身分証を預かっているけれど、何時でも返す事が出来ると言われたわよ」
「それに公爵家の紋章を付けることも許されているけどな」
「これよ」
フェリスがマジックポーチから、警備兵が着ているエプロンに似た服を取り出して見せる。
何処かで見た事のある様な服だと思っていたが、不思議の国のアリスに出て来るトランプ兵か!
「最初に数回着たけれど、ちょっとなぁ」
「今のところ絡んでくる奴がいないので着ていないけどな」
「俺達があれを着ていると恥ずかしいじゃねえか」
「此を着てギルドに入る勇気はねえよ」
「絶対に揶揄われるのは間違いないからな」
「俺も持っているぞ。時々依頼が来るけど、受けるも断るも自由だし便利だろう」
「公爵様の身分証を便利なんて言う度胸は、私にはないわ。貴族用通路だって通ったことはないし」
「それは何度か使って、いざという時の練習はしておいた方が良いよ。それに何度か使うと、フェリスが一つ上の身分証持ちと警備兵達にも判るから」
「フェリス殿は使用人用じゃないのか?」
「殿は要らないわよ。私のは星一つよ」
「フェリスの幻獣使いとしての戦力が、タイラント辺りに流れるのを防ぐ手立てさ。それに、タイラント以外にも煩そうなのがいる様だし」
「抜け目のない公爵殿か、俺にも声が掛かるのは間違いなさそうだな」
「くれるのなら厄除けにもなるので貰っておきなよ。嫌になれば返せば良いだけだし」
「と、何時も気楽なランディスが言っているわ」
攻撃力だけならフェリスより強力なので、絶対に声を掛けるだろうな。
* * * * * * *
ヨハンに熱心に誘われて、アルカン達と共に家に招かれる事になった。
約束の日迄は南門の外で野営をして、昼間はグレイ達を好きに遊ばせる。
万が一にも獲物と間違われない様に首に赤いバンダナを巻いていて、雑多な野獣が駆け回るのを見るのは不思議な感じだ。
フェリスが俺達に習い、ファルに赤いバンダナを巻いているので笑ってしまう。
約束の朝迎えに来たヨハンに付いていったが、結構広い家で歓迎されて不思議な気分。
此の世界に生まれてから一度も、歓迎されたことがなかったことに気付いた。
と言うか、普通の家に生まれなかったので落ち着かない。
奥さんのご両親と、奥さんに娘夫婦と子供が三人の大家族。
子供達はヨハンが家に戻ったときに、連れていたフォックスを見て大喜びしたそうだが、タイガーキャットのグレイやブラックキャットにフォレストウルフ二頭など総勢六頭にフォックスも居て、モフり放題にご満悦。
フラッグは子供の歓声に驚き、俺の懐に潜り込んで出て来ようとしない。
グレイ達には子供相手だから驚かさない様にと言い聞かせたが、アッシュを連れてきていたら大変な事になるところだった。
食事時に美味い料理に感心していたら、ヨハンの婿さんは料理人だそうで娘さん共々ホテルに勤めていたそうだ。
ハイムントではレストランを開きたいと話していて、ハイムント育ちのアルカン達に色々と街の事を尋ねている。
「ヨルムさん、料理人なら鳥の羽根先で煮凝りを作れますよね」
「勿論です。煮凝りは料理や煮付けの余り物ですから」
おっ、フェリスの目が光っている。
「シャムの羽根先二羽分を提供しますので、煮凝りを作って貰えませんか」
「シャムの羽根先ですって!」
「ええ、以前ホールデンス公爵様の所で作ってもらったんですが、無くなっちゃって」
「ねっ、ランディス」
「作って貰えたら分けてあげるよ」
「本当に持っているのですか?」
「ええ、グレイ達・・・此奴のおこぼれですけどね」
「羽根先の煮凝りなんて何時でも食えるだろう」
「親爺さんは判ってないね。シャムの煮凝りは絶品で、お大尽や貴族の食卓にあがる物ですよ。勿論、肉もオークション物の逸品ですし」
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台所で手羽先四本を取り出すと「おい、此って」とヨハンが驚くので、目で黙れと言っておく。
「此がシャムの羽根先ですか。初めて見ましたが、是非煮凝りを作らせて下さい!」
ヨハンが首を振っているので「一人で行くと死ぬよ」と釘を刺しておく。
「行く前に迷子になって死んじまうわ。未だに何処をどう歩いたのか判らないのに」
「そうよねぇ。私達も彼処へ行けと言われても」
「無理!」
「あんな大森林の奥へなんて行けるかよ」
「そうそう、道なんて覚えてないや」
「そりゃー俺だって一緒だよ。アッシュやグレイは、一度行った場所を覚えているからな」
* * * * * * *
三日後にヨハンの家に行くと、フェリスがにこにこ顔で待っていて、男どもは呆れ顔。
「ランディス、遅いわよ」
「フェリスが早すぎるんだよ。冒険者が稼ぎに出るには早い時間だぞ」
「そう言うあんたも来てるじゃない」
「食後のデザートに、煮凝りは外せないからね」
「でしょうぉ-。無くなってからは煮凝りの夢を見たわ」
「此奴が煩いので早いとこもらっていこうぜ」
「受け取るまで稼ぎにでないってごねて困ってるんだ」
「冒険者にあるまじき事を堂々と言うからなぁ」
「朝っぱらから何をごちゃごちゃやってんだ」
「ヨハン、出来ている?」
「ああ、ヨルムが出来たと言っていたぞ」
「じゃあ、早速味見をさせてよ」
呆れ顔のヨハンに招き入れられて台所に行くと、寸胴が六つも並んでいる
早速味見をしたが、フェリス曰く、侯爵様の所とは違った美味しさがあるとご満悦だ。
確かに料理人が違えば味も変わるだろうが、此は此で中々いける美味さだ。
俺は寸胴一つ、アルカン達には二つ渡して残りをヨルムに提供する。
「宜しいんですか」と驚いていたが、ハイムントでレストランをするのなら開店の呼び水になる物が必要だろうと、煮凝りを作ってもらった礼に譲った。
レストランを開業したら、時々煮凝りやそれ以外の料理も作ってもらう腹づもりなので、材料提供は惜しまないつもりだ。
ヨハンのマジックバッグが6-60と聞いたので、暫く保存が利くだろう。
* * * * * * *
テイマースキルの事もある程度判ったし、街を移動しても大して代わり映えがないので、暫くはハイムント周辺でのんびりすることにした。
ハイムントから小一時間程離れた場所に、土魔法のドームを設置してのんびりしているのに、時々使役獣を連れた冒険者達がやって来る様になった。
横柄な奴から礼儀正しい・・・つもりの奴までやって来て、俺に幻獣を譲ってくれとしつこい。
俺を攻撃しなければ反撃されないと思ってか、ネチネチねだる奴から泣き落としや兄貴と奉って来る奴まで様々。
アッシュが不機嫌な呻り声を上げると引き下がるが、必ず捨て台詞を吐いていく。
ムカつく奴には尻パッチンをグレイにお願いしている。
使役獣を連れていないがテイマーだと名乗った奴は内緒で鑑定をしているが、テイマースキル初級下とか中でテイムした経験が無い奴ばかりだ。
フェリスの様に、ホーンラビットやエルク相手にテイムの練習をしようなんて、思いつかない様だ。
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