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夏の終わりにミサワさんから手紙が届いた。
「キクちゃん、しばらくお会いしていませんがお元気ですか? おそらくキクちゃんの事だから元気なんじゃないかと勝手に想像しています。そして相変わらず忙しくしているのでしょう。
もしかしたらこの手紙も新聞や電気代の請求書か何かの間に挟まれてしばらく忘れられているんじゃないかと、最悪、不必要なダイレクトメールと間違えられて捨てられているんじゃないかなんて、ちょっとだけそんな不安もあります。手紙を書くなんて僕としても珍しいからできれば読んでほしいです。仕事の合間やたまの休みの日なんかに。お酒を飲みながらでも全然オーケーです。
キクちゃんに「好きだ」と言った時の事はよく覚えています。結構酔っ払っていましたが、気持ちを言葉にした瞬間、一気に視界がクリアになった。実を言うと誰かにそんな事を言うのはかなり久しぶりの事でした。30何年も生きてきて恥ずかしいですが、ああいった事はいつまで経っても慣れません。
そして「ごめんなさい」と言われた時の事もよく覚えています。この時は逆に視界が暗くなった。女の人に「さよなら」と言われた事は何度かあります。でも「ごめんなさい」はそれとはまた違う衝撃でした(実を言うと、「ごめんなさい」は初めてでした。こう見えて昔は結構モテたんですよ)
一言で言うとショックだったんです。ごめん。こんな事書くつもりじゃなかったのに。
でも、とりあえず僕はもう平気です。しばらくは「ごめんなさい」と言われた時のキクちゃんの表情とか、白シャツに溶ける素肌とか、そんな1つ1つの事を思い出したりして落ち込んだりもしてしまいましたが、もう大丈夫です。
だからまた、たまには飲みにでも行きませんか? 今まで通り友達のままで。またキクちゃんの話が聞きたいし、僕の後輩も相変わらず面白いので話したいことは山程あります。
手始めにオオサワさんのとこで暑気払いなんてどうでしょう? 夏はもうすぐ終わりますが、後追いの暑気払いです。オオサワさんは最近おかみさんが作ってた創作料理を練習しています。本人はまだまだ味に納得がいっていないようですが、すごく美味しいです。
連絡を待つのもどこか寂しいので、またタイミングを見て電話します。しばらく時間が空いてしまったのでとりあえず手紙を書きました。最後まで読んでくれてありがとう。
季節の変わり目、身体に気をつけて。
ミサワ」
私はその手紙を2回読んで丁寧に便箋にしまった。扇風機も回らなくなった部屋の中、残り少ない夏が寂し気な表情で私の事を見ていた。
海岸線はずっと向こうまて続いていた。波は一定の間隔で砂浜を染め、私のビーチサンダルの足跡を1つずつ消していった。振り返ると3、4歩前の足跡はもうなかった。儚いもんだな。素足にあたる海は冷たかった。でも今はまだそれが気持ちいい。
「もっとこっちきいや」
波打ち際から少し離れたところを歩いているヒールに声をかける。
「うん、そうしよかな」
そう言ってヒールは思い出したように履いていたスニーカーを脱いで海に足をつけた。海岸線をこのままどこまでも歩けそうな気がしたが私達はそこで1度歩みを止めた。
「あぁ、冷た」
「気持ちいいやろ?」
「うん。もう夏も終わるけど俺、これが今年初めての海や」
「あら、私もよ」
「そうか。もうこの歳になるとあんまり海も行かへんな」
「家族がいたら別やない」
私はまた余計な事を言ってしまった。
ヒールはズボンの裾を捲り上げて少しずつ沖の方へ歩いて行った。私も追いかけるようにその後を追う。濡れないようにロングスカートの裾を捲くったが、波は悪戯をする子供のようにその飛沫を散らした。まったく、なんで私はロングスカートなんかで海へ来てしまったのだろう。
ヒールは膝が水面に隠れるくらいのところで止まった。ヒールの後ろに見える季節外れの海は遠くまで人影も見えず、午後の日差しを受けて波はまるでプリズムのようだった。
「夏が終わるね」
私は水平線に背を向けるヒールに声をかけた。
「うん、早かった。ついこの前冬が過ぎたばかりやと思ってたのに」
「夏が終わったらまた冬が来るよ。またあんたの嫌いな季節や」
「そうやな」
ヒールはそう言ってプリズムを蹴る。
「でもなキク、最近思うんやけどな、冬もイベントも捉え方次第ではおもろなるんちゃうんかなとも思うんよ。慌しいなぁ、嫌やなぁって思うから身構えてしまうんで、もっとニュートラルな気持ちで臨めば楽しみ方も見えてくるんちゃうかなって」
「ふーん、そういうふうに考えれるようになったんはええ事やないの。でもなんだか大人になったみたいでむかつく」
「そうか?」
「うん、なんかヒールのくせに生意気」
「そうかもな」
ヒールは少し笑って水面に手を触れた。波の規則がゆっくりと乱れた。
「でもそんなふうに、何か楽しみ方はないかな? なんて考えるとちょっとだけ冬が楽しみになってくるねん。不思議や。なぁ、キク。冗談やなく今年はクリスマスにでもどっか行こうか?」
「クリスマスかぁ……」
「うん、そう」
私はすっかり濡れてしまったロングスカートを諦めて海に放した。ロングスカートは先の方から直ぐに海の生命力を吸収して重くなった。
「ヒール」
「うん」
「私達にもうクリスマスはないよ。今日が最後。今日でもう終わりなの」
私の言葉を聞くとヒールはゆっくり海から手を出してこちらを見た。その表情には少し笑みがあった。
「やっぱりそうか」
「やっぱり?」
「何となくそうやないかと思ってた」
「……そう」
「キク。前にも言ったけど俺は俺なりにキクの考えてる事を分かってるつもりや。少なくとも分かりたいっていつも考えてる。追いかけてる」
「うん」
「だから何となく分かるんよ。今日のキク、会った時からちょっとだけいつもと違ってた」
そう言ってヒールは笑う。
「この前一緒にいた人が原因でもないんやろ? どうせ全部自分で決めたことなんやろ?」
「そんな事までよく分かるね」
私は笑ってしまった。
「分かるよ」
「嬉しい」
声に出すと何だか身体中の力が抜けてしまった。向こうから波を散らしてヒールがゆっくりと歩いてくる。私の正面に立つ。波の飛沫がまた私のロングスカートを濡らした。よく見ると捲り上げられた奴のズボンもかなり濡れていた。
「ありがとう。ヒール、大好きよ。いつまでも忘れへん」
「うん。俺もや。きっと忘れへん」
「また会ったら無視しない?」
「せえへんよ。ちゃんと声かける。時間によってはまた飲みに行きたい」
「良かった。元気でね」
「うん、キクも元気で」
ヒールは私の横を抜けて浜辺の方に歩いて行った。どれくらい経っただろうか。私はしばらくそのまま遠くに揺れる水平線を眺めていた。それはあまりにも果てしなくて、もはやこの世のものとは思えなかった。
ヒールが去った後の浜辺はさっきまでいた時と何も違いがなかった。砂の色も見える景色も何もかもさっきと同じで、ただヒールだけがそこにいなかった。
煙草が吸いたくなった。だけど私はそれを我慢する。砂浜に打ち寄せる波はまるでサイダーのようだった。抱えきれない愛のようだった。私達の流した涙のようだった。
鞄に入れていたボトルの水を飲み干して大きく息を吸い込む。私は濡れたロングスカートのまま砂浜に腰掛けてもう少し海を見た。
明日からまた生きていくのだ。秋の開花に間に合うよう、またガーベラを育てよう。白い白い、これから始まるキャンパスのような美しいガーベラ。風が私の部屋に遊びに来る時は、どうか一緒に遊んでやってほしい。
しばらく経ち私はまた海岸線を歩き出す。素足にあたる海が冷たかった。
「キクちゃん、しばらくお会いしていませんがお元気ですか? おそらくキクちゃんの事だから元気なんじゃないかと勝手に想像しています。そして相変わらず忙しくしているのでしょう。
もしかしたらこの手紙も新聞や電気代の請求書か何かの間に挟まれてしばらく忘れられているんじゃないかと、最悪、不必要なダイレクトメールと間違えられて捨てられているんじゃないかなんて、ちょっとだけそんな不安もあります。手紙を書くなんて僕としても珍しいからできれば読んでほしいです。仕事の合間やたまの休みの日なんかに。お酒を飲みながらでも全然オーケーです。
キクちゃんに「好きだ」と言った時の事はよく覚えています。結構酔っ払っていましたが、気持ちを言葉にした瞬間、一気に視界がクリアになった。実を言うと誰かにそんな事を言うのはかなり久しぶりの事でした。30何年も生きてきて恥ずかしいですが、ああいった事はいつまで経っても慣れません。
そして「ごめんなさい」と言われた時の事もよく覚えています。この時は逆に視界が暗くなった。女の人に「さよなら」と言われた事は何度かあります。でも「ごめんなさい」はそれとはまた違う衝撃でした(実を言うと、「ごめんなさい」は初めてでした。こう見えて昔は結構モテたんですよ)
一言で言うとショックだったんです。ごめん。こんな事書くつもりじゃなかったのに。
でも、とりあえず僕はもう平気です。しばらくは「ごめんなさい」と言われた時のキクちゃんの表情とか、白シャツに溶ける素肌とか、そんな1つ1つの事を思い出したりして落ち込んだりもしてしまいましたが、もう大丈夫です。
だからまた、たまには飲みにでも行きませんか? 今まで通り友達のままで。またキクちゃんの話が聞きたいし、僕の後輩も相変わらず面白いので話したいことは山程あります。
手始めにオオサワさんのとこで暑気払いなんてどうでしょう? 夏はもうすぐ終わりますが、後追いの暑気払いです。オオサワさんは最近おかみさんが作ってた創作料理を練習しています。本人はまだまだ味に納得がいっていないようですが、すごく美味しいです。
連絡を待つのもどこか寂しいので、またタイミングを見て電話します。しばらく時間が空いてしまったのでとりあえず手紙を書きました。最後まで読んでくれてありがとう。
季節の変わり目、身体に気をつけて。
ミサワ」
私はその手紙を2回読んで丁寧に便箋にしまった。扇風機も回らなくなった部屋の中、残り少ない夏が寂し気な表情で私の事を見ていた。
海岸線はずっと向こうまて続いていた。波は一定の間隔で砂浜を染め、私のビーチサンダルの足跡を1つずつ消していった。振り返ると3、4歩前の足跡はもうなかった。儚いもんだな。素足にあたる海は冷たかった。でも今はまだそれが気持ちいい。
「もっとこっちきいや」
波打ち際から少し離れたところを歩いているヒールに声をかける。
「うん、そうしよかな」
そう言ってヒールは思い出したように履いていたスニーカーを脱いで海に足をつけた。海岸線をこのままどこまでも歩けそうな気がしたが私達はそこで1度歩みを止めた。
「あぁ、冷た」
「気持ちいいやろ?」
「うん。もう夏も終わるけど俺、これが今年初めての海や」
「あら、私もよ」
「そうか。もうこの歳になるとあんまり海も行かへんな」
「家族がいたら別やない」
私はまた余計な事を言ってしまった。
ヒールはズボンの裾を捲り上げて少しずつ沖の方へ歩いて行った。私も追いかけるようにその後を追う。濡れないようにロングスカートの裾を捲くったが、波は悪戯をする子供のようにその飛沫を散らした。まったく、なんで私はロングスカートなんかで海へ来てしまったのだろう。
ヒールは膝が水面に隠れるくらいのところで止まった。ヒールの後ろに見える季節外れの海は遠くまで人影も見えず、午後の日差しを受けて波はまるでプリズムのようだった。
「夏が終わるね」
私は水平線に背を向けるヒールに声をかけた。
「うん、早かった。ついこの前冬が過ぎたばかりやと思ってたのに」
「夏が終わったらまた冬が来るよ。またあんたの嫌いな季節や」
「そうやな」
ヒールはそう言ってプリズムを蹴る。
「でもなキク、最近思うんやけどな、冬もイベントも捉え方次第ではおもろなるんちゃうんかなとも思うんよ。慌しいなぁ、嫌やなぁって思うから身構えてしまうんで、もっとニュートラルな気持ちで臨めば楽しみ方も見えてくるんちゃうかなって」
「ふーん、そういうふうに考えれるようになったんはええ事やないの。でもなんだか大人になったみたいでむかつく」
「そうか?」
「うん、なんかヒールのくせに生意気」
「そうかもな」
ヒールは少し笑って水面に手を触れた。波の規則がゆっくりと乱れた。
「でもそんなふうに、何か楽しみ方はないかな? なんて考えるとちょっとだけ冬が楽しみになってくるねん。不思議や。なぁ、キク。冗談やなく今年はクリスマスにでもどっか行こうか?」
「クリスマスかぁ……」
「うん、そう」
私はすっかり濡れてしまったロングスカートを諦めて海に放した。ロングスカートは先の方から直ぐに海の生命力を吸収して重くなった。
「ヒール」
「うん」
「私達にもうクリスマスはないよ。今日が最後。今日でもう終わりなの」
私の言葉を聞くとヒールはゆっくり海から手を出してこちらを見た。その表情には少し笑みがあった。
「やっぱりそうか」
「やっぱり?」
「何となくそうやないかと思ってた」
「……そう」
「キク。前にも言ったけど俺は俺なりにキクの考えてる事を分かってるつもりや。少なくとも分かりたいっていつも考えてる。追いかけてる」
「うん」
「だから何となく分かるんよ。今日のキク、会った時からちょっとだけいつもと違ってた」
そう言ってヒールは笑う。
「この前一緒にいた人が原因でもないんやろ? どうせ全部自分で決めたことなんやろ?」
「そんな事までよく分かるね」
私は笑ってしまった。
「分かるよ」
「嬉しい」
声に出すと何だか身体中の力が抜けてしまった。向こうから波を散らしてヒールがゆっくりと歩いてくる。私の正面に立つ。波の飛沫がまた私のロングスカートを濡らした。よく見ると捲り上げられた奴のズボンもかなり濡れていた。
「ありがとう。ヒール、大好きよ。いつまでも忘れへん」
「うん。俺もや。きっと忘れへん」
「また会ったら無視しない?」
「せえへんよ。ちゃんと声かける。時間によってはまた飲みに行きたい」
「良かった。元気でね」
「うん、キクも元気で」
ヒールは私の横を抜けて浜辺の方に歩いて行った。どれくらい経っただろうか。私はしばらくそのまま遠くに揺れる水平線を眺めていた。それはあまりにも果てしなくて、もはやこの世のものとは思えなかった。
ヒールが去った後の浜辺はさっきまでいた時と何も違いがなかった。砂の色も見える景色も何もかもさっきと同じで、ただヒールだけがそこにいなかった。
煙草が吸いたくなった。だけど私はそれを我慢する。砂浜に打ち寄せる波はまるでサイダーのようだった。抱えきれない愛のようだった。私達の流した涙のようだった。
鞄に入れていたボトルの水を飲み干して大きく息を吸い込む。私は濡れたロングスカートのまま砂浜に腰掛けてもう少し海を見た。
明日からまた生きていくのだ。秋の開花に間に合うよう、またガーベラを育てよう。白い白い、これから始まるキャンパスのような美しいガーベラ。風が私の部屋に遊びに来る時は、どうか一緒に遊んでやってほしい。
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