90 / 149
090 猫の名前で侯爵に
しおりを挟む
「あんたが幻獣を譲ってくれるって聞いて、態々テムスからやって来たんだよ。タイガーキャットを譲れなんて言わないけど、フォレストウルフを貰えないかい」
女の後ろに、痩せたキラードッグが俯き気味に座っている。
鑑定をしてみる〔鑑定、わんころ、♀、14才、キラードッグ(ブレンダの使役獣)、氷結魔法、魔力77〕
わんころ、ひでぇ名付けに思わずしかめっ面になってしまった。
「そんな話を誰から聞いたのか知らないが、姐さんも幻獣を連れているじゃないか」
「此奴は期待外れでね、あんたのテイムする奴は優秀だと聞いたよ。それを惜しげもなく人に譲るってね」
「あんた馬鹿なの、自分がテイムした獣を他人に譲るなんて出来ないよ。テイマーなら常識だろう」
おいおい、後ろで馬鹿にした様に笑っていた奴等の気配が変わったよ。
負けじとフラッグが肩に乗り、戦闘態勢になる。
「なに、それ。そんなちっこいのまでテイムしてんの」
「タイガーキャットをテイムしていると聞いているが、まぐれでテイム出来たのか」
「噂は大きく伝わるからな。お前もそれなりにテイマーとしての能力が有るのなら、強そうな所を一匹寄越せよ」
「別にただとは言ってない、それなりの金は払うさ」
やれやれ、一ヶ所に腰を据えると変な奴が湧いて出るのは仕方がないが、馬鹿ス。
お散歩中のファングとウルファに声を掛けると、近くにいたので直ぐに戻ってきた。
「そこ迄言うのなら、後ろに居る二頭の何方でも良いのでテイムしてみろよ。無事にテイム出来たら譲ってやるぞ」
俺に言われて振り向き、フォレストウルフとグレイウルフの二頭を見て驚いている。
その隙に上書きを試させて貰った。
(テイム・テイム)《俺はランディスだ、聞こえるか?》
《ランディシュ?》
《そうだ、今からお前の主人は俺だ! 判るか?》
《判る、ランディシュ》
〔鑑定、わんころ、♀、17才、キラードッグ(ランディスの使役獣)、氷結魔法、魔力77〕
よしよし、思った通り使役獣の主が入れ替わっているので、他人の使役獣を乗っ取る事が出来ると確認出来た。
《お前は森に行き、自分で餌を獲って生きろ。人族には決して近寄らず攻撃もするな。判ったか?》
《人族に、近寄らない・・・攻撃しない》
《忘れるなよ。行け!》
《はい》
わんころが姐さん達の横をすり抜けて森の方に向かって駆け出した。
「えっ・・・わんころ! 何処へ行くんだ、戻れ! 戻るんだ!」
わんころちゃん、振り向きもせずに駆けていく。
「あらららー、自分の使役獣の躾も出来ないのですかぁー」
「煩い! お前、何かしたのか?」
「馬鹿じゃないの、お前の使役獣の事なんか知るか!」
「私のわんころが逃げたのはお前のせいだ! 代わりを寄越せ!」
「そうだ! ウルフを見せた隙に何かしたのに違いない!」
「わんころが逃げる筈がないのに逃げたのだから、代わりを寄越せ!」
あー感嘆符ばかり並べやがって、煩い。
《ブラック、鼻パッチンを出来るか?》
《出来ます》
《よーし、こいつら全員鼻を焦がしてやれ》
〈バシーン〉 〈バシーン〉 〈バシーン〉
未だ連射は拙いが、キツーい鼻バッチンでを喰らって後方に吹き飛び呻いている。
「ひゃなら・・・」
「きるとに、うっちゃえるはらな」
「好きにすりゃ良いぞ。此処は街の外だ、俺は一人でお前達は八人いる。俺が反撃しただけだと言えば、お前達はギルドの地下牢行きだな」
「くひょ、おほえちぇろ!」
仲間に顎で引き上げの合図をして背を向けたが、尻にグレイの追撃を受けて這いずりながら逃げて行った。
街の近くで野営をすれば、煩いのが湧いて出ると思い離れた場所で野営をしているのに、冒険者が幻獣のおねだりにやって来るとは予想外だ。
旅は面倒なので、ハイムントの北門方向へ移動することにした。
* * * * * * *
移動して暫くは静かだったが、又冒険者パーティーがやって来た。
だが今度は少し毛色が違い、横柄な態度の男に護衛らしき男が二人と冒険者が七人。
ウルファに又やって来たと教えられて、覗き穴から見ていると声を張り上げる。
「ランディス殿、お出ででしょうか。お話しが御座いますランディス殿」
「ランディス殿、この野獣を遠ざけていただきたい」
「ランディス殿、お返事して下さい」
何度も何度も呼びかけてきて煩いが無視を決め込んでいたら、呼びかけてくる声が変わった。
「ランディス、居るんだろう。顔を出せや!」
「客が来ているんだ、迎えに出ろ!」
「このウルフを下がらせろ!」
余りにも煩く騒ぐので顔を出せば「ランディス殿ですな。創造神アルティナ様の僕たる、女神教教団のボルテス教主様の使いの者です。ランディス殿に王都カンタスの女神教教団本部にお越し頂きたいとの仰せです」
「アルティナ様の使いではないのですね」
「・・・アルティナ様の僕たる女神教の教団です。教団のボルテス教主様の使いです。アルティナ様が、貴方を呼ぶはずがありません!」
「そうだよな。アルティナ様の僕だって言う教団が、俺に何の用だ」
「存じません。ボルテス教主様にお目通りをして、用件を伺って下さい」
「お布施や喜捨をお求めなら、貧乏冒険者なので無理ですよ」
フラッグに入り口を封鎖してもらうと、外で何か喚いていたが女神教の教団がついに来たか。
ひとしきり騒いでいたが、相手にされていないと判ったのか引き下がった様だ。
翌日には別口の訪問者が現れたが、冒険者に守られたクラウスさんだ。
「クラウスさんお久し振りですね。エリンザスに戻っていたんじゃないの」
「貴方がハイムントに腰を据えた様なので、連絡係として呼ばれたんですよ。公爵様が話があるので来て欲しいそうです」
「依頼なの?」
「教団の者が、冒険者を雇ってハイムントに来ているらしいのです」
「それ、昨日尋ねて来ましたよ。お布施や喜捨をする趣味は無いので帰ってもらいましたけど」
「埋めたのですか?」
「護衛の冒険者も居たので、無視をしただけですよ」
* * * * * * *
「公爵様、話とは何ですか?」
「うむ、クラウディオの一件以来、オレガリオ王国の動きが活発になっているし、教団も我が領地にまで手を伸ばし始めているのだ」
「教団のボルテス教主の使いって奴が、昨日俺の野営地まで来ましたよ」
「念のために聞くが」
「アルティナ様の存在は信じていますが、金儲けに忙しそうな教団に興味はありません」
「それでは済まないぞ。教団の嫌らしい所は、熱心な信者を使って搦め手で来る事だ。善良な信者がお前を取り囲んで説得したり、無理矢理教会や教団本部に行かせようとしたときに抵抗出来るか」
「逃げるだけですね」
「だがランディスに怪我を負わせられた、金をゆすられた或いは身内を殺されたと訴えられたらどうだ。多数の敬虔な信者が証人となり訴えられると、王国もどうにもならなくなる。と言うか、表だって庇えなくなるのだ」
確かに、その手を使われると何処に行こうと教団から追われる事になるな。
日本でだって宗教絡みで仏敵だ何だと、教会を追われたり仕事を干された話は山程ある。
「そこで陛下とも相談したのだが、お主、領主にならんか」
「貴族にですか・・・」
「幸いと言って良いのかどうか、マルセンス侯爵の領地だったサマンドラ領とタイラント公爵の」
「要りません!」
「そう言うだろうと思って、王家の直轄地の一つはどうかな。時々大森林に行っている様だが、そこからなら大森林にも近いし、それなりに大きな街なので不自由はしないぞ。今現在お主の身分は王国の伯爵待遇だが、授爵して領地を持てばホールデンス王国の正式な貴族となる。そうなれば教団も信者を使っての工作が出来なくなるし、オレガリオ王国の動きも抑えられる」
そしてホールデンス王国は、俺達という戦力を確実に手に入れる事になる。
自由を得ようとすれば、不自由に耐えねばならない・・・か。
以前公爵様が『過ぎた力は、周りの者を狂わせる』と言っていたのを思いだしたが、確かにな。
イザーク砦での戦闘は、過ぎた力を示しすぎたかも。
「お主が領地経営の知識も経験も無いのは判っている。王家の直轄地なので代官がいるが、お主の補佐に有能な執事を付けてくれるだろう。気に入らねば代わりの者を世話するぞ」
「受けても良いですが、気に入らなければ何時でも爵位と領地を放り出せる事が条件です。それで宜しければそちらの条件を教えて下さい」
「ホールデンス王国の貴族として、国王陛下に忠誠を誓ってもらうが、お主の条件はそのままで良い。年に何度かは王城での式典や晩餐会に出席して、国王陛下の臣下で在る事を内外に示してもらう」
俺の条件で良いって事は、表向きの忠誠で良いって事だな。
* * * * * * *
公爵様と共に王都に向かい、王城にてヒューヘン宰相と話し合った結果、公爵様の示された条件に一つ追加して申し出を受ける事にした。
俺が行く所は王城内でも使役獣を連れて行ける事を要求して、それが受け入れられたので申し出を受ける事にした。
領地はアルベール街道のカルガルとゼレコフの間にあるエイバンの町から、東に一日の距離にグレインという街が在るそうだ。
周辺の町五つと村七つを含む、子爵領程度の広さで爵位は侯爵位となる。
身分証が伯爵なのでそれで良いのではと言ったが、クラウディオ王国の侵攻を防いだ功績と、他の貴族からの侮りを受けない措置だと言われてしまった。
王都屋敷は要らないと伝えると、王都内に屋敷を用意して少ない領地の代償として年に金貨6,000枚を支給するとの事。
此の辺りは俺の性格を知る、ホールデンス公爵様と打ち合わせ済みらしい。
困ったのは家名と紋章だが、タイガー種の紋章は幾つか有るので困っていると、公爵様がタイガーキャットの親子はどうかとの提案に飛びついた。
炎の輪の中に左にアッシュ右にグレイが寄りそうデザインに満足。家名は街の名前を借用する事にした。
ランディス・グレイン・・・グレイの名前に似ているが、ランディスが厩で一番ネズミ取りの上手い猫の名前を拝借したものだし、猫づくしで笑いそうになる。
女の後ろに、痩せたキラードッグが俯き気味に座っている。
鑑定をしてみる〔鑑定、わんころ、♀、14才、キラードッグ(ブレンダの使役獣)、氷結魔法、魔力77〕
わんころ、ひでぇ名付けに思わずしかめっ面になってしまった。
「そんな話を誰から聞いたのか知らないが、姐さんも幻獣を連れているじゃないか」
「此奴は期待外れでね、あんたのテイムする奴は優秀だと聞いたよ。それを惜しげもなく人に譲るってね」
「あんた馬鹿なの、自分がテイムした獣を他人に譲るなんて出来ないよ。テイマーなら常識だろう」
おいおい、後ろで馬鹿にした様に笑っていた奴等の気配が変わったよ。
負けじとフラッグが肩に乗り、戦闘態勢になる。
「なに、それ。そんなちっこいのまでテイムしてんの」
「タイガーキャットをテイムしていると聞いているが、まぐれでテイム出来たのか」
「噂は大きく伝わるからな。お前もそれなりにテイマーとしての能力が有るのなら、強そうな所を一匹寄越せよ」
「別にただとは言ってない、それなりの金は払うさ」
やれやれ、一ヶ所に腰を据えると変な奴が湧いて出るのは仕方がないが、馬鹿ス。
お散歩中のファングとウルファに声を掛けると、近くにいたので直ぐに戻ってきた。
「そこ迄言うのなら、後ろに居る二頭の何方でも良いのでテイムしてみろよ。無事にテイム出来たら譲ってやるぞ」
俺に言われて振り向き、フォレストウルフとグレイウルフの二頭を見て驚いている。
その隙に上書きを試させて貰った。
(テイム・テイム)《俺はランディスだ、聞こえるか?》
《ランディシュ?》
《そうだ、今からお前の主人は俺だ! 判るか?》
《判る、ランディシュ》
〔鑑定、わんころ、♀、17才、キラードッグ(ランディスの使役獣)、氷結魔法、魔力77〕
よしよし、思った通り使役獣の主が入れ替わっているので、他人の使役獣を乗っ取る事が出来ると確認出来た。
《お前は森に行き、自分で餌を獲って生きろ。人族には決して近寄らず攻撃もするな。判ったか?》
《人族に、近寄らない・・・攻撃しない》
《忘れるなよ。行け!》
《はい》
わんころが姐さん達の横をすり抜けて森の方に向かって駆け出した。
「えっ・・・わんころ! 何処へ行くんだ、戻れ! 戻るんだ!」
わんころちゃん、振り向きもせずに駆けていく。
「あらららー、自分の使役獣の躾も出来ないのですかぁー」
「煩い! お前、何かしたのか?」
「馬鹿じゃないの、お前の使役獣の事なんか知るか!」
「私のわんころが逃げたのはお前のせいだ! 代わりを寄越せ!」
「そうだ! ウルフを見せた隙に何かしたのに違いない!」
「わんころが逃げる筈がないのに逃げたのだから、代わりを寄越せ!」
あー感嘆符ばかり並べやがって、煩い。
《ブラック、鼻パッチンを出来るか?》
《出来ます》
《よーし、こいつら全員鼻を焦がしてやれ》
〈バシーン〉 〈バシーン〉 〈バシーン〉
未だ連射は拙いが、キツーい鼻バッチンでを喰らって後方に吹き飛び呻いている。
「ひゃなら・・・」
「きるとに、うっちゃえるはらな」
「好きにすりゃ良いぞ。此処は街の外だ、俺は一人でお前達は八人いる。俺が反撃しただけだと言えば、お前達はギルドの地下牢行きだな」
「くひょ、おほえちぇろ!」
仲間に顎で引き上げの合図をして背を向けたが、尻にグレイの追撃を受けて這いずりながら逃げて行った。
街の近くで野営をすれば、煩いのが湧いて出ると思い離れた場所で野営をしているのに、冒険者が幻獣のおねだりにやって来るとは予想外だ。
旅は面倒なので、ハイムントの北門方向へ移動することにした。
* * * * * * *
移動して暫くは静かだったが、又冒険者パーティーがやって来た。
だが今度は少し毛色が違い、横柄な態度の男に護衛らしき男が二人と冒険者が七人。
ウルファに又やって来たと教えられて、覗き穴から見ていると声を張り上げる。
「ランディス殿、お出ででしょうか。お話しが御座いますランディス殿」
「ランディス殿、この野獣を遠ざけていただきたい」
「ランディス殿、お返事して下さい」
何度も何度も呼びかけてきて煩いが無視を決め込んでいたら、呼びかけてくる声が変わった。
「ランディス、居るんだろう。顔を出せや!」
「客が来ているんだ、迎えに出ろ!」
「このウルフを下がらせろ!」
余りにも煩く騒ぐので顔を出せば「ランディス殿ですな。創造神アルティナ様の僕たる、女神教教団のボルテス教主様の使いの者です。ランディス殿に王都カンタスの女神教教団本部にお越し頂きたいとの仰せです」
「アルティナ様の使いではないのですね」
「・・・アルティナ様の僕たる女神教の教団です。教団のボルテス教主様の使いです。アルティナ様が、貴方を呼ぶはずがありません!」
「そうだよな。アルティナ様の僕だって言う教団が、俺に何の用だ」
「存じません。ボルテス教主様にお目通りをして、用件を伺って下さい」
「お布施や喜捨をお求めなら、貧乏冒険者なので無理ですよ」
フラッグに入り口を封鎖してもらうと、外で何か喚いていたが女神教の教団がついに来たか。
ひとしきり騒いでいたが、相手にされていないと判ったのか引き下がった様だ。
翌日には別口の訪問者が現れたが、冒険者に守られたクラウスさんだ。
「クラウスさんお久し振りですね。エリンザスに戻っていたんじゃないの」
「貴方がハイムントに腰を据えた様なので、連絡係として呼ばれたんですよ。公爵様が話があるので来て欲しいそうです」
「依頼なの?」
「教団の者が、冒険者を雇ってハイムントに来ているらしいのです」
「それ、昨日尋ねて来ましたよ。お布施や喜捨をする趣味は無いので帰ってもらいましたけど」
「埋めたのですか?」
「護衛の冒険者も居たので、無視をしただけですよ」
* * * * * * *
「公爵様、話とは何ですか?」
「うむ、クラウディオの一件以来、オレガリオ王国の動きが活発になっているし、教団も我が領地にまで手を伸ばし始めているのだ」
「教団のボルテス教主の使いって奴が、昨日俺の野営地まで来ましたよ」
「念のために聞くが」
「アルティナ様の存在は信じていますが、金儲けに忙しそうな教団に興味はありません」
「それでは済まないぞ。教団の嫌らしい所は、熱心な信者を使って搦め手で来る事だ。善良な信者がお前を取り囲んで説得したり、無理矢理教会や教団本部に行かせようとしたときに抵抗出来るか」
「逃げるだけですね」
「だがランディスに怪我を負わせられた、金をゆすられた或いは身内を殺されたと訴えられたらどうだ。多数の敬虔な信者が証人となり訴えられると、王国もどうにもならなくなる。と言うか、表だって庇えなくなるのだ」
確かに、その手を使われると何処に行こうと教団から追われる事になるな。
日本でだって宗教絡みで仏敵だ何だと、教会を追われたり仕事を干された話は山程ある。
「そこで陛下とも相談したのだが、お主、領主にならんか」
「貴族にですか・・・」
「幸いと言って良いのかどうか、マルセンス侯爵の領地だったサマンドラ領とタイラント公爵の」
「要りません!」
「そう言うだろうと思って、王家の直轄地の一つはどうかな。時々大森林に行っている様だが、そこからなら大森林にも近いし、それなりに大きな街なので不自由はしないぞ。今現在お主の身分は王国の伯爵待遇だが、授爵して領地を持てばホールデンス王国の正式な貴族となる。そうなれば教団も信者を使っての工作が出来なくなるし、オレガリオ王国の動きも抑えられる」
そしてホールデンス王国は、俺達という戦力を確実に手に入れる事になる。
自由を得ようとすれば、不自由に耐えねばならない・・・か。
以前公爵様が『過ぎた力は、周りの者を狂わせる』と言っていたのを思いだしたが、確かにな。
イザーク砦での戦闘は、過ぎた力を示しすぎたかも。
「お主が領地経営の知識も経験も無いのは判っている。王家の直轄地なので代官がいるが、お主の補佐に有能な執事を付けてくれるだろう。気に入らねば代わりの者を世話するぞ」
「受けても良いですが、気に入らなければ何時でも爵位と領地を放り出せる事が条件です。それで宜しければそちらの条件を教えて下さい」
「ホールデンス王国の貴族として、国王陛下に忠誠を誓ってもらうが、お主の条件はそのままで良い。年に何度かは王城での式典や晩餐会に出席して、国王陛下の臣下で在る事を内外に示してもらう」
俺の条件で良いって事は、表向きの忠誠で良いって事だな。
* * * * * * *
公爵様と共に王都に向かい、王城にてヒューヘン宰相と話し合った結果、公爵様の示された条件に一つ追加して申し出を受ける事にした。
俺が行く所は王城内でも使役獣を連れて行ける事を要求して、それが受け入れられたので申し出を受ける事にした。
領地はアルベール街道のカルガルとゼレコフの間にあるエイバンの町から、東に一日の距離にグレインという街が在るそうだ。
周辺の町五つと村七つを含む、子爵領程度の広さで爵位は侯爵位となる。
身分証が伯爵なのでそれで良いのではと言ったが、クラウディオ王国の侵攻を防いだ功績と、他の貴族からの侮りを受けない措置だと言われてしまった。
王都屋敷は要らないと伝えると、王都内に屋敷を用意して少ない領地の代償として年に金貨6,000枚を支給するとの事。
此の辺りは俺の性格を知る、ホールデンス公爵様と打ち合わせ済みらしい。
困ったのは家名と紋章だが、タイガー種の紋章は幾つか有るので困っていると、公爵様がタイガーキャットの親子はどうかとの提案に飛びついた。
炎の輪の中に左にアッシュ右にグレイが寄りそうデザインに満足。家名は街の名前を借用する事にした。
ランディス・グレイン・・・グレイの名前に似ているが、ランディスが厩で一番ネズミ取りの上手い猫の名前を拝借したものだし、猫づくしで笑いそうになる。
114
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
【本編完結】契約結婚の後は冒険譚を綴ります
しろやなぎ
ファンタジー
本編完結しました。その後にあたる新章を始めます。
++++++++++++++++++++++++
幼い頃に母を亡くした伯爵令息のラファエル。父は仕事の為に外国へ。ひとり残されたラファエルは継母と義弟に虐げられながら育つ。
そんなラファエルはこの国の子供たちが受ける13歳の洗礼の際『魔力量は非常に豊富だが、一切の属性を持っていなかった残念な令息』と診断される。
ラファエルが18歳になった年、臣籍降下した王弟との婚姻を求める書状が届き、断れないまま嫁ぐが、そこで待っていたのは契約結婚だと説明する公爵、コルネリウスだった。
正義感の強い彼は、ラファエルがしていない罪を償わせようとする。一方のラファエルは契約結婚の後を夢みて、新たな生活を始める。
新しい生活では、ラファエルを献身的に使えてくれる侍女のノーラ、コルネリウスが付けた監視役のライアン、遠くからラファエルを気遣う魔道師団副団長のクリストフに支えられて、ラファエルは精霊魔法使いの冒険者を目指して成長していく。
※表紙の画像はETMで作成しました。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏
ファンタジー
(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる