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~幕間2~

第58話 誰得な俺の新拠点の浴場の初入浴話……のはずだった件

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 シチューを入れていた寸胴鍋と食器類の洗浄も終わった。

料理は後片付けまで含めて料理である。

さて、今日は飛鳥達は割り当てた私室で休むことになったから、今夜は俺も私室のベッドで眠ることになっている。

各私室にはベッドが置かれているのだが、それとは別に寝室があるのだこの屋敷。

その寝室は部屋の6割が特大特注の最高級ベッドで、3割が浴室、残り1割がテーブルセットが置かれている。

ナニを目的にした部屋かが初めて部屋に入った瞬間にわかったのは嬉しいやら悲しいやら。

ちなみにここの浴室はタイルが敷き詰められてバスタブが置かれているだけという、あんまりな排水ガン無視仕様だった。

仕方がないので、俺は自室に荷物を置いた後の午前中はこの浴室改修にかかっていたのだ。

魔術を使ってタイルに傾斜つけて、外に繋がる排水パイプ作って、屋敷に設置したウォシュレットと同じ浄化システムの浄化槽に繋げて、動作確認……問題なしという流れだ。

あとからこの話をクロエから話を聞いたベルにそういう仕事は事前に相談してほしいとお小言をもらってしまった。

さて、俺は本日のスキルのノルマ……は料理の隙間時間で消化していた。

あとは風呂に入って寝るだけだ。

クロエと飛鳥の話では全員が入って体を伸ばしてもなお余裕がある要望通りの浴槽だとか。

残念ながら檜風呂ではないが、これは仕方ない。檜風呂再現は今後の楽しみと目標にしよう。

そう考えつつ、俺は自分専用のお風呂セットを出して地下1階にある浴場に向かった。



「おお、これはすごい」

思わず独り言出てしまったが、目の前の浴槽は銭湯にあるクラスの広さのものだった。泳ごうと思えば泳げる広さだ。

なぜこの浴場が屋敷の地下にあるかというと、水道の問題と排水関係に因るらしい。

給湯と排水を”魔術で解決”という安直な考えではこの広さの浴槽の場合、給湯だけで、一般の魔術師では数人がかりの仕事で魔力が空になるそうだ。

俺とクロエ、飛鳥ではそうでもないのだが、自分達基準で考えるのはやはりやめた方がいいのは明らかな一例だった。

その点、この世界のに明るいベルを引き入れられたのは良かった。


浴槽に片手を入れて湯温をみる……ちょっとぬるいので熱いお湯を追加して温度をあげるよう。

給湯設備は上級大型魔石を使った魔導具。魔力の補充が簡単にできる技師ギルドの一品。

それが3つある辺り、この浴槽の広さがわかる。

洗い場にある浴槽には先ほどの大浴槽と繋がっていて少し低い位置にあり、湯量と温度の調整に利用できるようになっている。いわばでかい洗い桶だ。

桶にお湯を入れてお湯を被る。

「お背中を流しますね」

不意に聞こえた背後からの声に驚いて振り返ると、綺麗な白髪を頭の後ろでまとめてアップし、身体にバスタオルを巻いたベルがいた。

俺の視界に彼女の白い肌と鎖骨、魅惑の北半球がぁ!?

「ええと、……」

「……こちらがボディソープの様ですね。あの、ご迷惑だったでしょうか?」

俺が困惑して、どうお断りをしようか考えている間にベルはボディタオルに俺が愛用しているデ・○ウ薬用クレンジングウォッシュを手にとった後、俺の思っていることを察したのか、雨に打たれた子犬の様な表情で尋ねてきた。

「いっ、いや、じゃ、じゃあ、背中を頼む」

普段のキリッとした姿との大きなギャップによるその強烈な破壊力によって、俺は断る言葉を失った。

「はい♪」

満面の笑みを浮かべた彼女の顔を見た後、俺は適量クレンジングウォッシュを手に取り、臭いが気になる脇などに直接塗りこめるように洗っていく。

「私がいただいたものとは異なりますが、いい匂いですね」

クレン○ングウォッシュを泡立てて俺の背中を擦り始めたベルが言う。

彼女にあげたのはゼラニウムで、俺が今使っているのはシトラスハーブだから違って当然である。

そのことを簡単に説明して泡を洗い流して、泡立てた洗顔用の石鹸で顔を充分に洗ってお湯で流して、次は頭髪だ。

某世紀末○王が描かれたボトルのデ・○ウ薬用スカ○プケアシャンプーを泡立てて頭髪に馴染ませてヘアウォッシュブラシを1つずつ片手に持って地肌をしっかり洗う。

余談だが、クレンジン○ウォッシュの方は聖○が描かれている。中身は詰め替えを買って使い続けている。

ベルにはお湯を張った桶を用意してもらって、洗った後にお湯をかけて泡を洗い流すのを手伝ってもらう。

シャンプーで洗った後はケアコンディショナーの出番。泡をきちんと洗い流した後に頭皮に馴染ませて洗い流す。

【生活魔術】の【乾かす温風ドライヤー】で余計な水分を飛ばす。

ベルは【生活魔術】全般に強い興味を持っていて、食いつきがすごく、俺は彼女に習得を確約させられた。

「……どうぞ」

「ありがとう」

全てが終わったら、先ほどの興奮を欠片も見せずにベルが蒸しタオルを差し出してくれたので、目の周りを温めてタオルの上からマッサージ。

使い終わったタオルはベルが回収してくれたので、ようやく湯船に入る。

当然、ベルに湯船の外で待っていてもらうと、お湯が不可抗力で身体にかかっていたから、風邪をひいてしまうかもしれないので、一緒に入ってもらうことになる。

湯船にタオルを入れるのはNGだから、当然俺の身体を洗うときベルが体に巻いていたバスタオルは外してもらって、かけ湯して入ってもらう。

彼女の裸体に興味がないのは同性愛者か、性欲を失った単超越存在仙人位だろうが、なけなしの理性を総動員して、俺はベルが湯船に入るまで背中を向けて見ないようにした。

自身の気を逸らすために肩でコリを感じている箇所を自分でマッサージする。

チャプっというベルが湯船に着水した音が聞こえたが、俺は頭の中で素数を数えて理性を保つ。

「キャッ!?」

短い聞き慣れないベルの悲鳴に振り向くと、彼女が足を滑らせたのか、こちらに倒れこんできた。

湯船の中で俺はベルを受け止める形になって、湯船の中に沈むのは避けた。しかし、お互いなにも身につけていない状態だから、俺はダイレクトに彼女の柔らかい部分に接触することになった。完全に不可抗力だ。

そして、俺の目の前にはベルの深い海の様な潤んだ蒼い瞳があった。

「申し訳ありません」

何に対する謝罪だという疑問が脳裏を駆け巡りだした直後に俺の両頬は彼女の両手に挟みこまれて、唇を重ねられた。

この後のことはご想像にお任せするが、俺はベルとはを浴場していない。

気持ちよさそうに眠っている彼女と俺は寝室で翌日、朝を迎えることになったのだった。

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