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123 獣の捕獲、ヨシイ古書店の供述(前)③
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警察に私達が助け出されて数日後。辻堂刑事が報告にということで私と池上の元に来てくれていた。
ケーキをいただきながらヘビーな話を聞いていたところ、突然池上に甘い空気を出されて私はギョッとする。だがそれに構わずに辻堂刑事は話を続けていった。
「だけど、比江島さんから『八頭女史のブレスレットにはすごいデータが入ってるらしい』っていう噂をなまじ聞いていたものだから、そっちに入ってると思い込んだんだろうね。牧田さんは。なんたって佐山氏の不倫相手だったし。とっくに縁が切れているのに気づかなかったのかね。
しかし、おどおどしているようでいて、あれはなかなかのタマですよ。婿養子に来て、舅の死に加担して、貴重品を盗み、さらに姉と妹両方を引っ掛けたわけだから。
自殺しようなんて本当に思ってたのかなぁ、と不謹慎にも感じてますけど、そこはね」
辻堂刑事の言葉を聞いて、私は呆然としてしまう。
「牧田氏まで不倫······。そんな風に見えなかったですけどね」
「日比野さんは男を見る目を養って下さいよ、危なっかしいから」
その後の調査で、井ノ口とヨシイ古書店店主が兄弟で、二人してあの石に惑わされていたことが分かった。
井ノ口より早くヨシイ古書店店主――井ノ口亘が口を割ったのだ。
――――――――――
ヨシイ古書店店主・井ノ口亘(49歳)の供述
私達は三人兄弟で、私が一番下、豊が次兄で、その上にもう一人兄が居ました。
映画のカメラマンをしていた兄――厳は、途中で足を痛めて退職したのち、自分が関わった作品の資料を集めることから始まって、映画コレクターとなったのです。
巌兄と佐山義之は知り合いでした。佐山より少しだけ若いが佐山より多く集めていたし、互いに情報を教え合って切磋琢磨している、と何かの時に聞きましたし、友好的な付き合いをしているのだと。
そんなある日。巌兄と佐山が懇意にしていた映画評論家が、温かい土地に引っ越すからと大量のコレクションを譲ってくれることになったのですが、上手く立ち回った佐山がそれを全部貰い受けたらしいのです。それで巌兄と佐山の立場が逆転した。
自分だってその評論家の家にはよくお邪魔していた。伊東の別荘にも行って掃除も手伝い、別荘にも沢山ある資料を丁寧にファイリングだってした。
それなのに、自分が整理したコレクションを、全部貰っただと? と巌兄は怒り狂いました。
ケーキをいただきながらヘビーな話を聞いていたところ、突然池上に甘い空気を出されて私はギョッとする。だがそれに構わずに辻堂刑事は話を続けていった。
「だけど、比江島さんから『八頭女史のブレスレットにはすごいデータが入ってるらしい』っていう噂をなまじ聞いていたものだから、そっちに入ってると思い込んだんだろうね。牧田さんは。なんたって佐山氏の不倫相手だったし。とっくに縁が切れているのに気づかなかったのかね。
しかし、おどおどしているようでいて、あれはなかなかのタマですよ。婿養子に来て、舅の死に加担して、貴重品を盗み、さらに姉と妹両方を引っ掛けたわけだから。
自殺しようなんて本当に思ってたのかなぁ、と不謹慎にも感じてますけど、そこはね」
辻堂刑事の言葉を聞いて、私は呆然としてしまう。
「牧田氏まで不倫······。そんな風に見えなかったですけどね」
「日比野さんは男を見る目を養って下さいよ、危なっかしいから」
その後の調査で、井ノ口とヨシイ古書店店主が兄弟で、二人してあの石に惑わされていたことが分かった。
井ノ口より早くヨシイ古書店店主――井ノ口亘が口を割ったのだ。
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ヨシイ古書店店主・井ノ口亘(49歳)の供述
私達は三人兄弟で、私が一番下、豊が次兄で、その上にもう一人兄が居ました。
映画のカメラマンをしていた兄――厳は、途中で足を痛めて退職したのち、自分が関わった作品の資料を集めることから始まって、映画コレクターとなったのです。
巌兄と佐山義之は知り合いでした。佐山より少しだけ若いが佐山より多く集めていたし、互いに情報を教え合って切磋琢磨している、と何かの時に聞きましたし、友好的な付き合いをしているのだと。
そんなある日。巌兄と佐山が懇意にしていた映画評論家が、温かい土地に引っ越すからと大量のコレクションを譲ってくれることになったのですが、上手く立ち回った佐山がそれを全部貰い受けたらしいのです。それで巌兄と佐山の立場が逆転した。
自分だってその評論家の家にはよくお邪魔していた。伊東の別荘にも行って掃除も手伝い、別荘にも沢山ある資料を丁寧にファイリングだってした。
それなのに、自分が整理したコレクションを、全部貰っただと? と巌兄は怒り狂いました。
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