僕の番が怖すぎる。

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二章 あいつの存在が災厄

私も旦那様に【華】があればと常々思いますから、羨ましいですね。

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 いつもご覧頂きありがとうございます。
 朱点と百合がお説教される話です。
 ───────────


 ◇◇◇


 アルフヘイムからの帰還の後、すぐにあいつの閨に籠もった僕らはしばらく放って置かれた。
 どうやら配慮があったらしく、大体僕の発情期の期間くらいは何もなく、二人だけで求め合い過ごした。


 僕の顔の横に手を付き激しく責め立て、上から覗いてくる美し過ぎるその顔には、少し汗が浮かんでいる。
 相当に消耗でもしない限り、こいつはそういった生理現象すらほぼ無いから、どれだけ僕らはお互いを慾る行為に耽っているのだろうか?

 お互いの匂いに酔い、お互いの【華】に口づけ、お互いの血を与え合い、二人以外にはこの部屋にあるもの以外、何もない世界。
 そこで互いの存在を確かめ合う。 

「善いか?お姫様。」
「ん、やぁ、あ、ああ、すき!すき、すき…大好き!」

 大好きなこいつに抱かれるのが本当に幸せで仕方なかった。
 快楽に弱い僕は最中にこんな事を平気で言うようになった。

 (さっきからおねだりしていじめてもらうし、僕は性的に貪慾なお前だけのお姫様だ。)

 抱きつき、僕の付けたこいつの心臓付近の【白百合】に口付ける。

 (僕の【分身】がまた咲いた…)

 まだまだ蕾の多かったこれも大分と咲いてきた。
 僕がこいつを愛している証拠で恥ずかしいが嬉しくなる。
 僕に咲くこいつの【青薔薇】も全く枯れる気配はない。

「普段もこれくらい素直だと良いんだが、それだとお前の良さもなくなるか。」
「うるさい!バカ赤毛!良いからそのでっかいやつをもっとくれ!!」

 でも、そんな事を言われたらこんな反応をするのが僕だ。

「本当に俺のお姫様は我儘だな。」

 呆れたように笑いながらも僕の好きなところを優しくソレで撫でてくれる。

「あ…ん、それ。うん…イイ。すき。」

 (こいつ!いじめたかと思えば、今みたいに滅茶苦茶甘くなったりとか、ほんとうにズルい!!)

 こいつに縋り付き、その匂いを堪能する。
 僕だけのこいつの薫り。

 (もうこいつから僕以外の匂いがするなんて絶対に嫌だ。
 僕も大概の束縛野郎で面倒くさいやつだ。)

「そこも可愛いんだがな。」

 愛おしそうに僕を見て、抱きしめ返してくれる。

 (ずっと僕の中に留まるこいつの熱がたまらなく好きだ。)

「俺のお姫様はエロくて、愛い。可愛すぎて俺は辛い。」 

 そのまま口づけてきたのでそれを受け入れる。

 やっぱり【交心テレパス】の戸は閉めないといけない気がする。
 こいつは嘘がつけないし、僕ももう隠し事なんてないけれど、あんまりにも赤裸々なのはツラい。

 姉様とお義姉様も良くそれで喧嘩していた。


紅薔薇べにばら、それは私がやっておこう。』
『ヒルメ、私は言ったよな?それはやめろと。』

『すまん、つい癖でな…』

『フノスがかわりにしておいた。えらい?ほめて。』

『お前がちゃんとしないとこの子に良くない。』
『……すまぬ。』


 常時三人は繋がっているらしく、姉のみが口での対話などを重視していて怒っていた。
 僕も今、その気持ちがよくわかる。

 口づけの間ずっとそんな事を考えていると

「あれも昔は相当に酷かったがな。特に身籠っていた頃は顕著であったな。」

 こいつはこんな事を言う。

 (初耳だ。)

「姉様が?嘘だろう!いや、お前が言うから本当だろうけど…」
「幼い頃は俺も茨木イバラキも散々な目にあった。」
「そういえば姉様とお前たちは幼馴染だったな…」

 (これももやもやする。)

 姉にまで嫉妬している僕を放ってこいつは続ける。

「あいつも今のお前の歳の頃ぐらいから自覚して、大人しくなったがな。
そういえばお前はかなり大きくなったな。もう少しで俺と同じ年の頃くらいになるか?」

 嬉しそうに笑い僕の頭を撫でるこいつ。

 僕が気にしていたことも、こいつにとっては嬉しいことらしい。
 このことにどれだけ悩んだだろうか?
 呆気なく言われた『容姿容れものではなく中身が好ましい。』それに安堵した。

 (僕もお前のが大好きだよ。
 ……顔や体ももの凄く好きだけれどね。)

 また僕の心をいたのか微かに笑い、
 それから目を細め、何かを見定める様な顔をした。

「おおよそだが身の丈は…四尺六寸三分(約176cm)くらいか?目方は…」

 (お前のその能力は本当にすごいよね?
 僕とクロ限定でしか使わないけれど、着物を仕立てる時に皆が吃驚していたからね?)

 こんなふうに話す間も僕らはお互いを求め合い、交わる。
 
 僕らはずっとこんな感じだ。
 淫靡な水音や二人の吐息、そして僕らの話し声しか存在しない。
 二人の世界を僕たちは愉しむ。

 ◇◇◇

 ───その時、再びこいつの【域】に闖入者が現れた。

 美しく輝く銀の髪、こいつの右目と同じ銀色の瞳。
 こいつと同じように男にも女にも見える顔立ちに、耳長エルフの様な凹凸のないスラリとした体つき、性別や年齢を超越した美しい男性。
 彼が居るだけでその場に菊の薫りが漂う。
 柔和な物腰のこいつにとても甘く、僕にも優しいその方。
 

「この朱点アホ!」


 お義母様だった。───

 ◇◇◇

 こいつの【域】を破って入ってきた義母。


「全く、このアホ!いい加減に百合ユリを開放して出てきなさい!!
少しお前たちと話すことがあります。」 

 なんだかこの方にはいつも僕らが交わっているときを見られている。
 これで二回目だが、これからも何度もあるんじゃないかとそんな予感がして怖い。

 義母は今この状態に対して何も思わないのか、平然とした顔をしている。
 もしかすると今までこいつがご乱交中に、囲っているやつらを殺しすぎたりした時、止めに入ったりしていたのかもしれない。

 (昔のことだけれど考えたらもやもやする……)

「おや?朱点シュテン、お前に咲いた百合の【華】は…これは素晴らしく美しいです!
お前の宮に植えても良いですね。
それにお前の【華】も百合に美しく咲いています。
私はお前の青薔薇が好きですから、これも植えましょう!旦那様に相談しなくては。
いえ、それとも私の様に【域】に干渉して咲かせるか…どちらが良いでしょう?
私も旦那様に【華】があればと常々思いますから、お前たちが羨ましいですね。」

 にこりと柔らかく微笑み、
 僕らが全裸で、そのうえかなり凄いことをして交わっているのを平然と一瞥し、こんなことを仰っしゃられる。

「母上良いだろう?これの魂も【華】もとても気高く美しい。」
「エッ!あッ、ああ、…ん、う、ああ、や、め!」

 僕を可愛がりながらも義母に返事するこいつ。

「ええ、稀有な魂を持っている良い子です。私も旦那様も好ましく思っていますよ。」

 それににこやかに返す義母。

 (お義母様、褒めて頂いてありがたく思いますが…この状況に何も思われないのでしょうか?)

「あ、こら!ひ、ぁああ、ぁう…ん、ん」

 少し、体勢を変えようと体を捻るがこいつの拘束は緩まない。

「それからそれはあまりΩには善くはありませんよ、私は好みませんね。
百合の方に負担が多くなります。」
「母上、俺のお姫様は少し苦しかったり、痛いのが好きだ。」

 二人の会話に目眩がした。

 この状況を気にしないこいつも義母に返事を返してから、
 僕の耳を噛み、その後僕に付けた左首もとのこいつの【華】から血を啜る。

「や!こら待て、あ!ん、ぅん、んああぁ…」

 そして義母が見ているのに平然として、そのでっかいやつで僕を責め立てる。

「え!ッア、ぁああ、は、やめ!ぁあ、あ、ん、ん、オイ!」

 腕などに爪も立てて抗議をするがこいつは止まらない。
 快楽にとても弱い僕は考えるのをやめたくなるが、堪える。

 (こいつ!なんてことをお義母様に伝えるんだ!!
 お前が嘘をつかない事を知っているから僕は変態扱いになるだろうが!!!)

「そうなのですか?お姫様の望むようにお前をちゃんと与えて、可愛がってあげないといけません。」
「俺はちゃんとお姫様に聞いて把握している。」
「それは良いことです。望まないことを強いてはなりませんよ。」

 続けられるとんでもない親子の会話。
 もう色々と放棄したくなる。

 (そういえばお義母様はかなりズレた方だった…)

「は、うぅ…ああ、う、はず、か…しい!や、めて」
「今やめるとお前が辛いだろう?」
「うあ、あ…ん、も、そ、んな…気分、あ、んん、じゃな、いから…」

 僕は色んな羞恥で泣きそうだ。

 (本当に恥ずかしいからやめてくれ…)
 ─『お前も締まってなかなか善いぞ?』─

 (コイツ!後で殴る!!)

「そろそろ俺と共に果てるか。」
「ふぇ?!」
「母上、少しお姫様を可愛がって終わらせる。」
「ええ、満足させてあげなさい。」

 彼らの会話に嫌な予感がする。

 見るとこいつの手は僕の弱点に狙いを定めている。

 (これはマズい!
 それはヤバい!!)

 その魔の手が僕のちんちんに伸びた。


「ヒィーーーーーーーーッ!!!!」

 
 ──その後のことについては黙秘する。

 ◇◇◇


 あの時のことは本当に忘れられなかった。
 その後も度々似たようなことが起こり、私はとても恥ずかしかった。

《シュテンの母親は…凄いな。》
《流石シュテンの親としか言いようがないな。》

 義母は本当に良い方なんだが…かなりズレた方なんだ。

《ズレたどころではないだろう!》
《私は遠慮したいわね…そんな家族。》

 本当に良い方なんだよ?

《イヤイヤ本当にありえないからね?マリー…》

 でも、まぁ…鬼の倫理観とかそういったものは私達には受け入れ難いかもしれないね。
 百合は姉などの教育でかなりこちらの価値観に近いからね。

《色々と突っ込みたいがマリーは聞かないだろうな…》


 ◇◇◇


 ずっとしている土下座が辛い。
 いつぞやの僕も行使した【説教の躾】だ。
 そしてずっと僕らの親たちからお説教を受けている。

 (いい加減に畳の目を数えてやり過ごしたくなるが…我慢だ。)

 隣にいる朱天シュテンは割と平気みたいなので、似たようなことを良くしているのかもしれない。

 (でも、こいつは堪え性がないから、嫌になったらすぐに破りそうだけれど…)
 

「…聞いているのか?お前たち。」

 いつも優しい義母はかなりお怒りだ。
 よく朱天を叱る時とは大違いで、『酒呑童子シュテンドウジ騒動』の時の様に怒っていらっしゃる。
 口調もいつもと違い、男性的なものになっている。

 (もしかすると義母も僕と同じように、猫かぶりをされてらっしゃるのかもしれない。
 そういった外面が吹き飛ぶほどお怒りになるなんて…心配をおかけして本当にすみません。)

「百合、それからアカどうしてそんなことをしたんだ?
鬼は愛に生きるもので、愛に狂うとはいえこれはねぇ……」

 姉は怒るというよりも困惑している。
 彼女は説教する時も僕の話をよく聞いてからになるからこんな感じだ。

 (姉様、ごめんなさい。
 何かわからないけれど衝動的に…あの時はそうしなければと、そう思ってしてしまったんだ。)

「お前たちは問題しか起こせないのか?」

 義父はいつも少し突き放して話をされる。
 本当に義母にしか興味がない方であるが、こうやって叱るくらいには僕らを気にかけて下さる。

 (お義父様、一見冷たく聞こえますが、かなり朱天を心配していたのは知っています。
 感情を昂ぶらせたりすると、朱天のように壊したり潰したりするから抑えていると、そう伺いました。)

「弟に紅薔薇、それからスメラギよ、こやつらには言っても通じんぞ。
そうえる。」

 義姉は先が視えすぎるから、こういった調子でいらっしゃる。
 確かに僕らは全然反省なんてしていない。
 あるとすれば黒に対しての申し訳ない気持ちだ。

 (お義姉様、見えないけれどきっとお耳がヒクヒクされているんでしょうね。
 僕らは反省なんてしてないというのも、見破られていらっしゃるし、
 お義姉様には本当に敵いません…)

 お説教は長く、ずっと義姉や義母からの【しゅ】による土下座で耐えている。
 僕も朱天も、もうすでにこんなものなんかすぐに破れるが、色々と振り回した事には反省もあるので耐えている。

「黒の事はどうするんだ!」

 義母に言われ言葉に窮する。

 朱天や黒の為にした事に始まる今回の騒動だが、最後に僕は物凄いやらかしをしてしまった。
 その事に対しての後悔はないが、黒にはこれからとても寂しい想いを
 朱天が味わってきた、両親になかなか会えないという境遇にさせてしまった。
 僕は母親としてよりも、朱天の番、伴侶としてそう在りたいと思ったことを優先してしまった。

 (そのことについては悔やんでいる。でも、もうしてしまったことをどうすることもできない。)

「それは…「母上、黒をおや…父上と共に見守り育ててやってほしい。
俺たちも可及的速やかに場を整える。
どうかそれまでよろしく頼む。」

 僕が話そうとしたところを、朱天の話に遮られた。
 どうやら僕よりもこいつのほうが既に考えていたことがあったらしい。

 (そういうのは先に話せ!)
 ──『すまん。』──

「フン、もとよりそのつもりだ。」
「百合がこのアホの縛りを解き放ち、私達は呪いから解放されましたからね。
朱点、お前の頃とは違います。ですから安心なさい。」

 帰ってくる返答に力が抜ける。
 義父母ははじめからある程度の算段をつけていたらしい。
 僕らは十日くらいは籠もっていたので、その間に決めたのかもしれない。

 こいつを縛り付け育てていたと思っていたが、朱天によると僕がした様に、義父母も朱天に来ていた呪いを、ある程度自分たちに分けて受けていたそうだ。
 僕のように全部受け止めるのは狂気の沙汰としかいえないそうだが。

『愛されていないと、疎まれていると思っていたが今は違うとわかる』

 (わかりづら過ぎて、朱天も僕も誤解していましたよお二方!
 でも、僕らも黒には似たようなことを強いるのか…)

「父上、母上、黒を守り育てて欲しい。」
「この【域】も私たちは黒が過ごしやすいように致します。
そうすれば少しでも長い時間を共にできます。」

 僕ら二人は土下座のまま義父母に懇願する。

「しかし、お前が父上と呼び頼むなど明日は雪だな。」
「旦那様!確かにこの子が強く言いますと色んな事を起こしますが…」
「それよりこれからはお前の発情期が決まった周期でしか来ないのは残念だ。」
「旦那様!」
「いや、そのほうが可愛がるのも色々と楽しめるか…」

 この方たちの中ではそれはもう決定していて、僕らに説教と確認をするくらいのことだったようだ。
 もう義母の口調もいつもの柔らかいものだし、話が脱線してきてお二人は今にもここで睦合いそうな勢いだ。
 義父は鬼のαの典型みたいな方で、朱天と同じで突き抜けた愛情を番に注いでおられる。
 他は本当に適当で義母が彼の中心なだけだ。
 義母の優先度が圧倒的に高いだけで、義父はなんだかんだ言っていても、『酒呑童子騒動』では、朱天のことを心配していたし、黒のことも可愛がっている。
 義母も朱天をアホと呼びよく叱るが、滅茶苦茶に甘くて未だに時々私の可愛い子と呼んでいる。
 
 お二方ともにお忙しい方たちだから、実質は乳母や教育係などにツナ茨木イバラキが面倒をみるだろうが。

 (彼らにもこのあと叱られるだろうな…)

 僕らが話しているのは朱天の【域】の中だ。
 アルフヘイムの『聖域』くらいになれば…黒もフノスのような存在であれば、問題ないのだが今はまだ難しい。
 呪いの影響がある以上、ある程度は閨に籠もらないと僕もこいつも辛くなる。
 乳母や義父母などを頼るしか他にない。

 (僕の…僕らの小さな可愛い黒。
 本当に情けない、頼りない母と父でごめん。
 僕らは愛に狂ってお前のことなんか一瞬、頭から抜けてしまった。)


 義父母の次は僕の母親的存在である姉からの叱責だ。
 姉の尻叩きも痛いし、魔術でのお仕置きも辛い。
 どんなものが来るのか覚悟しなくてはいけない。

「…百合も朱も、反省はしているみたいだね。
はぁ…ツクヨミ、カカセオ、これは親たる私達の責任でもある。
私は百合の『母』としてその責を負わなければいけない。
ヒルメ、すまないがしばらく不自由をかける。」

 想像したお仕置きがなく肩透かしを食らう

 (え?!姉様、お仕置きはないの?いや、されたいわけじゃないけれど…良いの?)

 姉はどうやら何かを決めたようだ。

「構わぬ紅薔薇。私も弟たちを放置していた責任があるしな。」

 その事に義姉は相変わらず泰然とした調子で返す。

 (姉様やお義姉様だけでなく、姪と生まれたばかりの甥に迷惑をかけてしまう…)

「全く…未熟なものが子を持つとこうなる。
百合、お姉ちゃんはね、お前と朱の【誓約】については怒っていない。
寧ろそこまでして愛を示したのは凄いと褒めてやりたいくらいだ。」
「義姉上!」

 義母が声を荒げ姉を咎める。
 だが、それを制して姉は続ける。

「けれどね、お前には子が…黒がいた。
酒呑童子の件などでは黒のことを思うお前に手を貸した。
お前も子供だったし、心の準備もなく母になってしまったから仕方ないけれど、
少しばかり軽率だったね。
先日、成人も迎えたのだから、これからはもっとしっかりしなさい。
私も落ち着くまではこちらと『聖域』を行き来して支えるから。」

 義母も朱天に甘いが、姉も僕に結構甘い。

 (怒りはしているが、口調からなんとなくだけれど少し…褒めたいと思っているのも感じる。)
 
「フン、あの人形も言うようになった。今はお前の子が人形か?」
「旦那様!」「皇ッ!貴様また私と争いたいか?」

 義父が姉に揶揄するような口調で衝撃的な言葉を放った。
 それに対して義母と義姉は声を荒げる。
 僕らのことではなく、姉と義父で諍いが起こりそうで申し訳ない。

 (それにしてもどういうことだろう?
 姉様はさっきから義父母に物凄く気安い。
 姉様、本当に何者なの?!
 それにお義姉様、それって激おこってやつですよね?
 お義父様もなんでそんな事を言うのでしょう?
 何かお二人に因縁めいたものを感じます。)

「はぁ…私を挑発しても意味はないぞ。
腹立たしいのなら、お前がもっとちゃんと朱に色々としておくべきだった。
それから私の娘に対する侮辱はこのあとで覚えていろ。」
「私もこの発言には怒りを覚える。」

 義姉が怒ることはあまりないのでかなりの地雷?というやつを義父は踏んだらしい。

「姉上方、それに旦那様!やめてください!
今はこの子達と黒のことを話しています!!」

 色々と雲行きが怪しくなってしまったのでここで彼らは退出したが、
 このあとまた『耳長エルフ族と戦争になるかと思った…』という話を綱などから聞いた。

 本当に僕らのせいで色々と申し訳ありません。
 
 一年程前に壊した皇宮ここも修復が終わったそうだが、
 そのこともこの僕らの親たちの先程の会話も、本当に周りに迷惑をかけてばかりだ。
 まだまだ僕らは未熟で…本当に情けない。

 


 ◇◇◇


《まぁ…リリィも幼い、12,3歳で親になったんだし、
 シュテンもネグレクトされて育てられていたからなぁ。》

 そうなんだけれど、今でもこの事は物凄く反省しているんだよ。
 身分的に子に接するのがもともと少ないとはいえね。

《若い頃の過ちでも、子供には可愛そうだからな。》
《リリィやシュテンだって可愛い盛りになかなか会えないのは悲しいだろう。》

 うん、そうなんだよ。
 幸いにもあの子は賢くて強くて優しくて…本当に良いオスに育ったから良かったけれど。

《オスってなぁ…》
《その評価は親馬鹿と言うやつだと思うわよ、マリー。》

 いや、そういうふうに言うものだからね。私はメスって呼ばれていたし。
 それにあの子は本当にいい子なんだよ!あいつや義父に似た雰囲気を持つようになったけれど。

《オメガバースだと性別が二つあるから、その組み合わせでそう呼ぶのは仕方ないわね。》
《ブラックはαになったのね!》
《ブラックも恐怖の塊みたいなのになったのか?》

 そうだよ。あの子は義父によく似たαになったね。
 私と夫の子なのに隔世遺伝なのかΩの要素がとても少なかったよ。

《Ωの子は生まれなかったのかしら?》

 今日は出来ないけれど、次の話では出てくるね。
 (あの子たちは頭の痛い子達なんだよなぁ…今悩まされているよ。)

《スカーレットがいて良かったわね。》

 そうだね、姉や義姉、それから義父母には本当に感謝しているよ。

《義父がちゃんと面倒を見たのか?!》

 あの子は義父にそっくりな性質や力を持った子だったから、義父も徹底的にあの子を扱いていたね。孫というより、師弟のような感じだね。
 夫もそんな風に扱かれていたらしいけれど、あいつよりも優しい扱きだったよ。
 少なくとも体が半分以上消されたりはしていなかった。

《色々とモンスターの育児はびっくりするな…》
《どこかのアニメやマンガで聞いたような話ね…》

 この他にも私と夫は自分の腹心の従者や友人に滅茶苦茶に怒られた。
 特にツナと茨木の夫婦…いや、まだ連れ添っていなかったが、彼らの怒りは凄まじかった。

《ツナとイバラキは結婚してなかったのか?》
《確かリリィは2千歳以上生きていなかったかしら?》

 彼らはずっと綱の言った『セフレ』らしいよ。
 まぁ…こちらからしてみると内実は夫婦なんだけれど、茨木が綱に子が出来たら番うって言っててね。
 鬼のαと元人間のβなんて本当に子ができなくて、私が死ぬ時もまだいなかった。
 なんだかんだいっても仲良くやっていたから、綱の執念で今は出来ているかもしれないけれどね…

 
 ───────────
 一章にあたる部分を加筆したり修正したものと差し替えました。 
 いくつか朱点サイドで追加した話もありますので良ければご覧ください。
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