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第1章 オディオ王国編
第3話 学生5人組との対話。最初で最後になるかもしれない情報共有の件
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なんとかすんなりオディオ国王にこちらのもとい、俺の要求を飲んでもらうことに成功した。
その一方で、俺は国王への警戒を一段階あげることにした。
なぜなら、戦闘と魔術の訓練に言及したときに常識などこの世界で生きるために必要なことに意図的に触れなかったからだ。やはり一筋縄ではいきそうにない。
思わずため息がでた所で、
「おい、おっさん! なに勝手に仕切ってんだよ!」
俺に被せられて発言を潰された5人組のリーダー格のイケメンが鼻息荒く噛み付いてきた。
「人殺しの安請け合いを止めて、考えの整理ができる時間を作った。最良の状態に持っていたのだが、何が不満なんだ?」
「はぁ?人殺し?心の整理?なに言ってるんだ?このオタク野郎が!」
素っ頓狂な声をあげて思慮の浅い反論する駄目なイケメン。いいだろう、お前の呼称は今から駄メンだ。
俺は駄メンのおめでたい思考に呆れつつ、無視すると、この手の輩はより自分の都合のいい方向にご都合解釈して、面倒なことを巻き起こすので、仕方なく応えることにした。
「王女の話で他国が攻めて来ていると言っていただろう。仮に魔族を追い出したとして、その脅威を退けた力を持つとされる呼び出された勇者の力を次に他国を追い出すことに利用しようと考えるのが普通だと思うが。違うか? 」
俺はこの学生5人との接点は同じ世界から呼ばれた以外全くない。
彼等にしてみても、俺は通行人。駄メンの発言から察するに、蔑み対象のオタクなのだろう。
俺になんとなく蔑む視線を1人を除いて向けてきているのでほぼ確定だ。
もし、俺がこの5人と国王の言う魔王討伐に向かうと想定すると、壁役がいない一行だから、高確率で捨て石の肉壁もしくはティーを引きつける囮役をさせられるだろう。
不愉快極まりない視線を向けられて行動を共にするのは俺の精神衛生上よろしくない。
さっきの俺と国王の会話をどれだけ彼等が理解しているか知っておいた方が今後の行動のためにいい。
この5人の行動は今後の俺の行動に大なり小なり影響を与えるから、この駄メンと話すのは不快だが、奴の思考と行動パターンを少しでも知るためにこの場は耐えるしかあるまい。他の4人も性格を把握すれば行動予測もたてやすい。
「それに元の世界に帰れる可能性がかなり低いことはさっきの国王との会話でわかっただろう?」
「え? なんでわかるんだ?」
俺に噛み付いた駄メンとは違う、ガタイが年齢不相応にいい男が疑問に声を上げる。一体さっきまでなにをしていたんだこいつは。コイツの渾名は脳筋だな。
「帰る方法をこの国の人が知らないと言っていたことですか?」
長い黒髪をポニーテールにしたスタイル抜群の凛とした雰囲気の美少女が脳筋の代わりに話に乗ってきた。
「ああ。俺達がどういった方法の召喚術で呼び出されたかにもよるけれども、国王側は喚びだす方法しか知らず、戦う相手の魔王が帰る方法を知っているだろうという不確かな憶測を言って、帰る方法の存在を明言していない」
そう彼女に俺は返した。
召喚術のみしか伝わっていないということは還す方法が今まで確立できなかった可能性がある。つまり、この世界で骨を埋めることになるかもしれないのだ。
「それにこの手の話では元の世界に戻るにはその元の世界の位置、明確な座標がわからないといけないのが一般的だ。目的地が曖昧だときちんとたどり着けないからな」
この考えが当たっていたら、元の世界への帰還は詰む絶望的になる。常人にはできない別の世界を認識する方法が必要になるからだ。
仮に戻れたとしても、戻れるのが俺達が召喚されてからどれだけ時間が経過した地点になるか不明。
下手すると、浦島太郎になってしまうか、過去の時代に転移しかねない。
更に、戻れた世界が元の世界に限りなく近い平行世界だったというオチも考えられる。
「とは言っても、情報が足りないなかで推論に推論を重ねているから、正しいかはわからない。あくまで現時点での答えだ」
「おいっ、いい加減なことを言うな!」
「そうだ。適当なことを言うんじゃねぇ!」
駄メンが激昂し、脳筋がそれに同調した。
「確かに俺が言ったことは推測に過ぎないから間違っているかもしれない。何せ、今分かっている情報が圧倒的に足りない。それに帰るにしても今すぐというのはどの道無理だ」
この2人は元の世界に帰れない可能性に気づいていない。いや、無意識に目を逸らそうとしているのかもしれない。
「帰る方法を探すにしても見つかるまではこの世界で生きていかないといけない。この世界の常識を学ぶ必要がある。どうやって?あの会話の流れのままだったら、そのまま戦場に送られていたのは間違いない。だから、この世界の常識を学ぶ機会をさっき国王にお願いしたんだが、お前達には必要なかったんだな? 今からお前たち2人は即戦力として戦場に送ってもらう様に頼んでこようか?」
八つ当たり地味た駄メンの言動に流石に腹が立って、俺は言い返した。
「くっ、いや、必要だ」
駄メンはそう言って脳筋と一緒になって俺を睨んだ。おい、そこは睨むところじゃないだろう。
「ありがとうございます」
対照的にポニテ少女は俺に頭を下げて礼を述べ、わかっていないのかロリ少女は流された様にポニテ少女に追従して頭を下げた。
「皆様、お部屋の用意ができました」
そう告げた妙齢のメイドさんの案内に従って俺達はそれぞれ個室に案内された。
その一方で、俺は国王への警戒を一段階あげることにした。
なぜなら、戦闘と魔術の訓練に言及したときに常識などこの世界で生きるために必要なことに意図的に触れなかったからだ。やはり一筋縄ではいきそうにない。
思わずため息がでた所で、
「おい、おっさん! なに勝手に仕切ってんだよ!」
俺に被せられて発言を潰された5人組のリーダー格のイケメンが鼻息荒く噛み付いてきた。
「人殺しの安請け合いを止めて、考えの整理ができる時間を作った。最良の状態に持っていたのだが、何が不満なんだ?」
「はぁ?人殺し?心の整理?なに言ってるんだ?このオタク野郎が!」
素っ頓狂な声をあげて思慮の浅い反論する駄目なイケメン。いいだろう、お前の呼称は今から駄メンだ。
俺は駄メンのおめでたい思考に呆れつつ、無視すると、この手の輩はより自分の都合のいい方向にご都合解釈して、面倒なことを巻き起こすので、仕方なく応えることにした。
「王女の話で他国が攻めて来ていると言っていただろう。仮に魔族を追い出したとして、その脅威を退けた力を持つとされる呼び出された勇者の力を次に他国を追い出すことに利用しようと考えるのが普通だと思うが。違うか? 」
俺はこの学生5人との接点は同じ世界から呼ばれた以外全くない。
彼等にしてみても、俺は通行人。駄メンの発言から察するに、蔑み対象のオタクなのだろう。
俺になんとなく蔑む視線を1人を除いて向けてきているのでほぼ確定だ。
もし、俺がこの5人と国王の言う魔王討伐に向かうと想定すると、壁役がいない一行だから、高確率で捨て石の肉壁もしくはティーを引きつける囮役をさせられるだろう。
不愉快極まりない視線を向けられて行動を共にするのは俺の精神衛生上よろしくない。
さっきの俺と国王の会話をどれだけ彼等が理解しているか知っておいた方が今後の行動のためにいい。
この5人の行動は今後の俺の行動に大なり小なり影響を与えるから、この駄メンと話すのは不快だが、奴の思考と行動パターンを少しでも知るためにこの場は耐えるしかあるまい。他の4人も性格を把握すれば行動予測もたてやすい。
「それに元の世界に帰れる可能性がかなり低いことはさっきの国王との会話でわかっただろう?」
「え? なんでわかるんだ?」
俺に噛み付いた駄メンとは違う、ガタイが年齢不相応にいい男が疑問に声を上げる。一体さっきまでなにをしていたんだこいつは。コイツの渾名は脳筋だな。
「帰る方法をこの国の人が知らないと言っていたことですか?」
長い黒髪をポニーテールにしたスタイル抜群の凛とした雰囲気の美少女が脳筋の代わりに話に乗ってきた。
「ああ。俺達がどういった方法の召喚術で呼び出されたかにもよるけれども、国王側は喚びだす方法しか知らず、戦う相手の魔王が帰る方法を知っているだろうという不確かな憶測を言って、帰る方法の存在を明言していない」
そう彼女に俺は返した。
召喚術のみしか伝わっていないということは還す方法が今まで確立できなかった可能性がある。つまり、この世界で骨を埋めることになるかもしれないのだ。
「それにこの手の話では元の世界に戻るにはその元の世界の位置、明確な座標がわからないといけないのが一般的だ。目的地が曖昧だときちんとたどり着けないからな」
この考えが当たっていたら、元の世界への帰還は詰む絶望的になる。常人にはできない別の世界を認識する方法が必要になるからだ。
仮に戻れたとしても、戻れるのが俺達が召喚されてからどれだけ時間が経過した地点になるか不明。
下手すると、浦島太郎になってしまうか、過去の時代に転移しかねない。
更に、戻れた世界が元の世界に限りなく近い平行世界だったというオチも考えられる。
「とは言っても、情報が足りないなかで推論に推論を重ねているから、正しいかはわからない。あくまで現時点での答えだ」
「おいっ、いい加減なことを言うな!」
「そうだ。適当なことを言うんじゃねぇ!」
駄メンが激昂し、脳筋がそれに同調した。
「確かに俺が言ったことは推測に過ぎないから間違っているかもしれない。何せ、今分かっている情報が圧倒的に足りない。それに帰るにしても今すぐというのはどの道無理だ」
この2人は元の世界に帰れない可能性に気づいていない。いや、無意識に目を逸らそうとしているのかもしれない。
「帰る方法を探すにしても見つかるまではこの世界で生きていかないといけない。この世界の常識を学ぶ必要がある。どうやって?あの会話の流れのままだったら、そのまま戦場に送られていたのは間違いない。だから、この世界の常識を学ぶ機会をさっき国王にお願いしたんだが、お前達には必要なかったんだな? 今からお前たち2人は即戦力として戦場に送ってもらう様に頼んでこようか?」
八つ当たり地味た駄メンの言動に流石に腹が立って、俺は言い返した。
「くっ、いや、必要だ」
駄メンはそう言って脳筋と一緒になって俺を睨んだ。おい、そこは睨むところじゃないだろう。
「ありがとうございます」
対照的にポニテ少女は俺に頭を下げて礼を述べ、わかっていないのかロリ少女は流された様にポニテ少女に追従して頭を下げた。
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