とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

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~幕間1~

第19話 地下牢が崩落した直後のオタク中年への疑惑の件(勇者:魔導師スバル・サツキ(メガネ)視点)

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※今回は少し時間は巻き戻り、13話直後 の勇者:魔導師スバル・サツキ(メガネ)視点となります。

私達は如月飛鳥とオタク中年が牢屋の崩壊によって、見慣れたポニーテールの黒髪が瓦礫の下敷きになっていたのを目にし、多くの血が流れていたことから2人の死を確信した。牢屋は天井が完全に崩れてしまったため立ち入りができない。あの規模では人力で瓦礫を撤去するのにかかる労力は図りしれない。まぁ、私の魔術であれば簡単だろうがな。

「お父様、ただいま戻りました」

「うむ。よくぞ戻ったアリシア、そして勇者達よ。して、首尾はどうだ?」

鷹揚に頷き、尋ねる国王。

「はい。ユウ・アンドウ並びにアスカ・キサラギは地下牢が崩壊し、その瓦礫の下敷きになって死亡しました」

アリシア王女は凛々しく国王に返答された。

「うう……飛鳥ちゃん。グスッ」

如月の死がショックだったのか、彼女と親しかった三条小鈴は落ち込んでいた。傍で武が慰めているので時間が経てば彼女も回復するだろう。勇太もどこかボウっとして虚空を見つめている

「そうか、不幸なであったな。2人の遺留品は同郷である勇者殿達に渡し、不要な物は処分しよう。ここにもってこさせよ」

国王がそう命じた。そうだ、あのオタク中年ならばスマートホンのバッテリーを隠し持っていたかもしれない。奴のそれを確保すれば通話とネット通信はできないかもしれないが、カメラなどのアプリが使えるようになるはず。その考えが浮かんでにわかに期待が高まったのだが……。

「申し上げます! ユウ・アンドウの部屋に彼の私物は見当たりません!!」

「! それは本当か!? 見落としはないのか?」

「はい。複数人で部屋中を調べましたが、彼の荷物は見つかりませんでした」

騎士の国王への報告に私は自分の耳を疑った。

「勇太、武」

「ん?」

「なんだ?」

私の呼びかけに2人が鬱屈そうに反応した。

「私達があのオタク中年とこの世界に飛ばされたとき、あの男は両手にビニール袋と背中にバックパックを背負っていたのを覚えていないか?」

私の問いかけに2人が記憶を思いこそうと思案顔になった。

「ああ、確かにあのおっさんは背中にでっかいリュックを背負って、両手にビニール袋を持っていたな」

「武の言うとおりだ。俺もあの男が大荷物だったのを覚えている」

武と勇太の言葉を受け、

「国王陛下、ユウ・アンドウは滞在中に処分するものとして侍従に渡したものがないかご確認いただけませんか?」

「うむ、ユウ・アンドウの部屋付きにした者をここに呼べ!」

「はっ!」

国王は私の要請に応じて、対応してくれた。命を受けた騎士が謁見の間を出て行った。

「あん? どうしたんだよスバル?」

私と国王のやりとりが理解できない代表として武が私に問いかけた。

「気がつかないのか? 私達はもしかしたら貴重な荷物持ちを失ったかもしれないんだぞ?」

私の言葉に未だ?を浮かべる武と勇太。

「ユウ・アンドウの部屋付き侍女を連れてまいりました」

先ほど出て行った騎士が恰幅のいいロングスカートの壮年の侍女を連れてきた。

「スバル殿の問いに答えよ」

「畏まりました」

国王め。面倒くさいから私に丸投げしたか。まぁ、いい。

「貴女が担当したユウ・アンドウはなにか処分するようにと言って、貴女に物を渡しませんでしたか?」

「いいえ。なにも渡されていません」

私の問いかけに彼女は頭を振って答えた。

「”ゴミ”と言って、渡されたものもありませんか?」

「はい。なにも」

隠し事をしている素振りは一切なく侍女の女性は私の問いに答えた。

「ありがとうございます。国王陛下、彼女には下がってもらってください」

「わかった。さがってよいぞ」

「はい。失礼します」

呼び出された侍女が退室したのを確認し、

「それでなにがわかったのか、教えてもらえないかスバル殿?」

国王が俺に問いかけた。

「はい。もしかしたら死亡したユウ・アンドウは荷物を持ち運ぶことに関連する能力スキルを隠し持っていたのかもしれません」

「ん? どうしてそうなるんだ??」

この男、本当に脳味噌まで筋肉でできているんじゃなかろうか。少しは自分の頭で考えろ。

「武君、昴君は安藤さんがあれだけたくさんの荷物を持っていたのにそれをどこにも置いていないからおかしいとおもったんだよ。荷物のなかには食べ物もあったみたいだから、どうしてもゴミが出てくると思うの。だから、メイドさんにそれがなかったか確認したんだよ」

復活した小鈴が私の考えを代弁してくれたことで武と勇太、国王たちは納得して頷いた。

「今となっては詮無きことですが、仮に彼が運搬系の能力者であったのであれば、その能力を駆使することでこの国に更なる発展をもたらせたかもしれないと思うと残念でなりません。死んでしまった者を生き返らせる方法はこの世界にあるのですか?」

「この世界のすべてを余が知っている訳ではないため、余が知る範囲においてはない。この国はもとより、おそらく他の国にもないだろう。いや、もしかしたら、教会の秘儀として伝わっておるかもしれぬが、教会には余らも手が出せない故、知りうることができないのだ」

私は返答した国王に頭を下げた。

あの2人を生き返らせて奴隷にする考えが浮かんだが、生き返らせる術がないのであれば実現不可能。仕方ない。

この後、如月の遺留品もなかったのが判明したが、彼女はあの牢屋に荷物を鞄にまとめて持ってきていたことがわかり、この件は収束。そして、今後の予定の確認に移り、いよいよ魔王軍討伐のためにまず、3日後に遠征をすることが決まり、この場は解散となった。



「なぜ、あんなことを訊いたのかしら?」

「あんなこととは?」

「死者を生き返らせる方法についてよ」

私は今、アリシア王女の私室の部屋にいる。部屋についてすぐ、彼女に寝台へ誘われた。お互いに一糸纏わぬ姿になって肌を重ねた後、謁見の間でのことについて私は彼女に尋ねられた。

「もしその方法があればあの2人を蘇生して、生き返らせた対価に2人を捨石の奴隷にするつもりだったんですよ。魔王軍の力を実際目にした訳ではないので、未知数。であるならば、弾避けは多いにこしたことはありません。ただそれだけです。あと、私達に服従することを条件に如月飛鳥を勇太にくれてやるのも面白かったかもしれません。あいつは如月飛鳥にご執心でしたから」

「あら、そうだったの。だったら、彼には悪いことをしたわね」

心にもないことをアリシア王女は口にして、この世に生まれたときの姿で彼女は横たわる私の上に再びのしかかってきた。
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