婚約破棄を言い渡したら、なぜか飴くれたんだが

来住野つかさ

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第一話

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「ご注文のキャンディをお届けに参りました」
「は?」

 俺は甘いものなど好きではない。

「届け先を間違えてるのではないか?」
「いいえ。たしかにアルフォンソ・タヴァレス様へのお届けするよう申しつかりました」
「ええと、誰からだ? まあ俺の好みも知らないような奴からの贈り物など不要だがな」
「はい。イレーネ・コスタ様でございます」
「はっ、あんな女からか。いらんいらん」
「いえ、当方はきちんと依頼されて作成し、貴方様に間違いなくお届けするまでを請け負いました。ご不要なら受け取ってお捨てになられては?」

 面倒くさい。俺の顔にはそう書いてあったのだろう。だが、キャンディ屋の配達人の男はニコニコとしながらも押しが強く、面倒を終わらせるためにも受け取って下さいよ、などとのたまう。

「ねえ、受け取って差し上げたらいいじゃないの。仮にも貴方の元婚約者様でしょう? 私甘いものは好きだわ。ねえ、最後に何を贈って来たのかしら。興味あるじゃないの」

 俺の様子を見に来たカミラが、クスクスと笑いながら重たい胸を押し付けてきた。

「悪趣味だな。まあ君が食べるなら構わんさ」

 肩をすくめた俺に、流れが変わったとみて配達人がペンを差し出してきた。

「ではではこちらに受け取りのサインをお願いします。それから、こちらのお品について一言ご説明差し上げますね」
「面倒くさいな。ただの飴玉なのだろう?」
「いえ、違います。こちらはイレーネ・コスタ様の恋の一部でございます」
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