14 / 108
~幕間1~
第14話 俺が如月飛鳥嬢を助けることに至った経緯と魔改造牢屋崩壊の真相の件
しおりを挟む
正直に言えば、俺は当初、如月飛鳥という少女を助ける気は微塵もなかった。
彼女の父親が取締役を務める会社が自分の勤めていた会社の取引先でお得意様であるという、彼女一個人とは全く無関係。あの他の4人同様、彼女とは通りすがりに行き違った赤の他人という関係だ。
王城でこの世界の常識を学び、実戦に備えた訓練を行っているときに僅かにその関係は変化した。
この世界で、というよりも召喚されたオディオ王国で選民意識の1つとなっているスキルの【魔術】。
原因は不明だが、如月飛鳥だけが取得していなかった。このことにより、密かに王国脱出後の生活を見据えて、この国では蔑視されている【錬金術】を鍛える俺同様、彼女も軽視される様になった。
召喚したこの国の人間ならまだしも、一緒にこの世界に召喚された4人の幼馴染達からも彼女は軽蔑されるようになったのだった。
俺は錬金術師が不遇職で教師役がいなかったため、書庫に篭って僅かにある書物から独学で【錬金術】を修めざるをえなかった。
余談だが、この国はポーションなどの薬品類は他国からの輸入に頼りきっている。
飛鳥嬢は【魔術】を取得する方法と元の世界に戻る方ための情報を集めるために足しげく書庫に通っていた。
そして、俺が休憩で手隙のときに彼女から助力を求められたことをきっかけに俺は飛鳥嬢と言葉を交わすようになった。
彼女の話を聞くうちに彼女の人となり、真面目で世話焼きな性分を俺は知った。彼女が話し上手なのと、やはりいろいろ溜まっていたのか、彼女達5人について俺は多くを知ることになった。
彼女達の生まれはやはりいづれも資産家や由緒正しい名家で名門校に通っていた。この世界に召喚された日は夏期長期休暇、社会人にとっては学生時代には想像もできない程の果てしない隔たりがある所謂、夏休み。その中で唯一の登校日だったそうだ。
今となってはもう叶うことがない話だが、彼女達5人は学校の最高学年。学部こそは違うものの、同じ大学に通う予定で、駄メンと脳筋は推薦で、飛鳥嬢とメガネ、ロリっ子は実力で既に安全圏内という判定。
久しぶりに5人集まったので意外にもメガネの発案であの後、食事に行くはずだったらしい。
駄メンと脳筋、ロリっ子にとって甲斐甲斐しく世話を焼く飛鳥嬢は正しくオカンポジであった。メガネに対する彼女の認識は勉強などを競う好敵手で、5人組のご意見番。暴走した3人を止めるときの頼れる相談相手だった。
また、彼女から野郎3人に対して恋愛感情は皆無。幼少からの長い親しい付き合いの影響で家族意識が強く、どうしても特別な異性として意識することができないそうだ。
ただし、飛鳥嬢は駄メンが自分に一方的な好意と執着を抱いていることに気づいていた。しかも、駄メンは彼女が自分に好意を抱いていて、自分の伴侶になることを偏執的に信じて疑わないらしい。
飛鳥嬢に好意を抱く同年代の男子に駄メンは容赦なく攻撃をし、そのフォローに駄メンの両親が毎度奔走させられていたらしい。飛鳥嬢が被害者救済に動こうとすると、どこから嗅ぎつけたのか、加害者の駄メンの執拗な妨害が入ってできなかったそうだ……ナニソノヤンデレ。
脳筋からは時折、身の危険を感じる肉欲に満ちた視線を向けられて、飛鳥嬢は警戒心を抱いていたそうだ。
その一方で、なんと恋愛とは無縁そうで、天心爛漫に見えるあのロリっ子から、脳筋との恋愛相談を受けて2人の仲を取り持つべく応援していたらしい。その結果、この世界に召喚される前の今年の梅雨に脳筋とロリっ子は結ばれたそうだ。生々しい部分も含めて。けれども、脳筋から飛鳥嬢に時折送られる不穏な視線は止まなかったようで飛鳥嬢とロリっ子の悩みの種らしい。
メガネからは男2人から感じる様なものは全くなく、フラットな友人関係だったと彼女は感じていたようだ。彼は付かず離れず、深く踏み込まないスタンスの付き合いをに終始していた様だ。
俺が投獄されてから、飛鳥嬢はアリシア王女や国王に対して、自身の危険を顧みずに直談判してくれていたのを俺はスキルを通して知った。
結局、どちらの訴えも有耶無耶にされた上、結果としてアリシア王女に如月飛鳥は4人組と同じように操る手駒としては不要な存在と認識されて、同じく役立たずのレッテルを貼られた俺と共に切り捨てられることにつながった。
飛鳥嬢と俺が害される計画を事前に察知した俺はこれを機に、以前から進めていたオディオ王国からの脱出を決行することに決めた。飛鳥嬢を彼女の今の境遇からも含めて救出できるのも、この機会が最善という判断もあったからだ。けれども、飛鳥嬢を助け出すにしても、ただそのまま命の危機を回避するのではなく、俺は彼女に選ばせることにしていた。
その理由はまず、彼女が今後俺と行動を共にするならば、俺の持つURスキルについてオディオ王国脱出後の彼女の行動方針に合わせて教える必要がでてくるリスクが俺にあること。
次に、彼女自身は気づいていなかった様だが、これまで無意識のうちにこれからも変わることがないと飛鳥嬢が思っていた節がある4人の幼馴染達への依存から彼女が脱却する決断をする必要があること。
そして、駄メン達に殺されるのを選ぶか、俺と共に王国を出るかの選択を彼女に委ねたのは彼女の意思で未来を選んで欲しいという俺の偽らざる本心があるからだ。まぁ、この最後のは強引に事を進めて、飛鳥嬢から恨みを買うのが面倒だというのもある。
しかし、これまで長い間親しい関係を築いていた4人から直接命を狙われたことで飛鳥嬢が受けた衝撃は俺の予想よりも大きかった。致死力のある魔術が迫るという命の危機が間近に迫ってもまともな判断ができないほど彼女は狼狽していた。
その状況下であっても、飛鳥嬢は自身の答えをなんとか言葉にしてくれようとしていたのだが、空気を読まないアリシア王女と王女の下僕となった魔導師(笑)のメガネが飛鳥嬢の邪魔をした。メガネが【火魔術】を内包した【合成魔術】を仮にも地下の密室であるあの場所で使ってきたときは呆れ果てたが、それを利用して、多少ダメージ受けたが、俺は庇った飛鳥嬢と共にその場からすんなり離脱することに成功。
当初の計画通り、予め用意していたアリシア王女達を足止めする”シリアスさんを殺すコントトラップ”を発動。やはり、金だらいはトラップの鉄板である。
それから、たっぷりの血糊を内部に仕込んだ俺と飛鳥嬢2人分のダミー人形を瓦礫の下敷きにして、魔改造牢屋の天井を崩壊。俺達は隠し通路を使って王城から遂に脱出を果たした。この脱出のときに飛鳥嬢はまだショックから立ち直れていなかったので、俺は豊満な彼女の感触を背中に感じつつ、飛鳥嬢をおぶって隠し通路を駆け抜けた。
そして、隠し通路出口から少し離れた場所に雨風を凌ぐために予め【土魔術】の【石工】で作っていたバストイレ別付4LDKの仮拠点に居を移して今に至る。
■
『それで、ご主人よ。あの娘を連れ込んだ弁解は以上かのう?』
メイド服に身を包んだ銀髪金眼、褐色肌の幼女が正座をしている俺を両腕を組んで睨んでいる。その様子は迫力よりも可愛らしさが勝るため、思わずその頭を撫でて愛でたくなるが、今はお説教中で怒られるだけなので断念した。
目の前の彼女の両耳は人のそれより尖っており、頭の両眉よりも上の部分には立派な角が生えている。また、その胸はその小柄な体に不釣り合いなほど発育していて豊かである。そして爬虫類と思しき尻尾が可愛らしく生えている。
いわずもがな、この子は闇黒魔竜クロノエクソス、クロエの生まれ変わりである。
あの卵から孵化して、肉体がある程度安定してから、クロエにはこの仮拠点を建築後にここの管理と救出してから気を失った飛鳥嬢の世話をお願いしていたのである。
既にオディオ王城から脱出して2日目の朝。昨日は城下町と王城で脱出前の最後の仕上げを丸1日行った。今頃王城はまず間違いなく地獄となっている。その事態を知ったら、王城には誰も近寄りたくなくなることは必至。
慰謝料も貰ったから、俺はもう金輪際あの城に用はない。頼まれても近寄るものか。そして、深夜に仮拠点に戻って気絶するように眠りに就いた俺が目を覚ましたら、王城と城下町の件は事前に説明していたが、事後承諾の形で飛鳥嬢を連れ込んだ俺にクロエはプンプン状態なのである。
「ああ、結果は伴わなかったけれども、彼女は俺が冤罪で投獄された時に俺を釈放するために尽力してくれた。俺共々、オディオ王族に命を狙われて、彼女に生きるか死ぬかの選択を提示したのだが、彼女の答えを言う前に勇者(笑)達が殺しに来たので、彼女を助けてここに連れて来た。すまん。クロエには手間をかけた」
クロエの目を見て俺は答えると、彼女はため息を吐いて組んだ腕を解き、俺の頭を抱き寄せた。
「クロエ??」
「あの娘の世話についてを我は言っているのではない。軽微とはいえ、ご主人が怪我をしたときは心の臓が止まるかと思ったぞ。他の人族よりもご主人は頑丈になったかもしれぬが無理はしてくれるな」
戸惑う俺にクロエは心の底から安堵した声音でそう告げた。
「ああ、気をつけるよ」
「うむ……」
「失礼します。如月です」
不意にノックがして、これから呼びに行こうかと思っていた飛鳥嬢が入室許可を求めてきた。
彼女の父親が取締役を務める会社が自分の勤めていた会社の取引先でお得意様であるという、彼女一個人とは全く無関係。あの他の4人同様、彼女とは通りすがりに行き違った赤の他人という関係だ。
王城でこの世界の常識を学び、実戦に備えた訓練を行っているときに僅かにその関係は変化した。
この世界で、というよりも召喚されたオディオ王国で選民意識の1つとなっているスキルの【魔術】。
原因は不明だが、如月飛鳥だけが取得していなかった。このことにより、密かに王国脱出後の生活を見据えて、この国では蔑視されている【錬金術】を鍛える俺同様、彼女も軽視される様になった。
召喚したこの国の人間ならまだしも、一緒にこの世界に召喚された4人の幼馴染達からも彼女は軽蔑されるようになったのだった。
俺は錬金術師が不遇職で教師役がいなかったため、書庫に篭って僅かにある書物から独学で【錬金術】を修めざるをえなかった。
余談だが、この国はポーションなどの薬品類は他国からの輸入に頼りきっている。
飛鳥嬢は【魔術】を取得する方法と元の世界に戻る方ための情報を集めるために足しげく書庫に通っていた。
そして、俺が休憩で手隙のときに彼女から助力を求められたことをきっかけに俺は飛鳥嬢と言葉を交わすようになった。
彼女の話を聞くうちに彼女の人となり、真面目で世話焼きな性分を俺は知った。彼女が話し上手なのと、やはりいろいろ溜まっていたのか、彼女達5人について俺は多くを知ることになった。
彼女達の生まれはやはりいづれも資産家や由緒正しい名家で名門校に通っていた。この世界に召喚された日は夏期長期休暇、社会人にとっては学生時代には想像もできない程の果てしない隔たりがある所謂、夏休み。その中で唯一の登校日だったそうだ。
今となってはもう叶うことがない話だが、彼女達5人は学校の最高学年。学部こそは違うものの、同じ大学に通う予定で、駄メンと脳筋は推薦で、飛鳥嬢とメガネ、ロリっ子は実力で既に安全圏内という判定。
久しぶりに5人集まったので意外にもメガネの発案であの後、食事に行くはずだったらしい。
駄メンと脳筋、ロリっ子にとって甲斐甲斐しく世話を焼く飛鳥嬢は正しくオカンポジであった。メガネに対する彼女の認識は勉強などを競う好敵手で、5人組のご意見番。暴走した3人を止めるときの頼れる相談相手だった。
また、彼女から野郎3人に対して恋愛感情は皆無。幼少からの長い親しい付き合いの影響で家族意識が強く、どうしても特別な異性として意識することができないそうだ。
ただし、飛鳥嬢は駄メンが自分に一方的な好意と執着を抱いていることに気づいていた。しかも、駄メンは彼女が自分に好意を抱いていて、自分の伴侶になることを偏執的に信じて疑わないらしい。
飛鳥嬢に好意を抱く同年代の男子に駄メンは容赦なく攻撃をし、そのフォローに駄メンの両親が毎度奔走させられていたらしい。飛鳥嬢が被害者救済に動こうとすると、どこから嗅ぎつけたのか、加害者の駄メンの執拗な妨害が入ってできなかったそうだ……ナニソノヤンデレ。
脳筋からは時折、身の危険を感じる肉欲に満ちた視線を向けられて、飛鳥嬢は警戒心を抱いていたそうだ。
その一方で、なんと恋愛とは無縁そうで、天心爛漫に見えるあのロリっ子から、脳筋との恋愛相談を受けて2人の仲を取り持つべく応援していたらしい。その結果、この世界に召喚される前の今年の梅雨に脳筋とロリっ子は結ばれたそうだ。生々しい部分も含めて。けれども、脳筋から飛鳥嬢に時折送られる不穏な視線は止まなかったようで飛鳥嬢とロリっ子の悩みの種らしい。
メガネからは男2人から感じる様なものは全くなく、フラットな友人関係だったと彼女は感じていたようだ。彼は付かず離れず、深く踏み込まないスタンスの付き合いをに終始していた様だ。
俺が投獄されてから、飛鳥嬢はアリシア王女や国王に対して、自身の危険を顧みずに直談判してくれていたのを俺はスキルを通して知った。
結局、どちらの訴えも有耶無耶にされた上、結果としてアリシア王女に如月飛鳥は4人組と同じように操る手駒としては不要な存在と認識されて、同じく役立たずのレッテルを貼られた俺と共に切り捨てられることにつながった。
飛鳥嬢と俺が害される計画を事前に察知した俺はこれを機に、以前から進めていたオディオ王国からの脱出を決行することに決めた。飛鳥嬢を彼女の今の境遇からも含めて救出できるのも、この機会が最善という判断もあったからだ。けれども、飛鳥嬢を助け出すにしても、ただそのまま命の危機を回避するのではなく、俺は彼女に選ばせることにしていた。
その理由はまず、彼女が今後俺と行動を共にするならば、俺の持つURスキルについてオディオ王国脱出後の彼女の行動方針に合わせて教える必要がでてくるリスクが俺にあること。
次に、彼女自身は気づいていなかった様だが、これまで無意識のうちにこれからも変わることがないと飛鳥嬢が思っていた節がある4人の幼馴染達への依存から彼女が脱却する決断をする必要があること。
そして、駄メン達に殺されるのを選ぶか、俺と共に王国を出るかの選択を彼女に委ねたのは彼女の意思で未来を選んで欲しいという俺の偽らざる本心があるからだ。まぁ、この最後のは強引に事を進めて、飛鳥嬢から恨みを買うのが面倒だというのもある。
しかし、これまで長い間親しい関係を築いていた4人から直接命を狙われたことで飛鳥嬢が受けた衝撃は俺の予想よりも大きかった。致死力のある魔術が迫るという命の危機が間近に迫ってもまともな判断ができないほど彼女は狼狽していた。
その状況下であっても、飛鳥嬢は自身の答えをなんとか言葉にしてくれようとしていたのだが、空気を読まないアリシア王女と王女の下僕となった魔導師(笑)のメガネが飛鳥嬢の邪魔をした。メガネが【火魔術】を内包した【合成魔術】を仮にも地下の密室であるあの場所で使ってきたときは呆れ果てたが、それを利用して、多少ダメージ受けたが、俺は庇った飛鳥嬢と共にその場からすんなり離脱することに成功。
当初の計画通り、予め用意していたアリシア王女達を足止めする”シリアスさんを殺すコントトラップ”を発動。やはり、金だらいはトラップの鉄板である。
それから、たっぷりの血糊を内部に仕込んだ俺と飛鳥嬢2人分のダミー人形を瓦礫の下敷きにして、魔改造牢屋の天井を崩壊。俺達は隠し通路を使って王城から遂に脱出を果たした。この脱出のときに飛鳥嬢はまだショックから立ち直れていなかったので、俺は豊満な彼女の感触を背中に感じつつ、飛鳥嬢をおぶって隠し通路を駆け抜けた。
そして、隠し通路出口から少し離れた場所に雨風を凌ぐために予め【土魔術】の【石工】で作っていたバストイレ別付4LDKの仮拠点に居を移して今に至る。
■
『それで、ご主人よ。あの娘を連れ込んだ弁解は以上かのう?』
メイド服に身を包んだ銀髪金眼、褐色肌の幼女が正座をしている俺を両腕を組んで睨んでいる。その様子は迫力よりも可愛らしさが勝るため、思わずその頭を撫でて愛でたくなるが、今はお説教中で怒られるだけなので断念した。
目の前の彼女の両耳は人のそれより尖っており、頭の両眉よりも上の部分には立派な角が生えている。また、その胸はその小柄な体に不釣り合いなほど発育していて豊かである。そして爬虫類と思しき尻尾が可愛らしく生えている。
いわずもがな、この子は闇黒魔竜クロノエクソス、クロエの生まれ変わりである。
あの卵から孵化して、肉体がある程度安定してから、クロエにはこの仮拠点を建築後にここの管理と救出してから気を失った飛鳥嬢の世話をお願いしていたのである。
既にオディオ王城から脱出して2日目の朝。昨日は城下町と王城で脱出前の最後の仕上げを丸1日行った。今頃王城はまず間違いなく地獄となっている。その事態を知ったら、王城には誰も近寄りたくなくなることは必至。
慰謝料も貰ったから、俺はもう金輪際あの城に用はない。頼まれても近寄るものか。そして、深夜に仮拠点に戻って気絶するように眠りに就いた俺が目を覚ましたら、王城と城下町の件は事前に説明していたが、事後承諾の形で飛鳥嬢を連れ込んだ俺にクロエはプンプン状態なのである。
「ああ、結果は伴わなかったけれども、彼女は俺が冤罪で投獄された時に俺を釈放するために尽力してくれた。俺共々、オディオ王族に命を狙われて、彼女に生きるか死ぬかの選択を提示したのだが、彼女の答えを言う前に勇者(笑)達が殺しに来たので、彼女を助けてここに連れて来た。すまん。クロエには手間をかけた」
クロエの目を見て俺は答えると、彼女はため息を吐いて組んだ腕を解き、俺の頭を抱き寄せた。
「クロエ??」
「あの娘の世話についてを我は言っているのではない。軽微とはいえ、ご主人が怪我をしたときは心の臓が止まるかと思ったぞ。他の人族よりもご主人は頑丈になったかもしれぬが無理はしてくれるな」
戸惑う俺にクロエは心の底から安堵した声音でそう告げた。
「ああ、気をつけるよ」
「うむ……」
「失礼します。如月です」
不意にノックがして、これから呼びに行こうかと思っていた飛鳥嬢が入室許可を求めてきた。
17
あなたにおすすめの小説
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる