とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

文字の大きさ
10 / 108
第1章 オディオ王国編

第10話 ある日、(異空間の)森の中、クろいマ竜サンに出会った件

しおりを挟む
どうやら俺はF○Oでいうところの固有結界というものの様な亜空間の中に入ったらしい。さっきまで俺は自分で魔改造した王城の牢屋にいたのに今は完全に別の場所、深い森の中に今はいる。

森なのにでないとはこれ如何に……どうやら思った以上に混乱して頭が熱くなっていたが、今のダジャレで頭も冷えたようだ。

『クアァァァ、ん? んん?? おや?、珍しい。久々のお客様のようじゃのう』

!?

頭の中に直接響くこの声は【念話】か?。

『うむ、いかにもその通りじゃ。お客人がいる場所から我がいる場所まで道を作るから、話し相手がてらこっちに来てもらえぬかのう』

そう再び頭に声が響くと樹齢云万年はありそうな巨木達が道を開けるように次々に左右に分かれた。

おうふ、流石ファンタジー。その幻想的で美しい光景に一瞬見惚れてしまったが、俺はすぐにできた道に【索敵】と【鑑定】を発動して、敵性存在とトラップの有無を調べ、安全確認をした。どうやら、両方ともないようだ。

『ぬう、そうあからさまに警戒しなくともよいではないか』

【念話】主から不満の声が上がるが、こっちは一方的に頭の中を覗かれている上に、お互いが敵対関係なのか不明だから、警戒して罠を疑うのは余程頭がお目出度い思考をしていなければ当たり前だ。

まぁ、と言っている時点で危険度は高くないかもしれないが、それが罠とも限らない。命の保障が軽視されがちな俺の立場だからこそ危機管理は自分できちんとする必要があるのだ。

『ふむふむ、その辺も詳しく聞こうかのう、そろそろ我の姿がそちらから見えるころじゃ』

その言葉が終わるとともに目に入ってきた森が開けた場所にソレはいた。それを目にするとともに、俺は強烈な吐き気に襲われて、堪えきれずに道脇に胃の中のものをぶちまけることになった。

『……なぜじゃ、ここに来て最初に我を見た者は須らく今のお主の様になっておる』

【念話】の主のその声音から肩を落して膝を突き、心情的にorzの状態になっているのがわかる。目の前のはとてもその姿勢をできる状態ではないのであくまで想像になるが。

『ええい、いちいちこちらの心の傷を抉るでないわ!』

怒られてしまった。どうやら図星だったようだ。何故orzの姿勢がとれないか。それは簡単な理由で目の前の存在は真っ黒な鱗をもつ竜。イメージ的には西洋の蝙蝠の翼を生やした蜥蜴のそれである。

但し、その両翼は無残に引き裂かれて、とても空を飛べるものではなく、その身の鱗も所々強引に剥がされて傷になっており、腹部は切り裂かれ、そこから臓物がコンイチハしている。更に、両目も抉り取られて眼窩は虚ろで口も開くことができないように痛々しく縫い付けられている。そのとどめに四肢と翼には鎖が頑強に巻きつけられて動きを阻害し、四肢には何本もの杭が打ち込まれて、囚人に繋がれる様な鋼球鎖、恐らくその重量はこの竜の動きに支障をきたすレベル、がついている。

驚くべきことにこの竜は生物として死んでいてもおかしくない状態なのだが、生存しいきているのだ。

『ん? 我ら竜族の生命力と魔力があればこの状態は問題ない……といいたいところじゃが、かけられたまじないの所為で流石の我も実はなかなかしんどいのじゃ』

ん? もしかしなくとも貴方?貴女?が初代オディオ国王に討伐されたことになった竜?

俺の頭にその考えが過ぎると、切り裂かれている腹部から唐突に傷口が開いて血が迸って地面を染めた。

『いかにも、我こそが闇黒魔竜あんこくまりゅうクロノエクソスである。お主もあの品性下劣で全世界の女性の敵であり、最悪のペテン野郎のユーイチ・ナルミ・オディオと関わりがあるのか!?』

先ほどとはうって変わってクロノエクソスが怒りを露にした口調で問いただしてきた。どうやら、クソ王国の初代国王に対する心証は言うまでもなく、最低最底辺の模様。まぁ、毒酒飲まされて騙まし討ちされればそうなる。仕方ないね。

『ほほう、どうやらお主も愚か者どもが勝手に作ったの歴史に踊らされておらぬようじゃな。そういえば、お主の前に国王だという若者、確か名はハルト・ジューダス・オディオだったか、が来たのだが、彼の者のは息災か?』

ハルト・ジューダス・オディオ? その名前は現国王に暗殺された先代国王の名前だ。

『なんと!? 彼の者は暗殺されたのか! しかも、次の国王が暗殺した血縁とは……そう言えば、ハルトも兄が自分を亡き者にしようとしているとこぼしておったなぁ……本当に、この国の王族はもう救いようがないのう』

そう悲嘆に暮れてクロノエクソスは嘆き、その虚ろとなった両目の眼窩からそれぞれ一筋の流水が流れ落ちた。

目の前の竜が先代国王の死を悼んでいるのは分かったので、しばらくしてから俺は【空間収納】からタオルを出して、涙が流れた部分を拭った。

どうやらこの彼?彼女?この世界の竜に性別があるのか分からないが、目の前のクロノエクソスと俺は敵対関係ではないのが分かった。現国王のあの野郎は私欲のために弟を殺したからな。俺の待遇と併せて許すまじ。

『かたじけない。ちなみに我は淑女であるぞ……ふむ、お主もユーイチとユキナ、カオリと同じ異世界からの来訪者であったか。そして稀有なる技能を数多くもっておるな』

俺の【偽装】が突破された!? どうやら、この竜は俺の【偽装】を上回る【鑑定】レベルの相手か。

『はっはっは、違う。間違っておるぞ! お主の秘匿している情報を得たのは我の持つ【鑑定】の上位スキルである【看破】によるものよ。お主の【偽装】のレベルを見るに現状、【鑑定】のスキル持ちで我が心友カオリを超えるものは今の王国におらぬようだな』

カオリは王国史で最高の【鑑定】スキルを持っていた人だ。周囲には隠していたらしいけれども、それを知っているということはもしかして……。

『うむ、お主の想像通りよ。我とカオリ、ユキナは親友で心友であった。あの腐れ外道ユーイチさえいなければ、いや、我が早々に滅しておればのう……悔やんでも悔やみきれぬ』

クロノエクソスを騙まし討ちした以外になにやったんだ初代国王!?

『あ奴は【隷属テイム】系の同族をも従えられる最上位URユニークスキル【隷従スレヴリィ】持ちでの、我とカオリには【隷従スレヴリィ】は効かなかったが、戦乱による心労の隙を突かれたユキナがかけられてしまい、文字通り奴隷の様にこき使われ、我等の人質としても使われたのよ。あの外道は稀有な【呪術創造カースクリエイト】持ちであるユキナに、我に自身と子孫に降りかかる不幸を肩代わりさせる呪いを作らせおった。ユキナは操られる身体を止めようと必死に抵抗しておったがそれで【隷従スレヴリィ】が解けるはずもなし。我に施術後、血の涙と額を地面に打ち付けて血を流して謝っておった』

その光景を思い出しているのかクロノエクソスはしみじみと語った。【隷従スレヴリィ】、そんなヤバイURスキルがあったのか。でも、相手を従わせるという点ではアリシア王女の【魅了】に通じるな。もしかして、遺伝で類似スキルが発現したのか?

『なるほど現国王の娘に【魅了】が発現しているのか、お主の推察は当たっておるぞ。上位スキルの発現はないが、同系統の同等かそれ以下のスキルは遺伝によって発現しやすいことがこの世の理としてあるぞ。最も、URユニークスキルでは滅多にあることではないがのう』

なるほど、いいこと聞いた。親の保持スキルを見て子が持っているだろうスキルを推測できるし、その逆で警戒するのもありだな。

『その知識に貪欲な気質、カオリに似ておるのう、懐かしい。さて、折角ここに来て貰ったからには我の頼みを聞き入れてもらいたい。当然、報酬は払うぞ』

あくまで、できる範囲でなら可能だが、両目を取り戻してこいの様な無茶な要求には応えられない。あと、元の場所との時間経過は大丈夫なのだろうか?

『流石に、我もできないことを無理に頼むつもりはないはあの腐れ外道ユーイチじゃあるまいし。時間経過に関しては、ここを出ると、お主がここに入った直後の時間の元いた場所に出れるように我がここでの時間経過を肩代わりしているから心配無用じゃ』

流石、代表的な幻想存在ファンタジーモンス規格外だな。とりあえず、その頼みごとの内容を教えてくれ。聴いてから判断させてほしい。

『無論、構わんぞ。我の願いは[我を殺して欲しい]のじゃ』

……はい? 今なんと??
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...