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124 獣の捕獲、ヨシイ古書店の供述(前)④
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佐山はとある事情で全てを引き受けることになったが、けして巌兄を騙したわけではないと言ったそうですが、巌兄は許せなかった。
それを繰り返し言いながら、巌兄は先頃亡くなりました。
私達は兄の家を相続して、ヨシイ古書店という店を開き、佐山から盗られた品をどうにか取り戻せないかと考えました
豊兄が牧田を引き込んで佐山の情報を探り、そうして知ったことは、『夜を殺めた姉妹』に使用された石が全ての願いを叶える素晴らしきものであるということです。
佐山はある時から『夜を殺めた姉妹』に夢中になりました。傍から見たら狂気のように見えたでしょう。高名な富樫甲児の遺作であり問題作。またこの作品を撮ってから富樫は精神的におかしくなったように思えます。
そこで更に調べたところ、佐山がおかしくなったのは、あの映画評論家からコレクションを譲り受けてからだということが分かったのです。
牧田に調査させたところ、その映画評論家は『夜を殺めた姉妹』の撮影が終わった後から、様子がおかしくなったようです。
譲り受けた資料の中に彼の走り書きがあったようなのですが、映画が撮られた後にその評論家は金を掴ませて撮影所に侵入して、大好きな富樫のセットを堪能したところ、撮影で使われていた祭壇の石に惹きつけられたそうです。ひと目見たときから欲しくて欲しくてたまらない。尋常ではない欲望が湧き上がり、どうしても持ち帰りたくなったらしいのです。あやうく盗み出しそうになるが、そうなったら大問題。悩んでいたところ、底の緩んでいた一欠片が、持って行ってというように手元にやって来たのだそうです。
その映画コレクターが余命を数える病気をした時、佐山が全てのコレクションを引き継ぎましたが、その中にあの素晴らしき石の欠片もありました。佐山が牧田に言っていたそうなのですが、『夜を殺めた姉妹』の実際のセットの一部ということで、ものすごく興奮する。そしてこれを持っていると、何だか気持ちが高揚する、と。
佐山はそれを綺麗な瓶に入れて飾っていました。そうしたら、奥さんが徐々におかしくなって来たのだそうです。
佐山は娘達に『夜を殺めた姉妹』と同じ名前をつけ、玩具フィルムを集めまくり、『夜を殺めた姉妹』の切れ端フィルムをコレクションして行きました。映画評論家からの資料の中に『夜を殺めた姉妹』の準備稿をを見つけた時は、尋常ではない喜び方をしたのだとか。
そんなある日、たまたま『夜を殺めた姉妹』の切れ端を玩具フィルムの映写機で観ている時に、佐山の奥さんが発狂しました。理由は分かりません。
佐山は牧田に命じて空気の良いところに静養に出しますが、その甲斐なく奥さんは亡くなってしまいました。
そうして気がついたら、あの石も見当たらなくなっていたそうです。
それを繰り返し言いながら、巌兄は先頃亡くなりました。
私達は兄の家を相続して、ヨシイ古書店という店を開き、佐山から盗られた品をどうにか取り戻せないかと考えました
豊兄が牧田を引き込んで佐山の情報を探り、そうして知ったことは、『夜を殺めた姉妹』に使用された石が全ての願いを叶える素晴らしきものであるということです。
佐山はある時から『夜を殺めた姉妹』に夢中になりました。傍から見たら狂気のように見えたでしょう。高名な富樫甲児の遺作であり問題作。またこの作品を撮ってから富樫は精神的におかしくなったように思えます。
そこで更に調べたところ、佐山がおかしくなったのは、あの映画評論家からコレクションを譲り受けてからだということが分かったのです。
牧田に調査させたところ、その映画評論家は『夜を殺めた姉妹』の撮影が終わった後から、様子がおかしくなったようです。
譲り受けた資料の中に彼の走り書きがあったようなのですが、映画が撮られた後にその評論家は金を掴ませて撮影所に侵入して、大好きな富樫のセットを堪能したところ、撮影で使われていた祭壇の石に惹きつけられたそうです。ひと目見たときから欲しくて欲しくてたまらない。尋常ではない欲望が湧き上がり、どうしても持ち帰りたくなったらしいのです。あやうく盗み出しそうになるが、そうなったら大問題。悩んでいたところ、底の緩んでいた一欠片が、持って行ってというように手元にやって来たのだそうです。
その映画コレクターが余命を数える病気をした時、佐山が全てのコレクションを引き継ぎましたが、その中にあの素晴らしき石の欠片もありました。佐山が牧田に言っていたそうなのですが、『夜を殺めた姉妹』の実際のセットの一部ということで、ものすごく興奮する。そしてこれを持っていると、何だか気持ちが高揚する、と。
佐山はそれを綺麗な瓶に入れて飾っていました。そうしたら、奥さんが徐々におかしくなって来たのだそうです。
佐山は娘達に『夜を殺めた姉妹』と同じ名前をつけ、玩具フィルムを集めまくり、『夜を殺めた姉妹』の切れ端フィルムをコレクションして行きました。映画評論家からの資料の中に『夜を殺めた姉妹』の準備稿をを見つけた時は、尋常ではない喜び方をしたのだとか。
そんなある日、たまたま『夜を殺めた姉妹』の切れ端を玩具フィルムの映写機で観ている時に、佐山の奥さんが発狂しました。理由は分かりません。
佐山は牧田に命じて空気の良いところに静養に出しますが、その甲斐なく奥さんは亡くなってしまいました。
そうして気がついたら、あの石も見当たらなくなっていたそうです。
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