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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第38話 メルキオールの土地事情と冒険者ギルドにポーションを納めに行くお仕事の件
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ピタパンと出会った日は恙無く進み、夜を迎えて、翌日。ケイロンの人造石兵登録も完了した。
登録のときに受付さんが流暢に言語を理解して、会話をするケイロンを見てフリーズ。再起動して登録処理しているときは目からハイライトが消えて虚ろになっていたけれども、登録は無事完了。
見やすい位置に付けることが義務付けられている錬金術師ギルドのシンボルが入ったエンブレムを支給された。ケイロンは人間部分の胸部外装外殻の中央にエンブレムを固定接着した。
これでメルキオール内を俺達の誰かの同伴は必須だが、ケイロンは闊歩することができる。
その後、俺達は受付さんがギルド長から言付かっていた冒険者ギルドに納品するポーションの作製の依頼を受注した。
ケイロンも【錬金術】に興味を示したので駄目元でやらせたら、なんと【錬金術】のスキルを取得した。おそるべし、学習機能。
今後役立つ場面があるかはわからないが、錬金術師ギルドに所属員として登録していないため、ケイロンが今回初めて作った下級ポーションは冒険者ギルドに納品する分には充当できない。記念品として保管することが決まった。
充当できないのは仕方ないので、ケイロンには熟練度をあげ続けるために俺が【空間収納】のなかに保管している材料からポーション生産を続けてもらい、俺達は俺達で納品するためのポーションを作り続けた。
そのおかげで、ノルマは無事達せし、俺を除いた全員の【錬金術】のレベルが1上がっていた。無事その日のうちに完成したことを伝えたら、再び受付さんがフリーズした。
そして、復帰したと思ったら、油が切れたブリキ人形の如くギリギリと顔を飛鳥とクロエに納品用ポーションの完成の真偽を尋ねた。なんで俺を疑うかな。
飛鳥とクロエの2人が事実であることを告げると、またジェシカさんは気絶した。折良く、ミーネさんが帰ってきたので、事情を説明して、品質確認のため、作った大量のポーションをミーネさんに渡した。
日が落ちていたので、ミーネさんに明日また錬金術師ギルドに来るように言われて、俺達は宿に戻ることにした。
■
「う~ん」
「どうかしたのですか?」
考えごとをして唸る俺を訝しく思った飛鳥が尋ねてきた。
「ああ、予定よりも長くメルキオールに滞在することになりそうだから、宿に泊まり続けるよりも、家を借りた方がいいかもしれないと思って」
『うむ、ここはいろいろ揃えることができるし、案外居心地が良いからの。我はこの街の静かな場所に仮の住処を得てもいいと思うぞ」
クロエ前向きな意見を口にする。
「……私も個人的には賛成ですが、東と南地区は避けたいですね」
俺も飛鳥のその意見には全面的に賛成だ。東地区はオディオ王国からの急激に増えた難民の影響でメルキオールの治安を悪化させている。行政府は生活支援をしているというが、如何せん一気に雪崩れ込まれたものだから、行き届いていない。乱立している日雇い宿無し向けの安宿はスリが横行しているとか。だから、まず候補から外れる。
続いて、南地区。ここは職場と言える錬金術師ギルドがあるから、一見良さそうに思えるが、隣接している技師ギルドの鍛冶場が近くに密集しているため、下手をすると、夜明けまで槌の打つ音が聞こえるかもしれない。魔術での防音にも限度があるので、精神衛生上よくない。
また、南地区には酒場も数多く散在していて、飛鳥やクロエが歩くのには不向きと言える。
そうなると、西地区と北地区の二択になる。
西地区はメルキオールの行政府に勤める高官の住居もあるため、メルキオールで一番治安がいい地区だ。従者ギルドが業務として、衛兵団とは別に巡回をしている。Aランク以上のギルド所属者がパーティハウスやクランハウスを構えている。しかし、その分土地代も洒落にならない金額で、現状の俺の全資産でも1年維持できてばいいほうだろう。
消去法で北地区が最有力候補。ただし、北地区にもネックがない訳ではなく、中央区から北東の位置に俺が所属する錬金術師ギルドと因縁浅からぬ薬品ギルドの本部がある。まぁ、本部と言っても現状、錬金術師ギルドと違って各国や街に支店は実はない。
それに情報収集をしたところ、この薬品ギルド、どうやら錬金術師ギルドで禁忌として麻薬に手を出して荒稼ぎしているようだ。残念ながら、明確な物証が現時点で発見できていないので、潰すことができないが、麻薬の分布は北地区を中心に行われているというなんとも迷惑な状態だ。
そうなると北西部となるのだが、ここもお高い。そのうえ、閉鎖的かつ内部で熾烈な派閥闘争をしていると噂されている魔術師ギルドがある。俺達が使える【魔術】は異質なものもあるので、関わり合いにはなりたくない。
現時点の結論としてはやはりギルド長のミーネさんに相談するべきとなってこの話は終わった。
■
「冒険者ギルドへの納品を私達がですか?」
錬金術師ギルドに所属して3日目、俺と飛鳥、クロエはギルド長から昨日までにジェシカさんと俺達が造りためた下級ポーション~ポーションの冒険者ギルドへの納品を命じられた。
「そうだ。既に冒険者ギルドのギルド長には予定を前倒しして今日納品できることを連絡し、これから向かわせることも伝えている。今後はお前たち3人が中心となって下級ポーション~ポーションを造ってもらうことになるからその顔見せも兼ねてだ」
言っていることはわかるのだが……。
「私達は明らかに絡みやすいので、顔見せしないほうがいいと思うのですが……」
一応否定的な意見を言ってみたが、
「お前たち3人については昨日のギルド長会議で、各ギルドの所属員に危害を加えない様に周知することが決まっている。それに冒険者ギルドのギルド長がお前たち3人に冒険者としても期待している。どのみち、【錬金術】の素材を集めるために冒険者ギルドに顔を出さないといけないことは決まっているのだから、さっさと行ってきな」
ミーネさんにそう言われて、俺達は追い出されるように錬金術師ギルドを出発した。
登録のときに受付さんが流暢に言語を理解して、会話をするケイロンを見てフリーズ。再起動して登録処理しているときは目からハイライトが消えて虚ろになっていたけれども、登録は無事完了。
見やすい位置に付けることが義務付けられている錬金術師ギルドのシンボルが入ったエンブレムを支給された。ケイロンは人間部分の胸部外装外殻の中央にエンブレムを固定接着した。
これでメルキオール内を俺達の誰かの同伴は必須だが、ケイロンは闊歩することができる。
その後、俺達は受付さんがギルド長から言付かっていた冒険者ギルドに納品するポーションの作製の依頼を受注した。
ケイロンも【錬金術】に興味を示したので駄目元でやらせたら、なんと【錬金術】のスキルを取得した。おそるべし、学習機能。
今後役立つ場面があるかはわからないが、錬金術師ギルドに所属員として登録していないため、ケイロンが今回初めて作った下級ポーションは冒険者ギルドに納品する分には充当できない。記念品として保管することが決まった。
充当できないのは仕方ないので、ケイロンには熟練度をあげ続けるために俺が【空間収納】のなかに保管している材料からポーション生産を続けてもらい、俺達は俺達で納品するためのポーションを作り続けた。
そのおかげで、ノルマは無事達せし、俺を除いた全員の【錬金術】のレベルが1上がっていた。無事その日のうちに完成したことを伝えたら、再び受付さんがフリーズした。
そして、復帰したと思ったら、油が切れたブリキ人形の如くギリギリと顔を飛鳥とクロエに納品用ポーションの完成の真偽を尋ねた。なんで俺を疑うかな。
飛鳥とクロエの2人が事実であることを告げると、またジェシカさんは気絶した。折良く、ミーネさんが帰ってきたので、事情を説明して、品質確認のため、作った大量のポーションをミーネさんに渡した。
日が落ちていたので、ミーネさんに明日また錬金術師ギルドに来るように言われて、俺達は宿に戻ることにした。
■
「う~ん」
「どうかしたのですか?」
考えごとをして唸る俺を訝しく思った飛鳥が尋ねてきた。
「ああ、予定よりも長くメルキオールに滞在することになりそうだから、宿に泊まり続けるよりも、家を借りた方がいいかもしれないと思って」
『うむ、ここはいろいろ揃えることができるし、案外居心地が良いからの。我はこの街の静かな場所に仮の住処を得てもいいと思うぞ」
クロエ前向きな意見を口にする。
「……私も個人的には賛成ですが、東と南地区は避けたいですね」
俺も飛鳥のその意見には全面的に賛成だ。東地区はオディオ王国からの急激に増えた難民の影響でメルキオールの治安を悪化させている。行政府は生活支援をしているというが、如何せん一気に雪崩れ込まれたものだから、行き届いていない。乱立している日雇い宿無し向けの安宿はスリが横行しているとか。だから、まず候補から外れる。
続いて、南地区。ここは職場と言える錬金術師ギルドがあるから、一見良さそうに思えるが、隣接している技師ギルドの鍛冶場が近くに密集しているため、下手をすると、夜明けまで槌の打つ音が聞こえるかもしれない。魔術での防音にも限度があるので、精神衛生上よくない。
また、南地区には酒場も数多く散在していて、飛鳥やクロエが歩くのには不向きと言える。
そうなると、西地区と北地区の二択になる。
西地区はメルキオールの行政府に勤める高官の住居もあるため、メルキオールで一番治安がいい地区だ。従者ギルドが業務として、衛兵団とは別に巡回をしている。Aランク以上のギルド所属者がパーティハウスやクランハウスを構えている。しかし、その分土地代も洒落にならない金額で、現状の俺の全資産でも1年維持できてばいいほうだろう。
消去法で北地区が最有力候補。ただし、北地区にもネックがない訳ではなく、中央区から北東の位置に俺が所属する錬金術師ギルドと因縁浅からぬ薬品ギルドの本部がある。まぁ、本部と言っても現状、錬金術師ギルドと違って各国や街に支店は実はない。
それに情報収集をしたところ、この薬品ギルド、どうやら錬金術師ギルドで禁忌として麻薬に手を出して荒稼ぎしているようだ。残念ながら、明確な物証が現時点で発見できていないので、潰すことができないが、麻薬の分布は北地区を中心に行われているというなんとも迷惑な状態だ。
そうなると北西部となるのだが、ここもお高い。そのうえ、閉鎖的かつ内部で熾烈な派閥闘争をしていると噂されている魔術師ギルドがある。俺達が使える【魔術】は異質なものもあるので、関わり合いにはなりたくない。
現時点の結論としてはやはりギルド長のミーネさんに相談するべきとなってこの話は終わった。
■
「冒険者ギルドへの納品を私達がですか?」
錬金術師ギルドに所属して3日目、俺と飛鳥、クロエはギルド長から昨日までにジェシカさんと俺達が造りためた下級ポーション~ポーションの冒険者ギルドへの納品を命じられた。
「そうだ。既に冒険者ギルドのギルド長には予定を前倒しして今日納品できることを連絡し、これから向かわせることも伝えている。今後はお前たち3人が中心となって下級ポーション~ポーションを造ってもらうことになるからその顔見せも兼ねてだ」
言っていることはわかるのだが……。
「私達は明らかに絡みやすいので、顔見せしないほうがいいと思うのですが……」
一応否定的な意見を言ってみたが、
「お前たち3人については昨日のギルド長会議で、各ギルドの所属員に危害を加えない様に周知することが決まっている。それに冒険者ギルドのギルド長がお前たち3人に冒険者としても期待している。どのみち、【錬金術】の素材を集めるために冒険者ギルドに顔を出さないといけないことは決まっているのだから、さっさと行ってきな」
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